JPS6216465B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁気テープカセツト用のテープカバー
とその製造法に関する。

ビデオテープ用カセツトまたはカートリツジは
第１図に示すように磁気テープを収納した本体ケ
ースＡと、本体ケースの前面の磁気テープ走行部
や埃や機械的な損傷から保護するテープカバーＢ
とから構成され、テープカバーＢは両サイドの枢
着点Ｃ，C′により本体ケースＡへ枢着されてい
る。なおＤ，Ｅはテープ巻ハブの中心孔である。
第２図はテープカバーＢの拡大斜視図及び第３図
は同Ａ−A′断面図で、テープカバーは前面板
１、側面板２，３、上面板４より構成されてお
り、前面板１と上面板４との境目にはカセツトま
たはカートリツジがビデオレコーダのカセツトセ
ツト部に誤つた方向で挿入されることを防止する
ための逆挿入検出用切欠５が形成されている。テ
ープカバーＢを製造するには、成形金型の樹脂注
入口を前面板１の下辺６の位置に設け、樹脂の注
入硬化の後に、注入口部に形成されるゲートを切
断していた。しかしながら、成形後にこのような
後処理工程を設けることは歩留りの低下、あるい
は成形工程におけるランナー処理、ランナー取出
しのための工程、研磨による後処理、そのための
運搬等に時間が余計にかかり、成形時間及び処理
時間の増大となつた。

これらの問題点を解決するため、本発明者は
種々の検討を行つたが、ランナーレスにして工程
を合理化するためには、本成形品の表面全てが商
品面であることから、ゲートを設ける位置が限定
されることが分つた。最適の場所は逆挿入検出用
切欠きのうち、点７の個所となることが分つた。
しかしながら、この場合には次のような不具合が
発生し、商品としての価値が低下してしまう。第
４図に関連してこれを説明する。同図は第２〜３
図の切欠き５の近傍に相当する金型部分の拡大図
で、第２図の左方から見たものに相当する。１０
は金型の固定側、１８は金型の可動側であり、両
者が閉鎖されたときにテープカバー用の成形空洞
１１ができる。４は樹脂注入で形成されたテープ
カバーの上面板であり、５は逆挿入検出用切欠き
である。固定側の金型１０には溶融樹脂の注入用
通路１７が設けられており、通路１７には樹脂を
溶融させるボデイ９及び通路１７の下端のゲート
部１３のところまで延びる発熱体８が配置されて
いる。発熱体８はゲート部１３のところに滞留し
ている樹脂１２を成形機の射出時期と同期して発
熱を行うように熱エネルギーを与えられるように
なつている。動作において、溶融樹脂１２は射出
時間の間の中断期にはゲート部１３に滞留して半
溶融の状態になつているが、射出時には発熱体８
からの熱で溶融してゲート部１３の出口から成形
空洞１１に注入される。ところが、ゲート部１３
に滞留していた樹脂１４は高粘度の状態で空洞１
１内へ流れ、１５で示す位置にとどまつてしま
う。引続いて注入する樹脂は図の矢印１６で示す
流路をたどつて空洞１１の各部へ流れる。従つ
て、成形品には１５の位置にとどまつた樹脂塊に
よりフローマークが生じ、上面板４の表面を見苦
しいものにする。

本発明は上記の問題点を解決し、工程を合理化
し、生産性を向上させることを目的とする。より
具体的には成形品のゲート痕にあとで切除しなけ
ればならないようなランナーの発生を防ぎ、しか
もフローマークの発生を防止したテープカバー及
びその製造方法を提供することを目的とする。

