JPS6210183B2 - - Google Patents

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JPS6210183B2
JPS6210183B2 JP55019057A JP1905780A JPS6210183B2 JP S6210183 B2 JPS6210183 B2 JP S6210183B2 JP 55019057 A JP55019057 A JP 55019057A JP 1905780 A JP1905780 A JP 1905780A JP S6210183 B2 JPS6210183 B2 JP S6210183B2
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JP
Japan
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thin film
film layer
transparent
silver
copper
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JP55019057A
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JPS56117643A (en
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Toshiaki Yatabe
Toshio Nishihara
Masao Suzuki
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP1905780A priority Critical patent/JPS56117643A/ja
Publication of JPS56117643A publication Critical patent/JPS56117643A/ja
Publication of JPS6210183B2 publication Critical patent/JPS6210183B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、片面或いは両面を透明薄膜層によつ
ておおわれた銀、白金及び銅からなる単一あるい
は積層された金属薄膜層を有する積層体に関す
る。更に詳しくは、透明導電性及び/又は選択光
透過性を有する上記積層体に関する。 透明導電性被膜は、その導電性を利用した用
途、例えば液晶デイスプレー用電極、電場発光体
用電極、光導電性感光体用電極、帯電防止層、発
熱体等のエレクトロニクス、電気の分野の用途に
広く利用されている。 選択光透過性被膜は、可視光域の光に対して透
明であるが、赤外光(近赤外光を含む)に対して
は反射能を有しているので透明断熱膜としても有
用である。従つて太陽エネルギー集熱器(温水
器)、太陽熱発電、グリーンハウス、建築物の窓
部等に使用され得る。特に近代建築物において、
壁面の大きな割合を占める窓からの太陽エネルギ
ー利用及びエネルギー放散を防げる透明断熱窓と
しての機能は今後益々重要性を増す。又、例えば
野さい、かんきつ類等の農業、果実等の栽培に必
要なグリーンハウス用フイルムとしてその重要性
は大きい。 この様に、透明導電性被膜および選択光透過膜
はエレクトロニクス、太陽エネルギー利用の観点
から重要であり、均質で高性能な膜が工業的に安
価に且つ大量に供給されることが当該業界から望
まれていた。 透明導電性被膜として、従来から知られている
ものは、 金、銅、銀、パラジウム等の金属薄膜、 酸化インジウム、酸化スズ、ヨウ化銅等の化
合物半導体膜、および 金、銀、銅、パラジウム等の導電性金属膜を
ある波長領域にわたり選択的に透明にしたもの が知られている。赤外光反射能の高い選択透過膜
として、数千オングストロームの膜厚の酸化イン
ジウム膜又は酸化錫膜、および金属膜と透明導電
体膜の積層膜等が知られている。しかしながら、
すぐれた性能の透明導電性膜又は選択光透過膜が
工業的に安価に製造されるの至つていないのが現
状である。 即ち、上記の金属薄膜は、金属が広い波長領
域にわたり反射能又は吸収能が高いため、可視光
透過率の高いものが得られ難い。可視光透過率を
高めると、導電性又は赤外光反射能が著しく低下
する。導電性又は赤外光反射能を高めるために、
金属薄膜の膜厚を高めると、可視光透過率が著し
く低下するので、両者の性質がすぐれた透明導電
性被膜又は選択光透過膜が得られない。 上記の化合物半導体薄膜は、例えば真空蒸着
法、スパツタリング法等の真空中における薄膜形
成法で形成されるが、真空中における化合物の蒸
発による方法では、蒸発化合物の分解にともなう
問題、被膜特性を均一に制御するために膜形成速
度が実際上遅いこと、蒸発源の大きさが制限され
るため大面積基板への適用が制約される問題等、
工業生産性に欠け、安価な製品となり得ない。酸
化インジウム等の半導体で、すぐれた透明導電性
又は選択透過性膜を得るために、数千オングスト
ローム程度の膜厚の酸化インジウム等の半導体被
膜が提案されているが、膜の生産速度が著しく遅
くなるばかりでなく、貴重なインジウム等の資源
を多く消費することになり、その結果、膜の製造
コストが著しく高くなる。更に又この膜では赤外
光反射能又は導電性の充分に高いものが得られて
いない。 上記の透明導電性膜又は選択光透過性膜の代
表的な構成は、金属薄膜を透明高屈折率薄膜では
さんだ積層体であり、例えば真空蒸着、反応性蒸
着又はスパツタリングで形成されたBi2O3/Au/
