JPH0218977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、機体横方向に並列する４個の苗植付
具を有する苗植付部を、走行機体に対してローリ
ング及び駆動昇降自在に設けると共に、前記苗植
付部の左右中央部に位置する１個の上下揺動自在
なセンター接地フロート、及び、このセンター接
地フロートの左右両側に振り分け配置した２個の
上下揺動自在なサイド接地フロートを、これら接
地フロート夫々の揺動軸芯が機体上下方向視にお
いて直線状あるいはほぼ直線状に並列する状態で
前記苗植付部に設け、前記センター接地フロート
の前端側の対苗植付部高さの検出結果に基いてこ
の検出結果が設定範囲内にあるよう前記苗植付部
を自動的に昇降操作する制御機構を設けた田植機
に関する。

上記田植機は、走行機体が左右に傾斜しても、
苗植付部が走行機体に対してローリングすること
により、左右の植付深さがほぼ同一に維持される
ように配慮され、又、走行機体が耕盤の凹部に落
ち込んだり、耕盤の凸部に乗り上がつても、制御
機構によつて苗植付部の対泥面高さが設定範囲内
に維持されることにより、機体進行方向における
苗植付深さがほぼ一定に維持されるように配慮さ
れたものである。ところが、従来、第６図に示す
ように、サイド接地フロート１０ａ，１０ｂを、
機体上下方向視において後端側が苗植付箇所Ａの
横一側方にのみ位置する略Ｌ字形状に形成されて
いたため、接地底面積が比較的狭くなり、苗のせ
台が苗植付部の横一側方に偏位する等して苗植付
部の左右重量のバランスが崩れると、苗植付部が
泥面に対して左右に大きく傾斜し、左右の植付深
さが異なる不都合が生じ易くなつていた。又、セ
ンター接地フロート９を、揺動軸芯P₁から後端
縁までの長さがサイド接地フロート１０ａ，１０
ｂと同様に大なるものに形成されていたため、後
端側の泥土への沈下抵抗が大となつて前端側の対
苗植付部上昇がスムーズに行われなくなり、走行
機体の耕盤凹部への落込み等に対する苗植付部の
上昇制御の応答性が悪くなるトラブルが発生し易
くなり、又、センター接地フロート９とサイド接
地フロート１０ａ，１０ｂの間に形成される機体
進行方向の泥土用流路Ｒがその内部に植付直後の
苗Ｂが位置する細長いものとなり、機体進行に伴
つて前記流路Ｒ内をフロートに対してその後方に
急速度で流動する泥土のために植付苗Ｂが傾斜し
たり、倒れるトラブルが発生し易くなつていた。

本考案は、フロート構造を、苗植付部の水平支
持が良好に行われると共に、苗植付部の昇降制御
を走行機体の対泥面昇降に対する応答性のよい状
態で行わせられ、さらには、植付苗に対する泥土
影響の少ないものに改造して、左右の植付深さを
極めて精度よく同一に揃えると共に、機体進行方
向における植付深さを極めて精度よく一定に維持
した状態で、かつ、植付苗の傾斜や倒伏を良好に
防止した状態で作業できるようにすることを目的
とする。

次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。

第１図に示すように、左右一対の操向用駆動前
輪１，１及び駆動後車輪２，２を有する走行機体
の後部に、苗植付部３を流体圧シリンダ４による
上下揺動操作が可能なリンク機構５により昇降操
作自在に連設すると共に、走行機体から苗植付部
３に回転動力を伝達するように構成し、もつて、
乗用田植機を構成してある。

前記苗植付部３を構成するに、苗植付部本体を
形成する伝動ケース６の後端側に、機体横方向に
並列させた４個の苗植付具７…を駆動自在に取付
け、前記苗植付具７の苗植え運動に連動して左右
に往復摺動しながら前記苗植付具７…夫々に苗供
給する苗のせ台８を、前記伝動ケース６の上方に
設け、前記苗植付具７…のうち機体中央側に位置
する２個による苗植付箇所Ａを予め整地させるよ
うに苗植付部３の左右中央部に位置させた１個の
センター接地フロート９、及び、前記苗植付具７
…のうち最も機体横外側に位置する２個による苗
植付箇所Ａを各別に予め整地させるよう前記セン
ター接地フロート９の左右両側に振り分け配置し
た２個のサイド接地フロート１０ａ，１０ｂを、
これら接地フロート９，１０ａ，１０ｂが機体上
下方向視において直線状あるいはほぼ直線状に並
列する軸芯P₁又はP₂又はP₃周りで各別に上下揺
動するよう前記伝動ケース６のブラケツト１１に
枢支連結した状態で前記伝動ケース６の下方に設
けてある。

