JPS6134383B2 - - Google Patents

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JPS6134383B2
JPS6134383B2 JP54117235A JP11723579A JPS6134383B2 JP S6134383 B2 JPS6134383 B2 JP S6134383B2 JP 54117235 A JP54117235 A JP 54117235A JP 11723579 A JP11723579 A JP 11723579A JP S6134383 B2 JPS6134383 B2 JP S6134383B2
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JP
Japan
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thin film
film layer
transparent
laminate
titanium oxide
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JP54117235A
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English (en)
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JPS5642645A (en
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Toshiaki Yatabe
Toshio Nishihara
Masao Suzuki
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPS6134383B2 publication Critical patent/JPS6134383B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は積層体に関する。更に詳しくは、成形
物基板及び片面あるいは両面を透明薄膜層(B)によ
つておおわれた金属薄膜層(A)とからなる積層体に
おいて、該透明薄膜層(B)の少くとも一方及び/又
は該金属薄膜層(A)が、1・2・3ベンゾトリアゾ
ール、インダゾール及びそれらの誘導体からなる
群から選ばれた化合物を含む積層体に関する。
透明導電性被膜は、その導電性を利用した用
途、例えば液晶デイスプレー用電極、電場発光体
用電極、光導電性感光体用電極、帯電防止層、発
熱体等のエレクトロニクス、電気の分野の用途に
広く利用されている。
選択光透過性被膜は、可視光域の光に対して透
明であるが、赤外光(近赤外光を含む)に対して
は反射能を有しているので透明断熱膜としても有
用である。従つて太陽エネルギー集熱器(温水
器)、太陽熱発電、グリーンハウス、建築物の窓
部等に使用され得る。特に近代建築物において、
壁面の大きな割合を占める窓からの太陽エネルギ
ー利用及びエネルギー放散を防げる透明断熱窓と
しての機能は今後益々重要性を増す。又、例えば
野さい、かんきつ類等の農業、果実等の栽培に必
要なグリーンハウス用フイルムとしてその重要性
は大きい。
この様に、透明導電性被膜および選択光透過膜
はエレクトロニクス、太陽エネルギー利用の観点
から重要である。
かかる透明導電性膜又は選択光透過性膜の代表
的な構成は、金属薄膜を透明高屈折率薄膜ではさ
んだ積層体であり、例えば真空蒸着、反応性蒸着
又はスパツタリングで形成されたBi2O3/Au/
Bi2O3、ZnS/Ag/ZnS又はTiO2/Ag/TiO2等の
サンドイツチ状構造の積層体が提案されている。
金属層として銀を主成分とする金属薄膜を用いた
ものは、銀自体がもつ光学的特性により、可視光
領域における透明性及び赤外光に対する反射特性
が特に優れていること、また導電性においても好
ましい特性を有していること等の点から材料とし
て特に優れている。
しかしながら、透明高屈折率薄膜層によりおお