Bi2O3、ZnS/Ag/ZnS又はTiO2/Ag/TiO2等の
サンドイツチ状構造の積層体が提案されている。
金属層として銀を用いたものは、銀自体がもつ光
学的特性により、可視光領域における透明性及び
赤外光に対する反射特性が特に優れていること、
また導電性においても好ましい特性を有している
こと等の点から材料として特に優れている。 しかしながら、透明高屈折率薄膜層によりおお
われた銀薄膜層からなる積層体は、熱、光、ガス
及びその他の汚染物質により特性の劣化がおこ
り、環境安全性において著しい問題があつた。こ
の劣化の原因の多くは環境因子による銀の表面拡
散あるいは腐蝕による為、この改善は非常に重要
な問題となつていた。 本発明者らは、かかる欠点のない優れた透明導
電性及び(又は)選択光透過性を有する積層体に
関して研究し、特定量の銅を含有する銀を金属層
に用いれば熱及び光に対する性能の劣化が大巾に
改善出来ることを知り、先にこれを提案した。ま
た具体的な用途、例えば建物用の窓に用いるには
更に耐久性を向上する事が望まれていたので上記
積層体に関して研究し特定量の金を含有する銀を
金属層に用いれば環境ガス及び汚染物質等に対す
る耐久性が飛躍的に向上する事も見出した。 しかるに、特に、建物用の窓等に貼付ける事を
考慮した場合、建物の耐用年数および窓硝子等の
耐用年数に匹敵させるには、上記積層体の総合的
な環境安定性を更に向上させる必要があり、この
目的で本発明者らは鋭意研究した結果、白金及び
銅を含有する銀を金属層に用いれば耐久性が更に
大巾に向上すること、更に特定量の白金及び銅含
有率の場合特に効果が大きい事を知り本発明に到
達した。 すなわち本発明は 1 成型物基体と、片面あるいは両面を透明薄膜
層(B)によつておうわれた金属薄膜層(A)とからな
る積層体において、該金属薄膜層(A)が銀を主成
分とし白金および銅を含む単一あるいは積層さ
れた金属薄膜層であり且つ白金と銅の含有率が
銀、白金及び銅の総重量に対して白金が0.1重
量%から10重量%、銅が0.5重量%から30重量
%である事を特徴とする積層体。 2 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が透明高屈
折率薄膜層(B―1)を含む上記第1項記載の
積層体 3 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が酸化チタ
ン薄膜層(B―2)、酸化ビスマス薄膜層(B
―3)又は硫化亜鉛薄膜層を含む上記第1〜第
2項記載いずれかの積層体。 4 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が有機チタ
ネート化合物から形成された酸化チタン薄膜層
(B―21)を含む上記第1項〜第3項記載のい
ずれかの積層体。 5 金属薄膜層(A)に積層された透明薄膜層(B)が透
明高屈折率薄膜層(B―1)及び透明保護薄膜
(B―5)からなる上記第1項〜第4項記載の
いずれかの積層体及び 6 成型物基体上に透明高屈折率薄膜層(B―
1)、金属薄膜層(A)、透明高屈折率薄膜層(B
―1)及び透明保護薄膜(B―5)が上記の順
序で積層されなる上記第1項〜第4項記載のい
ずれかの積層体である。 本発明で用いられる成型物基体とは有機系、無
機系成型物基体およびそれらの複合成型物基体の
いずれでもよいが有機系成型物基体が好ましい。
有機系成型物基体の素材としては、例えばポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタ
レート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタ
ール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリアミド樹脂、フツ素樹脂等の熱可塑性樹
脂、更には例えばエポキシ樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、ケイ素樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、フエノール系樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性
樹脂、更にはポリビニルアルコール、ポリアクリ
ルニトリル、ポリウレタン、芳香族ポリアミド、
ポリイミド樹脂等の溶剤可溶型樹脂等があげられ
る。これらは単独重合物又は共重合物として単独
又は2種以上の混合物として用いられる。これら
の成型物は板状、シート状、フイルム状、棒状、
糸状、ブロツク状又はパイプ状等の任意の型に成
型されており、必ずしも平面的な板状物に限定さ
れない。また、その目的に応じ着色、無着色、透
明、不透明のものが選ばれる。 就中、可撓性の透明フイルム又はシートが好ま
しい。 かかるフイルムの中でも、可視光透過率80%以
上、厚さ10〜250μmのフイルムが好ましく、ポ
リエチレンテレフタレートの上記特性を有するフ
イルムが特に好ましい。 本発明の積層体は前記成型物基体上に、前記の
如く片面或いは両面を透明薄膜層(B)によつておお
われた金属薄膜層(A)が設けられているのである
が、かかる金属薄膜層(A)は銀、白金及び銅からな
る単一あるいは積層された金属薄膜である。単一
層の場合、銀原子、白金原子および銅原子が共存
している状態の金属薄膜層を意味し、それは完全
に均一な場合もあり、又ある程度不均一である場
合もあるが少くとも単一層として存在するのであ
る。 本発明の目的とする積層体における、銀、白金
および銅からなる単一あるいは積層された金属薄
