JPS6216520Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車その他の車両に用いる車両用
油圧作動式変速機の制御装置に関する。

従来、エンジンのスロツトル開度に応じたスロ
ツトル圧を発生するスロツトル弁と、車速に応じ
たガバナ圧を発生するガバナ弁と、スロツトル圧
とガバナ圧とを互に対向する制御信号として入力
するシフト弁とを備え、該シフト弁により変速機
の伝動系に介入された油圧係合要素を油圧源に連
る給油路と排油路とに切換接続自在とする車両用
油圧作動式変速機の制御装置において、例えば第
１図に示す如く該排油路ａにオリフイスｂと、こ
れに並列にエンジンのスロツトル開度に応じてそ
の低開度領域で開かれる制御弁ｃとを介在させ、
スロツトルの高開度領域における変速と、低開度
領域における変速とで排油側の油圧係合要素の降
圧特性に緩急の差を付けて変速シヨツクの発生を
防止するようにしたものは知られるが（特開昭55
−40326号公報参照）、このもので制御弁ｃは、ス
ロツトル弁からのスロツトル圧によりばねｄに抗
して閉じ側に押圧される油圧応動型の弁に構成す
るを一般としたもので、油圧回路の構成が複雑と
なる不都合を伴う。

本考案は、かかる不都合を解消すべく、スロツ
トル弁に備えるばね圧調節部材により制御弁を構
成し、別途専用の制御弁を設ける必要を無くした
装置を提供することをその目的とする。

即ち、従来一般にスロツトル弁は、これに備え
る調圧用の弁体に作用させるばね圧をエンジンの
スロツトル開度に応動するばね圧調節部材でスロ
ツトル開度に応じて可変する型式のものとするこ
とに着目し、このばね圧調節部材を制御弁の弁体
として兼用しようというのが本考案の構成であ
る。

以下本考案を図示の実施例に付説明する。

第２図で１は前進３段後進１段のの変速を行う
変速機を示し、該変速機１は、エンジン２にトル
クコンバータ３を介して連結される入力軸１ａ
と、車両の駆動輪４にデフギア５を介して連結さ
れる出力軸１ｂとの間に、前進用の１速乃至３速
の各伝動系Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３と後進伝動系GRと
を備え、前進用の各伝動系Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３に油
圧係合要素たる１速乃至３速の各油圧クラツチＣ
１，Ｃ２，Ｃ３を介入させた。

尚、後進伝動系GRは、２速伝動系Ｇ２と２速
油圧クラツチＣ２を共用させるものとし、該両伝
動系Ｇ２，GRは出力軸１ｂ上のセレクタギア６
を介して選択的に確立させるようにした。

図面で７は１速伝動系Ｇ１に介入したワンウエ
イクラツチで、出力軸１ｂ側のオーバー回転を許
容すべく作動する。前記各油圧クラツチＣ１，Ｃ
２，Ｃ３は例えば第３図に示す油圧回路によりそ
の給排油を制御されるもので、これを詳述する
に、該油圧回路は、油圧源８と、パーキング用の
「Ｐ」、後進用の「Ｒ」、ニユートラル用の「Ｎ」、
自動変速用の「Ｄ」、２速保持用の「２」の５位
置に切換自在のマニアル弁９と、車速とスロツト
ル開度とに応じて切換作動されるシフト弁１０
と、前記したセレクタギア６を連結する前後進切
換用のサーボ弁１１とを備え、マニアル弁９の
「Ｄ」位置では、油圧源８に連る第１油路Ｌ１が
シフト弁１０に連る第２油路Ｌ２に接続され、該
シフト弁１０を介して２速と３速の各油路クラツ
チＣ２，Ｃ３への給油が行われるようにした。

尚、１速油圧クラツチＣ１は、第２油路Ｌ２か
ら分岐した第３油路Ｌ３を介して常時給油される
ようにしたもので、後記する１速−２速の変速に
際しては、２速油圧クラツチＣ２への給油に伴い
その係合力が順次に強められて２速伝動系Ｇ２を
介してのトルク伝達により出力軸１ｂの回転速度
が１速伝動系Ｇ１による速度を上回つたとき前記
したワンウエイクラツチ７により１速伝動系Ｇ１
を介してのトルク伝達が自動的に停止され、変速
シヨツクは生じない。

