JP5458034B2 - 乗用型水田作業機 - Google Patents
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Description
すなわち、走行機体の前部に備えた操作具を、機体前部で起立した格納位置と、その格納位置よりも前方側に移動して地上から操作可能な作用位置とに位置変更可能に構成してあるとともに、デフロックペダルも踏み込まれたデフロック作用姿勢と、踏み込み解除されたデフロック解除姿勢とに姿勢切換可能に構成してあり、かつ、前記操作具を格納位置から作用位置に位置変更するに伴って前輪デフ機構をデフロック状態とするように構成してある。そして、この構造では、前記操作具を格納位置から作用位置に位置変更した際に、前輪デフ機構はデフロック状態にしてもデフロックペダルの姿勢は変化させず、また、デフロックペダルを踏み込んでデフロック作用姿勢にしても、操作具の位置は変化させないようにする手段を備えている(特許文献1参照)。
解決手段1にかかる発明では、走行機体の前部箇所に、格納位置と、その格納位置よりも機体前方側へ移動して地上から操作可能な作用位置とに操作位置を変更可能な操作具を備え、その操作具よりも後方側に運転座席、ならびにデフロックペダルを配設してある乗用型水田作業機であって、
前記デフロックペダルを、踏み込み操作によってデフロック状態となるデフロック作用姿勢と、踏み込み解除に伴ってデフロック状態が解除されるデフロック解除姿勢とに姿勢切換可能に構成し、前記操作具と前記デフロックペダルとを連係する連係機構を備えるとともに、
前記連係機構に、前記操作具の格納位置から作用位置への位置変更に伴って前記デフロックペダルがデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢に姿勢変更されるように操作具の位置変更操作をデフロックペダルに伝達し、かつ、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更操作が操作具を格納位置から作用位置へ位置変化させる方向の操作として伝わらないようにする一方向伝達機構を備えさせてあることを特徴とする。
上記解決手段1にかかる発明によると、操作具とデフロックペダルとを連係する連係機構中に、前記一方向伝達機構が備えられていることにより、デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更操作が操作具を格納位置から作用位置へ位置変化させる方向の操作として伝わらないようにしながら、操作具の格納位置から作用位置への位置変更に伴ってデフロックペダルがデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢に姿勢変更されるように、操作具の位置変更操作をデフロックペダルに伝達することができる。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記一方向伝達機構は、前記操作具の位置変更操作に連動して作動する第1操作伝達部材と、前記デフロックペダルの姿勢変更操作に連動して作動する第2操作伝達部材とを備え、
前記操作具による格納位置から作用位置への位置変更操作に伴う第1操作伝達部材の作動方向と、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更に伴う第2操作伝達部材の作動方向とが同方向となるように、前記第1操作伝達部材と前記操作具、及び前記第2操作伝達部材と前記デフロックペダルとを連係してあり、
前記操作具による格納位置から作用位置への位置変更操作に伴って前記第1操作伝達部材が前記第2操作伝達部材に接当して前記位置変更操作を前記第2操作伝達部材に伝達し、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更に伴って、前記第2操作伝達部材が前記第1操作伝達部材から離れる側に移動して前記姿勢変更操作が前記第1操作伝達部材に伝達されないように構成してあるということである。
