JPS6210851B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エンジンに連係された原動軸と走行
装置用伝動軸とにわたり、伝動比を異ならせて２
本の伝動ベルトを巻回し、これら伝動ベルトを択
一的に入り操作するテンシヨンプーリに対する操
作レバーを設けると共に、前記操作レバーを中立
位置に保持する機構を、前記操作レバーが中立位
置に操作されるに伴い自動作動する状態で設けた
移動農機の走行用変速装置に関する。

上記走行用変速装置は主クラツチに兼用された
ものであるが、従来、操作具として手動レバーの
みが設けられていた。そのため、畔際での機体旋
回時に作業装置が畔に衝突しそうになる等の事態
が生じた場合において、機体旋回時には、例えば
田植機にあつては作業能率向上のために機体操向
操作に並行して苗植付装置の昇降操作が行われる
ように、一般に、変速装置以外の操作のために両
手が使用される関係上、操向装置や作業装置の操
作具を操作している手を変速レバーに移して変速
装置を切り操作せねばならず、機体を緊急停止さ
せられない欠点があつた。

本発明は、上記実情に鑑み、たとえ両手が変速
装置以外の操作のために塞がつている場合でも、
変速装置の切り操作が迅速に行えて、機体を緊急
停止させることができるようにし、しかも、その
ための構成を構造簡単にできると共に、停止させ
た機体をその状態に維持することが操作容易に行
えるようにすることを目的とする。

次に、本発明の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

前後に車輪１，２を軸架した走行車体の前部に
エンジン３を搭載すると共に、後部に苗植付装置
４を油圧シリンダ５を介して駆動昇降自在に設
け、かつ、機体前後方向中間に位置させて運転座
席６を設け、４条植え可能な乗用型田植機を構成
してある。

前記エンジン３と、車輪１，２に伝動するギア
式主変速装置（図外）を内装するミツシヨンケー
ス７との間において、第２図及び第３図に示すよ
うに、エンジン３の出力軸８に出力プーリ９を取
付け、他方、ミツシヨンケース７の入力軸１０に
大小異径の入力プーリ１１，１２を取付け、出力
プーリ９と入力プーリ１１，１２とにわたつて第
１及び第２伝動ベルト１３，１４を巻回すると共
に、両伝動ベルト１３，１４に各別に作する第１
及び第２テンシヨンプーリ１５，１６を、アーム
１７又は１８によりミツシヨンケース７の横方向
支軸１９に上下揺動自在に取付け、主クラツチに
兼用させたダブルテンシヨン式の走行用副変速装
置を構成してある。

そして、前記副変速装置の操作装置を次の如く
構成してある。

すなわち、第２図ないし第５図に示すように、
前記テンシヨンアーム１７，１８と、正面視で門
型のフレーム２０とにわたつて引つ張りスプリン
グ２１ａ，２１ｂを張設して第１及び第２テンシ
ヨンプーリ１５，１６夫々を常時入り側に付勢し
てある。そして前記支軸１９の端部に手動操作レ
バー２２を前後揺動自在に枢支連結し、この操作
レバー２２の長手方向途中箇所を、支持ブラケツ
ト２３に横軸芯P₁周りで揺動自在に枢支連結した
板体２４に長孔２５を介して枢支連結すると共
に、前記板体２４の所定箇所に一端側を枢支連結
した第１及び第２リンク２６，２７と、前記両テ
ンシヨンアーム１７，１８夫々とを長孔２８を介
して枢支連結してある。又、前記板体２４に、所
定の幅を有する凹溝を備えさせると共に、この凹
溝の両側壁２９，２９に接当させる固定ピン４５
をブラケツト２３から突設して板体２４を所定範
囲内で揺動させるように構成してある。もつて、
操作レバー２２をレバーガイド３０の案内溝の前
端部位置Ｈに操作すると、第６図イに示すよう
に、第２リンク２７を介し、スプリング２１ｂの
付勢力に抗して第２テンシヨンプーリ１６を第２
伝動ベルト１４から離間されながらも、第１テン
シヨンプーリ１５を、長孔２８によりスプリング
２１ａの付勢力によつて第１伝動ベルト１３に入
り操作することとなつて、高速状態が得られ、操
作レバー２２をレバーガイド案内溝の後端部位置
Ｌに操作すると、第６図ロに示すように、第１テ
ンシヨンプーリ１５を第１伝動ベルト１３から離
間させながらも第２テンシヨンプーリ１６を入り
操作することとなつて、低速状態が得られ、操作
レバー２２をレバーガイド案内溝の前後中間部位
置Ｎに操作すると、第６図ハに示すように、第１
及び第２テンシヨンプーリ１５，１６のいずれを
も第１及び第２伝動ベルト１３，１４から離間さ
せることとなつて、伝動切り状態が得られるので
ある。

又、第４図及び第５図に示すように、前記操作
レバー２２を、前記板体２４に対する連結部より
も先端側において、テンシヨンプーリ１５，１６
を操作するための揺動軸芯とほぼ直交する軸芯P₂
周りで腰折れ可能に構成すると共に、操作レバー
２２の前記腰折れ部より先端側に相当する部分を
係止させて、操作レバー２２を前記中立位置Ｎに
保持させるための機構の一例としての切欠３１
を、レバーガイド３０に形成してある。そして、
操作レバー先端側部分を前記切欠３１に入込む方
向に揺動付勢するスプリング３２を、前記腰折れ
部に付設して操作レバー２２を中立位置Ｎに操作
するだけで、それに伴い切欠３１が自動作動し
て、伝動切り状態に維持されるように構成してあ
る。

