JPS6210418Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、オイルミストを分離除去してブロー
バイガスのみをエアクリーナ内に案内させる分離
器部を、エアクリーナのフイルターホルダーと一
体に形成することにより、構造の簡単化と保守の
容易化を図り、あわせて安価に製作できるように
した、エアクリーナのブローバイガス回収装置に
関するものである。

（従来の技術） ４サイクルエンジンにおいては、圧縮行程およ
び爆発行程のときにピストンとシリンダの間の隙
間からCO₂，CO，NOx，HC等のガスがクランク
ケース側に吹き抜ける。一般にこの吹き抜けガス
をブローバイガスと称しているが、このブローバ
イガスはクランクケース内のオイルの劣化やメタ
ルの酸化を促進させるので、ブローバイガスをク
ランクケース外に排出させる必要がある。この場
合、ブローバイガスを大気に排出したのでは大気
汚染の原因になるので、従来はブローバイガスを
エアクリーナまたは気化器に導入することにより
回収するようにしている。

しかしながら、クランクケースから排出される
ブローバイガス中にはクランクケース内で発生す
るオイルミストが含まれているので、これをその
ままエアクリーナまたは気化器からエンジンの燃
焼室に導びくと、オイルミストがエンジンの燃焼
に好ましくない影響を及ぼすことになる。そこで
これらを分離したCO₂，CO，NOx，HC等の成分
をエアクリーナまたは気化器に導入するのが望ま
しい。

この観点から、ブローバイガス中のオイルミス
トを除去し、オイルミスト除去後のブローバイガ
スを空気とともにエアクリーナ側に送るようにし
た、実開昭51−17626号の考案がある。この考案
のものは、新気の浄化を行なうフイルターと別に
ブローバイガス清浄用のフイルターを設け、この
フイルターでブローバイガス中のオイルミストを
除去するようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した先行技術のものでは、ブローバイガス
専用のフイルターを設けるので効率よくオイルミ
ストの除去が行なわれる利点はあるものの、ブロ
ーバイガス専用のフイルターは汚れやすいので頻
度高く交換しなければならない問題があり、さら
にこのフイルターを交換するためにケースをあけ
る手数がかかる問題点がある。さらにケースは、
ブローバイガス専用フイルターの交換に適した構
造とする必要があり、部品数が多くなりがちとな
る問題もある。

本考案はこれらの問題を解決することを目的と
して成されたもので、ブローバイガス専用のフイ
ルターを必要とせず、しかもオイルミスト除去の
ための部分をフイルターホルダーの一体成形で得
られるようにしたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するための手段とし
て、外面に気化器への接続口と、該接続口より低
い部位でクランクケースに連通するインレツト
と、該インレツトより更に低い部位でドレンパイ
プを接続するドレンアウトレツトとを有し、一
方、内面にはフイルターを支持する突条と、該突
条の内側にあつて前記接続口およびインレツトに
基部で連通し一部に設けた孔でドレンアウトレツ
トに連通する壁状の分離器部を一体に形成したフ
イルターホルダーを設け、該フイルターホルダー
の前記分離器部の先端に蓋体を取り付け、気化器
への接続口およびインレツトとドレンアウトレツ
トが外部に出るようにしてエアクリーナのケース
の一部に取り付けたものである。

（作用） このような構成とすれば、ブローバイガス中の
オイルミストは分離器部の内壁に付着することに
よりブローバイガス中から分離され、オイルミス
トが除去されたブローバイガスは分離器部より上
方に位置する気化器への接続口から気化器側に流
れ、一方、ブローバイガス中から分離されたオイ
ルミストはもつとも低い位置にあるドレンアウト
レツトからドレンパイプに流れることになる。し
たがつて気化器側にオイルミストが流れることが
なく、しかもオイルミストの分離にフイルターを
使用しないから、保守性も向上する。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図について説明す
る。第１図ないし第３図において１はエアクリー
ナであり、２はそのケースである。ケース２の一
部には孔３が設けられており、この孔３の部分
に、次に説明するフイルターホルダー４が取り付
けられる。フイルターホルダー４は、その外面に
気化器（図示せず）への接続口５と、この接続口
５より低い部位に位置して設けられた、エンジン
のクランクケース（図示せず）に連通するインレ
ツト６と、このインレツト６より更に低い部位に
位置して設けられたドレンパイプ（図示せず）接
続用のドレンアウトレツト７とを有し、一方、内
面にはフイルター８を支持する突条９と、この突
条９の内側にあつて接続口５とインレツト６に基
部で連通し一部に設けた孔１０でドレンアウトレ
ツト７に連通する壁状の分離器部１１とが一体に
形成されたものである。このフイルターホルダー
４は、樹脂によるブロー成形で製作することによ
り、接続口５、インレツト６、ドレンアウトレツ
ト７、突条９および分離器部１１のすべてを一体
に製作することができる。

