JPS6158611B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はボーリングによる薬液注入工法および
その装置に関し、其の目的とする処は注入体の目
詰まりを起こすことなく改良すべき目標地盤に掘
削推進させるとともに掘削後の注入時に形成され
る注入体外周の流通空間と該空間上端縁のシール
手段とにより薬液の注入効果を著しく向上させ得
る工法及びその実施に使用する装置を提供せんと
することにある。

以下図面に基づいて本発明の望ましい具体例を
詳細に説明する。

掘削装置および薬液供給装置（ともに図示せ
ず）と連絡せるロツドは外管１とその先部１ａに
至る管内に挿入される内管１ｂとの二重管構造に
して、混合後に凝結する性質を有する薬液Ａの薬
液流路２を内流路２ａと外流路２ｂに形成すると
共にこの内２ａと外２ｂとの境が切れる混合室２
ｃと連通した先部１ａ内の格納孔３には注入体５
をビツト４開口より繰出し自在に内蔵する。

その薬液流路２は掘削時における冷却水Ｂの流
路を兼ねる。

注入体５は混合室２ｃ側の奥面すなわちフリー
ピストン部５ａが同室の後ストツパー２ｄとビツ
ト４に形成された前ストツパー４ａとに夫々行手
を妨げられるまで格納孔３に沿つて或る区間長さ
Ｌを摺動自在であり、後ストツパー２ｄ側ではビ
ツト４開口面まで没入して掘削の妨げとならぬよ
う後退位置する、一方前ストツパー４ａ側では先
端にコーン５ｃを備えた注入管部５ｂがビツト４
開口から上記区間長さＬを前進L₁して繰出し位
置する。そのため注入体５はフリーピストン部５
ａに混合室２ｃの薬液Ａを注入管部５ｂへ導く流
入孔６を開穿すると共にその孔径を混合室２ｃ径
の大略1/3ほどの口径比に成形しており、混合室
２ｃに流入する薬液Ａが高圧であるときの単位時
間当りの流量差により、瞬時に前進L₁して繰出
す。

尚その薬液Ａ圧力が低圧であるときには摺動抵
抗により前進しない。

注入体５の注入管部５ｂはビツト４開口径より
も小径にしてその管面に沿い適宜数の流出孔７を
開穿しており、後退位置における掘削時では送り
込まれる低圧の冷却水Ｂを各流出孔７より格納孔
３、ビツト４開口を経て掘削用刃８に送り出し冷
却する、一方前進位置では送り込まれる低圧の薬
液Ａを各流出孔７より、先に掘削して引動した外
管１の先部１ａ跡の空間すなわち注入管部５ｂ周
面と掘削された地盤孔面c₁との間のリング状流通
空間Ｓに送り出して、同流通空間Ｓを通じて地盤
孔面c₁へ注入ならしめる。

上記流通空間Ｓは各流出孔７を連通して地盤ｃ
に対して全方位に指向性を有する直接の注入口を
形成するものであり、そして流通空間Ｓにおける
地盤孔面c₁との直接の注入面である外周面積は、
ビツト４を含む外管１の先部１ａにおける区間長
さＬの外周面積を増減して薬液流路２断面積と望
ましい比に構成し、薬液流路２を流れる薬液Ａが
流通空間Ｓを経て地盤孔面c₁に流れ込む時点では
著しく減速されて全方位等しく低速度で注入する
ように形成されている。

その減速比は次の算式によつて求められる。

（薬液流路径／２）^２×π＝Ｘ 流通空間外径×π×区間長さ＝Ｙ Ｙ÷Ｘ＝減速比 これにより、地盤ｃに対する薬液注入速度は著
しく減速されて、注入圧力を低圧力に設定するこ
とが自在である。

薬液Ａは凝固材、その他の地盤改良のための
種々性質のものが用いられる。

次に本装置による注入工法について説明する
と、注入体５が後退位置した状態（第４図）で、
外管１をそのビツト４により目標地盤ｃ中の最前
部より区間長さＬ深くボーリングして掘削する
（第５図）。その際、ビツト４の掘削用刃８には薬
液流路２、流入孔６、流出孔７、格納孔３を通じ
て冷却水Ｂが供給されて冷却される。斯く掘削
後、冷却水Ｂの供給を止めて区間長さＬを引動せ
しめ（第６図）、次いで薬液供給装置にて薬液Ａ
を高圧で供給する。それにともない、注入体５は
薬液Ａの高圧力を受けて、同液Ａが流入孔６から
流出孔７に流れ至る以前に、瞬時の内にビツト４
を含む先部１ａ跡の地盤孔中に前進L₁して繰出
し、地盤孔面c₁との間にリング状の流通空間Ｓを
形成ならしめると共にこの流通空間Ｓに向けて、
繰出し後に供給圧力が低圧に切換えられて遅く流
出孔７に達した薬液Ａを同孔７より送り出し、流
通空間Ｓから地盤孔面c₁に全方位くまなく注入
（第７図、第８図）が行なわれて区間長さＬ改良
する。続いて、薬液Ａの供給を止め、外管１を先
に区間長さ前進せしめると共に再びＬ区間をボー
リングして掘削し、叙上工程を反復して、地盤ｃ
を所望地層厚さ改良する。

