JPS6155008B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は下水処理、屎尿処理等によつて発生す
る汚泥を焼却する焼却炉の炉温管理方法に係り、
発生した汚泥を脱水処理した脱水ケーキを乾燥処
理した自燃性の乾燥汚泥により、炉温が過度に上
昇するのを防ぐために、脱水ケーキを汚泥乾燥機
により粉粒体に近い状態の乾燥汚泥とし、流動層
焼却炉の砂層部に冷却管を挿入して、乾燥汚泥の
余剰熱量を吸収再利用すると共に、乾燥汚泥の含
水率、発熱量、炉内供給量のバラツキに起因する
炉温の変動に対して、炉内供給空気量を調整する
ことにより、炉内温度を適正範囲に安定して保つ
ようにした炉温の管理方法に関するものである。
自燃性乾燥汚泥を焼却する焼却炉の温度管理方法
として従来次の(1)〜(4)のものが提案されている。 (1) 助燃方式 汚泥ケーキの乾燥を自燃可能な含水率より高
い値で終了させ、自燃に要する熱量の不足分を
補助燃料の供給によりまかなうものであり、第
１図のように乾燥汚泥１を焼却する流動層焼却
炉２の炉温を温度調節器３により検出し、この
検出された炉温に応じて油量調節弁４を調節
し、この調節により供給ポンプ５を経て上記焼
却炉２に至る重油（補助燃料）６の供給量を調
整して焼却炉２の炉温を制御する。この方式で
は補助燃料を必要とするという欠点があり、又
補助燃料分のガス量が増加し、ガス処理設備が
大きくなるという欠点があつた。 (2) 汚泥乾燥機（間接加熱型）制御方式 第２図に示す如く、脱水ケーキ７を乾燥して
乾燥汚泥１となし、この乾燥汚泥１を流動層焼
却炉２に供給する間接加熱型の汚泥乾燥機８を
温度調節器３により検出された炉温に応じて制
御し、上記乾燥汚泥１の含水率の調整により焼
却炉２の炉温を制御するものであり、温度調節
器３によつてモータ９を制御して上記汚泥乾燥
機８内での汚泥の滞留時間を調整するか、又は
温度調節器３によつて蒸気調節弁１０を調節
し、乾燥機８の乾燥用蒸気１１の供給量を調節
する。この方式では、炉温の変動の検知から上
記モータ９又は調節弁１０の制御までは瞬時に
行なわれるが、この制御後上記乾燥汚泥１の含
水率が目的とする値となるまでには数10分程度
の時間遅れがあり、実質上の炉温制御は困難で
あるという欠点があつた。尚、第２図におい
て、符号１２はドレンを示すものである。 (3) 水噴射方式 脱水ケーキを自燃可能な含水量より低い値ま
で乾燥し、炉への入熱を常時過剰に供給し、こ
の過剰分を第３図のように、焼却炉２への水噴
射で除去すべく、冷却水１３の調節弁１４を前
記した焼却炉２の炉温を検出する温度調節器３
により該炉温に応じて調節し、この調節により
炉温を制御するものである。この方式では次の
(a)〜(d)の欠点がある。 (a) 水噴射により、炉内耐火物に破損を生ず
る。 (b) 未蒸発ミストが排ガスに混入し、炉以後の
ガス処理設備の腐蝕の原因となる。 (c) 水噴射によりガス量が増大し、ガス処理設
備が大きくなる。 (d) 必要な乾燥用熱媒（蒸気等）量が多くな
る。 (4) ケーキ供給量制御方式 第４図のように、温度調節器３で検出された
炉温の変動に対し、焼却炉２へのケーキ供給量
を追随させて、上記炉温を制御するものであ
り、上記調節器３によつてモータ９又は１５を
制御してケーキの供給量を制御する。モータ９
は汚泥乾燥機８内のケーキ送り用のものであ
り、このモータ９の制御により乾燥機８内での
ケーキ滞留時間が制御される。モータ１５は脱
