JPS6210820Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はトラクターにおける変速操作機構に
関するものである。

多段の変速機構を備えている移動農機における
変速操作を簡易化するために、１本の変速操作レ
バーによつて行う変速操作機構が、耕耘機につい
て知られている。

しかしトラクタにおいては、変速機構の伝達す
べきトルクは、耕耘機に比べて非常に大きいもの
であるので、歯車の歯幅は大きくなつており、特
に充分に減速されている副変速機構の歯幅は大き
いものであるので、変速操作の際のシフト量は大
きくなるものである。

又、トラクタのミツシヨンケースは、左右横方
向の幅は狭く形成されており、特にその上部は、
乗降動作に支障がなくて乗車時の足元を広く確保
するために、なるべく幅を狭くしているため、変
速操作レバーの横方向移動動作をなるべく小さく
する必要がある。

そこでこの考案においては、変速操作レバーの
横方向移動動作ができるだけ小さくて済むように
工夫したものであつて、次の技術的手段を講じ
た。

即ち、互いに平行に変速操作が行われるように
設けた複数の主変速シフター２ａ，２ｂに対して
係脱できる変速操作レバー１５を設け、この変速
操作レバー１５の上記シフト動作を許すように係
合せしめた規制板７を上記シフター２ａ，２ｂの
シフト方向に対して直角の横方向移動できるよう
に設け、この規制板７に係合せしめたカムプレー
ト８を、規制板７の上記横方向移動動作によつて
幅変速シフター１２を高低速に切替え動作できる
ようにした変速操作機構において、上記カムプレ
ート８を、変速操作レバー１５による上記横方向
移動動作が拡大されるてこ状に形成したことを特
徴とするトラクタにおける変速操作機構である。

そしてこのように構成したので、この発明は、
次の技術的効果を得ることができた。

即ち、カムプレート８を、変速操作レバー１５
による横方向移動動作が拡大されるてこ状に形成
しているので、変速操作レバー１５をわづかに横
方向に移動すれば、副変速シフター１２は大きく
移動することになり、したがつて歯幅が大きく形
成されているトラクタの幅変速機構であつても確
実に副変速機構を切替操作できるのである。

又、このように副変速シフター１２の切替操作
に必要な変速操作レバー１５の移動操作はわづか
なもので良いので、このわづかな移動操作は、乗
降空間を狭くすることが無く、横幅の狭いトラク
タのミツシヨンケースにおいて特に都合が良い。

次にこの考案の具体的構造を図示の１実施例に
もとづいて説明すれば、第１図及び第３図のよう
に主チエンジギヤ１ａ，１ｂ，…を夫々係着した
複数の主変速シフター２ａ，２ｂ，…を、夫々の
主シフタステー３ａ，３ｂ，…にシフト自在に嵌
入し、又、これらの主シフタステー３ａ，３ｂ，
…は互に平行に、かつ、隣接間隔をできるだけ狭
く配設する。

そして主変速シフター２ａ，２ｂ，…には
各々、複数の係合溝２a₁，２a₂，…，２b₁，２
b₂，…，…を主シフタステー３ａ，…に対して直
角な方向に配列するように設け、しかも、他の主
変速シフターの係合溝が互に隣接するようにこれ
らの係合溝を入り組ませて配列する。

即ち、図示例においては、係合溝２a₁と２b₂
を、又、係合溝２a₂と２b₁を夫々、互に隣接して
設けている。そしてこれらの主シフタステー３
ａ，…を橋架しているミツシヨンケース４の上端
開口部に操作部蓋５を取付け、操作部蓋５の内部
に１体に形成した案内レール５ａと取付けした案
内レール６とによつて規制板７を主シフタステー
３ａ，…と直角な方向に摺動可能に支承し、規制
板７に係合突起７ａを上方へ突設している。そし
てこの係合突起７ａに嵌入する長孔８ａを１端に
設けたカムプレート８を、第１図のように変速操
作レバー１５に近い側に挿通したピン９にて案内
レール６の上面に枢着して、このカムプレート８
は規制板７と平行に回動可能に設け、このカムプ
レート８の他端に形成したカム部８ｂには係合溝
１０を穿設する。この係合溝１０はピン９を中心
として小さい半径の円弧溝部１０ａと、やや大き
い半径の円弧溝部１０ｂと、これらの円弧溝部１
０ａ，１０ｂの間を連絡する連絡溝部１０ｃとか
らなり、副シフタステー１１にシフト自在に嵌入
されている副変速シフター１２の係合突起１２ａ
に係合溝１０を係合している。

