JPS6242098Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダとピストンとの気密の不完
全によつて、クランクケースに吹抜ける圧縮ガ
ス、燃焼ガス及びエンジンオイル蒸発ガス所謂ブ
ローバイガスを二次空気供給装置を利用して排気
通路に導き、ブローバイガス中の未燃成分を再燃
焼させる自動二輪車用ブローバイガス浄化装置に
関するものである。

（従来の技術） ブローバイガスを二次空気供給装置を利用して
排気通路に導き、ブローバイガス中の未燃成分を
再燃焼させることのできる装置として、従来実開
昭54−180824号公報に記載の二次空気導入装置が
ある。この二次空気導入装置は、排気の圧力脈動
に応じて開閉する逆止弁を介して大気と排気系と
を連通し、排気系に二次空気を導入する装置にお
いて、ロツカカバーの内部空間及びこれと連通す
るクランクケースの内部空間を消音用膨張室とな
し、該膨張室を介して逆止弁の上流側と大気とを
連通したものであつて、これの主たる目的は逆止
弁の開閉に伴つて透過してくる排気騒音を低減す
るにある。

そして副次的にロツカカバーおよびクランクケ
ースの内部空間に吹き抜けたブローバイガスを二
次空気と共に管路にて逆止弁に導き、二次空気導
入通路により排気マニホールドに導いて燃焼する
ものである。

（考案が解決しようとする問題点） ところで上記の二次空気導入装置では、二次空
気がエアクリーナの上流側から管路を経てロツカ
カバーの内部空間及びクランクケースの内部空間
を通り、ここでブローバイガスと共に管路を経て
逆止弁へと流入し、二次空気導入通路より排気マ
ニホールドへと導かれる。従つて二次空気中には
大気中の塵芥が混入していて、これが二次空気導
入通路に流入し、排気マニホールド或はマフラに
塵芥が残留することとなつて、エンジン出力に大
きく影響することとなる。また、上記の二次空気
導入装置は、エアクリーナの前後に２本の管路が
取付けられているのでエアクリーナの分解整備性
が甚だ悪いものである。さらに上記の二次空気導
入装置は配管の本数が多く、しかも長く引き廻し
ているので、広い配管スペースを必要とし、エン
ジン周辺をコンパクトにまとめることが難しく、
自動二輪車には適用できないものである。またさ
らに上記の二次空気供給装置ではブローバイガス
及びオイルミストがクランクケースへの管路の接
続部バツフルケース内のフイルタに捕捉される結
果、フイルタが詰まり、二次空気及びブローバイ
ガスの透過も困難となる。しかもエンジンのブリ
ーザ機能を有しないのであるから、自動二輪車の
エンジンには適用できないものである。

そこで本考案は、これらの問題点を全て解決す
ることのできる自動二輪車用ブローバイガス浄化
装置を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するための本考案の自動二輪
車用ブローバイガス浄化装置は、排気脈動の負圧
を利用して二次空気を排気通路に供給する二次空
気供給装置に、ブローバイガスの全部又は一部を
二次空気と共に導き、ブローバイガス中の未燃成
分を再燃焼させるようにしたブローバイガス浄化
装置に於いて、クランクケース上方後部ブリーザ
室からブローバイガス導管を、エアクリーナ下部
からエアクリーナ下流側空気室へ通し、エアクリ
ーナ下流側空気室上部に二次空気供給管の空気取
入口を連通し、その二次空気供給管の空気取入口
よりも下流位置に前記ブローバイガス導管の先端
を連通したことを特徴とするものである。

（実施例） 本考案による自動二輪車用ブローバイガス浄化
装置の一実施例を４サイクルエンジンに適用した
場合を図によつて説明すると、１はエアクリー
ナ、２はキヤブレター、３はシリンダ、４はピス
トン、５はクランクケースで、その下部にエンジ
ンオイル６が貯留され、上方後部にブリーザ室７
が設けられている。前記エアクリーナ１の下流側
空気室上部に二次空気供給装置の二次空気供給管
８の空気取入口が連通され、二次空気供給管８の
他端が排気通路９に接続されている。この二次空
気供給管８の排気通路９に近い部分にはリード弁
１０が設けられていて、このリード弁１０は排気
通路９内が排気脈動により負圧になつた時だけ開
き、正圧になつた時は閉じて逆流を防止する所謂
逆止弁である。クランクケース５のブリーザ室７
からのブローバイガス導管１１はエアクリーナ１
の下部からエアクリーナ１の下流側空気室へ貫通
されて、その先端が前記二次空気供給管８の空気
取入口よりも下流位置に連通されている。１２は
排気通路９に接続した排気管で、末端がマフラ
（図示省略）に接続されている。