水ケーキ７を乾燥機８へ運ぶコンベア１６を駆
動するものであり、このモータ１５の制御によ
り、乾燥機８へ供給される脱水ケーキ７の単位
時間での量が制御される。 この方式では、脱水ケーキの乾燥機８への供
給量の変化により、乾燥機８での受熱量も変化
し、このため乾燥機８の出口でのケーキの含水
量も同時に変化してしまうので、焼却炉２への
ケーキによる入熱量の予測が困難であるという
欠点があつた。 本発明は上記した従来の炉温管理方法り欠点を
解消することを目的とするもので、次の諸点に留
意して、設備上、操作上の工夫を払つている。即
ち (1) 補助燃料を用いない省エネルギーであるこ
と。 このためには乾燥汚泥を自燃含水率以上に乾
燥させている。 (2) 応答時間の速い制御方式であること。 このためには炉内に吹き込む燃焼用空気は排
熱回収による予熱を常温のまま供給し、該空気
による砂層との直接熱交換により炉内温度を制
御する。常温空気による砂層との熱交換は応答
時間が極めて早く、炉温制御方法として有効で
あることはテストプラントで確認されている。 (3) 乾燥汚泥の含水率、炉内供給量の変動を抑え
るため、汚泥を粉粒体に近い状態にまで乾燥さ
せること。 蒸気又は温水、熱媒油等を用いた間接式汚泥乾
燥機の操作において、乾燥機の出口含水率を50％
程度に設定すると、実際は50±５％程度にばらつ
くが、これを例えば30％に設定すれば、ばらつき
の幅は±３％以下になるのが実情である。これは
汚泥の物理的性状の差によるもので、含水率50％
前後の汚泥は不規則に団塊化しやすく、又乾燥機
の排出ゾーン附近での停滞をおこしやすい。その
結果、乾燥機内での滞留時間が不安定となり、こ
のことが、乾燥汚泥の含水率のばらつきの原因と
なる。これに反し、30％程度の含水率の汚泥は一
般に粉粒状であるため、乾燥機内の移送および排
出がきわめて円滑に行われるので、乾燥機出口で
の汚泥の含水率は安定する。かつ、粉粒体に準じ
た扱いができるために、供給量のばらつきも小さ
く抑えることができる。即ち、炉温の変動の主要
因である含水率、供給量のばらつきを、汚泥性状
を粉粒状化することによつて極力抑え、もつて炉
温の変動幅を小さくさせる点が本発明の特徴の１
つである。 更に、上記の粉粒状化するまで乾燥された汚泥
は、通常自燃に要する熱量以上で燃焼するため、
炉内で余剰熱量を除去しないと、炉温が上昇しす
ぎて炉の運転が行えないが、本発明では余剰熱量
の除去手段として、流動層部（砂層）の中に冷却
管を設置し、冷却管内の水又は熱媒油により、冷
却管を介して蒸気として過剰熱量の除去、回収を
はかり、この蒸気は汚泥乾燥用の熱源の一部とし
て再利用が可能である。 これを要するに本発明は下水処理、屎尿処理等
によつて発生する汚泥を脱水して得られる脱水ケ
ーキを蒸気又は温水、熱媒油等を用いた間接式汚
泥乾燥機により自燃性の乾燥汚泥とし、この乾燥
汚泥を均一に投入する装置を有する流動層焼却炉
により自燃焼却する方法において、脱水ケーキを
乾燥機によつて粉粒体に近い状態になるまで、即
ち一般には含水率が30％程度にまで乾燥して、先
ず乾燥汚泥の含水率や炉内供給量の変動幅を少く
抑えた後に、乾燥汚泥の持ち込む熱量（一般には
自燃に要する熱量以上である。）のうち、自らを
燃焼させ、かつ炉温を適正な温度に保つに必要な
熱量以外の余剰熱量を、流動層焼却炉の砂層内に
挿入した冷却管内の水、又は熱媒油により間接的
に蒸気として回収、再利用し、又乾燥汚泥の含水
率、発熱量等の性状や供給量のばらつきに起因す
