JPS6215818Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は複写機用熱定着装置に関するものであ
る。

電子複写機において静電潜像が得られたトナー
画像を定着せしめるための熱定着法としては、ト
ナー画像が形成された複写紙又は転写紙等の複写
用紙に赤外線ランプ又は熱板等により単に加熱す
る単純加熱定着法、並びに加熱ローラーを利用し
た加熱加圧定着法が代表的なものとして知られて
いる。然るに単純加熱法においては、複写用紙を
輻射熱により加熱するため複写用紙の移動空間を
比較的高温としなければならず、この結果過熱に
よる発煙、発火の虞れが大きく、しかもこの問題
を解決するには非常な困難を伴い、現在迄根本的
解決策は得られていない。これに対して加熱加圧
定着法においては伝導加熱によるため、加熱ロー
ラーの温度は比較的低くて十分であつて発煙、発
火の虞れが殆んどなく、又同時に複写用紙の搬送
が行なわれる等の利点が得られる。

而して従来この加熱加圧定着法による定着装置
においては第１図に示すように、ドラム状金属基
体１Ａの外周面に耐熱性被膜１Ｂを設けて成る加
熱ローラー１を回転自在に設け、加熱ローラー１
内には赤外線ランプ等の熱源２を配設すると共
に、前記加熱ローラー１の外周面と圧接しながら
回転し得る如く弾性体より成る圧着ローラー３を
関係づけて配設し、以つて前記加熱ローラー１と
圧着ローラー３とによりピンチローラーを構成せ
しめるようにしている。然しながら斯かる構成に
おいては、両ローラー１及び３の相互間を通過す
る複写用紙４に所要の圧力が印加されるよう両ロ
ーラー１，３を互に接触せしめるための制御機構
を必要とし、又圧着ローラー３の表面部分の圧力
変形率を加熱ローラー１に比してかなり大きく設
定してあるので両ローラー１，３間を通過せる複
写用紙４は加熱ローラー１の外周彎曲方向に彎曲
された状態で加熱されることになり、そのため、
通過後の複写用紙４は彎曲したまま平坦に戻らな
くなる欠点がある。この欠点は特に複写用紙４が
名刺用紙、葉書、図書カード等厚手の紙である場
合に顕著である。

本考案は以上の如き欠点を除くようにしたもの
であつて、以下図面によつて本考案実施の一例を
説明する。

本考案においては第２図に示すように、アルミ
ニウム等より成るドラム状の金属基体１Ａの外周
面上にシリコーンゴムより成る弾性材層１Ｃを例
えば１mmの厚さに設けてこの弾性材層１Ｃの外表
面を耐熱性被膜１Ｂにより被覆して加熱ローラー
１を形成し、又ドラム状金属基体３Ａの外周面上
にシリコーンゴムより成る弾性材層３Ｂを例えば
１mmの厚さに設けて圧着ローラー３を形成し、前
記加熱ローラー１と圧着ローラー３とを夫々回転
自在に配設し、前記加熱ローラー１内に熱源２を
配設すると共に当該加熱ローラー１を回転駆動す
る駆動機構（図示せず）に連結せしめる。ここで
前記両ローラー１及び３の回転軸の位置は、前記
熱源２を附勢した状態において両ローラー１及び
３が互に軽圧接する位置とする。この「軽圧接」
とは両ローラー１，３間に介在物が無いときに、
駆動されている加熱ローラー１に圧着ローラー３
が接触して従動するが、僅かな力により圧着ロー
ラー３の従動が抑止されたときにも加熱ローラー
１が圧着ローラー３に対して摺動しながら回転を
継続し得る対接状態をいう。尚図中５は熱源２の
制御機構であり、加熱ローラー１の表面温度を検
出する温度検出器６を有する。

本考案複写機用熱定着装置は以上のような構成
であるから、トナー画像が表面に形成された複写
用紙４は、ピンチローラーを構成している加熱ロ
ーラー１と圧着ローラー３との間に挾圧されなが
ら、略平坦状態で回転する両ローラー１，３間を
通過し、このときに複写用紙４の表面が加熱ロー
ラー１の表面に接して加熱され、トナー画像が定
着される。