上記の解決手段2にかかる発明によると、操作具の格納位置から作用位置への位置変更操作による第1操作伝達部材の作動方向と、デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更による第2操作伝達部材の作動方向とが同方向であり、操作具が格納位置から作用位置へ位置変更される操作で、第1操作伝達部材が第2操作伝達部材を押して、デフロックペダルを強制的にデフロック作用姿勢に姿勢変化させることができる。
そして、デフロックペダルがデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢へ姿勢変更される操作では、第2操作伝達部材が第1操作伝達部材から離れて行く方向に作動するので、第1操作伝達部材には第2操作伝達部材の操作が伝達されず、操作具の無用な動きを生じさせることがない。
したがって、操作具とデフロックペダルとの操作に連動する第1操作伝達部材と第2操作伝達部材との作動方向と作動範囲を工夫する程度の簡単な構造で、前記一方向伝達機構を構成することができる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記連係機構は、走行機体の機体一側方に沿って前後方向に配設された前後方向連係部材と、前記前後方向連係部材の後端部から前記前後方向連係部材が配設された側とは反対側の機体他側方に向けて延設された左右方向連係部材とを備え、前記前後方向連係部材の前端側に前記操作具を連係させてあり、前記左右方向連係部材の前記前後方向連係部材が配設された側とは反対側の端部に前記デフロックペダルを連係させてあるということである。
上記の解決手段3にかかる発明によると、前記連係機構は、前部の操作具とそれよりも後方側のデフロックペダルを連係させるように、単に前後方向に延設されただけのものではなく、機体一側方に沿って前後方向に配設された前後方向連係部材と、その前後方向連係部材の後端部から機体他側方に向けて延設された左右方向連係部材とが組み合わせられたものであるから、デフロックペダルを前後方向連係部材の後端部近くに配設しなければならないという制約がない。
したがって、デフロックペダルの配設位置に関して、操縦部周りに配設される他の機器との配設位置の取り合いを考慮しながら設計上の自由度を高め易くなる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記連係機構の前後方向連係部材は、前車軸ケースの上側を通るように配設されているということである。
上記の解決手段4にかかる発明によると、前後方向連係部材が前車軸ケースよりも上側に配設されているため、前車軸ケースが前後方向連係部材の下側を保護する役割を果たし、前後方向連係部材が畦と接触したり、前後方向連係部材に圃場の夾雑物が絡み付くなどの虞が少なくなる点で有利である。
〔乗用型田植機の全体構成〕
図1〜図3に基づいて乗用型水田作業機の全体構成について説明する。図1は、乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機の全体を示す側面図であり、図2は、乗用型田植機の全体平面図であり、図3は、乗用型田植機の全体正面図である。
図1〜図3に示すように、右及び左に操向操作自在な前輪1及び後輪2で支持された機体に、運転座席3を備えた運転部4が配置されている。機体の後部に平行4連式のリンク機構5を介して4条植え仕様の苗植付装置6が昇降自在に連結されており、リンク機構5を昇降駆動する油圧シリンダ7が備えられて、乗用型田植機が構成されている。
図1〜図7に基づいて乗用型田植機の伝動構造について説明する。図4は乗用型田植機前部の側面図であり、図5は操作具としての畦越えアーム60とデフロックペダル45との連係構造等を示す平面図であり、図6は畦越えアーム60とデフロックペダル45とを連係する連係機構70を示す側面図、図7はミッションケース20及び前車軸ケース21の水平方向の断面図である。
前記ブレーキペダル27には、手動で操作可能な操作レバー19が一体に設けられていて、地上に降りた作業者が後述する畦越えアーム60を操作する際などに、機体の前方側からブレーキ操作を行うこうとが可能であるように機体前方側へ延設されている。