以下、本発明を実施例について説明する。第５
図は本発明の成形品であるテープカバーの裏面の
一部を示し、第６図は同じ部分の平面図であり、
第７図は比較のため従来のテープカバーの同様な
平面図を示す。第５〜６図において１９は上面板
であり、２０は前面板である。２１は逆挿入用切
欠き３５（第８図参照）の裏面に形成される逃げ
であり、２２，２３は切欠き３５の位置でテープ
カバーの裏面において上面板１９に形成された薄
肉部である。点線で示したように、射出成形機の
ゲート出口は外径Ｃを有する。樹脂の注入は、ゲ
ートを切欠き３５となるべき個所に位置づけて、
上面板１９となるべき方向に行われるものであ
る。第６図に示すように、本発明の成形品はゲー
ト薄肉部２２，２３の間の厚さｅ、幅ｄの個所の
ほゞ中心に位置づけたゲートから注入される樹脂
から形成される。同図のａ，ｂは薄肉部２２，２
３の厚みであり、その幅（同図水平方向）は適宜
に選択される。これを第７図の従来例と比較すれ
ば差が明らかである。従来では上面板４の厚みは
一定の厚さｅを有し、直径ｃのゲートは切欠き５
において上面板の中心部へ位置づけられる。なお
２１′は切欠き５の裏面側の逃げである。再び第
６図を参照するに、数多くの実験結果から、ｄ＝
2C、ａ＝１／２ｅ、ｂ＝１／２ｅとすれば満足な結果が
得 られることが分つた。ただし、上記は例示に過ぎ
ず、差しつかえのない範囲で種々の寸法関係を用
いることができる。

次に、本発明で用いる金型は従来の成形金型を
修正して、第５〜６図に対応した形の成形空洞を
有するように製作する。第８図を参照するに、金
型は固定金型２４と可動金型２５とから成り、そ
れらが閉じられたときに上記の特徴を有する成形
空洞２６が形成される。３１，３２はテープカバ
ーの上面板１９に設けた薄肉部２２，２３を形成
するための成形空洞の突出部である。３５は成形
後の逆挿入検出用切欠きを示し、また１９は成形
後の上面板を示す。固定金型２４には溶融樹脂の
ための通路３０が形成され、その中に加熱用ボデ
イ２８及び発熱体２７が従来例と同様にして配置
される。

さて、通路３０には溶融樹脂３６が充満し、ま
た射出の中断期に半溶融の樹脂２９がゲート出口
３７の近くに滞留しているものとする。射出時期
に入ると、発熱体２７が付熱され、溶融樹脂が成
形空洞２６へ圧送される。ゲート出口３７から先
ず粘度の高い樹脂２９が注入されることになる
が、この樹脂２９は次々に注入される樹脂と共に
突出部３１，３２の中間の広い空洞部３３の付近
へ入る。ところが突出部３１，３２の存在によ
り、樹脂の流れは或る程度阻止されるため、この
部分３３にある粘度の高い樹脂は圧縮作用を受け
て溶融状態となり粘度の低い流体となり、次でこ
れら突出部３１，３２と空洞の反対壁との間の薄
肉部を分散流動して矢印のように流れて成形空洞
を充填する。これによりゲート直下の上面板表面
にはフローマークが発生しない。

このように、本発明によると、粘度の高い樹脂
がとどまる部分の樹脂圧力が大きく加わるように
ゲート直下を薄肉部で囲むと非常に高圧がかかり
樹脂粘度が高くても流動性が増すことにより、フ
ローマークのないすぐれたテープカバーを得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はビデオテープカセツトの斜視図、第２
図は従来のテープカバーの斜視図、第３図は第２
図のＡ−A′断面図、第４図は第２〜３図のテー
プカバーを製造する射出工程を示す断面図、第５
図は本発明のテープカバーの要部斜視図、第６図
は同平面図、第７図は従来のテープカバーの第６
図と同様の平面図、及び第８図は本発明の方法を
示す断面図である。図中主な部分は次の通りであ
る。 １９：上面板、２０：前面板、２２，２３：薄
肉部、３５：逆挿入検出用切欠き、２４：固定金
型、２５：可動金型、３７：ゲート出口、２７：
発熱体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上面板と前面板をＬ字形断面となるように一
   体成形し、前記両板の合する部分に誤挿入検出用
   切欠きを設けたテープカバーにおいて、前記切欠
   きにゲートを設け、前記ゲート直下の上面板肉厚
   に対しゲート直下を除く付近の上面板肉厚を薄く
   したことを特徴とするテープカバー。 ２ 上面板と前面板をＬ字形断面となるように形
   成した成形空洞に前記両板の合する部分に誤挿入
   検出用切欠きが出来るような突出部を設けてここ
   に射出機の樹脂射出用ゲートを位置づけ、さらに
   該成形空洞には前記ゲート直下を除く付近に該空
   洞へ突出する突出部を設け、溶融された樹脂を前
   記ゲートから前記成形空洞へ射出することを特徴
   とする樹脂製テープカバーの製造法。