以上の説明から明白な如く本考案においては通
常の状態において加熱ローラー１と圧着ローラー
３との軽圧接を得ることができるように両ローラ
ーの軸を装置本体固定部に対して所定位置に配設
したので従来装置の如く両ローラー１，３を互に
接触せしめる制御機構は不要となり、従つて機構
の単純化、並びにコスト低減を図ることができ
る。又複写用紙４はその紙厚に応じた圧力で熱膨
脹状態にある両ローラー１，３によりその両面か
ら押圧される。換言すれば両ローラー１，３が複
写用紙の介挿によりその抗力を受けるから結果と
してこれら両ローラー１，３の挾圧部における変
形量は前記紙厚により変化し、従つて第３図に示
すように、例えば加熱ローラー１における複写用
紙４との接触幅ｄを紙厚の大きさに比例して大き
くなし得る。故に紙厚が大きいために熱容量が大
きい複写用紙４に十分な熱量を加えることがで
き、確実にトナー画像の定着を達成することがで
きる。

又本考案においては加熱ローラー１と圧着ロー
ラー３との弾性材層１Ｃ，３Ｂによる表面部分の
圧力変形率、即ち同一の圧力を印加したときに生
ずる変形量、を等しく又は互に接近した大きさと
することにより、複写用紙４を挾圧する部分の変
形量が両ローラー１及び３において互に等しく又
は殆んど等しくなり、この結果複写用紙４が彎曲
されることがなく、その平坦状態が損われること
がない。前記圧力変形率の大きさは、弾性材層１
Ｃ，３Ｂを形成している物質の弾性率及びその厚
さにより定まるから、既述の実施例におけるよう
に弾性材層１Ｃ，３Ｂの材質を同一物質とする場
合には等しい厚さとすれば等しい圧力変形率が得
られる。勿論本考案においては種々の弾性物質を
当該材質として用いることが可能である。

尚加熱ローラー１と圧着ローラー３の直径が互
に異なる場合にも上記の効果に余り影響はない。
尚複写機においてトナー像を加熱ローラーと圧着
ローラーとで挾持してローラー定着する場合、上
記ローラーのシリコンゴム層が熱により変質して
弾性を失ない圧着変形率が変化するとか脆弱化し
て表層が脱離するなどの障害がある。本考案にお
いてはこれらローラーの表層に例えば離型性を有
するポリテトラクロロエチレン、ポリテトラフロ
ロエチレンなどの耐熱被膜を形成して保護しよう
とするものである。特に前記耐熱被膜により被覆
されたローラーがトナー像に接するローラーであ
る場合は変質剥離したシリコンゴム層の粉末がト
ナー像を汚染したり、トナー像が溶融時ローラー
表面に付着し後続のトナー像に再付着して汚染す
るなどの障害をも排除しうるという効果を奏する
ことができる。

又加熱ローラーがトナー像に接する場合、それ
が耐熱被膜で被覆されていると一層上記効果は大
である。前記実施例においてはポリテトラクロロ
エチレンより成る0.5mmのチユーブを弾性材料IC
の外表面に熱収縮せしめて形成した。

以上のように本考案複写機用熱定着装置によれ
ば極めて簡単な構成により、複写用紙が厚いもの
である場合にもそのトナー画像を確実に定着せし
め得ると共に、複写用紙に曲りぐせ、シワ等が生
ずることを防止することができ、しかもローラー
保持機構が簡単でコストが低い等大きな利益が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の複写機用熱定着装置の説明用断
面図、第２図及び第３図は本考案複写機用熱定着
装置の説明用断面図及びその要部の拡大図であ
る。 １……加熱ローラー、１Ａ……金属基体、１Ｃ
……弾性材層、２……熱源、３……圧着ローラ
ー、３Ａ……金属基体、３Ｂ……弾性材層、４…
…複写用紙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 外周面に耐熱性の弾性材層を有し、少なくと
   も一方のローラーに熱源を有する上下のローラ
   ーにより複写用紙上のトナー像を加圧定着する
   複写機用熱定着装置において、前記上下のロー
   ラーをそれらの軸間距離が一定となるように軸
   支し、前記上下ローラーは熱源を付勢した状態
   において互に軽圧接するように軸間距離が設定
   されていると共に複写用紙通過時には上下ロー
   ラーの圧力変形率が同一又は近似していること
   を特徴とする複写機用熱定着装置。 ２ 前記上下ローラーの少くとも一方のローラー
   表面に離型性被膜を有する実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の複写機用熱定着装置。