膜層は種々の方法で造りうる。 例えば、銀、白金及び銅の合金を用いて真空蒸
着やスパッタリングを行なえば、銀、白金及び銅
の共存する単一な金属薄膜層を得る事ができる。
或いは銀、白金及び銅を別々に真空蒸着やスパツ
タリングする多元蒸着法又は多元スパツタリング
法によれば、銀、白金及び銅の共存する単一な金
属薄膜層又は銀、白金及び銅を目的とする順位で
積層させた金属薄膜層を得る事が可能である。 いずれの方法により作成された金属薄膜層も、
銀、白金及び銅が共存する事によつて本発明の目
的を達成し得る。 かかる銀、白金及び銅の共存により、銀のみあ
るいは銀と銅だけあるいは銀と金だけが共存する
金属薄膜層を形成せしめた際の欠点、即ち環境条
件による劣化を防止する事が可能となる。 例えばTiO2/Ag/TiO2なる構成の膜は、 (イ) 60℃〜200℃の高温環境下におかれた場合、 (ロ) 空気中で強い光照射をうけた場合、又は比較
的弱い光でも長時間照射をうけた場合、 (ハ) 例えば硫化水素等のイオウを含むガス又はオ
ゾン等の反応性ガス雰囲気環境下におかれた場
合、 (ニ) 例えば海水等の腐蝕性塩分を含む環境下ある
いは次亜塩素酸ソーダ水溶液の家庭用漂白剤等
の酸化性雰囲気におかれた場合、 等、積層体のおかれた環境条件によつて、その性
能の劣化、特に導電性、赤外光反射能及び/又は
可視光透過率の劣化が激しくおこる。このような
環境条件による劣化は、主として銀の透明薄膜層
(B)への拡散及び腐蝕によることが、本発明者らの
研究により判明した。 本発明者らはかかる銀の拡散は、銀と銅あるい
は銀と金を共存させればかなり阻止できる事を先
に見い出した。 銀と銅の共存は光劣化に対する安定化作用が強
く、銀と金の共存は熱劣化に対する安定化作用が
強い。 銀より卑な金属である銅は、化学的活性度が銀
より高いために光照射の際の失活点として作用す
るが、化学的劣化に対しては弱い。 銀より貴な金属である金は、化学的活性度が銀
より低いために耐熱性及び化学的特性の安定化に
寄与していると思われる。すなわち銀より化学的
に活性度の高い銅を銀に共存させた場合、化学的
な安定性は銀より低下する恐れがあり、銀より化
学的に不活性な金を銀に共存させた場合、化学的
な安定性は銀より向上する可能性がある。 本発明における白金の及ぼす効果も金と同等と
考えられる。しかるに本発明者らは更に検討を進
めた結果金属薄膜層を銀、白金及び銅の総重量に
対して白金を0.1〜10重量%かつ銅を0.5〜30重量
%を共存せしめた銀、白金及び銅からなる単一あ
るいは積層された金属薄膜層で構成する事によつ
て、上記銀の透明薄膜層内への拡散現象が高度に
抑制されかつ環境汚染因子に対する耐蝕性が著し
く向上する事を発見した。 銀に対する上記特定範囲の少量の白金と銅の添
加によつて、必ずしも合金を形成しているとはい
えない単一層更には明らかに分離している積層の
金属層に対して達成された上記諸改善効果は意外
な結果であつた。 合金に関するTamman則によれば、(例えば
Annaien Der Physik、V Folge、Band1,
1929Page309―317)卑な金属にそれより貴であ
る金属を50atomic%以上添加して得られた合金
(例えば銅に対して68wt%以上の金を添加した合
金)は化学的な安定性が貴である金属とほぼ同等
になると言われている。Tamman則は経験的な法
則であるが現在でも金属学の広い範囲にわたつて
認められている。Tamman則によると例えば銀に
対し50atomic%以上の白金を含む合金(すなわ
ち約65wt%以上)は、白金とほぼ同等の化学的
安定性を示す訳である。 更に、このTamman則は充分に焼なましたバル
ク合金に関してであるが、本発明で使用される様
な薄膜の金属層の場合には表面積の非常な拡大、
蒸着やスパツタリングによる表面の不均一性、結
晶学的欠陥の増加、蒸着やスパツタリングにより
形成された新生表面の活性度の増加等の影響によ
り、Tamman則で述べられたバルクの耐蝕性合金
の場合よりもさらに多量の貴な金属の添加を必要
とすると考えられる。つまり銀を主成分とする金
属薄膜層の化学的安定性を、白金のそれに近ずけ
る様に増すためには、例えば白金を50atomic%
以上即ち、約65重量%以上添加しなければならな
い事が予想される。更に銀を主成分とする金属薄
膜層が銅の様な卑な金属を含む場合には更に白金
の添加量を増加させる必要のある事が予期され
る。 しかしながら、この様な予想に反して本発明の
積層体においては、金属薄膜層の構成分である
銀、白金及び銅の総重量に対して白金を0.1〜10
重量%、かつ銅を0.5〜30重量%含む銀、白金及
び銅からなる単一あるいは積層された金属薄膜層
とする事によつて光や熱に対する耐久性、耐薬品
性及び耐腐蝕性等の諸特性が改善され、従来提案
における問題点が一挙に克服できるという予想外
且つ驚くべき結果が達成されたのである。 本発明において、上記少量の白金及び銅を銀に
添加して得られる耐光性、耐熱性、耐薬品性及び
耐腐蝕性の向上する作用機構はまだ明らかではな
いが、少量の白金の存在は、金属薄膜層の化学的
安定性を増加させるとともに、銀の散乱損失の少
い緻密な膜を形成し得るためと推測される。又、
銅の存在は、銀が光劣化する際の光活性化の失活
点として作用するとともに銀薄膜の機械的特性の
改善に作用があるものと考えられる。 銀に共存させる白金および銅の量はごく少量で
も効果はあるが90℃における耐熱劣化時間(10μ
mの赤外線の反射率が80%に低下するまでの時
間)およびカーボンアーク照射光劣化時間がいず
れも1000hr以上になるためには、白金は0.1重量
%以上、銅は0.5重量%以上が好ましい。更に好
