JPS6216811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、乗用車体に多条植えの田植作業機
を装着した乗用型田植機に関するものである。

従来の技術 従来、実開昭51−51221号公報に開示されてい
る通り、多条植えの乗用型田植機は周知であつ
た。そして、この種の乗用型田植機は一般には偶
数条を一挙に植え付ける構成であつた。奇数条を
一挙に植え付ける田植機は、実公昭47−25296号
公報に開示された通り、一条植付機が夫々独立し
てリンク機構で車体側に装着される構造になつて
いた。そして、この奇数条植えの乗用型田植機で
は各一条植付機が夫々独立して昇降する構成にな
つていた。

考案が解決しようとする問題点 一般に、水田は、方形であつて、植え付けられ
る苗の条列は直線状であることが望ましく、この
ために、田植機にはマーカを設けている。しか
し、植付作業中の苗条列が直線状になつている
か、否かは、操縦者が目視して確認し、修正する
ように配慮するしか方法がなかつた。このため、
操縦者が作業中に真後ろを向けばその確認が的確
に出来る奇数条の多条植えの乗用型田植機が強く
要望された。しかし、奇数条植えの田植機になる
と、左右中央部に植付体を配設しなければなら
ず、伝動構成が左右の何れ側かにづれるため、左
右の重心が大きくくづれてアンバランスになり、
乗用車体に田植作業機を固着すると機体全体が傾
いて走行し、左右側の植付体による苗植付深さが
一定にならない問題点が生じ、この為に前記の実
公昭47−25296号公報に開示された通りの、一条
植付機が独立して昇降自在に車体側に装着しなけ
れば問題点が解消できなかつた。しかし、このよ
うな複雑な構成の田植機であつても、機体が傾く
とこれに伴なつて植付けられる苗の姿勢も左右方
向に傾くことになり、この苗条列を直進操縦の目
安にすることは不適当であつた。

問題点を解決するための手段 この考案は、前記の問題点を解消するために、
乗用車体１に多条植えの田植作業機３を、支持リ
ンク機構２とこの支持リンク機構２の後端に取付
られた連結部材１３とを介して前後方向の軸芯の
周りに回動できるようにローリング可能に装着
し、前記乗用車体１の左右方向中央部に運転席９
を配置し、前記田植作業機３の左右方向中心位置
に単一の植付体２１を設け、該植付体２１と前記
運転席９とが機体の前後方向同一線上に位置し
て、しかも、この線上に実質的に前記ローリング
軸芯イが略々位置するように配設した乗用型田植
機の構成にした。

考案の作用及び効果 この考案によると、運転席９の真後ろに植付け
られる苗植付条がローリング軸芯イの線上になる
ために、耕盤の凹凸で車体１側が傾むいても、ま
た、水田表土面の左右の傾むきや凹凸で田植作業
機３側が傾むいてもこの左右中心部分に植付けら
れる苗植付条の苗の植付姿勢だけは左右の横振れ
が少なくなつて正確に植えられ、操縦者が植付中
の苗の条列が真直ぐに植えられているか否かを確
認するとき、この真後ろの苗植付条列を振り向い
て目視することで正確に確認でき、この苗植付条
列でマーカー機能を発揮させることができる。

実施例 以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体
的に説明する。

図面において、符号１は乗用車体であり、この
乗用車体１の後方に支持リンク機構２を介して田
植作業機３が昇降可能に装備されている。

乗用車体１は、車体フレーム４の前後に前輪５
と後輪６とを有し、このうち後輪６は上下に揺動
する伝動ケース７に取付けられて、その車高と共
に田植作業機３の高さを自動的に調整するように
なつている。また、車体フレーム４上の前方には
エンジン８が搭載され、その後ろの車体の左右方
向中央部に運転席９が設けられ、乗用走行可能に
なつている。

支持リンク機構２は、乗用車体１の車体フレー
ム４の後端に取付けられた支持体１０に上部リン
ク１１と下部リンク１２の一端が枢着され、その
下部リンク１２の他端に連結部材１３が設けら
れ、且つこれらの上部リンク１１と連結部材１３
がリフトリンク１４を介して連結させてなるもの
で、上部リンク１１を油圧シリンダ等で上下に揺
動させることで、田植作業機３を昇降するように
設けている。

田植作業機３は、機体フレーム１５が上記支持
リンク機構２の後端の連結部材１３に前後方向の
軸を介してローリング可能に連結され、この機体
フレーム１５上に苗タンク１６が上端を乗用車体
１側へ傾斜させて左右方向に往復移動するように
設置されている。また、機体フレーム１５下側の
機体中心線上にはセンタフロート１７が取付けら
れており、このような機体フレーム１５の左右に
サイドフレーム１８ａ，１８ｂがそれぞれ後方へ
屈曲して装着され、これらのサイドフレーム１８
ａ，１８ｂの下にサイドフロート１９ａ，１９ｂ
が取付けられている。