したがって、ミッションケース20の内部に設けられたブレーキ装置によって前記伝動上流側の伝動軸30に伝えられる動力が制動されていると、前車軸32に外嵌させてある筒軸33の入力用ギヤ34を介して、筒軸33、前輪デフ機構40のベベルケース40a、及び後輪伝動軸37も制動され、前輪1及び後輪2に制動を掛けることができる。
図13乃至図16に示すように、ブレーキペダル27の枢支軸部27aの左側端部には、操作アーム28が固定されており、その操作アーム28に隣接して、中立戻し板29が前記枢支軸部27aに対して相対回動自在に装着されている。前記中立戻し板29には、上下一対の円弧状の長孔29a,29aが形成してあり、この上下の長孔29a,29a内でそれぞれ摺動自在なピン53aを備えた駒部材53,53を介して操作ロッド52,52が連結され、この操作ロッド52,52の他端側が静油圧式無段変速装置24を操作する操作体51に連結されている。
前記操作体51は、前記操作ロッド52,52が連結された三角形状の板体51aと、前記静油圧式無段変速装置24及び後述する変速操作レバー55への連係ロッド54が連結されるベルクランク状の板体51bとが機体側の固定位置に回動自在に枢支された横軸56に連結されて横軸芯p1周りで揺動自在に枢支されている。
この操作体51が前記ブレーキペダル27及び前記静油圧式無段変速装置24に連係されていることで、ブレーキペダル27の踏み込み操作に連動して静油圧式無段変速装置24を中立側へ戻し操作する中立戻し機構50としての役割を果たすように構成されている。
前記操作体51は、連係ロッド54を介して変速操作レバー55に連係させてあり、変速操作レバー55の回動軸芯p3周りの操作位置に応じて静油圧式無段変速装置24を変速操作するように構成されているとともに、この操作体51の位置が変更されることによって前記連係ロッド54を介して変速操作レバー55の位置を変更することが可能であるように連係されている。
その結果、操作体51の反時計回りの回動によって、前記変速操作レバー55が回動軸芯p3周りに回動して図14に実線で図示された中立位置Nに戻し操作されるとともに、静油圧式無段変速装置24も中立状態に戻し操作される。
このとき、操作体51に連結されている下方側の操作ロッド52は、中立戻し板29の下方側の長孔29aの図中右端にピン53aが位置する状態で駒部材53と連結されているので、中立戻し板29の反時計回りの回動に伴って前記駒部材53の右端のピン53aが長孔29a内を相対的に左側に移動した状態となる。
前記操作体51に連結されている上方側の操作ロッド52は、前記中立戻し板29の上方側の長孔29aの図中右端にピン53aが位置する状態で駒部材53と連結されていて、中立戻し板29の反時計回りの回動に伴って前記駒部材53の右端のピン53aが長孔29aの右端に押されて左側へ押され、操作ロッド52を介して操作体51を横軸芯p1周りで時計回りに回動させる。
その結果、操作体51の時計回りの回動によって、前記変速操作レバー55が図14に実線で図示された中立位置Nに戻し操作されるとともに、静油圧式無段変速装置24も中立状態に戻し操作される。
前輪デフ機構40は、図7に示されるように、前記出力用のベベルギヤ35に連動連結されたベベルケース40aと、ベベルケース40aに自由回転自在に支持された複数のベベルギヤ40bと、複数のベベルギヤ40bに亘って咬合する一対のベベルギヤ40cとを備えて構成されている。
右側及び左側の前輪1に動力を伝達する右側及び左側の前車軸32がベベルケース40aに挿入され、右側及び左側の前車軸32が、スプライン構造により一体回転可能にベベルギヤ40cに内嵌されている。これにより、ミッションケース20側からの伝達動力が、入力用ギヤ34、筒軸33、及び前輪デフ機構40を介して、右側及び左側の前輪1に伝達される。
これにより、コイルバネ44の付勢力に抗してロック部材42を図7の紙面左方にスライド操作して、その係合部42aを入力用ギヤ34の係合部34aに咬合させると、入力用ギヤ34に咬合したロック部材42は、前述したように右側の前車軸32にキー構造で一体化されていて、筒軸33と一体回動するベベルケース40aと前車軸32とが相対回動しなくなり、前輪デフ機構40がデフロック状態となる。つまり、上記ロック部材42、入力用ギヤ34、筒軸33、ベベルケース40a等によってデフロック機構41が構成されている。