ましくは白金を0.5重量%以上銅は3重量%以上
にすると耐久性は1段と向上する。 又一般に銀薄膜層への白金属金属の添加は銀薄
膜層の有する光学特性を低下させる作用がありこ
の点から白金の銀薄膜層への添加は10重量%を越
えない事が必要である。また銅の含有量は30重量
%を超えると環境安定性が著しく低下しまた光学
的特性も低下し好ましくない。これらの点から金
属薄膜層に含まれる白金は少くとも0.1重量%か
ら10重量%が好ましく、銅は少くとも0.5重量%
から多くとも30重量%が好ましい。又特に好まし
くは白金が0.5重量%から5重量%、銅が3重量
%から15重量%であることが好ましい。 金属薄膜の膜厚は透明導電性膜又は選択光透過
膜としての要求特性をもてば別に限定されるもの
ではないが、赤外光反射能又は導電性をもつため
には、少くともある程度の領域で連続性をもつこ
とが必要である。島状構造より連続構造にうつる
膜厚として約50Å以上、又太陽エネルギーに対す
る透明性の点より500Å以下が好ましい。金属薄
膜層の膜厚は、より薄い程光透過領域が広がるの
で、透明性を増すためには250Å以下の膜厚がよ
く、充分な導電性又は赤外光反射能をもたせるた
めには70Å以上の膜厚が好ましい。 金属層(A)が積層された金属層である場合におい
ても積層された金属層の総膜厚が上記範囲内にあ
る事が好ましく、各金属層の膜厚を制御する事に
よつて、各金属の含有率を変化させうることがで
きる。 本発明においては、前記した如く合金という状
態をとらなくても、前記した如き成分金属の効果
が発揮されるのであり、通常金属学で考えられて
いる異種金属添加効果からは予測しがたい作用が
発現されているものと推察される。 金属薄膜層(A)を形成する方法は、前記した如く
例えば真空蒸着法、カソードスパツタリング法、
化学メツキ法、電気メツキ法及びそれらの組合せ
方法のいずれでも可能であるが、成型物基板を用
いた場合の積層体において、基板であるシート、
フイルム等の表面が平滑な場合、形成薄膜の均一
性、製造の容易性及び膜形成速度の点から、特に
真空蒸着法が適している。 又、被膜中の銀、白金及び銅の組成を被膜形成
中でできるだけ均一に保つ為には、合金又は多元
のスパツタリング法が適しており、また真空蒸着
法においても多元蒸着法又は合金試料と電子ビー
ム加熱法、高周波誘導加熱法、抵抗加熱法、フラ
ツシユ蒸着法等の組合せが好ましい。 以上詳説した金属薄膜層(A)はその片面或いは両
面を透明薄膜層(B)でおおわれているのであるが、
以下その透明薄膜層(B)につき詳説する。本発明に
おける透明薄膜層は透明高屈折率薄膜(B―1)
及び/又は透明保護膜(B―5)からなる。 透明薄膜層を構成する透明高屈折率薄膜(B―
1)としては金属層における反射を防止する効果
を有するものならば特に限定されるものではない
が、可視光に対して1.6以上、好ましくは1.7以上
の屈折率を有し、可視光透過率80%以上、好まし
くは90%以上であるのが効果的である。又その膜
厚は、50〜1000Å、好ましくは100〜500Åであ
る。これらの条件を満たすものとして例えば二酸
化チタン、酸化チタン、酸化ジルコン、酸化ビス
マス、硫化亜鉛、酸化錫および酸化インジウム等
の薄膜層等があげられる。これらの薄膜層は、ス
パツタリング、イオンプレーテイング、真空蒸
着、湿式塗工等の方法によつて設けることができ
る。 本発明の目的にかなう透明高屈折率薄膜(B―
1)としては酸化チタン(B―2)、酸化ビスマ
ス(B―3)又は硫化亜鉛(B―4)のいずれか
より形成された透明高屈折率薄膜層が好ましい。 更に、透明高屈折率薄膜としては、可視光屈折
率、透明性等の光学的特性の優秀さより酸化チタ
ン薄膜層(B―2)が特に好ましく、酸化チタン
薄膜層(B―2)は有機チタネート化合物より形
成される酸化チタン薄膜層(B―21)あるいは真
空蒸着及びスパツタリング等で形成される酸化チ
タン薄膜層(B―2)のいずれであつても良い。 真空蒸着あるいはスパツタリングで形成される
酸化チタン薄膜層(B―2)は公知の方法で形成
が可能である。スパツタリングの場合、低温マグ
ネトロンスパツタリング法により、酸化チタンの
アルゴンガススパツタリングあるいは金属チタン
に酸素を導入した反応性スパツタリングで形成す
る事ができる。また真空蒸着法によれば電子ビー
ム等を利用して酸化チタン薄膜層(B―2)を形
成する事が可能である。またこの様に形成された
酸化チタン薄膜層(B―2)が特性に影響のない
程度の窒化チタンを含有していても本発明の目的
には何らさしつかえがない。 有機チタネート化合物より形成された有機物質
を含む酸化チタン薄膜層(B―21)は、例えばア
ルキルチタネートを主成分とする溶質の有機溶剤
溶液を用いることにより設けることができる。該
アルキルチタネートは、一般式 TilOnRo(但し、Rはアルキル基、l、m、nは
正の整数)で表わされる。 上記の一般式で表わされるアルキルチタネート
のうち、とりわけm=4+(l―1)×3、n=4
+(l−1)×2、l=1〜30のものが膜形成(例
えば塗工)の容易さや得られた誘電体層の特性の
点から好ましく用いられる。lの値は、単一でな
く分布をもつていてもよいが、特にlの値の分布
が15以下に最大値を有するアルキルチタネートは
塗工溶溶液粘度および加水分解性において好まし
い。上記の一般において、アルキル置換基Rは炭
素数1〜20のものが好ましく用いられる。特に炭
素数が2〜11のアルキル置換基のものは被膜形成
操作、例えば塗工の容易さ、更には加水分解速
度、得られた膜の機械的特性および透明性の点で
好ましく用いられる。なお、上記アルキルチタネ