従つて、変速シヨツクで問題となるのは、シフ
ト弁１０による２速油圧クラツチＣ２と３速油圧
クラツチＣ３の給油の切換えを行う２速−３速の
変速であり、以下この点につき詳述する。

シフト弁１０は、中間の第４油路Ｌ４を介して
互に接続した上流側の１速−２速変速用の第１弁
１０−１と、下流側の２速−３速変速用の第２弁
１０−２とから成り、該各弁１０−１，１０−２
の一端即ち右端にガバナ弁１２からの車速に応じ
たガバナ圧と、左端に第１スロツトル弁１３−１
からのスロツトル開度に応じたスロツトル圧とを
各作用さ、車速の増加によればガバナ圧により先
ず第１弁１０−１が右側の１速位置から左側の２
速位置に移動して、第２油路Ｌ２が第４油路Ｌ４
を介して第２弁１０−２の流出側の第５油路Ｌ５
に接続され、マニアル弁９の「Ｄ」位置で該第５
油路Ｌ５に接続される第６油路Ｌ６を介して２速
油圧クラツチＣ２に油圧源８からの圧油が給油さ
れ、１速から２速にシフトアツプされ、更に車速
が増加すると、第２弁１０−２が右側の２速位置
から左側の３速位置に移動して、第４油路Ｌ４が
第５油路Ｌ５から３速油圧クラツチＣ３に連る第
７油路Ｌ７に切換接続され、該第５油路Ｌ５が第
１排油路LD１に接続されて、２速油圧クラツチ
Ｃ２からの排油と３速油圧クラツチＣ３への給油
とが行われ、２速から３速にシフトアツプされる
ようにした。

又、減速によれば第２弁１０−２が左側の２速
位置に復帰して、第４油路Ｌ４が上記の如く第５
油路Ｌ５と、第７油路Ｌ７が第２排油路LD２と
に切換接続され、３速油圧クラツチＣ３からの排
油と２速油圧クラツチＣ２への給油とが行われ、
３速から２速にシフトダウンされる。

そして、これら第１第２排油路LD１，LD２
に、夫々オリフイス１４と、これに並列にスロツ
トルの低開度領域で開かれる制御弁１５とを介在
させ、２速←→３速の変速に際しての排油側の油圧
クラツチの降圧特性にスロツトル開度に応じ緩急
の差が付けられるようにした。

図面で１６はマニアル弁９の「Ｄ」位置で第６
油路Ｌ６に接続される２速用のアキユムレータ、
１７は第７油路Ｌ７に接続される３速用のアキユ
ムレータを示し、これらアキユムレータ１６，１
７に夫々第２スロツトル弁１３−２からのスロツ
トル開度に応じたスロツトル圧を背圧として作用
させ、２速←→３速の変速に際しての給油側の油圧
クラツチの昇圧特性にスロツトル開度の増加に応
じた高圧側での緩衝作用が与えられるようにし
た。

ここで前記した第１スロツトル弁１３−１と第
２スロツトル弁１３−２とは、夫々弁筐１８内に
調圧用の弁体１９と、該弁体１９を図面で左方の
開き側に押圧する調圧ばね２０と、該調圧ばね２
０を受ける右端のばね圧調節部材２１とを備える
もので、該ばね圧調節部材２１を例えばアクセル
ペダルに連るカム２２によりエンジンのスロツト
ル開度の増減に応じて左右に移動させ、これによ
り該調圧ばね２０のばね圧を可変して、スロツト
ル開度に応じたスロツトル圧を発生する構成とな
つている。

以上は上記した従来式のものと特に異らない
が、本考案によれば、上記した制御弁１５を上記
ばね圧調節部材２１を弁体とする弁に構成した。

これを図示のものにつき更に詳述するに、各ス
ロツトル弁１３−１，１３−２の弁筐１８のばね
圧調節部材２１を収容する右側のドレン室２３に
前記各排油路LD１，LD２に連る流入ポート２４
を開口し、該ばね圧調節部材２１を該流入ポート
２４を開閉する弁体に兼用して制御弁１５を構成
するもので、スロツトルの高開度領域では該部材
２１の左動で該流入ポート２４が閉塞される閉弁
状態に存するが、スロツトルの低開度領域では該
部材２１の右動により該流入ポート２４が開放さ
れて開弁状態に切換えられるようにした。

