JPS6158896B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、回転磁気ヘツドの回転方向に対して
斜め方向に磁気テープを走行させるようにした磁
気記録再生装置に係わり、特に、前記磁気ヘツド
が装着され、前記磁気テープが所定の巻き付け角
で螺旋状に巻装されたシリンダに関する。

〔従来技術〕 従来、いわゆる、斜走査型の磁気記録再生装置
においては、回転磁気ヘツドの回転方向に対して
斜方向に磁気テープを走行させるために、回転磁
気ヘツドを装着したシリンダが設けられている。
そして、かかるシリンダには、その表面にシリン
ダの横断面に対して一定の傾斜角で螺旋状のリー
ドが設けられ、磁気テープはこのリードに沿いな
がら、シリンダに所定の巻き付け角だけ当接して
螺旋状に走行する。

以下、第１図により、かかる従来の磁気記録再
生装置について、さらに詳細に説明する。

第１図において、１はシリンダ、１ａは回転シ
リンダ、１ｂは回転磁気ヘツド、１ｃはリード、
１ｄは固定シリンダ、２は入側傾斜ガイド、３は
出側傾斜ガイド、４は入側ガイドローラ、５は出
側ガイドローラ、６は磁気テープである。

シリンダ１は、回転磁気ヘツド１ｂと一体に一
定の回転数で回転する回転シリンダ１ａと表面に
螺旋状にリード１ｃが設けられた固定シリンダ１
ｄとからなり、磁気テープ６は、リード１ｃによ
り走行路を規制されながら、シリンダ１の表面を
所定の巻き付け角だけ螺旋状に走行する。

入側および出側傾斜ガイド２，３は、入側およ
び出側ガイドローラ４，５と相まつて、シリンダ
１のテープ進入側およびテープ排出側に位置決め
されており、シリンダ１における磁気テープ６の
走行方向を規定するテープ案内体を形成してい
る。

ところで、従来、この種のシリンダ１、入側お
よび出側傾斜ガイド２，３の配置は、静的な状態
のみを考慮した幾何学的に設計に基いて、シリン
ダ１のリード１ｃに磁気テープ６が幾何学的にね
じれ等なく沿うように決定されている。この幾何
学的設計とは、次の３つの幾何学的安定条件を満
足せるものである。

(1) 高さ条件 テープ中心線の高さが、入側傾斜ガイド２に
おけるテープ入口点と出側傾斜ガイド３のテー
プ出口点とで等しい。

(2) 平行条件 磁気テープ６の入側傾斜ガイド２に入る前の
部分と出側傾斜ガイド３を出た後の部分とが基
準面に対して平行に走行する。

(3) ねじれない条件 ガイドローラと傾斜ガイド間および傾斜ガイ
ドとシリンダ間で、磁気テープが一平面を画
す。

しかし、実際に磁気テープが上記の幾何学的設
計に基づく走行路を走行した場合、磁気テープ６
には、何等リード１ｃへの規制力が働かないため
に、磁気テープ６に外乱が加わると、シリンダ１
のリード１ｃにおいて、磁気テープ６は幅方向の
変動を生じることになる。

第２図はこの変動が生じる状況を示す説明図で
あつて、磁気テープ６は矢印で示す幅方向に変動
し、斜線を付して示したように、シリンダ１のリ
ード１ｃから浮き上つてしまうことになり、所定
のトラツクトレース機能が得られないという欠点
があつた。

この欠点を除くために、テープ案内体（入側お
よび出側傾斜ガイド２，３および入側および出側
ガイドローラ４，５）を、当初幾何学的な安定条
件の下に設計しておきながら、組立、調整工程に
おいて、設計値からずらすように調整してリード
へのテープ規制力（押圧力）を得ることも考えら
れるが、このような調整方法では、所定のテープ
規制力を得るための調整が非常に困難であり、ま
た、調整後に、テープ走行経路全般に亘り、走行
経路が上記設計値からずれて傾くために、テープ
案内体の上流の全幅消去ヘツドやガイドポスト、
さらには、下流の音声、コントロールヘツドおよ
びガイドポストに対して、磁気テープが片当りし
て走行する不都合が生じる。その結果、上記の各
固定ヘツドによる記録再生のための作用が劣化
し、また、磁気テープの片伸び変形が生じる等の
問題が派生することになる。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、
シリンダにおける磁気テープの走行を規制し、磁
気テープをシリンダのリードに沿つて安定に走行
させることにより、所定のトラツクトレース機能
を容易に確保することができるようにした磁気記
録再生装置を提供することにある。