ートの二種以上の混合物を用いてもよい。該アル
キルチタネートは、有機溶剤に溶解せしめて溶液
となし、成型物表面に塗付されると加水分解さ
れ、それに続く縮合反応により脱アルキルハイド
ロオキサイド化し、網目構造を形成する。塗工の
条件を選ぶことにより、アルキルチタネートは酸
化チタンに近づく。 本発明の積層体に用いられるアルキルチタネー
トとしては、例えばテトラブチルチタネート、テ
トラエチルチタネート、テトラプロピルチタネー
ト、テトラステアリルチタネート、テトラ―2―
エチルヘキシルチタネート、ジイソプロボキシチ
タニウムビスアセチルアセトネート等があげら
れ、とりわけテトラブチルチタネート、テトラプ
ロピルチタネートが好ましく用いられる。これら
のアルキルチタネートはそのまま用いてもよく、
また2量体、4量体、10量体などの予備縮合をし
たものも好ましく使用できる。 更に又これらアルキルチタネートをアセチルア
セトンの様なもので安定化させて使用してもよ
い。 アルキルチタネートによる被膜形成において一
般的に用いられる有機溶剤としては、アルキルチ
タネートを充分に溶解し、且つ成型物基板が用い
られるなら、その成型物表面に親和性を有し、塗
布し易くしかも塗布後乾燥し易い溶剤が好まし
い。この様な有機溶剤としては、例えばヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチ
ルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレ
ン、オクテン、ノネン、ソルベントナフサ、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノ
ール、ペンタノール、シクロヘキサノール、メチ
ルシクロヘキサノール、フエノール、クレゾー
ル、エチルエーテル、プロピルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、シクロヘ
キサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルアセテート、エチルアセテー
ト、プロピルアセテート、ブチルアセテート、エ
チルプロピオネート、メチルベンゾエート、氷酢
酸、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、ト
リクロエタン、クロルベンゼン、ジプロモエタ
ン、メチルセロソルプ、セロソルプ、セロソルブ
アセテート等の炭化水素系、アルコール系、エー
テル系、エステル系、カルボン酸系およびハロゲ
ン置換炭化水素系等の有機溶剤があげられる。と
りわけ、イソプロパノール、ブタノール、ノルマ
ル―ヘキサン、トルエン等が好ましく用いられ
る。これらの有機溶剤は、単独で又は必要に応じ
て2種以上を混合して使用するとができる。更に
場合によつては、含水溶剤を用いても良い。 薄膜層(B―21)の形成をアルキルチタネート
の溶液を用いて行なう場合、有機溶剤にアルキル
チタネートを溶解せしめ、塗布液を得る。この
際、必要に応じて本発明の目的とする効果を損な
わない範囲で溶解のために加熱をしてもよいし、
塗膜の接着性、屈折率、色調、硬度等の性質を改
良するために、他の若干量の有機溶剤に可溶な成
分を加えてもよい。この様な成分としては例え
ば、ケイ素系樹脂、アクリル酸系樹脂、エポキシ
樹脂、ポリウレタン樹脂等の溶剤可溶型樹脂が挙
げられる。アルキルチタネートの前記有機溶剤溶
液(塗布液)の濃度は任意であるが、特に数百オ
ングストローム程度の膜厚の薄膜層を均一に設け
るには0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量
%、特に好ましくは1〜7.5重量%に濃度を調整
するのがよい。この溶液を成型物の表面に塗布す
る場合、例えば浸漬法、噴霧法、スピナー法をは
じめ一般のコーテイングマシンを利用する方法、
即ちグラビアコーター、マイヤーパーコーター、
リバースロールコーター等を使用する方法があ
る。例えばフイルム、シート等の平滑な成型物基
板に塗布する場合には膜厚の制御と均一性の観点
から、グラビアコーターやマイヤーバーコーター
の使用が好ましく、平滑でない成型物基板に塗布
する場合には噴霧法が好ましく用いられる。溶液
を塗布すると同時又は後に、溶剤を室温以上の温
度で乾燥し、必要に応じ熱処理することにより塗
工が完了する。この乾燥又は熱処理条件は、50〜
200℃の温度で、10秒間〜10時間程度である。 この様に塗工することにより、アルキルチタネ
ートは加水分解し、有機物質を含有する酸化チタ
ン薄膜層(B―21)を形成する。該薄膜層(B―
21)の膜形成条件を調節することにより、該薄膜
層(B―21)中にアルキル基を残存させることが
でき、その量を0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜
10重量%に調整することにより該薄膜層(B―
21)と金属薄膜層(A)又は成型物、等に有機高分子
型物基板の表面との接着性を向上し、巾広い波長
域にわたつて透明性および表面導電性のすぐれた
透明導電性被膜又は選択光透過膜を得ることがで
きる。 アルキルチタネート化合物より形成された酸化
チタン薄膜層(B―21)は、アルキルエステル基
が特定量残存するので、その屈折率はスパツタリ
ング又は真空蒸着法で得られる酸化チタンの屈折
率に比べ低く、可視光領域で1.6〜2.4程度であ
る。そのためアルキルチタネート化合物から形成
された酸化チタン薄膜層(B―21)を有する積層
体は(イ)大面積にわたり光透過率が均一である。(ロ)
成型物との接着性がすぐれている。(ハ)可視光域の