尚、ばね圧調節部材２１に、第４図示の如くテ
ーパ部２５或いは第５図示の如く段部２６を形成
して、制御弁１５を中間の絞り位置を備えた可変
絞り弁に構成する。

次いでその作動を説明するに、２速から３速へ
のシフトアツプに際しては、第２スロツトル弁１
３−２のばね圧調節部材２１を弁体として構成し
た第１排油路LD１に連る制御弁１５が機能し、
スロツトルの低開度領域では該部材２１の右動で
該制御弁１５が開弁されて、２速油圧クラツチＣ
２からの油が第１排油路LD１を介してオリフイ
ス１４と該制御弁１５とを介して排油され、第６
図Ａ線示の如く２速油圧クラツチＣ２のクラツチ
圧の比較的急な降下を生ずる。

スロツトルの低開度領域ではエンジントルクも
小さく、２速油圧クラツチＣ２のクラツチ圧の急
な降下は、共噛み量を減少してエンジン２の失速
を防止すべく有効に作用する。

スロツトルの中・高開度領域ではばね圧調節部
材２１の左動により制御弁１５を介しての排油量
が絞られて、第６図Ｂ線示の如く２速油圧クラツ
チＣ２のクラツチ圧の緩やかな降下を生ずるもの
で、これはエンジントルクの増加に応じた適切な
共噛みを確保して、エンジン２の吹上りを防止す
べく有効に機能する。

尚、３速から２速へのシフトダウンに際して
は、第１シフト弁１３−１のばね圧調節部材２１
を弁体として構成する第２排油路LD２に連る制
御弁１５の作動で、上記と同様エンジン２の吹上
りや失速が防止される。

このように本考案によるときは排油路LDにオ
リフイス１４と並列に介在される制御弁１５は、
これをスロツトル弁１３に設けたばね圧調整部材
２１を弁体とするスロツトル弁１３一体型に形成
したものであるから、スロツトル開度に応動する
別途専用の制御弁を設ける従来式のものに比し回
路構成を簡単にし、而もその弁体即ちばね調整部
材２１を中間の絞り位置２５，２６を備える可変
絞り弁に形成したから該制御弁１５が開閉に切換
作動されるスロツトル開度領域での排油路の流路
抵抗の急激且つ大巾な変化が防止され該領域での
変速に際してエンジンの吹き上りや失速を防止し
てスロツトル開度の全領域に亘る適切な共噛み規
制を行なうことができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の要部の回路図、第２図は本
案装置を適用する変速機の１例の線図、第３図は
本案装置の１例の油圧回路図、第４図及び第５図
は夫々要部の変形例の截断面図、第６図は油圧係
合要素の降圧特性を示す線図である。 １……変速機、２……エンジン、Ｇ１，Ｇ２，
Ｇ３……伝動系、Ｃ１，Ｃ２，Ｃ３……油圧係合
要素、Ｌ１，Ｌ２，Ｌ４……給油路、LD１，LD
２……排油路、１２……ガバナ弁、１３−１，１
３−２……シフト弁、１４……オリフイス、１５
……制御弁、１９……シフト弁の弁体、２０……
調圧ばね、２１……ばね圧調節部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンのスロツトル開度に応じたスロツトル
   圧を発生するスロツトル弁１３と、車速に応じた
   ガバナ圧を発生するガバナ弁１２と、スロツトル
   圧とガバナ圧とを互に対向する制御信号として入
   力するシフト弁１０とを備え、該シフト弁１０に
   より変速機の伝導系に介入された油圧係合要素Ｃ
   を油圧源８に連なる給油路Ｌと排油路LDとに切
   換接続自在とし、該排油路LDにオリフイス１４
   と該オリフイス１４に並列にエンジンのスロツト
   ル開度に応じて低開度領域で開かれる制御弁１５
   とを介在させるようにした車両用油圧作動式変速
   機の制御装置において、前記制御弁１５を前記ス
   ロツトル弁１３に設けたばね圧調整部材２１を弁
   体とするスロツトル弁１３一体型に形成すると共
   に該部材２１を中間の絞り位置２５，２６を備え
   る可変絞り弁に形成したことを特徴とする車両用
   油圧作動式変速機の制御装置。