上記センタフロート１７は、ボートのような形
状をしていてその下面が植付整地部になつてお
り、後半の機体中心線上に凹部２０が形成され
て、この内部に植付体２１が、機体フレーム１５
から延出した伝動ケース２２からの動力で上下方
向に往復運動して、上記苗タンク１６の下端に開
口する苗取出口から苗を１株ずつ切り出し、田面
に植付けるように設けられている。従つて、植付
体２１は、田植作業機３の左右方向中心位置にあ
り、前記運転席９と前後方向同一直線上に位置
し、かつ、前記連結部材１３に田植作業機３が取
付けられるローリングの軸芯イがこの直線上にあ
るよう設けている。また、例えば一方のサイドフ
ロート１９ａは平面視ほぼ矢印形のように形成さ
れて、面積の大きい前半部が植付整地部２３にな
つており、両側部をえぐり取つた幅の狭い後半部
が、植付部２４になつている。そこで、このよう
な植付部２４の左右のくぼみ２５ａ，２５ｂにそ
れぞれ植付体２６ａ，２６ｂが、上記サイドフレ
ーム１８ａ中を伝達する動力で苗を植付けるよう
に設けられている。他方のサイドフロート１９ｂ
も、全く同様に構成されている。

このような田植作業機３において、センタフロ
ート１７が先端を他のサイドフロート１９ａ，１
９ｂより前方に突出して少し長目に形成されてお
り、植付体２１より前方の前半部の両側部にテー
パ２７ａ，２７ｂが八字形に付いていて、前方か
ら後方へ行くに従つて幅を順次広くするように形
成されている。また、これらのテーパ２７ａ，２
７ｂの終端部２８ａ，２８ｂの位置は、サイドフ
ロート１９ａ，１９ｂの植付整地部２３の後方に
所定の距離mlだけずれており、これ以降両側縁
は真直ぐ平行に延びている。

上述のように構成された乗用型田植機において
は、乗用車体１の走行により田植作業機３が牽引
される際に、センタフロート１７と２個のサイド
フロート１９ａ，１９ｂが田面上を所定の接地圧
で滑走し、センターフロート１７の植付体２１と
両サイドフロート１９ａ，１９ｂの植付体２６
ａ，２６ｂ等により５条植えが行われるのであ
る。

そしてこのとき、乗用車体１の運転席９に座つ
て田植機を操縦中の操縦者が、植付けられた苗の
条列が真直ぐになつているかどうかを確認するに
は、運転席９に座つたままで後方を見ることで、
植付体２１で植付けられた苗の条列が直視でき、
曲つている場合には乗用車体１の走行方向をハン
ドルで変向して修正する。また、田植作業機３の
植付体２１が左右中心に位置し、この植付体２１
の前方位にローリングの中心が位置するからこの
植付体２１が土壌面へ突込まれて植付けが行われ
る時点ではむやみな左右ローリングが防止されて
確実な植付けがなされ、苗植付深さの変動が少な
く苗の植付け精度は良好なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す田植機全体の
側面図、第２図は同田植作業機の苗タンクを省略
した平面図である。 図中記号、１……乗用車体、２……支持リンク
機構、３……田植作業機、４……車体フレーム、
５……前輪、６……後輪、７……伝動ケース、８
……エンジン、９……運転席、１０……支持体、
１１……上部リンク、１２……下部リンク、１３
……連結部材、１４……リフトリンク、１５……
機体フレーム、１６……苗タンク、１７……セン
タフロート、１８ａ，１８ｂ……サイドフレー
ム、１９ａ，１９ｂ……サイドフロート、２０…
…凹部、２１，２６ａ，２６ｂ……植付体、２２
……伝動ケース、２３……植付整地部，２４……
植付部、２５ａ，２５ｂ……くぼみ、２７ａ，２
７ｂ……テーパ、２８ａ，２８ｂ……終端部、イ
……ローリング軸芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乗用車体１に多条植えの田植作業機３を、支持
   リンク機構２とこの支持リンク機構２の後端に取
   付られた連結部材１３とを介して前後方向の軸芯
   の周りに回動できるようにローリング可能に装着
   し、前記乗用車体１の左右方向中央部に運転席９
   を配置し、前記田植作業機３の左右方向中心位置
   に単一の植付体２１を設け、該植付体２１と前記
   運転席９とが機体の前後方向同一線上に位置し
   て、しかも、この線上に実質的に前記ローリング
   軸芯イが略々位置するように配設したことを特徴
   とする乗用型田植機。