JPS6214352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトラツク等車両に搭載されブーストコ
ンペンセータによる燃料噴射制御を行なう排気過
給機付内燃機関に関する。

排気過給機付内燃機関は高速での出力が大きく
かつ燃料消費率が良い等の理由で車両用に広く採
用されるに至つている。

この過給機付機関の機関トルク特性を過給機の
ない機関と対比してみると、第２図に示すように
過給機付の特性曲線Ａは過給機なしのフラツトな
特性曲線Ｂに対して特に低速回転域においてトル
ク特性が著しく低下するのが一般的である。これ
は排気過給機の特性のため機関の回転速度が低い
時にはブースト圧力が中高速回転域に比べて著し
く低いので、ひどく黒化した黒煙の排出を防止す
るためブーストコンペンセータ等を用いて燃料噴
射量を絞つているからである。従つて、過給機付
機関にあつては特に変速機低速段等における発進
特性が劣るという大きな欠点があつた。（第３図
のB′とA′における低速域のトルクの差） かかる欠点を排除するためには機関トルク特性
を変更することなしにトランスミツシヨンの変速
比（ギア比）を大きくとつて低速回転域の走行ト
ルクを増大させればよい（第３図A″）が、そう
すると中・高速回転域における駆動トルクもギア
比分だけ増大し、駆動系の許容トルクを超えてし
まう等駆動系が負担する負荷が過大になつて破損
を招くおそれがある。

又、これを防止しようとして許容トルクを増大
させれば駆動系が徒らに大型化し重量の増大、価
格の高騰を招いてしまう。

そこで本考案では発進変速段等の特定変速段に
おける変速機のギア比を増大して低速回転域の走
行トルク不足を解消し、この結果最大駆動トルク
が許容トルクを超えるおそれがあるから、当該変
速段を検出したときブーストコンペンセータに作
用するブーストを遮断し、ブーストコンペンセー
タの作用で燃料噴射量の増量をカツトすることに
よりこれを防止しようとするものである。

換言すれば当該変速段における中・高速域の燃
料噴射量を制限して第２図に示すような機関トル
ク特性Ｃを得、もつて最大機関トルクを低減し、
これを変速機のギア比を増大することにより発進
特性のよい過給機なしの機関のトルク特性Ｂに相
当する駆動トルク（第３図B′）を得ようとするも
のである。

以下、図面に示した一実施例に基づいて本考案
を詳細に説明する。

第１図において、１はブーストコンペンセータ
であり、ダイヤフラム１１によつて画成された圧
力室１２に図示しない機関の過給機からのブース
ト圧が導入通路２を介して導かれるようになつて
いる。そして、該導入ブースト圧が増大すると、
ダイヤフラム１１中央部に一端を固定されたロツ
ド１３がダイヤフラム１１に付勢されたスプリン
グ１４の弾性力に抗して図中左方向に移動する。
このため、該ロツド１３の他端部に突設したスト
ツパ１５に係合されたレバー１６がその支点１６
ａのまわりを回動自由となり該レバー１６の他端
部に係合する燃料噴射装置のコントロールラツク
１７が図中右行で示される燃料噴射量増大方向へ
の移動を許容されるようになつている。

このようにブーストコンペンセータ１は一般に
はブースト圧の増大即ち機関回転速度の増大に応
じて最大燃料噴射量を増大させるように制御さ
れ、機関低速回転時には最大燃料噴射量を絞り、
排気黒煙の発生を防止するように構成されてい
る。

かかるブーストコンペンセータを備えた燃料噴
射量制御機構に本考案を構成する。即ち検出スイ
ツチ３は変速機の車両発進時等特定の変速段への
シフトを検出して閉成される常閉のスイツチであ
り、これと前記導入通路２に介装した通電時閉成
する常開の三方電磁弁４とをバツテリ５を介して
接続する。

従つて、例えば車両発進時には、変速段へのシ
フトを検出して検出スイツチ３が閉成され、これ
に伴なつて電磁弁４が通電されて導入通路を閉塞
し、ブーストコンペンセータ１の圧力室１２への
ブースト圧導入を遮断する。このため、ブースト
コンペンセータ１のロツド１３はスプリング１４
の弾性力によつて圧力室１２側壁に固定されたス
トツパ１８に当接した位置に規制され、レバー１
６の回動を介してコントロールラツク１７が図中
右方向への移動を規制される。

したがつて、かかる構成を備えた過給機付内燃
機関において、発進用の変速段にシフトして発進
し、シフトアツプしないままで機関回転速度を高
速にしても最大燃料噴射量は該高速回転に伴なう
ブースト圧上昇にかかわりなく低量に絞られた状
態に維持されるから、機関トルクの上昇が抑制さ
れ、該機関トルク特性は第２図Ｃで示すようにフ
ラツトな特性となる。

したがつて、このままでは駆動トルク不足とな
るから（第３図C′）予め変速機の当該変速段、
一般には低速発進変速段の変速ギヤ比を大きくし
ておく。このようにすれば、第３図のトルク特性
を用いた時の駆動トルク特性と同様であり、従つ
て発進トルク不足が解消できる。

観点を変えてみると、変速ギヤ比を大きくする
ことは即ち過給機付機関の駆動トルク特性A′を
増大して特性A″に変更することであり、これで
は最大トルクが駆動系の許容トルクを超えてしま
うおそれがあるからブーストコンペンセータを利
用して燃料噴射量を制限して駆動トルクの特性
B′を得たものであることが容易に判ることができ
よう。

一方、変速機が歯車比の小さい通常走行用の変
速段にシフトされると検出スイツチ３は開成され
電磁弁４が開いて導入通路２を開通させるから、
ブーストコンペンセータ１の圧力室１２にブース
ト圧が導入され、ブースト圧の増大に応じて機関
トルクが増大するので従来同様の過給機付内燃機
関としてのトルク特性（第２図Ａの実線部分）を
示す。即ち、かかる走行変速段では従来同様のピ
ーク的出力特性を示し所定の走行特性を発揮する
ことができる。

以上説明したように本考案によれば、あらかじ
め変速機の特定変速段の歯車比を大きく選定し、
この特定変速段にシフトしたときにブーストコン
ペンセータの作動を自動的に制止させて内燃機関
の最大トルクを低下させるので発進等低速回転域
のトルク不足を解消すると同時に中・高速回転域
においても駆動系に許容トルクを超える負荷トル
クが加えられるおそれがなく駆動系を保護できる
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す系統図、第２図
は機関トルク特性を示すグラフ、第３図は車両駆
動トルク特性を示すグラフである。 １……ブーストコンペンセータ、２……ブース
ト圧導入通路、３……検出スイツチ、４……三方
電磁弁、５……バツテリ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ブーストコンペンセータによる燃料噴射量制
   御を行なう車両用過給機付内燃機関において、
   変速機の特定の変速段の歯車比を大きく選定す
   る一方、該変速段にシフトされたことを検出す
   る検出手段と、該検出手段の検出信号にともな
   つてブーストコンペンセータに作用するブース
   ト信号を制止させ燃料噴射量の増大を制限する
   ブースト圧制御手段とを設けたことを特徴とす
   る車両用過給機付内燃機関。 (2) ブースト圧制御手段は変速段の検出信号に応
   じてブーストコンペンセータに接続されたブー
   スト圧導入通路を、該通路に介装された常開の
   三方電磁弁が閉成するように構成されてなる実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の車両用過給
   機付内燃機関。