かように構成された本考案の自動二輪車用ブロ
ーバイガス浄化装置によれば、ピストン４とシリ
ンダ３との隙間からクランクケース５内に吹抜け
たブローバイガスは、ブリーザ室７内に入り、こ
こでブローバイガス中のオイル分の大部分が分離
される。ブローバイガスはその後ブローバイガス
導管１１を通つて二次空気供給管８内に入り、ブ
ローバイガス及びオイルミストが滞留する。その
際、二次空気供給管８の管壁面に付着したオイル
は、二次空気供給管８の上流側に流れ、ブローバ
イガス導管１１を通してブリーザ室へ滴下する。
そして排気通路９内が排気脈動により負圧になる
度毎にリード弁１０が開かれて、二次空気供給管
８内に滞留するブローバイガスがエアクリーナ１
からの塵芥等の除去された二次空気と共にリード
弁１０を通つて排気通路９に吸引される。

かくして排気通路９内で二次空気及びブローバ
イガスはシリンダ３から排出された燃焼ガスと混
合し、燃焼ガス及びブローバイガス中のCO，HC
等の末燃有害成分は二次空気の助けをかりて再燃
焼し、排気管１２を通つてマフラ（図示省略）よ
り大気に放出される。この際燃焼用の二次空気に
塵芥等が混入していないので、排気管１２、マフ
ラ（図示省略）等が汚損されることがない。

（考案の効果） 以上詳記した通り本考案による自動二輪車用ブ
ローバイガス浄化装置は、大気から塵芥等を全く
混入することなく二次空気を吸入し、排気管、マ
フラ等を汚損することなく、完全にブローバイガ
スを燃焼させ浄化させることができる。またエア
クリーナエレメントと関係なくエアクリーナの下
流側空気室にて二次空気供給管とブローバイガス
導管を連通しているので、エアクリーナの分解整
備性が向上する。さらにブローバイガス導管をエ
アクリーナの下部とエアクリーナの下流側空気室
内にあらしめているので、配管スペースを必要と
せず、エンジン周辺をコンパクトにまとめること
ができて自動二輪車用として好適なものとなる。
またさらにブローバイガス及びオイルミストがブ
ローバイガス導管から二次空気供給管内で滞留さ
せることができるので、管壁面へオイルを付着さ
せ、オイルをブローバイガス導管を通してブリー
ザ室へ滴下させることができるので、自動二輪車
用の小型高性能エンジンのブリーザ機能を向上さ
せることができる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案による自動二輪車用ブローバイガス
浄化装置の一実施例を示すもので、４サイクルエ
ンジンに備えた場合の要部断面図である。 １……エアクリーナ、２……キヤブレター、３
……シリンダ、４……ピストン、５……クランク
ケース、６……エンジンオイル、７……ブリーザ
室、８……二次空気供給管、９……排気通路、１
０……リード弁、１１……ブローバイガス導管、
１２……排気管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排気脈動の負圧を利用して二次空気を排気通路
   に供給する二次空気供給装置に、ブローバイガス
   の全部又は一部を二次空気と共に導き、ブローバ
   イガス中の未燃成分を再燃焼させるようにしたブ
   ローバイガス浄化装置に於いて、クランクケース
   上方後部のブリーザ室からのブローバイガス導管
   を、エアクリーナ下部からエアクリーナ下流側空
   気室へ貫通し、エアクリーナ下流側空気室上部に
   二次空気供給管の空気取入口を連通し、その二次
   空気供給管の空気取入口よりも下流位置に前記ブ
   ローバイガス導管の先端を連通したことを特徴と
   する自動二輪車用ブローバイガス浄化装置。