〔発明の概要〕

この目的を達成するために、本発明は、シリン
ダのテープ進入側、テープ排出部において、磁気
テープが、シリンダのリードに対して所定の仰角
をもつて進入および排出するように前記シリンダ
が設置され、よつて、前記磁気テープが、上記テ
ープ進入部、排出部において曲げ変形を生ずるこ
とにより、前記リードに押し付けられて走行位置
の規制がされるようにした点に特徴がある。

〔発明の実施例〕

まず、第３図により、シリンダにおける磁気テ
ープの幅方向の変動を仰えるための本発明による
磁気記録再生装置の原理について説明する。な
お、第１図に対応する部分には同一符号をつけて
いる。

第３図において、６−イは前記の幾何学的設計
に基づく磁気テープ６の走行経路を示している。
これに対し、磁気テープ６が６−ロで示す走行経
路、すなわち、シリンダ１のリード１ｃに対し、
テープ進入側で仰角θ_１、テープ排出側で仰角θ
_２をなす走行経路をとるようにする。

次に、この仰角θ_１，θ_２を保ちながら、シリ
ンダ１の両側から磁気テープ６をリード１ｃに沿
うように押付け変形させることにより、斜線を旋
こした６−ハで示す走行経路をとるようにする。
この状態において、磁気テープ６は、リード１ｃ
の入口端B₁および出口端B₂でP₁およびP₂なる力
を受け、リード１ｃの入口端B₁及び出口端B₂で
の撓み角がθ_１およびθ_２であるような曲げ変形
状態になる。すなわち、磁気テープ６は、シリン
ダ１のリード１ｃの入口端B₁及び出口端B₂にお
いて、曲げ変形に基づくP₁およびP₂とは逆向きの
力が与えられることになり、リード１ｃに押付け
られて走行位置が規定されることになる。

従つて、これにより、磁気テープ６はリード１
ｃに沿い、外乱等に対しても安定に走行すること
が可能となり、所定のトラツクトレース性能を確
保することができる。

以下、本発明の実施例を図面について説明す
る。

第４図は本発明による磁気記録再生装置のシリ
ンダの装置方法を示す説明図、第５図は本発明に
よる磁気記録再生装置の一実施例を示す説明図で
あつて、第１図ないし第３図に対応する部分には
同一符号をつけている。

第４図において、まず、前述の幾何学的設計に
より、シリンダ１、入側傾斜ガイド２および出側
傾斜ガイド３の傾斜角、傾斜方向および位置を決
定する。ここで、シリンダ１の傾斜方向を矢印ａ
で示す。次に、リード１ｃの入口端B₁および出
口端B₂の極く近傍を通り、且つ、幾何学設計に
おける基準面７（第５図）に平行な軸Ｘ−X′を
想定し、該軸の回りにシリンダ１を回転させて矢
印ｂの方向（リード面とは反対の方向）に所定の
傾き角θ（第５図）だけ傾斜させる。この結果シ
リンダの傾斜方向は、当初のａ方向からX′−Ｘ
方向に移る。このように、幾何学設計から傾斜さ
せてシリンダ１を設置することにより、シリンダ
のテープ進入側およびテープ排出側において、走
行する磁気テープ６がシリンダ１のリード（図示
せず）に対して仰角を持つようにすることができ
る。

次に、第５図において、１−イは幾何学設計に
より定められるシリンダを示しており、１ｃ−イ
はそのリードを示す。６−イはリード１ｃ−イに
幾何学的に沿つて走行する状態の磁気テープであ
る。ここで、２は走行経路６−イを構成する入側
傾斜ガイドを、また、４−イはガイドローラを示
している。そして、７は幾何学設計における基準
面である。

これに対し、１−ロは第４図のシリンダ設置方
法に基づき決定されたシリンダを示したものであ
り、１ｃ−ロはシリンダ１−ロにおけるリードで
ある。ここで、リード１ｃ−ロは、シリンダ１−
イにおけるリード１ｃ−イと交角θ_１（≒θ）を
なす。このリード１ｃ−ロに対しての磁気テープ
の走行方向は、入側傾斜ガイド２の配置により決
定されるので、何等規制を加えない状態におい
て、磁気テープはリード１ｃ−ロに対して仰角θ
_１を成す方向から入つてくることになる。この状
態から、ガイドローラ４のフランジ部により、磁
気テープをリード１ｃ−ロの面に押し当てて、リ
ード１ｃ−ロに沿うように走行規制する。斜線で
示した６−ロは、このように走行規制された後の
磁気テープであり、４−ロは磁気テープ６−ロの
走行経路に対応して高さが調整された入側ガイド
ローラである。