第２図に示すように、前記伝動ケース６の前端
部を前記リンク機構５の遊端側部材５ａに機体前
後方向の軸芯P₄周りで揺動自在に取付けて、苗
植付部３の走行機体に対するローリングを可能に
構成すると共に、前記サイド接地フロート１０
ａ，１０ｂ夫々において、第３図に示すように、
機体上下方向視において機体後方側にのみ開口す
ると共に前記苗植付具７による苗植付箇所Ａが内
部に位置する切欠１２を備えさせて、苗植付部３
を前後方向視において泥面に平行な姿勢に維持す
るべく作用する接地低面積が極力大になるように
構成し、もつて、走行機体が左右に傾斜しても、
苗植付部３の対走行機体ローリングと、サイド接
地フロート１０ａ，１０ｂの接地作用とによつ
て、苗植付部３が泥面に対して平行あるいはそれ
に近い姿勢に維持されることにより、左右の植付
深さをほぼ同一に維持しながら作業できるように
してある。

第４図に示すように、前記伝動ケース６に固設
したサポート１３と前記センター接地フロート９
の前端部とに亘つて屈折リンク機構１４を架設す
るとともに、このリンク機構１４にそれを伸展方
向に付勢してセンター接地フロート９を下降付勢
するスプリング１５を装備し、又、前記屈折リン
ク機構１４に、その屈伸に伴つてインナーワイヤ
が出退されるようにレリーズワイヤ１６を装備
し、このレリーズワイヤ１６を走行機体側に延出
して、前記シリンダ４のコントロールバルブ１７
に対する揺動操作部材１８に連結し、この揺動操
作部材１８に、コントロールバルブ１７が苗植付
部上昇位置となる操作位置に付勢するスプリング
１９を作用させ、もつて、センター接地フロート
９の前端側の対苗植付部高さの検出結果に基いて
この検出結果が設定範囲内に在るよう苗植付部３
を自動的に昇降操作させるための制御機構２０を
構成してある。すなわち、センター接地フロート
９の対苗植付部高さが設定範囲内にあると、両ス
プリング１５，１９のバランスによりコントロー
ルバルブ１７が中立位置に維持され、かつ、セン
ター接地フロート９の対苗植付部高さが設定範囲
より大になると、スプリング１９によりコントロ
ールバルブ１７が苗植付部上昇位置に操作され、
さらに、センター接地フロート９の対苗植付部高
さが設定範囲より小になると、スプリング１５に
よりコントロールバルブ１７が苗植付部下降位置
に操作されるようにしてある。そして、前記セン
ター接地フロート９において、第３図に示すよう
に、後端縁をサイド接地フロート１０ａ，１０ｂ
夫々の後端縁より機体前方に位置させて、揺動軸
芯P₁より後端縁までの長さを極力小に構成する
ことにより、前端側が対苗植付部上昇する際に泥
土内に沈下して抵抗となる後端側の泥土への沈下
抵抗が極力少なくなるように配慮し、又、前端縁
をサイド接地フロート１０ａ，１０ｂ夫々の前端
縁より機体前方に位置させて、揺動軸芯P₁より
前端縁までの長さを極力大に構成して、フロート
９の昇降変位量の検出を揺動軸芯P₁から遠く離
れ、走行機体の対泥面昇降変位量の割には大きく
対伝動ケース昇降変位する箇所にて行わせられる
ように配慮し、もつて、走行機体が耕盤の凹部に
落ち込んだり、凸部に乗り上がつても、苗植付部
３の対泥面高さが設定範囲内に精度よく維持さ
れ、機体進行方向における植付深さをほぼ一定に
精度よく維持しながら作業できるようにしてあ
る。

走行機体の操縦部において、エンジンＥのアク
セル操作レバー２２を設けるに、第５図に示すよ
うに、機体横方向の軸芯P₅周りで揺動自在に設
けると共に、回転式ステアリングハンドル２３を
操作する手の指を伸ばすとレバー２２操作が行え
るように、遊端部をステアリングハンドル２３に
近接配置し、機体の操向操作を行いながらアクセ
ル操作が行えるようにしてある。

尚、第２図に示すバランスウエイト２４は、走
行機体から苗植付部３への伝動回転軸２５による
伝動反力のために苗植付部３が走行機体に対して
ローリング傾斜されることを防止するためのもの
である。又、このウイト２４は、操作ワイヤ２６
により操縦部から機体横方向にスライド操作でき
るように構成してあり、苗植付部３への伝動速度
が変更されたり、泥土硬さが変化したような時に
は、ウエイト２４が適切な作用位置になるよう支
持部材２７に対する取付位置を操縦部からの遠隔
操作により変更調節できるようにしてある。第３
図に示す２１は切欠き１２の内縁である。