われた銀を主成分とする薄膜層からなる積層体
は、湿分、チリ、ガス及びその他の汚染物質によ
り透明導電性及び/又は選択光透過性という特性
の劣化がおこり、環境安定性において著しい問題
があつた。この劣化の原因の多くは環境因子によ
る金属薄膜層構成成分である金属の表面拡散ある
いは腐蝕による為、この改善は非常に重要な問題
となつていた。
本発明者らは、かかる欠点のない優れた透明導
電性及び/又は選択光透過性を有する積層体に関
して研究し金属に接する該透明薄膜層(B)の少くと
も一方及び/又は該金属薄膜層(A)に1・2・3ベ
ンゾトリアゾール又はその誘導体あるいはインダ
ゾール又はその誘導体を含有させる事によつて該
積層体の環境安定性を著しく向上させる事が可能
な事を知り本発明に到達したものである。
すなわち本発明は成型物基体及び片面あるいは
両面を透明薄膜層(B)によつておおわれた銀を主成
分とする金属薄膜層(A)とからなる積層体におい
て、該透明薄膜層(B)の少くとも一方及び/又は該
金属薄膜層(A)が、1・2・3ベンゾトリアゾー
ル、インダゾール及びそれらの誘導体からなる群
から選ばれた少くとも1種の化合物を含むことを
特徴とする積層体である。
本発明の透明導電性及び/又は選択光透過性を
有する積層体の金属層としては銀を主成分とする
単一あるいは積層された金属薄膜層を用いる事が
好ましい。銀金属薄膜層に添加される他の金属元
素としては本発明の効果を妨げない範囲であるな
らばどの様な金属元素でもさしつかえないが、白
金、金、銅、アルミニウム、スズ、インジウム等
が好ましい。かかる銀を主成分とする金属薄膜層
は銀と他の金属成分が共存する単一薄膜層として
形成されても良いがまた銀に積層された薄膜層と
して形成されても良い。またかかる銀に添加され
る金属元素は1種だけでも良いしまた数種適当に
混合されて使用されても良い。
かかる銀を主成分とする金属薄膜層は種々の方
法で作り得る例えば一般に良く知られる真空蒸着
法やスパツタリングあるいはイオンプレーテイン
グ法によつて銀を主成分とする金属薄膜層Aは形
成可能である。
本発明の目的とする積層体における銀を主成分
とする金属薄膜層(A)に1・2・3ベンゾトリアゾ
ール又はその誘導体あるいはインダゾール又はそ
の誘導体を含有させる方法としては従来よく知ら
れている方法で行う事が可能である。つまり先に
述べた方法で形成された該金属薄膜層(A)上に、適
当な溶剤に溶かした上記1・2・3ベンゾトリア
ゾール又はその誘導体あるいはインダゾール又は
その誘導体を塗工する方法、スプレーガンで吹き
つける噴霧法あるいはかかる溶剤に該金属薄膜層
を有する積層体を浸漬する方法等がある。又、か
かる1・2・3ベンゾトリアゾール又はその誘導
体あるいはインダゾール又はその誘導体が昇華性
を有する場合適当な温度に加熱された該化合物上
に該金属薄膜層を有する積層体を接触処理する事
によつて本発明の目的とする効果を得る事ができ
る。本発明における金属薄膜層(A)が1・2・3ベ
ンゾトリアゾール又はその誘導体あるいはインダ
ゾール又はその誘導体を含むとは該金属薄膜層(A)
が少くともかかる化合物と接触している状態を言
い、該金属薄膜層(A)の表面あるいは内部にかかる
化合物が接触あるいは侵入している状態であれば
本発明の目的とする効果は充分達成できる。
本発明の積層体に用いられる金属薄膜層の膜厚
は透明導電性膜又は選択光透過膜としての要求特
性をもてば別に限定されるものではないが、赤外
光反射能又は導電性をもつためには、少なくとも
ある程度の領域で連続性をもつことが必要であ
る。島状構造より連続構造にうつる膜厚として約
50Å以上、又太陽エネルギーに対する透明性の点
より500Å以下が好ましい。金属薄膜層の膜厚
は、より薄い程光透過領域が広がるので、透明性
を増すためには250Å以下の膜厚がよく、充分な
導電性又は赤外光反射能をもたせるためには70Å
以上の膜厚が好ましい。
本発明の透明薄膜層(B)は、単独物質の薄膜層で
あることもできるが、異なる物質による複数の層
からなつていてもよい。かかる透明薄膜層(B)を構
成しうるものとしては透明高屈折率薄膜層(B−