広い波長領域にわたり光透過率が高い、等の利点
を有している。 アルキルチタネート化合物から形成された酸化
チタン薄膜層(B―21)の有機物質の含有量は
0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%
である。この量が0.1重量%未満であると接着性
が著しく損なわれ、30重量%をこえると透明性が
著しく損なわれる。 なお、本発明で言う有機物質は、主として酸化
チタン薄膜層(B―21)をアルキルチタネート溶
液から形成する際のアルキルチタネート溶液に由
来するアルキル基(アルキルチタネートそのもの
から、あるいは有機溶媒と該アルキルチタネート
との反応によつて形成されたものでもよい)を意
味するが、酸化チタン薄膜層(B―21)を形成さ
せる他の方法の際にかかる有機物質が層中に含有
されたものでもよい。この有機物質は、酸化チタ
ン薄膜層(B―21)中でチタンとアルキルエステ
ル基との結合で存在するものと考えられるが、本
発明ではアルキル基の量をもつてその含有量を規
定する。 また、酸化チタン層に含まれるアルキル基に由
来する有機物質の含有量は、アルキルチタネート
化合物を塗工乾燥後、適当な湿水分を含む雰囲
気、好ましくは高温度で高湿度の雰囲気又は熱水
中(例えば相対湿度80%、温度80℃等あるいは80
℃の湯等)に適当に接触させる事により制御した
低域化を計る事ができる。 この様な手段を用いる事によつて酸化チタン層
の屈折率、あるいは酸化チタン層と成型基体との
接着性等を自由に制御可能な事も有機チタネート
化合物から酸化チタンを形成する場合の大きな特
徴である。 以上述べた透明高屈折率薄膜層(B―1)の中
でも、酸化チタン薄膜層(B―2)、アルキルチ
タネート化合物から形成された酸化チタン薄膜層
(B―21)、酸化ビスマス薄膜層(B―3)、硫化
亜鉛薄膜層(B―4)が好ましい。 本発明の透明薄膜層(B)の構成要素でありうるも
う一つの要素、即ち透明保護膜(B―5)は主と
して表面硬度、耐候性、耐腐蝕性、耐汚染性等の
性質を改良する目的で表面に設けられる他、接着
性改善の為に基体上に直接設けられてもよい。 この様な層に用いる材料としては、例えばポリ
メタアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル系
樹脂、ポリアクリロニトリルあるいはポリメタア
クリロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレ
ンあるいはポリプロピレン等のポリオレフイン系
樹脂、エチルシリケートより得られる重合体等の
硅素樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、
フツ素樹脂などの有機物質の他に酸化硅素、フツ
化マグネシウムアルミナ等の無機物質等も適用で
きる。また上記化合物の中から目的に応じて数種
の樹脂あるいは物質を積層させて使用しても何ら
本発明の目的にはさしつかえがない。 かかる保護層の中でも、赤外光域における低吸
収性を重視する場合にはポリメタアクリロニトリ
ルあるいはポリアクリロニトリル等のアクリル系
の樹脂あるいはポリオレフイン系樹脂であるポリ
エチレンあるいはポリプロピレン等が好ましい。 これらのアクリル系樹脂保護層は光学的干渉効
果による悪影響をさけるために0.5μ以下あるい
は1.6μ以上の厚さに塗工される事が好ましく、
ポリオレフイン系樹脂保護層は例えぱ2軸延伸さ
れた厚さ12μ以下のポリプロピレンフイルムが適
当である。またこれらの保護層の表面硬度を向上
させるために、UV硬化型の表面硬化樹脂である
トリメチロールプロパントリアクリレートあるい
はテトラメチロールプロパンテトラアクリレート
(新中村化学(株)製)等を表面に積層して固化させ
ることができる。また無機系の保護層は光学吸収
が少く、表面硬度も高いため、酸化硅素、フツ化
マグネシウム等は好ましく用いられる。 本発明における構成を具体的に例示するなら
ば、成型物基体上に(A)金属薄膜層、(B―1)透
明高屈折率薄膜層、透明保護膜層(B―5)が以
下の様に順次積層されている積層体が好ましく用
いられる。 (1) 成型物基体/(A)/(B―1) (2) 成型物基/(A)/(B―5) (3) 成型物基/(A)/(B―1)/(B―5) (4) 成型物基/(B―1)/(A)/(B―1) (5) 成型物基/(B―1)/(A)/(B―5) (6) 成型物基/(B―1)/(A)/(B―1) /(B―5) (7) 成型物基/(B―5)/(A)/(B―5) (8) 成型物基/(B―5)/(B―1)/(A) /(B―5) (9) 成型物基/(B―5)/(B―1)/(A) /(B―1)/(B―5) 更に可視光透過率の良好な積層体を目的とする
場合(1)、(3)、(4)、(6)、(9)が好ましく用いられる。 かくして透明成型物基体の表面に前記(A)、(B)の
層を設けた積層体は、電気的エネルギーを与え、
光エネルギーを与えるか、もしくは光エネルギー
を与え、電気エネルギーを与える透明電極に又帯
電防止層として用いられる。又、特に選択光透過
性のすぐれた前記(A)、(B)の層を設けた積層体は、
太陽光を有効に利用するための選択透過性材料及
び/又はその断熱性を利用し省エネルギー材料と
して好ましく用いられる。又、着色成型物を用
い、前記(A)、(B)層を表面に設けた積層体は、成型
物の色を損なわずに導電性を付与する事ができ、
例えば成型物の静電気の帯電防止に役立つ。着色
成型物の表面に、赤外光反射能のすぐれた前記
(A)、(B)の層を設けた積層体は、成型物の色又は柄
を損なわずに赤外光反射能を付与できる。特に黒