一方、コイルバネ44の付勢力によってロック部材42を図7の紙面右方にスライド操作して入力用ギヤ34の係合部34aから離間させると、前輪デフ機構40がデフ作動状態(デフロック解除状態)となる。
すなわち、前記操作軸43のミッションケース20の内部側の端部において、操作軸43の回転軸心から偏芯した断面円形の突起部43aが備えられ、突起部43aがロック部材42の前記係合部42aの裏面側に接当している。
すなわち、デフロックペダル45を支持する回転軸部46に操作アーム46aが一体回動するように連設してあり、前記操作軸43のミッションケース20外への突出部分にも操作軸43の外周側へ突出する操作片43bが設けてあり、前記操作アーム46aの遊端側と前記操作片43bの遊端側とを連係ロッド47を介して連結してあり、デフロックペダル45の踏み込み操作に伴って前記操作軸43がデフロック操作側に操作され、デフロックペダル45の踏み込み解除に伴って前記操作軸43がデフロック解除側に操作されるように連動連結されている。
すなわち、左右の車体フレームF1,F1を貫通する杆状の部材の右端側を上方側に折り曲げてアーム部45bを形成し、そのアーム部45bの遊端側に踏面45aを備え、このアーム部45bと踏面45aとによってデフロックペダル45が構成されている。
車体フレームF1,F1を貫通する杆状の部材の直線状の部分は、アーム部45bを機体左右方向の回転軸芯x1周りで揺動作動させるように支持する前記回転軸部46を構成しており、アーム部45bの遊端側に備えられた踏面45aは、運転部4のフロア13の上側に露出するように設けてある。
前記回転軸部46には、図5に示すように、デフロックペダル45をデフロック解除側へ付勢する復帰バネ46bが装着されていて、デフロックペダル45の踏み込み操作が解除されるとデフロックペダル45をデフロック解除側へ復帰させるように構成してある。
上記デフロックペダル45は、地上に降りた作業者が畦越えアーム60を握った状態で機体前方側から見える位置に配設されている。
図1乃至図5に示すように、走行機体の前部には、機体前方側から人為的に操作可能な畦越えアーム60(操作具に相当する)が装備されている。この畦越えアーム60は、後述する横軸芯x2周りで下方側へ押し下げるように回動させて機体前方側へ延出された状態にして、畦越え作業などの際に機体前部が浮き上がらないように機体前部に体重を掛けて押し下げ操作する場合などに用いるものである。
この畦越えアーム60は、左右に長い握り部60Aと、上下に長いアーム状のアーム部60Bとを備えて、丸パイプ材により一体的に形成されている。そして、機体の前部で起立し機体側に格納した格納位置Aと、その格納位置Aから前方に揺動した倒伏姿勢で、機体から降りた作業者が地上から操作可能な作用位置Bとに位置変更可能に構成してある。これによって、前記作用位置Bでは、握り部60Aを片手又は両手で握って機体前方から乗用型田植機を操作できるように構成されている。
この畦越えアーム60は、格納位置Aにおいて上端が前部ボンネット14及び後部ボンネット15よりも上方側で、操縦ハンドルHの上面よりも下方側に位置し、左右方向幅が、前部ボンネット14及び後部ボンネット15の左右方向幅よりも幅狭であるように形成されている。
尚、畦越えアーム60は、図3及び図5に示すように、圧縮バネ62を用いて任意の操作位置で摩擦保持可能に構成されているが、これに代えて、適宜係合保持手段を用いるなどして、前記格納位置A及び作用位置Bを含む複数の位置で係止させて固定できるように構成してもよい。
図5及び図6に示すように、前記畦越えアーム60とデフロックペダル45とを連係する連係機構70は、走行機体の左側の横側方に沿って前後方向に配設された前後向き連係ロッド(前後方向連係部材に相当する)71と、その前後向き連係ロッド71が配設された側とは反対側の機体他側方に向けて左右向きに延設された前記回転軸部(左右方向連係部材に相当する)46と、これらの前後向き連係ロッド71及び回転軸部46を連係作動させる一方向伝達機構80とを備えて構成されている。
