JPS6219346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 この考案はミシンにおける主軸を所定の位置に
停止させる定位置停止装置に関する。

〔従来技術〕

ミシンを停止させるには、従来から、モーター
の制動によるものや、クラツチ機構を使用したも
のが知られており、特に糸切り後の停止のように
停止精度が必要な場合に、それを安価に達成する
方法として、次に示すようなクラツチの切外し機
構が知られている。即ち、第１，２図において主
軸１とクラツチのバネ受け２はピン９にて一体と
し、バネ受け２の外周にはバネ部材３を巻き付
け、その一端はバネ受け２の溝部２ａに係合させ
ておく。またバネ部材３の他端は、その外周に遊
嵌されている規制体４に係合している（第２
図）。そして規制体４の規制部４ａに、ソレノイ
ド６により作動するストツパ体５のストツパー部
５ａが係合したときは、反時計方向に、回つてい
るプーリー１０の回動力は、バネ部材３が広がる
ことによりバネ受け２と一体の主軸１への伝達が
遮断され、これにより主軸１は規制部４ａとスト
ツパー部５ａとの関係で、あらかじめ設定された
停止点で止まることになる。

従つて上記従来の機構では、所望の停止点の前
で、かつ糸切り動作をさせるには遅すぎる位置で
ミシンが停止している状態（上，下糸を主軸の回
転より、力をとり出して、針板の下で同時に切断
するタイプでは、第７図のように針棒上死点を０
゜とする主軸の位相で表現すれば約300゜〜50゜
までの範囲内である）から糸切りの操作をする
と、これによりプーリー１０が回転すると同時
に、ソレノイド６がONし、ストツパー体５のス
トツパー部５ａが規制部４ａの回転経路内に入る
ので、ミシンは糸切りをせずに停止をしてしまう
欠点があつた。

そこで、その対策としてミシンの糸切り動作位
相を（第６図の主軸位相の約50゜〜300゜の範
囲）を通過した後に、ソレノイド６をONさせる
ということが、従来より行なわれ、このために主
軸１の位相を検出する位相検出部材（図示しな
い）を必要としているが、これが組立作業性を悪
くし、かつ高価なものにしていた。

〔考案の目的〕

この考案は糸切り動作区間で糸切り操作が行な
われたときに、初めの停止位置（約50゜）で停止
せず、主軸１が一回転した後の停止位置（約50
゜）で停止するようにして上記従来の欠点を解消
することを目的とする。

〔実施例〕

以下この考案の実施例を第３図以下に基づいて
説明する。

なお、従来例と同一又は相当部体には同一符号
を用い詳細な説明は省略する。

第３図において、１６は操作つまみで、軸１７
を介してカム１８と一体に機枠（図示せず）に対
し回動係止可能にしてある。１９は上端を軸２０
を中心に揺動可能とした追従子で、その下端はワ
イヤー２１を介してレバー２２の上端と連結して
いる。

レバー２２は中間を軸２３により揺動に機枠に
支持してあり、下端はワイヤー２４を介して糸切
り装置（図示せず）と連結している。なお、糸切
り装置は上記ワイヤー２４が右方に引張られるこ
とにより主軸の回転位相の特定区間で主軸に連動
して作動し、縫糸を針板（図示せず）の下方にお
いて切断するものである。

ストツパー体５は機枠に固定した軸１４に遊嵌
し、バネ１３により常には第４図に於いて左側に
押され又第５図に於いては反時計方向への力を受
けている。

１２ａは主軸１と一体にネジ１５で締結されて
いるミシン手回し用のハンドルプーリーにつけら
れた阻止手段としての進入防止カムであり、糸切
り動作区間（主軸位置の300゜〜50゜）ストツパ
ー体５が規制部４ａの回転経路内に進入するのを
防止するためのものである。２５は中間をレバー
２２の上方部に軸２６で揺動可能に支持したＬ型
の中間レバーで、常にはストツパー体５が規制部
４ａの回転経路の外に保持されるように両端部を
レバー２２及びストツパー体５と係合させてあ
る。