色等の太陽光をよく吸収する色に着色された成型
物の表面に選択光透過性のすぐれた前記(A)、(B)の
層を設けた積層体は、太陽光をよく吸収し、熱幅
射の少ない選択吸収性の材料として有効に用いら
れる。 特に太陽光を利用して温水を得る太陽熱温水器
の吸熱体として、この様な選択吸収性材料を用い
ると、太陽熱の利用効率が著しく高められる。 例えば、パイプの様な水を通す成型物の表面を
太陽光をよく吸収する様に着色し、且つこの面に
本発明の選択光透過性のすぐれた積層体を形成せ
しめたものは、この様な選択吸収の効果をもつて
太陽熱コレクターとして有効に用いられる。 連続的に本発明の積層体を形成できるという利
点では、高分子シート又はフイルムが本発明の積
層体における成型物基板として好ましく用いられ
る。特に、透明な高分子シート又はフイルムを基
板とする本発明の積層体は、軽量で、可撓性に富
み、破れ難く、しかも加工し易いという利点を有
する。例えば、電場発光体用の透明電極、光導電
性感光体用の透明電極、建物の窓ガラス、又は窓
の付近に設け窓からの熱損失を防ぐための断熱フ
イルムとして好ましく用いられる。又成型物基板
かシート又はフイルムであることによつて連続生
産が容易にでき、生産速度を大巾に上げることが
でき、大量に安価にすぐれた材料を供給できる。 本発明の積層体は、それを構成する金属薄膜層
(A)の膜厚および透明薄膜層(B)の膜厚およびこれら
の積層法を調整することにより、可視光透過率、
表面抵抗および赤外光反射率を任意に変えること
ができ、次の様な代表的な用途がある。 (a) 静電気防止又は光導電性感光体導電層に用い
る透明導電性積層体 (b) 液晶電場発光体など固体デイスプレイ、面照
明体の透明電極 (c) 乗物の窓のデイフローストヒーター等の発熱
体として用いる透明面ヒーター (d) 建物窓・グリーンハウス、冷凍・冷蔵シヨー
ケースのガラス部分に適用する透明断熱積層品 本発明の特長を要約すると以下の通りである。 本発明の積層体は従来得られなかつた特性を有
している。即ち (1) 従来金属層として用いられていた、銀薄膜、
銀銅薄膜のかわりに、銀、白金及び銅からなる
単一あるいは積層された金属薄膜を用いる事に
より、耐熱性、耐光性等の耐久性等の他、耐腐
蝕性、耐汚染性等の環境安定性が著しく改善さ
れる。 (2) 本発明の積層体は広い波長領域にわたつて透
明性がすぐれており太陽エネルギー透過率、可
視光透過率及び近赤外光透過率等がすぐれてい
る。 以下、本発明のより具体的な説明を実施例で示
す。なお、例中で光透過率は特に断わらない限り
波長500nmにおける値である。赤外線反射率は、
日立製作所EP―型赤外分光器に反射率測定
装置を取付け、スライドガラスに銀を充分に厚く
(約3000Å)真空蒸着したものの反射率を100%と
して測定した。 酸化チタン薄膜層(B―21)に含まれる有機物
質の量は、透明導電性又は選択光透過性を有する
本発明の積層体を形成した成型物を約2mmの大き
さの小片状にし、これを水1000重量部、エチルア
ルコール20重量部および塩酸1重量部を混合して
なる溶液に、室温で24時間浸漬して有機成分を抽
出し、これをガスクロマトグラフ質量分析器(島
津製作所LKB―9000)を用い、直径3mm、長さ
3mのガラスカラムに、Chromosorb W(60〜
30メツシユ)にPEG―20を30重量部付着させた
ものを充填し、マスフラグメントグラフイー法で
イオンを定量し求めた。 金属薄膜中の元素組成は、ケイ光X線分析法
(理学電機ケイ光X線分析装置使用)及び原子吸
光分析法、比色定量分析法等の併用により定量し
て求めた。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。 実施例 1 厚さ75μm、光透過率86%の二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフイルムに第一層として厚さ
200Åの酸化チタン薄膜層、第二層として厚さ180
Åの銀、白金及び銅よりなる薄膜層(銀86.5重量
%、銅11重量%、白金2.5重量%)および第三層
として厚さ250Åの酸化チタン薄膜層を順次積層
し、透明導電性及び選択光透過性を有する積層体
をフイルム上に形成させた。 酸化チタン薄膜層はいずれもテトラブチルチタ
ネートの4重量体5部、ブタノール30部、ノルマ
ルヘキサン65部からなる溶液をバーコータで塗布
し130℃に5分間加熱して設けた。 銀及び白金及び銅が共存する単一薄膜層は銀―
白金―銅系合金(銅86.5重量%、銅11重量%、白
金2.5重量%)を用い低温マグネトロンスパツタ
リング法で設けた。 第一層および第三層の酸化チタン薄膜層に含ま
れるブチル基の含有量は2%であつた。 (マスNo.56のものをマスフラグメントグラフイ法
で定量した。)得られたフイルムの光透過率は75
%、表面抵抗は5.7Ω/平方、赤外光反射率は95
%であつた。 得られたフイルムをカーボンアーク耐光性試験
機(島津製作所CW―DV3)にて1000時間照射
後、赤外光反射率を測定した。カーボンアーク光
をコーテイング面側より照射した場合、基板ポリ
エチレンテレフタレートフイルム面側より照射し
た場合のいずれの場合においても赤外光反射率は
80%以上を保持した。 比較例 1 第二層の金属薄膜層を銀のみ(膜厚180Å)で
形成させる以外は実施例1と同様にして積層フイ
ルムを作成した。 実施例1と同様な方法でカーボンアーク光照
射、熱劣化促進テストを行つた結果を第1表に示
した。いずれも赤外光反射率が80%より低下する
平均時間を示した。
【表】 いずれの場合も劣化の程度は大きく、環境安定