この前後向き連係ロッド71は、図1、4、及び図5に示すように、ステップ部17及びフロア13の下方側で、前車軸ケース21の上側を通り、かつ静油圧式無段変速装置24よりも下方側で、静油圧式無段変速装置24への入力プーリ24aの横外側に位置するように配設されている。
この回転軸部46は、一方向伝達機構80が装着された左側よりも、デフロックペダル45のアーム部45bが装備される右側が、車体フレームF1からの突出量が少ない状態で取り付けてある。
前記デフロックペダル45の踏面45aが設けられた側とは反対側の回転軸部46の端部には、デフロックペダル45の踏み込み及び踏み込み解除による姿勢変更操作と、前記畦越えアーム60の位置変更操作とを連係させるための連係機構70の途中で、畦越えアーム60の位置変更操作をデフロックペダル45に伝達し、デフロックペダル45のデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更操作を畦越えアーム60側には伝えないようにするための一方向伝達機構80が装着されている。
この長孔84は、図11に示すようにデフロックペダル45を、デフロック解除姿勢の実線の状態からデフロック作用姿勢となる仮想線の状態に踏み込んだときに、回転軸部46と一体回動する揺動操作体82が摺動操作体81のピン83を前方側へ押さずにデフロックペダル45がデフロック作用姿勢となることを許し得る長さを有している。
取付板部86の前記ピン83を突設していない側の板面には、前記前後向き連係ロッド71の後端部を挿通可能な孔86aを形成してあって、摺動操作体81が前後向き連係ロッド71の長さ方向に沿って摺動自在に嵌入させてあり、一方向伝達機構80を前後向き連係ロッド71に対して装着させるための部材を兼用するように構成してある。
前後向き連係ロッド71の後端側の端部に止めピン74によって抜け止め状態に装着された止め板73と、前記取付板部86の前記前後向き連係ロッド71の後端部を挿通可能な孔86aを形成してある面との間でストローク吸収用のバネ72を挟み込むように、前記取付板部86の前側も止めピン74で係止してある。
これにともなって、一方向伝達機構80の摺動操作体81におけるピン83が長孔84の前端側に接当して前方側へ移動すると、揺動操作体82が回転軸芯x1周りで時計回りに回動し、デフロックペダル45が図12で仮想線の状態から実線で示すデフロック作用姿勢に姿勢変更される。同時に回転軸部46の回転にともなって操作アーム46aが時計回りに一体回動し、連係ロッド47を介してデフロック操作用の操作軸43がデフロック作用側へ回転操作され、ロック部材42が入力用ギヤ34に咬合して前輪デフ機構40がデフロック状態となる。
このとき、図11で実線で描かれたデフロック解除姿勢では、一方向伝達機構80の摺動操作体81におけるピン83が、揺動操作体82の長孔84内での前端近くに位置しているので、デフロックペダル45の踏み込みに伴って揺動操作体82が回転軸芯x1周りで時計回りに回動しても、相対的に摺動操作体81のピン83が揺動操作体82の長孔84内を前端側から後端側へ移動するように姿勢変化するだけで、揺動操作体82の回転が摺動操作体81のピン83を移動させる作用としては機能しないので、デフロックペダル45の姿勢が変化してデフロック作用姿勢となるだけで、畦越えアーム60は起立した格納位置Aに維持されたままである。
したがって、デフロックペダル45のデフロック作用姿勢への姿勢変化に伴う揺動操作体82に形成されている長孔84が、摺動操作体81に設けたピン83の作動方向における移動範囲と重複する範囲で作動するとき、つまり、畦越えアーム60側ではなくデフロックペダル45を踏み込んでデフロック作用姿勢にしたときには、上述のように揺動操作体82の回転が摺動操作体81のピン83を移動させる作用としては機能せず、畦越えアーム60にデフロックペダル45の操作が伝わらない。
逆に、畦越えアーム60を起立した格納位置Aから前倒しした作用位置Bに操作したときには、摺動操作体81に設けたピン83が揺動操作体82に形成されている長孔84の前端側から前方側へ移動するので、揺動操作体82を回転させてデフロックペダル45をデフロック作用姿勢に操作する。