そして、第２図に示すように中央に切欠窓１３
ａを設けたチエンジガイド１３を規制板７の上方
にて案内レール５ａと６に取付け、チエンジガイ
ド１３と操作部蓋５の内面に当接するばね座１６
との間に介装したコイルばね１４にて変速操作レ
バー１５をその球部１５ａを中心に揺動自在に志
承し、規制板７の摺動方向と直角に規制板７に設
けた長孔７ｂと切欠窓１３ａとに変速操作レバー
１５の係合基部１５ｂを挿通して係合基部１５ｂ
の下端に形成した係合部１５ｃが主変速シフター
２ａ，２ｂ，…の係合溝２a₁，２a₂，…，２b₁，
２b₂，…に係合し、又は離脱できるように設けて
いる。

そして第１図においては主チエンジギヤ１ａ，
１ｂを軸方向にのみ摺動自在に嵌入したチエンジ
シヤフト１７に隣接して後輪駆動用のドライブピ
ニオンシヤフト１８をミツシヨンケース４に軸支
し主チエンジギヤ１ａの夫々の歯部１a₁，１a₂に
夫々、噛合いできる歯部１９ａ，１９ｂと、他の
主チエンジギヤ１ｂに噛合いできる歯部１９ｃと
を備えたカウンタギヤ１９をドライブピニオンシ
ヤフト１８に遊転し、又、チエンジシヤフト１７
の後部には副チエンジシヤフト２０を遊転自在に
軸支してギヤ２１と２２をこの副チエンジシヤフ
ト２０に嵌着し、このギヤ２１又は２２に夫々噛
合うギヤ２３又は２４をドライブピニオンシヤフ
ト１７の後部に夫々、遊転せしめ、ギヤ２３と２
４に夫々形成した歯部２３ａ又は２４ａに選択的
に噛合できる内歯を備えた副チエンジギヤ２５を
ドライブピニオンシヤフト１７に軸方向に摺動の
み自在に嵌入し、副変速シフター１２をこの副チ
エンジギヤ２５に係合している。そして、チエン
ジシヤフト１７の前部に軸支した入力軸２６の歯
部２６ａとカウンタギヤ１９と１体のギヤ２７を
噛合せ、又、ドライブピニオンシヤフト１８の回
転方向を逆転させるためのバツクギヤ２８を主チ
エンジギヤ１ｂのシフト動作によつて噛合いでき
るようにしている。

そして、変速操作レバー１５を操作して係合部
１５ｃを係合溝２a₁に係合したうえ、主変速シフ
ター２ａを第３図の矢線Ａ方向に移動させれば主
チエンジギヤ１ｂがバツクギヤ２８と噛合い、
又、係合突起１２ａは大径側の円弧溝部１０ｂに
嵌入するので副チエンジギヤ２５はギヤ２４の歯
部２４ａと噛合つて副変速部は低速段Ｌとなり、
このため、第５図の操作パターンにおいて後進１
速位置R₁となり、又、もし、係合部１５ｃを同
じ主変速シフター２ａの他の係合溝２a₂に係合し
て矢線Ａ方向に移動させれば係合基部１５ｂは規
制板７を矢線Ｂ方向に移動して係合突起７ａはカ
ムプレート８を第４図においてＣ方向に回動し、
係合突起１２ａは小径側の円弧溝部１０ａに嵌入
するので副チエンジギヤ２５はギヤ２３の歯部２
３ａと噛合つて副変速部のみ高速段Ｈとなるた
め、この位置では操作パターンにおいて後進２速
位置R₂となるものである。