性が著しく悪かつた。 比較例 2 金属薄膜層の組成を第2表に示した組成に変え
た以外は実施例1と同様の方法で透明導電性でか
つ選択光透過性の積層されたフイルムを得た。得
られたフイルムの光学特性も第2表に記した。
【表】 実施例1と比較して選択光透過性フイルムとし
ての光学特性が著しく低下している。 実施例 2〜4 実施例1と同様の方法で透明導電性でかつ選択
光透過性フイルムを得た。これらフイルムの上に
それぞれアクリレート樹脂あるいはアクリル樹脂
を塗工又はポリプロピレンフイルムをラミネート
して保護層を有する積層体を得た。得られたフイ
ルムの光学特性を表3に示した。アクリレート樹
脂はLR574(三菱レーヨン(株)ダイヤナール
LR574)をバーコータで塗工し120℃に設定され
た熱風乾燥機で3分間乾燥させ膜厚2μのアクリ
ル保護層を形成せしめた。アクリル樹脂はポリメ
タアクリロニトリルのメチルエチルケトン・シク
ロヘキサノン混合溶媒溶液をバーコータで塗工し
130℃に設定した熱風乾燥機で2分間乾燥し4μ
の厚さに設けた。 ポリプロピレンフイルムラミネートは、ポリプ
ロピレンフイルム(厚さ12μ)に粘着剤東亜合成
(株)S―1601をバーコータで塗工し積層体上に貼り
合せて得た。 これらの得られたフイルムを1N塩酸溶液に3
時間浸漬したが何ら変化は生じなかつた。
【表】 実施例 5〜9 金属薄膜の組成と膜厚を変化させる以は実施例
1と同様の方法で、透明導電性及び/又は選択光
透過性を有する積層体をフイルム上に形成させ
た。 また得られた各々の積層体上に実施例3と同様
の方法で、ポリメタアクリルニトリルからなる厚
さ2μの透明保護膜を塗工した積層体を形成し
た。 これら積層体を実施例1と同様の方法でカーボ
ンアーク光照射劣化促進テストを1000時間行つた
結果を、また各積層体を1N塩酸に1時間浸漬し
た結果を、金属薄膜層組成とともに第4表に記し
た。
【表】
【表】 実施例 10 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート
フイルム上にスパツタリング法で酸化チタン層を
形成する以外は実施例1と同様の方法で透明導電
性及び選択光透過性を有する積層体をフイルム上
に形成させた。 酸化チタン薄膜層は、低温マグネトロンスパツ
タリング装置を用いて、ターゲツトに酸化チタン
粉末焼結体を使用して作成した。スパツタリング
条件はアルゴンガス圧5×10-3Torr、高周波投
入電力2W/cmに設定し膜厚300Åの酸化チタン薄
膜層を得た。得られた積層体の赤外光反射率は95
%であり、可視光透過率は80%であつた。実施例
1と同様の方法でカーボンアーク光照射、熱劣化
促進テストを行つたがそれぞれ2000時間経過後も
赤外光反射率は80%以上を保持し外観等の変化は
何ら見うけられなかつた。 実施例 11 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート
フイルム上に直接マグネトロンスパツタリング
で、厚さ180Åの銀86.5重量%、白金2.5重量%及
び銅10重量%からなる金属薄膜層を形成した。更
に得られた金属薄膜層上に実施例1と同様の方法
で厚さ350Åの酸化チタン層を形成した。得られ
た積層体の可視光透過率は70%、赤外光反射率は
95%であつた。 実施例 12〜18 金属薄膜層の組成を変化させる以外は実施例1
と同様の方法で、透明導電性及び選択光透過性を
有する積層体をフイルム上に形成させた。 得られたフイルムをIN塩酸に1時間浸漬した
結果と金属薄膜層組成を第5表に示した。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 成型物基体と、片面あるいは両面を透明薄膜
    層(B)によつておおわれた金属薄膜層(A)とからなる
    積層体において、該金属薄膜層(A)が銀を主成分と
    し白金および銅を含む単一あるいは積層された金
    属薄膜層であり、且つ白金と銅の含有率が銀、白
    金及び銅の総重量に対して白金が0.1重量%から
    10重量%、銅が0.5重量%から30重量%である事
    を特徴とする積層体。 2 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が透明高屈
    折率薄膜層(B―1)を含む特許請求の範囲第1
    項記載の積層体。 3 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が酸化チタ
    ン薄膜層(B―2)、酸化ビスマス薄膜層(B―
    3)又は硫化亜鉛薄膜層(B―4)のいずれかよ
    り選ばれた透明高屈折率薄膜層を含む特許請求の
    範囲第1項又は第2項記載のいずれかの積層体。 4 当該透明薄膜層(B)の少くとも一方が有機チタ
    ネート化合物から形成された酸化チタン薄膜層
    (B―21)を含む特許請求の範囲第1項〜第3項
    記載のいずれかの積層体。 5 金属薄膜層(A)に積層された透明薄膜層(B)が透
    明高屈折率薄膜層(B―1)及び透明保護薄膜
    (B―5)からなる特許請求の範囲第1項〜第4
    項記載のいずれかの積層体。 6 成型物基体上に透明高屈折率薄膜層(B―
    1)、金属薄膜層(A)、透明高屈折率薄膜層(B―
    1)及び透明保護薄膜(B―5)が上記の順序で
    積層されてなる特許請求の範囲第1項〜第5項記
    載のいずれかの積層体。
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