以上要するに、本考案は、冒記した田植機にお
いて、前記サイド接地フロート１０ａ，１０ｂ
夫々に、機体上下方向視において機体後方側にの
み開口すると共に最も機体横外側に位置する前記
苗植付具７による植付箇所Ａが内部に位置する切
欠１２を備えさせ、前記センター接地フロート９
の後端縁を、前記サイド接地フロート１０ａ，１
０ｂ夫々の後端縁より機体前方に位置させ、か
つ、前記センター接地フロート９の前端縁を、前
記サイド接地フロート１０ａ，１０ｂ夫々の前端
縁より機体前方に位置させてある事を特徴とす
る。

つまり、サイド接地フロート１０ａ，１０ｂを
前記切欠１２を有する形状にすることにより、従
来に比して、接地低面積を苗植付箇所Ａの横一側
方に位置するフロート後端側部に相当する分だけ
広いものにでき、苗植付部３をたとえ左右重量の
バランスが崩れても泥面に対して大きく傾斜する
ことがないよう支持させることが可能になり、左
右の苗植付深さを極めて精度よく同一に維持させ
ることが可能になつた。

又、センター接地フロート９において、後端縁
をサイド接地フロート１０ａ，１０ｂの後端縁よ
り前方に位置させて、揺動軸芯P₁から後端縁ま
での長さが短いものにすることにより、揺動軸芯
P₁から後方に位置する部分の底面積が小になつ
て、前端側が上昇する際に泥土に沈下する後端側
の抵孔が小になるので、かつ、前端縁をサイドフ
ロート１０ａ，１０ｂの前端縁までの長さが大で
あるものにすれば、フロート９の昇降変位量の検
出を、揺動軸芯P₁から遠く離れ、走行機体の対
泥面昇降変位量の割には大きく対植付部機体変位
する箇所にて行われることになつて、機体の泥面
に対するわずかな昇降変位に対しても苗植付部３
を応答性よく確実に昇降操作させることができる
ので、全体として、苗植付部３を走行機体の対泥
面高さ変化に対する応答性のよい状態で昇降制御
させることが可能になり、苗植付深さを極めて精
度よく一定に維持させることが可能になつた。

さらに、センター接地フロート９の後端側を前
記した如く短いものにするば、センター接地フロ
ート９とサイド接地フロート１０ａ，１０ｂの間
にそれらにより形成される泥土流路Ｒが従来より
短いものになつて、植付直後の苗Ｂを前記流路Ｒ
の外部に位置させることができるので、機体走行
に伴う泥流は前記流路Ｒからその後方のセンター
接地フロート９が存在しない広い箇所に出て緩速
になつた状態で植付苗Ｂに接触することとなり、
泥流のために植付苗Ｂが傾斜したり、倒伏するこ
とを防止できるようになつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施例を示し、第
１図は乗用田植機の側面図、第２図は苗植付部連
結部の正面図、第３図はフロートの平面図、第４
図は制御機構の側面図、第５図はアクセルレバー
取付部の正面図である。第６図はフロートの従来
構造を示す平面図である。 ３……苗植付部、７……苗植付具、９……セン
ター接地フロート、１０ａ，１０ｂ……サイド接
地フロート、１２……切欠、２０……制御機構、
P₁，P₂，P₃，……軸芯、Ａ……苗植付箇所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体横方向に並列する４個の苗植付具７…を有
   する苗植付部３を、走行機体に対してローリング
   及び駆動昇降自在に設けると共に、前記苗植付部
   ３の左右中央部に位置する１個の上下揺動自在な
   センター接地フロート９、及び、このセンター接
   地フロート９の左右両側に振り分け配置した２個
   の上下揺動自在なサイド接地フロート１０ａ，１
   ０ｂを、これら接地フロート９，１０ａ，１０ｂ
   夫々の揺動軸芯P₁，P₂，P₃が機体上下方向視に
   おいて直線状あるいはほぼ直線状に並列する状態
   で前記苗植付部３に設け、前記センター接地フロ
   ート９の前端側の対苗植付部高さの検出結果に基
   いてこの検出結果が設定範囲内にあるよう前記苗
   植付部３を自動的に昇降操作する制御機構２０を
   設けた田植機であつて、前記サイド接地フロート
   １０ａ，１０ｂ夫々に、機体上下方向視において
   機体後方側にのみ開口すると共に最も機体横外側
   に位置する前記苗植付具７による植付箇所Ａが内
   部に位置する切欠１２を備えさせ、前記センター
   接地フロート９の後端縁を、前記サイド接地フロ
   ート１０ａ，１０ｂ夫々の後端縁より機体前方に
   位置させ、かつ、前記センター接地フロート９の
   前端縁を、前記サイド接地フロート１０ａ，１０
   ｂ夫々の前端縁より機体前方に位置させてある事
   を特徴とする田植機。