そして係合部１５ｃを主変速シフター２ａ，２
ｂ…の１方の係合溝２a₁，２b₂に係合させたとき
は副変速シフター１２の係合突起１２ａは大径の
円弧溝部１０ｂに係合するため、副変速シフター
１２は前述の低速段Ｌに投入され、これに対して
係合部１５ｃを他方の係合溝２a₂，２b₁に係合さ
せれば、係合突起１２ａは小径の円弧溝部１０ａ
に係合するので副変速シフター１２は高速段Ｈに
投入されるものである。即ち、係合部１５ｃを係
合溝２a₁に係合して第３図の反矢線Ａ方向に移動
すれば前進１速位置Ｉが、又、係合溝２b₂に係合
して反矢線Ａ方向では前進２速位置が、又、矢
線Ａ方向では前進３速位置が夫々、得られ、係
合溝２a₂で反矢線Ａ方向では前進４速位置が、
又、係合溝２b₁で反矢線Ａ方向では前進５速位置
が、又、矢線Ａ方向では前進６速位置が、
夫々得られるようにしている。

そして、主変速操作レバー１５を各々のシフタ
ステーと平行に切替移動させれば、規制板７の長
孔７ｂにその移動範囲を規制されたこの主変速操
作レバー１５の係合部１５ｃが直接に夫々の主変
速シフター２ａ，２ｂ，…の何れかをシフトして
主チエンジギヤ１ａ，１ｂ，…の投入が行われ、
又、この主変速操作レバー１５をこれらのシフタ
ステーと直角方向に切替移動させれば、規制板７
はカムプレート８をピン９の廻りに回動させてカ
ム部８ｂの長孔８ａは副変速シフター１２を高速
段Ｈ又は低速段Ｌの何れかにシフトさせることに
なり、そして、カムプレート８は、変速操作レバ
ー１５に近い側をピン９にて枢着しているので、
変速操作レバー１５による横方向の移動操作はて
こ状に拡大されて変速操作レバー１５のこのわづ
かな横方向移動操作によつて副変速シフター１２
の変速切替操作が行われることになつたのであ
る。

【図面の簡単な説明】

各図はこの考案の変速操作機構を示すもので第
１図はミツシヨンケースの縦断面図、第２図は同
上変速操作機構の斜視図、第３図は主変速シフタ
ーを示す斜視図、第４図はカムプレートの斜視
図、第５図は変速操作レバーの操作パターンを示
す斜視説明図である。 符号説明、１ａ，１ｂ……主チエンジギヤ、１
a₁，１a₂，１９ａ，１９ｂ，１９ｃ，２３ａ，２
４ａ，２６ａ……歯部、２ａ，２ｂ……主変速シ
フター、２a₁，２a₂，２b₁，２b₂，１０……係合
溝、３ａ，３ｂ……主シフタステー、４……ミツ
シヨンケース、５……操作部蓋、５ａ，６……案
内レール、７……規制板、７ａ，１２ａ……係合
突起、８……カムプレート、７ｂ，８ａ……長
孔、８ｂ……カム部、９……ピン、１０ａ，１０
ｂ……円弧溝部、１０ｃ……連絡溝部、１１……
副シフタステー、１２……副変速シフター、１３
……チエンジガイド、１３ａ……切欠窓、１４…
…コイルばね、１５……変速操作レバー、１５ａ
……球部、１５ｂ……係合基部、１５ｃ……係合
部、１６……ばね座、１７……チエンジシヤフ
ト、１８……ドライブピニオンシヤフト、１９…
…カウンタギヤ、２０……副チエンジシヤフト、
２１，２２，２３，２４，２７……ギヤ、２５…
…副チエンジギヤ、２６……入力軸、２８……バ
ツクギヤ、Ｈ……高速段、Ｌ……低速段、R₁…
…後進１速位置、R₂……後進２速位置、……
前進１速位置、……前進２速位置、……前進
３速位置、……前進４速位置、……前進５速
位置、……前進６速位置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに平行に変速操作が行われるように設けた
   複数の主変速シフターに対して係脱できる変速操
   作レバーを設け、この変速操作レバーの上記シフ
   ト動作を許すように係合せしめた規制板を上記シ
   フターのシフト方向に対して直角の横方向移動で
   きるように設け、この規制板に係合せしめたカム
   プレートを、規制板の上記横方向移動動作によつ
   て副変速シフターを高低速に切替え動作できるよ
   うにした変速操作機構において、上記カムプレー
   トを、変速操作レバーによる上記横方向移動動作
   が、拡大されるてこ状に形成したことを特徴とす
   るトラクタにおける変速操作機構。