前記畦越えアーム60とデフロックペダル45とを連係する連係機構70、及び一方向伝達機構80としては、上記した実施形態に示す構造に限らず、例えば図17乃至図19に示すように構成してもよい。
すなわち、この実施形態では、走行機体の右側に配設されたデフロックペダル45を、走行機体の右側の横側方に沿って前後方向に配設された前後向き連係ロッド(前後方向連係部材に相当する)71を介して畦越えアーム(操作具に相当する)60の右側に連結している。この構造では、図19に示すように、左右向きに延設された回転軸部(左右方向連係部材に相当する)46が短いので、この回転軸部46も走行機体の右側に位置している。
前記支持体75は、平面視コの字状に形成され、前後向き連係ロッド71の長手方向に沿う面にピン75aが装着され、その長手方向に沿う面に直交する前後の面を前後向き連係ロッド71が貫通する状態で前後向き連係ロッド71に固定されている。
揺動操作体82は、デフロックペダル45の踏み込み操作に連動して揺動作動するのではなく、機体側の適所に固定された枢支軸48に揺動自在に枢着されていて、かつ前記支持体75のピン75aによってピン連結されている。また、この揺動操作体82には、この揺動操作体82と前記操作軸43の操作片43bとを連係する第2連係ロッド(第2操作伝達部材に相当する)87が係入するための長孔84を備えている。
これによって、前記操作軸43の操作片43bには、デフロックペダル45の回転軸部46に設けられた操作アーム46aと連係する連係ロッド47と、一方向伝達機構80の揺動操作体82と連係する第2連係ロッド87との両者が連係されている。
これにともなって、一方向伝達機構80の支持体75におけるピン75aが揺動操作体82の下端側を前方側へ引き操作し、揺動操作体82が図18に示す状態から前記枢支軸48周りで図中時計回りに回動して図17に示すように姿勢変化する。
このとき、操作軸43の操作片43bに連係された第2連係ロッド87は、揺動操作体82の長孔84の下端側に接当して押し上げられ、操作軸43をデフロック作用側へ回動操作する。同時に、操作軸43の同じ操作片43bに連係されている連係ロッド47を介して操作アーム46aが図17に実線で示すように時計回りに回動され、回転軸部46が回転することによってデフロックペダル45が同図に実線で示されるようにデフロック作用姿勢に姿勢変更される。
このとき、操作軸43の操作片43bは図18に示される下向きの位置から図17に示される上向きの状態に回動操作される。この回動に伴って第2連係ロッド87が引き上げられたとき、揺動操作体82の長孔84に係入している箇所の第2連係ロッド87は、第2連係ロッド87の下端側が前記長孔84内を下方から上方へ移動するだけで、揺動操作体82には第2連係ロッド87の引き上げによる操作が伝わらないので、畦越えアーム60は起立した格納位置Aに維持されたままである。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の各実施形態では、操作具の一例として畦越えアーム60を例示したが、同様の機能を果たすものであれば操作具として異なる構成を採用してもよい。例えば走行機体の前部から前方側へ引き出して使用する操作レバー(図示せず)を操作具として採用したり、また、例えば、ハンドルHを前方に揺動させて地上から操作可能に構成したもの(図示せず)で操作具を構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様である。
上記の各実施形態では、一方向伝達機構80として、長孔84とこれに係入するピン83、あるいは長孔84とこれに係入する第2連係ロッド87とを用いたものであるが、このような構造に限らず、例えば、デフロックペダル45の踏み込み操作に連動して揺動作動する揺動操作体82に、前後向き連係ロッド71を挿通可能の孔(図示せず)を設け、その揺動操作体82の背部側で前後向き連係ロッド71に押圧部材(図示せず)を固定して、畦越えアーム60などの操作具を作用位置Bに位置変更すると、前後向き連係ロッド71に固定の押圧部材で背後から揺動操作体82を押してデフロックペダル45を作用姿勢側に姿勢変更するように構成し、デフロックペダル45を踏み込み操作したときには、揺動操作体82が前記押圧部材よりも前側で前方側へ移行するようにして、前後向き連係ロッド71に前方側への押し操作が伝わらないように構成したものであってもよい。