一方、シリンダ１−ロのテープ排出側において
も、リード１ｃ−ロは前記リード１ｃ−イと交角
θ_２（≒θ）を成し、上記規制前の磁気テープ６
−イはリード１ｃ−ロに対して仰角θ_２を成す方
向に出て行くことになる。そこで、テープ進入側
と同様に、磁気テープ６−ロがリード１ｃ−ロに
沿うように走行規制を行なう。

これにより、磁気テープ６−ロは、前述のよう
に、幅方向の曲げ変形を受けた状態となり、リー
ド１ｃ−ロに沿つて安定に走行するようになる。
ここで、仰角θ_１およびθ_２の最適値は、使用す
る磁気テープの幅、厚さ、シリンダ径、シリンダ
の基準面に対する傾斜角およびシリンダと傾斜ガ
イド間のスパン等により異なり、各システムにお
ける最適値は実験的に求められる。

第６図は、一例として、磁気テープ幅6.25mm、
磁気テープの厚さ14〜20μｍ、シリンダ径40mm、
シリンダ傾斜角95゜、シリンダと傾斜ガイド間の
スパンが約10mmのシステムにおいて、仰角θ_１お
よびθ_２の最適値を実験的に求めたものであり、
仰角θ_１およびθ_２と、それら仰角をなす走行経
路において、磁気テープの走行位置調整を行なつ
て後に得られるトラツク曲り（記録されたトラツ
クパタンの直線性を示す値）の最小値ΔTwとの
関係を示したものである。これにより、仰角θ_１
およびθ_２の最適値は1.0〜1.5°であることが分
かる。

従つて、前述のシリンダ装置方向において、シ
リンダを矢印ｂ（第４図）の方向にθ＝1.0〜1.5
゜となるように傾斜すればよい。

上記の実施例は、ガイドローラ及び傾斜ガイド
のシリンダのテープ進入側及びテープ排出側にそ
れぞれ１対ずつ配置し、磁気テープをカセツトハ
ーフから引き出してシリンダに螺旋状に巻装する
際に、これらテープ案内体（ガイドローラおよび
傾斜ガイド）を、磁気テープが幾何学設計におけ
る基準面に対し平行にローデイングされるように
構成した場合であるが、上記実施例とは異なるテ
ープ案内体の構成を採用する場合、あるいは、磁
気テープを上記基準面に対して斜めにローデイン
グする場合に対しても、本発明を適用することが
できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、シリン
ダのみを、磁気テープがねじれなどを生じないよ
うに幾何学設計される傾斜角よりも所定方向に所
定の角度だけ傾斜せしめ、前記シリンダに対する
前記磁気テープの進入、排出が、前記シリンダに
設けられたリードに対して所定の仰角でもつてな
されるものであるから、前記磁気テープは、前記
リードに押しつけられ、走行経路が規制されて常
に安定な走行が維持され、また、シリンダ部以外
のテープ案内体などにより形成されるテープ走行
経路においては、前記磁気テープの走行状態は、
上記幾何学設計による状態に維持されて走行経路
を形成する各部材との当接が良好に行なわれ、磁
気テープの変形を防止することができるととも
に、固定ヘツドの作用を劣化させることもなく、
上記従来技術の欠点を除いて優れた機能の磁気記
録再生装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気記録再生装置の一実施例を
示す斜視図、第２図は第１図のシリンダ部におけ
る磁気テープの幅方向の変動状態を示す説明図、
第３図は本発明の原理を示す説明図、第４図は本
発明による磁気記録再生装置のシリンダの設置方
法を示す説明図、第５図は本発明による磁気記録
再生装置の一実施例を示す説明図、第６図は第５
図の仰角θ_１およびθ_２の最適値を得るための実
験結果を示す特性図である。 １……シリンダ、１ｃ……リード、２……入側
傾斜ガイド、４……入側ガイドローラ、６……磁
気テープ、７……基準面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転磁気ヘツドが装着されたシリンダの外周
   に、所定の範囲にわたり、かつ該シリンダの横断
   面に対して一定の傾斜角でリードが設けられ、該
   シリンダの近傍に位置決めされたテープ案内体に
   より、磁気テープを、該リードに沿い、該シリン
   ダに該所定の範囲にわたつて螺旋状に巻装、走行
   させるようにした磁気記録再生装置において、該
   リードのテープ進入側および排出側で該磁気テー
   プが該リードに対して所定の仰角をなすように、
   該シリンダを基準面に対して傾斜せしめ、該磁気
   テープの該シリンダへの巻きつけ区間、該磁気テ
   ープを該リードに押圧して走行させることができ
   るように構成したことを特徴とする磁気記録再生
   装置。