1)、透明保護薄膜(B−5)を挙げることがで
きる。
透明高屈折率薄膜層(B−1)としては金属層
における反射を防止する効果を有するものならば
特に限定されるものではないが、可視光に対して
1.6以上、好ましくは1.7以上の屈折率を有し、可
視光透過率80%以上、好ましくは90%以上である
のが効果的である。又その薄膜は、50〜1000Å、
好ましくは100〜500Åである。これらの条件を満
たすものとして例えば二酸化チタン、酸化チタ
ン、酸化ジルコン、酸化ビスマス、硫化亜鉛、酸
化錫および酸化インジウム等の薄膜層等があげら
れる。これらの薄膜層は、スパツタリング、イオ
ンプレーテイング、真空蒸着、湿式塗工等の方法
によつて設けることもできる。これらの中でも酸
化チタン(B−2)、酸化ビスマス(B−3)又
は硫化亜鉛(B−4)のいずれかより形成された
透明高屈折率薄膜層が好ましい。
更には透明高屈折率薄膜層としては、可視光屈
折率、透明性等の光学的特性の優秀さより酸化チ
タン薄膜層(B−2)が特に好ましく、酸化チタ
ン薄膜層(B−2)は有機チタネート化合物より
形成される酸化チタン薄膜層(B−21)あるいは
真空蒸着及びスパツタリング等で形成される酸化
チタン薄膜層(B−2)のいずれであつても良
い。
真空蒸着あるいはスパツタリングで形成される
酸化チタン薄膜層(B−21)は公知の方法で形成
が可能である。スパツタリングの場合低温マグネ
トロンスパツタリング法により、酸化チタンのア
ルゴンガススパツタリングあるいは金属チタンに
酸素を導入した反応性スパツタリングで形成する
事ができる。また真空蒸着法によれば電子ビーム
等を利用して酸化チタン薄膜層(B−21)を形成
する事が可能である。またこの様に形成された酸
化チタン薄膜層(B−21)が特性に影響のない程
度の窒化チタンを含有していても本発明の目的に
は何らさしつかえがない。
有機チタネート化合物より形成された有機物質
を含む酸化チタン薄膜層(B−21)は、例えばア
ルキルチタネートを主成分とする溶質の有機溶剤
溶液を用いることにより設けることができる。該
アルキルチタネートは、一般式 TilOnRo(但
し、Rはアルキル基、l、m、nは正れ整数)で
表わされる。
上記の一般式で表わされるアルキルチタネート
のうち、とりわけm=4+(l−1)×3、n=4
+(l−1)×2、l=1〜30のものが膜形成(例
えば塗工)の容易さや得られた誘電体層の特性の
点から好ましく用いられる。lの値は、単一でな
く分布をもつていてもよいが、特にlの値の分布
が15以下に最大値を有するアルキルチタネートは
塗工溶工溶液粘度および加水分解性において好ま
しい。上記の一般において、アルキル置換基Rは
炭素数1〜20のものが好ましく用いられる。特に
炭素数が2〜11のアルキル置換基のものは被膜形
成操作、例えば塗工の容易さ、更には加水分解速
度、得られた膜の機械的特性および透明性の点で
好ましく用いられる。なお、上記アルキルチタネ
ートの二種以上の混合物を用いてもよい。
本発明の積層体に用いられるアルキルチタネー
トとしては。例えばテトラブチルチタネート、テ
トラエチルチタネート、テトラプロピルチタネー
ト、テトラステアリルチタネート、テトラ−2−
エチルヘキシルチタネート、ジイソプロポキシチ
タニウムビスアセチルアセトネート等があげら
れ、とりわけテトラブチルチタネート、テトラプ
ロピルチタネートが好ましく用いられる。これら
のアルキルチタネートはそのまま用いてもよく、
また2量体、4量体、10量体などの予備縮合をし
たものも好ましく使用できる。
更に又これらアルキルチタネートをアセチルア
セトンの様なもので安定化させて使用してもよ
い。
アルキルチタネートによる被膜形成において一
般的に用いられる有機溶剤としては、アルキルチ
タネートを充分に溶解し、且つ成型物基板が用い
られるなら、その成型物表面に親和性を有し、塗
布し易くしかも塗布後乾燥し易い溶剤が好まし
い。この様な有機溶剤としては、例えばヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチ
ルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレ
ン、オクテン、ノネン、ソルベントナフサ、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノ
ール、ペンタノール、シクロヘキサノール、メチ
ルシクロヘキサノール、フエノール、クレゾー
ル、エチルエーテル、プロピルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、シクロヘ
キサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルアセテート、エチルアセテー
ト、プロピルアセテート、ブチルアセテート、エ
チルプロピオネート、メチルベンゾエート、氷酢
酸、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、ト
リクロルエタン、クロルベンゼン、ジプロモエタ
ン、メチルセロソルブ、セロソルブ、セロソルブ
アセテート等の炭化水素系、アルコール系、エー
テル系、エステル系、カルボン酸系およびハロゲ
ン置換炭化水素系等の有機溶剤があげられる。と
りわけ、イソプロパノール、ブタノール、ノルマ
ル−ヘキサン、トルエン等が好ましく用いられ
る。これらの有機溶剤は、単独で又は必要に応じ
て2種以上を混合して使用することができる。更
に場合によつては、含水溶剤を用いても良い。
かかる組合せによる溶液を塗布すると同時又は
後に、溶剤を室温以上の温度で乾燥し、必要に応
じ熱処理することにより塗工が完了する。この乾
燥又は熱処理条件は、50〜200℃の温度で、10秒
〜10時間程度である。
この様に塗工することにより、アルキルチタネ
ートは加水分解し、有機物質を含有する酸化チタ
ン薄膜層(B−21)を形成する。該薄膜層(B−
21)の膜形成条件を調節することにより、該薄膜
層(B−21)中にアルキル基を残存させることが
でき、その量を0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜
10重量%に調整することにより、接着性を向上
し、巾広い波長域にわたつての透明性および表面
導電性のすぐれた透明導電性被膜又は選択光透過
膜を得ることができる。
アルキルチタネート化合物より形成された酸化
チタン薄膜層(B−21)は、アルキルエステル基
が特定量残存するので、その屈折率はスパツタリ
ング又は真空蒸着法で得られる酸化チタンの屈折
率に比べ低く、可視光領域で1.6〜2.4程度であ
る。そのため、アルキルチタネート化合物から形
成された酸化チタン薄膜層(B−4)を有する積
層体は、(イ)大面積にわたり光透過率が均一であ
る。(ロ)成型物との接着性がすぐれている。(ハ)可視
光域の広い波長領域にわたり光透過率が高い、等
の利点を有している。
本発明の積層体において、透明薄膜層(B)を構成
する透明高屈折率薄膜層(B−1)の一層あたり
の膜厚は50〜1000Åが好ましく、特に200〜500Å
が好ましい。成形物基体表面に第1層として透明
薄膜層(B)を設ける場合透明高屈折率薄膜層として
は酸化チタン薄膜層(B−2)、就中、アルキル
チタネート化合物から形成された酸化チタン薄膜
層(B−21)を利用するのが本発明の目的から好
ましい。
第3層として金属薄膜層(A)の上に該金属薄膜層
(A)に接して形成される透明薄膜層(B)としては本発
明の目的とする光学特性の点から酸化チタン薄膜
層(B−2)、酸化ビスマス薄膜層(B−3)、硫
化亜鉛薄膜層(B−4)及びアルキルチタネート
化合物から形成された酸化チタン薄膜層(B−
21)の中から選ばれた透明高屈折率薄膜層(B−
1)を含有する該透明薄膜層(B)が好ましい。
アルキルチタネート化合物から形成された酸化
チタン薄膜層(B−21)の有機物質の含有量は
0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%
である。この量が0.1重量%未満であると接着性
が著しく損なわれ、30重量%をこえると透明性が
著しく損なわれる。