又、第３図ないし第５図に示すように、ロツド
３３の先端に連設した長孔形成部材３４を、第１
及び第２リンク２６，２７間に入れ込ませると共
に、第１及び第２リンク２６，２７夫々に前記ス
プリング２１ａ，２１ｂを取付けるために挿通止
着されたピン３５，３６を前記長孔形成部材３４
の惰円状の長孔に嵌入させて、テンシヨンアーム
１７，１８、両リンク２６，２７及び板体２４を
介してロツド３３と操作レバー２２とを連係さ
せ、そして、足踏みペダル３７をスプリング３８
により中立位置に付勢させた状態で支軸３９に揺
動自在に取付けると共に、前記ペダル３７とロツ
ド３３とを、ペダル３７の支軸３９に対する取付
ボスから延出させたアーム４０により連係させて
ある。又、操作レバー２２が前記伝動位置Ｈ又は
Ｌに在る時にペダル３７が踏込み操作されるに伴
い、入り位置にあるテンシヨンアーム１７又は１
８が切り側に揺動され、入り側にあつたリンク１
７又は１８がその長孔２８に挿入してあるテンシ
ヨンアームピンにより押上げられて操作レバー２
２が中立位置Ｎに戻されるように、前記リンク長
孔２８を設定してある。もつて、通常時は、ロツ
ド３３の長孔によつてペダル３７を中立位置から
何ら変位させない状態で、両テンシヨンプーリ１
５，１６を操作レバー２２により択一的に入り操
作できるようにし、又、操作レバー２２が前記両
伝動位置Ｈ，Ｌのいずれに在る時でも、ペダル３
７を踏込み操作するだけで、第７図に示すよう
に、操作レバー２２が強制的に中立位置Ｎに操作
されると共に切欠３１により保持され、車輪１，
２への伝動を停止できると共にその停止状態を維
持できるように構成してある。

前記苗植付装置４において、第８図ないし第１
０図に示すように、苗のせ台４１に載置されたマ
ツト状苗４２の床土前端面が苗のせ台摺動ガイド
レール４３に摺接することを防止するために床土
とガイドレール４３の間に挿入するように、か
つ、苗のせ台４１と一体移動させるために両端部
を苗のせ台４１の側枠部４１ａ及び苗収納部仕切
枠部４１ｂに各別に係止させるように構成した苗
保護用板体４４を、苗のせ台４１に着脱自在に備
えさせてある。すなわち、畔際での作業時におい
て畔側に相当する苗植付アームに対するクラツチ
を切つてそのアームによる植付けを不能にする
際、前記板体４４を装着し、床土が前記ガイドレ
ール４３の苗取出口４３ａを形成する縁部に引掛
かつてち切れたり、傷付くことを防止できるよう
に、しかも、苗４２を苗のせ台４１の上端側に移
動させることなく板体４４を装着できて、前記し
た苗損傷の防止対策が操作容易に行えるように配
慮してある。

前記伝動ベルト１３，１４の巻回軸としては、
エンジン出力軸に連係された回転軸や、ミツシヨ
ンケースの入力軸に連係された回転軸であつても
よく、エンジン出力軸８をエンジンに連係された
原動軸８と称し、ミツシヨンケース入力軸１０を
走行装置用伝動軸１０と称する。

前記した走行用変速装置は、コンバイン等の各
種移動農機に適用できる。

以上要するに、本発明は、冒記した移動農機の
走行用変速装置において、前記操作レバー２２を
伝動位置Ｈ，Ｌにある時に中立位置Ｎに操作可能
なペダル３７を設けてある事を特徴とするから、
たとえ両手が変速装置以外の操作のために塞がつ
ている場合でも、両伝動ベルト１３，１４を足で
迅速に切り操作できるようになり、機体の緊急停
止を可能にできた。しかも、本来設けられている
変速装置自体を切り操作するものであるから、緊
急停止用のクラツチを別途設ける必要がなく、構
造簡単に構成できたのであり、さらには、操作レ
バー２２を中立位置Ｎに操作するものであるか
ら、機体を緊急停止させると保持機構３１が自動
的に作動するので、停止した機体をその状態に維
持することがペダル３７を操作するだけの簡単な
操作で行えるようになり、停止後に操縦部から離
れて機体点検を行うような場合、その作業に迅速
に移ることが可能になつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る移動農機の走行用変速装置
の実施例を示し、第１図は乗用田植機の側面図、
第２図は変速装置取付部の正面図、第３図は変速
装置の側面図、第４図は操作レバー取付部の斜視
図、第５図は操作レバーとテンシヨンアームの連
動機構の断面図、第６図イないしハは変速状態を
説明する側面図、第７図はペダルの踏込み状態を
示す側面図、第８図は苗保護用板体の斜視図、第
９図は苗保護用板体の装着状態を示す平面図、第
１０図は第９図のＸ―Ｘ断面矢視図である。 ３…エンジン、８…原動軸、１０…走行装置用
伝動軸、１３，１４…伝動ベルト、１５，１６…
テンシヨンプーリ、２２…操作レバー、３１…保
持機構、３７…ペダル、Ｎ…中立位置、Ｈ，Ｌ…
伝動位置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エンジン３に連係された原動軸８と走行装置
   用伝動軸１０とにわたり、伝動比を異ならせて２
   本の伝動ベルト１３，１４を巻回し、これらの伝
   動ベルト１３，１４を択一的に入り操作するテン
   シヨンプーリ１５，１６に対する操作レバー２２
   を設けると共に、前記操作レバー２２を中立位置
   Ｎに保持する機構３１を、前記操作レバー２２が
   中立位置Ｎに操作されるに伴い自動作動する状態
   で設けた移動農機の走行用変速装置であつて、前
   記操作レバー２２を伝動位置Ｈ，Ｌにある時に中
   立位置Ｎに操作可能なペダル３７を設けてある事
   を特徴とする移動農機の走行用変速装置。