る炉温の変動に対しては、炉へ導入される燃焼用
空気の総量を調整し、炉内空気比が1.2〜2.0の範
囲において操作して流動層焼却炉の温度を700〜
950℃の範囲内に制御する自燃性汚泥の流動層焼
却炉の炉温管理方法である。 次に本発明の実施例を図面について説明する
と、第５図において、図示しない脱水機から排出
された脱水ケーキ（脱水汚泥）７は先ず、間接式
汚泥乾燥機８に投入され、含水率30％程度に迄乾
燥される。乾燥されて粉粒状に近い形状となつた
乾燥汚泥１は汚泥投入機１７を経て、流動層焼却
炉２に投入される。自燃汚泥の場合、炉内最高温
度は砂層部に発生するため、砂層内に、冷却管１
８が設置されている。冷却管１８には廃熱ボイラ
１９への給水２０の一部を分岐して給水し、冷却
管１８内で発生した蒸気は、廃熱ボイラ１９によ
る蒸気１１と合流させた後、汚泥乾燥機８へ導入
する。 また、乾燥汚泥１の性状、供給量のばらつきに
より炉温が変動した場合、炉内に挿入された図示
しない１点以上の検出端よりの温度信号は温度調
節器３を経て燃焼用空気流量調整弁２１の開度を
調節し、かくて、炉温を設定値に復帰させる。 但し、燃焼用空気２２の総量、即ち炉内空気比
λは焼却排ガス中へのNOx発生濃度と密接な関
係があり、第６図に示すように、空気比λの上限
はおおむね２であることが、テストプラントによ
つて確認されている。なお、９は汚泥乾燥機８内
のケーキ送り用モータ、１２はドレンである。 本発明に関する試算例を第１表に示す。

【表】 上記条件の内、定格・設定条件及び炉への入熱
が最大となる２ケースについての試算結果を第２
表に示す。

【表】 本発明によると上述の如く乾燥汚泥１の含水率
は約30％とされるので粉粒体に近くなり、炉内へ
供給量のばらつきを小さくして炉温の変動を防ぐ
ことができる。また炉の砂層中に設けた冷却管を
介して余剰熱量を吸収し再利用して、省エネルギ
ーに資するとともに、炉温に変動を生じたときは
燃焼用空気の総量を調節して迅速に炉内温度を
700〜950℃の適温に復帰させると共に、炉内空気
比を1.2〜2.0の範囲に制御することにより排ガス
中のNOx濃度を一定値以下に抑え環境悪化を防
止できるなど多くのすぐれた効果を奏することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図および第４図は従来の
種々の焼却炉炉温管理方法を示す系統図、第５図
は本発明の一実施例の系統図、第６図は本発明に
よる空気比とNOx濃度の関係を示すグラフであ
る。 １……乾燥汚泥、２……流動層焼却炉、７……
脱水ケーキ、８……汚泥乾燥機、１８……冷却
管、２２……燃焼用空気。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下水処理、屎尿処理等によつて発生する汚泥
   を脱水処理し、この脱水処理によつて得られた脱
   水ケーキを汚泥乾燥機により自燃性の乾燥汚泥と
   なし、この乾燥汚泥を流動層焼却炉により焼却す
   る方法において、脱水ケーキを汚泥乾燥機により
   含水率を約30％に乾燥し、流動層焼却炉の砂層内
   に挿入した冷却管を介して該乾燥汚泥の余剰熱量
   を蒸気として吸収再利用し、かつ該焼却炉へ導入
   される燃焼用空気の量を、炉内空気比1.2〜2.0の
   範囲において操作して流動層焼却炉の温度を700
   〜950℃の範囲内に制御することを特徴とする汚
   泥焼却炉炉温管理方法。