本発明に用いられる1・2・3ベンゾトリアゾ
ール又はその誘導体あるいはインダゾール又はそ
の誘導体としては1・2・3ベンゾトリアゾール
及びインダゾール及びその誘導体であり2メチル
ベンゾトリアゾール等の2アルキル化ベンゾトリ
アゾール、2フエニルベンゾトリアゾール、5・
6メチルベンゾトリアゾール、5ベンゾトリアゾ
ールカルボン酸、ハロゲン化ベンゾトリアゾール
等又4−クロロインダゾール、4−ニトロインダ
ゾール、5−ニトロインダゾール、4クロロ−5
−ニトロインダゾール、5ニトロ−3メチルイン
ダゾール、4・6ジニトロ−5・7ジメチルイン
ダゾール、5・7ジニトロ−6メチルインダゾー
ル等が用いられる。誘導体の中でも4位、5位、
6位、7位の置換体が好ましく用いられる。又特
に1・2・3ベンゾトリアゾール、インダゾール
は好ましく用いられる。
かかる透明薄膜層(B)に1・2・3ベンゾトリア
ゾール又はその誘導体あるいはインダゾール又は
その誘導体を含有させる方法としては前記金属薄
膜層(A)にかかる化合物を含有せしめる方法と同一
の方法で目的を達成し得る他、特に有機チタネー
ト化合物から高屈折率薄膜層(B−1)を形成せ
しめる場合には有機チタネート化合物塗工のため
に作成した、溶媒で希釈された有機チタネート化
合物塗工液にかかる化合物を溶解せしめた後塗工
乾燥させる事によつてかかる化合物を含有する酸
化チタン薄膜層(B−21)を形成する事ができ
る。本来かかる化合物は銀を主成分とする金属薄
膜層(A)と直接接触する事によつて本来の効果を発
揮するのであるが本発明の場合透明高屈折率薄膜
層(B−1)の膜厚がたかだか1000Å位であるた
め透明高屈折率薄膜層(B−1)の上から処理す
る事によつてもかかる化合物は金属薄膜層(A)まで
充分浸透し効果を発揮するものと考えられる。
又、かかる観点から、次に述べる透明保護層(B
−5)により、上記化合物処理を行なうこともで
きる。
本発明において、透明薄膜(B)を構成しうるもう
一方の透明保護膜(B−5)は、有機化合物、無
機化合物のどちらでも利用する事ができる。これ
らの層に用いる化合物としては、例えばポリメタ
アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル系樹
脂、ポリアクリロニトリルあるいはポリメタアク
リロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン
あるいはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹
脂、エチルシリケートより得られる重合体等の硅
素樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、フ
ツ素系樹脂などの有機物質の他に酸化硅素、フツ
化マグネシウム、アルミナ等の無機系物質等も適
用できる。また上記化合物の中から目的に応じて
数種の樹脂あるいは物質を積層させて使用しても
何ら本発明の目的にはさしつかえがない。
本発明の一つの好ましい態様として、金属薄膜
層(A)の上に透明高屈折率薄膜層(B−1)を設
け、更に透明保護薄膜(B−5)をその上に設け
るものがある。
かかる目的で該透明高屈折率薄膜層(B−1)
の上に積層される保護を目的とする表面保護層
(B−5)に1・2・3ベンゾトリアゾール又は
その誘導体あるいはインダゾール又はその誘導体
を含有せしめても本発明の目的とする効果を有す
る積層体を構成することができる。表面保護層に
かかる化合物を含有せしめる方法としては、無機
化合物からなる表面保護層の場合はかかる化合物
を適当な溶剤に溶解せしめた溶液中に浸漬せしめ
ることによつて目的を達成し得る。
又表面保護層(B−5)が有機化合物で形成さ
れている場合にはかかる表面保護層を形成する有
機化合物を塗工積層する際の希釈溶液中にかかる
化合物を溶解せしめておく方法が簡便で好まし
い。
かかる化合物を溶解させた場合の濃度はできる
限り高い方が好ましいが、表面保護層を形成しう
る有機化合物固形分量に対して20重量%以下であ
る事が好ましく、10重量%以下である事が特に好