なお、２７はレバー２２の反時計方向への回動
により停止しているミシンモータ（図示せず）を
付勢させるためのスイツチである。

この考案は以上の構成であるから、操作つまみ
１６の時計方向への回動によりカム１８を介して
追従子１９及びこれに連動するレバー２２が反時
計方向に回動し、ストツパー体５に対する保持力
が解放されたとき、ストツパー体５は第３図の時
計方向（第５図の反時計方向）へ回動し、規制部
４ａの回転経路内へ移動する。またこれと同時に
ミシンモータが付勢されプーリー１０が回転する
ので、これによりバネ部材３を介して規制体４と
共に主軸１及びハンドプーリー１２が第５図の反
時計方向に回転する。そして主軸１の回転位相が
約300゜〜50゜の区間で糸切り装置が主軸１に連
動して作動し、その直後に規制体４の規制部４ａ
がストツパー部５ａと係合して主軸１の回転が所
定の位置で停止する。

しかし、第５図のようなときにはストツパー体
５は進入防止カム１２ａに当り規制部４ａ経路内
への進入は防止され、主軸１が反時計方向に回転
し、進入防止カム１２ａがなくなつたところにく
るまでは規制部４ａの回転経路内には進入できな
い。従つて進入防止カム１２ａがなくなつたとこ
ろでストツパー体５は規制部４ａの回転経路内に
移動し、その後も主軸１を回転しつづければ第４
図の点線のような状態で規制部４ａとストツパー
部５ａは係合し、ミシンは停止することになる。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案は、操作体の操作により
主軸を駆動しその特定の回転位相区間において所
要の仕事をした後に主軸を定位置に停止させるよ
うにしたミシンにおいて、所要の仕事をなす主軸
の特定の回転位相区間では停止機構の作用を阻止
する阻止手段を備えたことにより、どのような位
相からでも操作体を操作することにより所望の仕
事が確実に実行でき、且つ所定の位置でミシンを
停止できる効果がある。

なお、上記実施例では糸切り装置を備えたミシ
ンにおいて糸切り装置が確実に作動するように適
用したものを示したが、ミシン針の最下点位置か
ら定位置停止装置による上停止位置に相当する主
軸の回転位相区間において、停止機構の作用を阻
止するように阻止手段を設け、これにより、特に
下糸巻きを交換した直後のように針板下方に位置
している下糸端を、ミシンがどのような位相で停
止している場合でも、その状態から操作体を操作
することにより上糸に絡ませて針板上方に引き出
すように糸切り装置をもたないミシンに適用して
もよい。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は従来説明図であり、第１図は停止
機構とクラツチ機構との関係を示した縦断面図、
第２図はクラツチ機構の縦断面図、第３図は本考
案の斜視図、第４図は停止機構とクラツチ機構と
の関係を示した正面図、第５図は第４図と同様の
関係を示した側面図、第６図は針棒及び天秤のタ
イミング曲線である。 １……主軸、３……バネ部材（クラツチ機
構）、４……規制体（停止機構）、５……ストツパ
ー体（停止機構）、１２ａ……進入防止カム（阻
止手段）、１６……操作体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 手操作可能とした操作体と、 操作体の操作により作用してモータを駆動さ
   せる信号を発生するためのスイツチと、 モータの動力を主軸に伝達・遮断可能にした
   クラツチ機構と、 操作体の操作により作用し主軸を機械的に拘
   束して定位置に停止するようにクラツチ機構に
   関連させた停止機構とを備え、操作体の操作に
   より主軸を駆動し針の最上点位置を含む特定の
   回転位相区間において所要の仕事をした後に主
   軸を定位置に停止させるようにしたミシンにお
   いて、 所要の仕事をなす主軸の特定の回転位相区間
   では停止機構の作用を阻止する阻止手段を備え
   たことを特徴とするミシンの定位置停止装置。 ２ クラツチ機構が主軸と主軸を中心にモータに
   連動して回転するプーリーとに遊嵌し一端を主
   軸に連結したコイル状のばねを有し、且つ停止
   機構がクラツチ機構のばねに遊嵌しその他端と
   連結すると共に外周に突出する規制部を設けた
   規制体と、常には規制体の規制部の回転経路外
   に位置し且つ規制体に向う弾性作用力を有し操
   作体の操作により規制部の回転経路内に進入す
   るストツパ一体とからなることを特徴とする登
   録請求の範囲１項に記載のミシンの定位置停止
   装置。