上記前進注入工法の他に図面には示さなかつた
が、後進注入工法、前後進注入工法があり、後進
注入工法は地盤ｃの最深部までボーリングした
後、外管１を区間長さＬを引動し、次いで注入体
５を前進L₁させて繰出し、その区間長さＬの地
盤孔面c₁に流通空間Ｓから薬液Ａを注入し、改良
する地層厚さに応じて再度区間長さＬ反復後退せ
しめつつ、その停止毎にＬ区間注入して地盤ｃを
改良する。

又、後退しつつ注入を続けるも任意である。こ
れによりボーリングによる掘削の前半工程と薬液
Ａ注入の後半工程とに全体の工程が二分されて、
工法全体のスピードが向上した。

又、後進注入工法は叙上前進注入工法と後進注
入工法とを併用した工法であり、先ず地盤ｃにお
ける改良地層部の最前部と奥部とに流通空間Ｓか
ら薬液Ａを注入した後、中間の地盤孔面c₁に注入
し、地盤ｃを改良する。この実施工法は地盤ｃの
改良がたとえば強化改良であるとき、比較的硬質
の地層前後が軟弱地層である場合に有用である。

上記各実施工法におけるボーリング角度は図面
に示す水平状に限らず、鉛直状、斜め状等施工場
所に対処して行なわれ、いずれの場合でも同等の
注入機能が得られた。

本発明は以上のように、注入体をビツト開口か
ら繰出し自在に内蔵すると共にこの注入体の繰出
し力を地盤改良に用いる薬液で行なわしめるよう
にしたので、注入体は掘削時では外管内に在つて
外圧から保護されて、損傷せず且つその流出孔が
目詰まりすることもなく、繰出し後の注入工程に
支障をきたさないばかりか、注入体を繰出すため
の別途駆動手段を特別備えずに済み、構造が極め
て簡単で且つ部品点数が少なく製作容易であり、
堅牢にして低廉安価である有用性がある。

そして施工時には、改良すべき目標地盤を回転
掘削して、打込みと比べて振動、騒音が少なく、
硬い地盤でも掘削できて良好であると共に外管を
戻して、圧入せる薬液圧力に注入体をビツト開口
から前進させて、先の外管跡の地盤孔面に繰出
し、同孔面との間にリング状の流通空間を形成し
て、この流通空間を経て流出孔から薬液を地盤孔
面に注入し改良することができる。

又、掘削推進するロツドが内外二重の薬液流路
を有する二重管構造からなるので、両流路を利用
してゲル化タイムの短い瞬結性薬液を送入するこ
とができ、したがつて注入工程の初期に瞬結性薬
液を流通空間に流出させることによりボーリング
時で地盤乱れを起こした外管と地盤との空隙部を
閉塞して流通空間の上端縁をシールすることがで
き、その後に注入する薬液の噴上りを防止するこ
とができる。

それにともない、斯る流通空間は注入体におけ
る各流出孔を連通してこの流出孔に代わり、真の
注入口として働いて、注入体を中心にして薬液に
全方位くまなく指向性を与えて等しく誘導案内す
るものであり、薬液を均一に侵透分布せしめ得て
流通空間周りに所定の改良地盤を形成することが
でき有用である。そして又、流通空間は地盤との
対向面積が極めて大きい上に、同空間の注入口す
なわち外周面積が注入体における薬液流路断面積
よりも極めて大きい比を構成し、そのため工事目
的の経済スピードに合致した所望の注入量と侵透
理論にかなう低圧注入の両要件を満足して、工事
目的に合致した経済スピードで、注入圧力の及ぼ
す種々の弊害もなく安全面でも優れ、効率よく施
工できる有用性がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す正面図で
一部切欠する。第２図は−線に沿える縦断側
面図。第３図は−線に沿える縦断側面図。第
４図乃至第７図はその工法に基づく一実施工法を
工程順に示す各正面図であり、夫々一部切欠す
る。第８図は−線に沿える縦断側面図であ
る。 図中、１……外管、２……薬液流路、４……ビ
ツト、５……注入体、６……流入孔、７……流出
孔、Ａ……薬液、Ｂ……冷却水、ｃ……地盤、c₁
……地盤孔面、Ｓ……流通空間、２ａ……内流
路、２ｂ……外流路、２ｃ……混合室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内外二重の薬液流路を有し下端にビツトを設
   けた二重管構造のロツド下端部に、周側面に流出
   孔を開口せる注入体を負荷により摺動して出没可
   能に内蔵せしめ、このロツドを地盤に堀削推進し
   た後に適宜後退させるとともに前記注入体を前記
   薬液流路から流出孔へ流れ至る薬液の流量差に基
   づく圧力によりビツト開口から、ロツド跡の地盤
   孔内に突出させ、該注入体周側面と対面の地盤孔
   面との間に形成される環状の流通空間に前記流出
   孔から薬液を送り出して流通空間より地盤中に薬
   液を注入するようにしたことを特徴とするボーリ
   ングによる薬液注入工法。 ２ 内外二重の薬液流路を有し下端にビツトを設
   けた二重管構造のロツド下端部に注入体を摺動し
   て出没可能に内蔵せしめ、この注入体には内外両
   流路から混合室を経て流下する薬液の混合液が流
   入する流入口を、該混合室に臨む側に同混合室径
   よりも小径に開孔するとともにこの注入体の周側
   面にはその流出孔を設け、前記流出孔へ流れ至る
   薬液の圧力により注入体をビツト開口より突出さ
   せることを特徴とするボーリングによる薬液注入
   装置。