ましい。
また本発明においては1・2・3ベンゾトリア
ゾール又はその誘導体あるいはインダゾール又は
その誘導体を含有せしむる薄膜層は金属薄膜層(A)
あるいは透明薄膜層(B)のいずれであつても良く少
くとも積層体を構成する薄膜層の少くとも1つの
層に含有されていれば良い。しかるにかかる化合
物の効果を十分発揮させかつ効果を長期間持続さ
せるためには複数以上の薄膜層に含有されている
事が好ましく、特に金属薄膜層(A)あるいは金属薄
膜層(A)と接する透明薄膜層(B)には同時に含有され
ている事が好ましい。
本発明で用いられる成型物とは有機系、無機系
成型物およびそれらの複合成型物のいずれでもよ
いが有機系成型物が好ましい。有機系成型物とし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、
ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、フツ
素樹脂等の熱可塑性樹脂、更には例えばエポキシ
樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケイ素樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、フエノール系樹脂、尿素
樹脂などの熱硬化性樹脂、更にはポリビニルアル
コール、ポリアクリルニトリル、ポリウレタン、
芳香族ポリアミド、ポリイミド樹脂等の溶剤可溶
型樹脂等の成型物があげられる。これらは単独重
合物又は共重合物として単独又は2種以上の混合
物として用いられる。これらの成型物は板状、シ
ート状、フイルム状、棒状、糸状、ブロツク状又
はパイプ状等の任意の型に成型されており、必ず
しも平面的な板状物に限定されない。また、その
目的に応じ着色、無着色、透明、不透明のものが
選ばれる。
透明の成型物の表面に前記(A)、(B)の層を設けた
積層体は、電気的エネルギーを与え、光エネルギ
ーを与えるか、もしくは光エネルギーを与え、電
気エネルギーを与える透明電極に又帯電防止層と
して用いられる。又、特に選択光透過性のすぐれ
た前記(A)、(B)の層を設けた積層体は、太陽光を有
効に利用するための選択透過性材料及び/又はそ
の断熱性を利用し省エネルギー材料として好まし
く用いられる。又、着色成型物を用い、前記(A)、
(B)層を表面に設けた積層体は、成型物の色を損な
わずに導電性を付与する事ができ、例えば成型物
の静電気の帯電防止に役立つ。着色成型物の表面
に、赤外光反射能のすぐれた前記(A)、(B)の層を設
けた積層体は、成型物の色又は柄を損なわずに赤
外光反射能を付与できる。特に黒色等の太陽光を
よく吸収する色に着色された成型物の表面に選択
光透過性のすぐれた前記(A)、(B)の層を設けた積層
体は、太陽光をよく吸収し、熱幅反射の少ない選
択吸収性の材料として有効に用いられる。
特に太陽光を利用して温水を得る太陽熱温水器
の吸熱体として、この様な選択吸収性材料を用い
ると、太陽熱の利用効率が著しく高められる。
例えば、パイプの様な水を通す成型物の表面を
太陽光をよく吸収する様に着色し、且つこの面に
本発明の選択光透過性のすぐれた積層体を形成せ
しめたものは、この様な選択吸収の効果をもつて
太陽熱コレクターとして有効に用いられる。
連続的に本発明の積層体を形成できるという利
点では、高分子シート又はフイルムが本発明の積
層体における成型物基板として好ましく用いられ
る。特に、透明な高分子シート又はフイルムを基
板とする本発明の積層体は、軽量で、可撓性の富
み、破れ難く、しかも加工し易いという利点を有
する。例えば、電場発光体用の透明電極、光導電
性感光体用の透明電極、建物の窓ガラス、又は窓
の付近に設け窓からの熱損失を防ぐための断熱フ
イルムとして好ましく用いられる。成型物基板が
シート又はフイルムであることによつて連続生産
が容易にでき、生産速度を大巾に上げることがで
き、大量に安価にすぐれた材料を供給できるの
で、かかる基板を使用すると工業的価値は高い。
その目的の為には可視光透過率80%以上、厚さ10
〜250μmのフイルムが好ましく、ポリエチレン