このように構成されたこのフイルターホルダー
４は、第３図に示すように、壁状の分離器部１１
の先端に蓋体１２を取り付け、第２図に示すよう
に接続口５、インレツト６およびドレンアウトレ
ツト７が孔３の外部に出るようにして、エアクリ
ーナ１のケース２に取り付ける。なお、蓋体１２
には第３図および第４図に示すように他の部分よ
り僅か高くしたリブ１３が設けられており、この
リブ１３が分離器部１１の内側に嵌合して、気密
性を保つようにしてある。蓋体１２が取り付けら
れた分離器部１１の内部は、分離室１４となり、
孔１０より低くドレンアウトレツト７に連通する
部分は液受部１５となる。

このエアクリーナを使用するときには、接続口
５をホースで気化器の空気入口に接続し、インレ
ツト６をパイプでエンジンのクランクケースに接
続する。また、ドレンアウトレツト７には下端を
適当なドレン受けに開口したパイプの上端を接続
する。この状態でエンジンを作動させると、ケー
ス２の一部に設けられた空気吸入口（図示せず）
から入つた空気はフイルター８の外側からフイル
ター８を通つてその内側に入り、フイルター８
で、塵埃を除去された空気はフイルター８の内側
のクリーン室１６（第２図、第３図参照）を通
り、接続口５から気化器に向かうことになる。

一方、クランクケースからパイプで導びかれイ
ンレツト６に入るブローバイガスは、分離室１４
内に入つてその内壁に衝突する。このとき比重が
異なるオイルミストと他の成分（ガス成分）とは
分離し、オイルミストは分離室１４の内壁を伝わ
つて下方に流れ、孔１０から液受部１５に入り、
ドレンアウトレツト７から外部に排出される。オ
イルミストの除去されたブローバイガスは分離室
１４の上方から接続口５内に入り、クリーン室１
６から気化器に向かう空気と共にエンジン側に導
びかれる。

（考案の効果） 本考案は以上説明したような構成のブローバイ
ガス回収装置であるから、オイルミスト除去の重
要な部分の蓋体以外のものをフイルターホルダー
と一体成形で得ることができるので、オイルミス
ト用のフイルターを設けるものに比べ、構造簡
単、製作容易、そして安価に製作できる利点があ
る。また、オイルミストの除去にフイルターを使
用しないから、そのためのフイルター交換が不要
となり、保守性が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るブローバイガス回収装置
を適用したエアクリーナの正面図、第２図は第１
図の−線断面図、第３図は第１図の−線
断面図、第４図は第２図および第３図に示した蓋
体の正面図である。 １……エアクリーナ、２……ケース、３……
孔、４……フイルターホルダー、５……接続口、
６……インレツト、７……ドレンアウトレツト、
８……フイルター、９……突条、１０……孔、１
１……分離器部、１２……蓋体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外面に気化器への接続口と、該接続口より低い
   部位でクランクケースに連通するインレツトと、
   該インレツトより更に低い部位でドレンパイプを
   接続するドレンアウトレツトとを有し、一方、内
   面にはフイルターを支持する突条と、該突条の内
   側にあつて前記接続口およびインレツトに基部で
   連通し一部に設けた孔でドレンアウトレツトに連
   通する壁状の分離器部を一体に形成したフイルタ
   ーホルダーを設け、該フイルターホルダーの前記
   分離器部の先端に蓋体を取り付け、気化器への接
   続口およびインレツトとドレンアウトレツトが外
   部に出るようにしてエアクリーナのケースの一部
   に取り付けたことを特徴とするエアクリーナのブ
   ローバイガス回収装置。