上記の各実施形態では、連係機構70の前後方向連係部材として前後向き連係ロッド71を用いた構造を示したが、これに限らず、例えばワイヤーを用いて前方側へ引き操作する構造としてもよい。
また、連係機構70の前後方向連係部材として、引き操作によって畦越えアーム60などの操作具の位置変更を伝えるものに限らず、押し操作によって操作具の位置変更を伝える構造であってもよい。
上記の各実施形態では、デフロックペダル45を走行機体の右側に配設した構造を示したが、これに限らず、デフロックペダル45を走行機体の左側に配設して、連係機構70の前後方向連係部材を走行機体の右側、あるいは左側に配設するようにしてもよい。
21 前車軸ケース
24 静油圧式無段変速装置
45 デフロックペダル
46 左右方向連係部材(回転軸部)
60 操作具(畦越えアーム)
70 連係機構
71 前後方向連係部材(前後向き連係ロッド)
80 一方向伝達機構
81 第1操作伝達部材
82 第2操作伝達部材
A 格納位置
B 作用位置
Claims (4)
- 走行機体の前部箇所に、格納位置と、その格納位置よりも機体前方側へ移動して地上から操作可能な作用位置とに操作位置を変更可能な操作具を備え、その操作具よりも後方側に運転座席、ならびにデフロックペダルを配設してある乗用型水田作業機であって、
前記デフロックペダルを、踏み込み操作によってデフロック状態となるデフロック作用姿勢と、踏み込み解除に伴ってデフロック状態が解除されるデフロック解除姿勢とに姿勢切換可能に構成し、前記操作具と前記デフロックペダルとを連係する連係機構を備えるとともに、
前記連係機構に、前記操作具の格納位置から作用位置への位置変更に伴って前記デフロックペダルがデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢に姿勢変更されるように操作具の位置変更操作をデフロックペダルに伝達し、かつ、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更操作が操作具を格納位置から作用位置へ位置変化させる方向の操作として伝わらないようにする一方向伝達機構を備えさせてあることを特徴とする乗用型水田作業機。 - 前記一方向伝達機構は、前記操作具の位置変更操作に連動して作動する第1操作伝達部材と、前記デフロックペダルの姿勢変更操作に連動して作動する第2操作伝達部材とを備え、
前記操作具による格納位置から作用位置への位置変更操作に伴う第1操作伝達部材の作動方向と、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更に伴う第2操作伝達部材の作動方向とが同方向となるように、前記第1操作伝達部材と前記操作具、及び前記第2操作伝達部材と前記デフロックペダルとを連係してあり、
前記操作具による格納位置から作用位置への位置変更操作に伴って前記第1操作伝達部材が前記第2操作伝達部材に接当して前記位置変更操作を前記第2操作伝達部材に伝達し、前記デフロックペダルのデフロック解除姿勢からデフロック作用姿勢への姿勢変更に伴って、前記第2操作伝達部材が前記第1操作伝達部材から離れる側に移動して前記姿勢変更操作が前記第1操作伝達部材に伝達されないように構成してある請求項1記載の乗用型水田作業機。 - 前記連係機構は、走行機体の機体一側方に沿って前後方向に配設された前後方向連係部材と、前記前後方向連係部材の後端部から前記前後方向連係部材が配設された側とは反対側の機体他側方に向けて延設された左右方向連係部材とを備え、前記前後方向連係部材の前端側に前記操作具を連係させてあり、前記左右方向連係部材の前記前後方向連係部材が配設された側とは反対側の端部に前記デフロックペダルを連係させてある請求項1又は2記載の乗用型水田作業機。
- 前記連係機構の前後方向連係部材は、前車軸ケースの上側を通るように配設されている請求項3記載の乗用型水田作業機。
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