テレフタレートフイルムが特に好ましく用いられ
る。
フイルムを成型物基板とする本発明の積層体
を、例えばガラス板の様な他の成型物の表面に転
写してもよい。
以下、本発明のより具体的な説明を実施例で示
す。なお、例中で光透過率は特に断わらない限り
波長500nmにおける値である。赤外線反射率
は、日立製作所EP−型赤外分光器に反射率
測定装置を取付け、スライドガラスに銀を充分に
厚く(約3000Å)真空蒸着したものの反射率を
100%として測定した。
酸化チタン薄膜層(B−21)に含まれる有機物
質の量は、透明導電性又は選択光透過性を有する
本発明の積層体を形成した成型物を約2mmの大き
さの小片状にし、これを水1000重量部、エチルア
ルコール20重量部および塩酸1重量部を混合して
なる溶液に、室温で24時間浸漬して有機成分を抽
出し、これをガスクロマトグラフ質量分析器(島
津製作所LKB−9000)を用い、直径3mm、長さ
3mのガラスカムに、ChromosorbW(60〜30メ
ツシユ)にPEG−20を30重量部付着させたもの
を充填し、マスフラグメントグラフイー法でイオ
ンを定量し求めた。
金属薄膜層中の元素組成は、ケイ光X線分析法
(理学電機ケイ光X線分析装置使用)により定量
し求めた。
実施例 1 光透過率86%、厚さ75μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフイルムに、第一層として厚
さ300Åの酸化チタン薄膜層、第二層として厚さ
160Åの銀、金及び銅よりなる薄膜層(金20重量
%、銅5重量%、銀75重量%)および第三層とし
て厚さ300Åの酸化チタン薄膜層を順次積層し、
透明導電性及び選択光透過性を有する積層体をフ
イルム上に形成させた。
酸化チタン薄膜層はいずれもテトラブチルチタ
ネートの4重量体3部、イソプロピルアルコール
65部及びノルマルヘキサン32部からなる溶液をバ
ーコーターで塗布し、100℃に5分間加熱して設
けた。
銀、金、銅が共存する単一薄膜層は銀−金−銅
系合金(金20%、銅5%、銀75%)を用い低温マ
グネトロンスパツタリング法で設けた。
第一層および第三層の酸化チタン薄膜層に含ま
れるブチル基の含有量は、55%であつた(マス
No.56のものをマスフラグメントグラフイー法で
定量)。
得られたフイルムの光透過率は78%、表面抵抗
は13Ω/平方、赤外光射率は97%であつた。
かかる積層体に1・2・3ベンゾトリアゾール
を3重量%溶解せしめたイソプロピルアルコール
をバーコーターで塗工自然乾燥し更にかかる積層
体上にポリメタアクリロニトリル3重量%溶解せ
しめたメチルエチルケトンとシクロヘキサノンか
らなる溶液をバーコーターで塗工し厚さ0.2μの
ポリメタアクリロニトリル膜を形成せしめた。
得られた積層体に1日3回100ppmの次亜塩素
酸ソーダ水溶液を噴霧し、10日後の腐蝕状態を観
察したが何ら変化は見られなかつた。
実施例 2 金属薄膜層を銀92重量%、銅8重量%からなる
金属薄膜層で形成しかつポリメタアクリロニトリ
ル膜の膜厚を2μとする以外は実施例1と同様の
方法で積層体を構成した。得られた積層体の可視
光透過率は68%であり赤外光反射率は88%であつ
た。かかる積層体を1Nの塩酸水溶液に1時間浸
漬したが何ら変化は見受けられなかつた。
比較例 1 1・2・3ベンゾトリアゾールを含むイソプロ
ピルアルコール溶液を塗工することをはぶいた以
外は実施例2と同様の方法で積層体を構成した。
得られた積層体の可視光透過率は69%であり赤外
光反射率は88%であつた。かかる積層体を1Nの
塩酸水溶液に1時間浸漬した結果、茶褐色の斑点
が無数に生じた。
実施例 3 1・2・3ベンゾトリアゾールをインダゾール
に代える以外は実施例2と同様の方法で積層体を
構成した。得られた積層体の可視光透過率は69%
であり赤外光反射率は88%であつた。かかる積層
体を1Nの塩酸水溶液に1時間浸漬したが何ら変
化は観察されなかつた。
実施例 4 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート
フイルム上に第一層として厚さ300Åの酸化チタ
ン薄膜層、第二層として厚さ180Åの銀からなる
金属薄膜層を形成後1・2・3ベンゾトリアゾー
ルを2重量%含むエタノール溶液を噴霧し自然乾
燥させた後第三層として酸化チタン薄膜層を順次
積層し、透明導電性及び選択光透過性を有する積
層体を形成させた。
酸化チタン薄膜層はいずれも低温マグネトロン
スパツタリング装置を用いて、ターゲツトには酸
化チタン粉末焼結体を使用して作成した。スパツ
タリング条件はアルゴンガス圧5×10-3Torr、
RF投入電力2W/cm2に設定し膜厚300Åの酸化チ
タン薄膜層を得た。
銀からなる金属薄膜層は真空蒸着法により5×
10-6Torrの圧力で膜厚180Åに設けた。
得られた積層体の可視光透過率は80%、赤外光
反射率は97%であつた。
実施例 5 実施例4と同一の方法で実施例4と同一の積層
体を構成した。得られた積層体上に1・2・3ベ
ンゾトリアゾールを0.5重量%含むアクリレート
樹脂を塗工した。アクリレート樹脂はLR574(三
菱レーヨン(株)ダイヤナールLR574)を20重量%と
なる様にメチルエチルケトンに希釈溶解し更に
1・2・3ベンゾトリアゾールを0.5重量%とな
る様に溶解させた。この溶液をバーコーターで塗
工し、120℃に設定した熱風乾燥器で3分間乾燥
させ膜厚3μのアクリル保護層を有する積層体を
構成した。得られた積層体の可視光透過率は65
%、赤外光反射率は85%であつた。かかる積層体
を1Nの塩酸水溶液に1時間浸漬したが何ら変化
は観察されなかつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 成型物基体及び片面あるいは両面を透明薄膜
    層(B)によつておおわれた銀を主成分とする金属薄
    膜層(A)とからなる積層体において;該透明薄膜層
    (B)の少くとも一方及び/又は該金属薄膜層(A)が、
    1・2・3ベンゾトリアゾール、インダゾール及
    びそれらの誘導体からなる群から選ばれた少くと
    も1種の化合物を含むことを特徴とする積層体。 2 透明薄膜層(B)の少くとも一方が透明高屈折率
    薄膜層(B−1)を含む特許請求の範囲第1項記
    載の積層体。 3 透明薄膜層(B)の少くとも一方が酸化チタン薄
    膜層(B−2)、酸化ビスマス薄膜層(B−3)
    又は硫化亜鉛薄膜層(B−4)のいずれかより選
    ばれた透明高屈折率薄膜層からなる特許請求の範
    囲第1項〜第2項記載のいずれかの積層体。 4 透明薄膜層(B)の少くとも一方が有機チタネー
    ト化合物から形成された酸化チタン薄膜層(B−
    21)からなる特許請求の範囲第1項〜第3項記載
    のいずれかの積層体。 5 金属薄膜層(A)に積層された透明薄膜層(B)が透
    明高屈折率薄膜層(B−1)及び透明保護薄膜
    (B−5)からなる特許請求の範囲第1項〜第4
    項記載のいずれかの積層体。 6 成型物基体上に、透明高屈折率薄膜層(B−
    1)、金属薄膜層(A)、透明高屈折率薄膜層(B−
    1)及び透明保護薄膜(B−5)が順次積層され
    てなる特許請求の範囲第1項記載の積層体。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51119779A (en) * 1975-04-14 1976-10-20 Mitsubishi Plastics Ind Ltd A light screening film
US4017661A (en) * 1974-08-09 1977-04-12 Ppg Industries, Inc. Electrically conductive transparent laminated window
JPS5485284A (en) * 1977-12-21 1979-07-06 Teijin Ltd Laminate

Patent Citations (3)

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