JPS6153589B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、気体、液体等を媒体とする流体回路
の断続を制御する電磁弁に関する。

＜従来技術＞ 第１図及び第２図は、従来例に係る電磁弁の典
型的構造を示し、１は、円筒形等筒状シリンダ
ー、２は、このシリンダー１内に移動可能な状態
に収納された弁棒で、鉄等磁性体にて形成され
る。シリンダー１の図中上端には、ストツパー３
が、また下端には、弁機能部４が設けられてい
る。５は、ストツパー３と弁棒２上端との間に設
けられ、弁棒２を図中下方に弾性押圧するバネ体
である。弁機能部４は、弁棒２下端に固定された
球体６及びシリンダー１下端に設けられた弁座７
にて構成される。８は、弁棒２を吸引し、バネ体
５の発力に抗してシリンダー１上方に移動させる
電磁コイルで交流電源にて駆動される。９，１０
は、それぞれ吸入管、排出管である。

かかる構造の電磁弁は、第１図に示すように電
磁コイル８への通電が遮断されたとき、弁棒２が
バネ体５の弾性力によつて図中下方へ押圧され、
球体６は弁座７に当接して、流路は遮断される。
他方電磁コイル８に通電されたときは、第２図に
示すように、弁棒２は、バネ体５の発力に抗して
上方に吸引され、ストツパー３に衝突して停止
し、球体６は弁座７から離れ、吸入管９から排出
管１０への流路が形成される。

かかる構造の電磁弁にあつては、電磁コイル８
の付勢時（弁開放時）弁棒２がストツパー３に衝
突したとき、及び電磁コイル８の付勢解除時（弁
閉鎖時）バネ体５発力により球体６が弁座７に衝
突したとき、衝突音を発し、特に前者による音が
大きいという問題が生じている。例えば、上記構
造の電磁弁を冷蔵庫に冷媒として使用されるフレ
オンガスの流動制御用として使用したとき、この
衝撃音は、使用者に不快感を与え、商品価値を低
下させる原因となつている。

このような問題に対処するため、従来例えば、
ストツパー３と弁棒２の当接部に軟質緩衝材を介
在させることも考えられるが、かかる場合、電磁
コイル８が発熱すること、及びうなり音が発生す
るという新たな欠点が現れ実用化には至つていな
い。この場合、発熱は、軟質緩衝材が磁気的な絶
縁体であることに起因し、またうなり音は、弁棒
２の軟質緩衝材への当接時発生する微小振動（交
流電源周波数に一致）に起因するものと考えられ
る。このような軟質緩衝材を使用したものとして
例えば実開昭56−90553号公報に開示の構造があ
る。

さらに、前述の如き構造にあつては、弁開放
時、開放状態を保持するために電磁コイル８を通
電し続けなければならず、消費電力が増加すると
いう問題がある。

尚かかる問題に対処するものとして、特開昭52
−105326号公報に開示の技術があるが、これには
衝撃音及びかなり音の解消という機能につては何
ら開示していない。

＜発明の目的＞ 本発明は、筒状シリンダーと弁棒の間に発生す
る衝突音を減少させ、かつ同時に電磁コイルの発
熱阻止及びうなり音の発生を阻止することを目的
とする。

また本発明は、上記目的を達成すると同時に電
磁コイルの付勢を弁棒移動時のみ行うことにより
消費電力の節減をもはかつたものである。

＜発明の構成＞ 本発明に係る電磁弁は、筒状シリンダー、該筒
状シリンダー内に移動可能に収納された磁性体よ
りなる弁棒、上記筒状シリンダー外周に配され上
記弁棒を弁開放方向に駆動する第１の電磁コイ
ル、弁開放時上記筒状シリンダーと上記弁棒の当
接部において少なくとも上記弁棒若しくは上記筒
状シリンダーに取りつけられ上記第１の電磁コイ
ルの磁化方向と同一方向に磁化された緩衝材、上
記弁棒の移動により開閉動作する弁機能部、上記
筒状シリンダー外周であつて上記弁機能部側に上
記第１の電磁コイルを並置して配され上記弁棒を
閉鎖方向へ駆動する第２の電磁コイルを少なくと
も備えてなり、上記緩衝材の磁化による吸引力の
大きさは、上記弁棒の自重による離脱力より大き
く、かつ上記第２の電磁コイルの吸引力よりも小
さく設定されてなり、弁開放時において上記弁棒
は上記緩衝材の吸引力のみにより弁開放状態を維
持せしめられる構成を有する。

＜実施例＞ 第３図は、本発明実施例に係る電磁弁を示す。
図中、第１図及び第２図に示す従来例と同一部分
については、同一番号を付して説明を省略する。
図において、１１は弁棒２の上端に固定された磁
化処理された緩衝材で、磁性粉を混入したゴム或
いは合成樹脂にて構成され、弾力を付与されてい
る。この緩衝材１１として、例えば鐘淵化学工業
株式会社製造のカネカフラツクス（登録商標）を
使用することができる。１２，１３は、弁棒２の
上端及び下端付近に取りつけられたゴム等よりな
るＯリングで、弁棒２の移動の際、その横ブレを
防止する作用をなす。８_１は弁開放時動作する第
１の電磁コイル、８_２は、この第１の電磁コイル
８_１に並列配置され弁閉鎖時動作する第２の電磁
コイルである。ここで上記緩衝材１１は、その磁
化方向が第１の電磁コイル８_１の磁化方向と同一
方向に設定されてなり、かつその吸引力の大きさ
は弁棒２の自重による離脱力よりも大きく、第２
の電磁コイル８_２の吸引力よりも小さく設定され
ている。

本実施例では、筒状シリンダー１は、その中心
軸が略垂直方向に配置され、バネ体５（第１図）
は備えていない。かかる構成において、第１の電
磁コイル８_１が付勢されると、弁棒２は、これに
吸引力されてシリンダー１上端のストツパー３に
緩衝材１１を介して衝突する。それ故、その衝撃
は、緩衝材１１にて緩和され、大きな衝突音が発
生することはない。また衝突後弁棒２には、緩衝
材１１による吸引力がはたらくから、弁棒２の微
小振動は阻止されると同時に、弁棒はこの緩衝材
１１の磁性により保持される。従つて第１の電磁
コイル８_１は、弁棒２移動直後に付勢解除され
る。一方第２の電磁コイル８_２が付勢されると、
弁棒２は、このコイル８_２に吸引されて、シリン
ダー１との当接部から離脱し、球体６が弁座７に
当接して弁は閉鎖される。この弁閉鎖状態は、弁
棒２の自重にて保持させることができるから、弁
棒２移動直後、第２の電磁コイル８_２の付勢解除
することができる。第２の電磁コイル８_２の付勢
による弁閉鎖動作は、第２の電磁コイルの付勢及
び弁棒２の自重を利用するため、第２の電磁コイ
ル８_２の磁力が第１の電磁コイル８_１のそれに比
較して小さく押えることができ、実際には弁棒２
を緩衝材１１から離脱させるのみで足りる。この
場合、弁棒２は自重にて落下し弁座７に衝突する
が、このとき発生する衝突音は、従来例における
バネ体５（第１図）の発力を利用した場合に発生
する衝突音に比較して格段に小さい。この弁閉鎖
発生する衝突音をさらに減少せんとすれば、球体
６及び／若しくは弁座７を、ゴム、プラスチツク
等弾性材にて構成すればよい。

ここで、第１及び第２の電磁コイル８_１，８_２
と弁棒２の配置関係につき説明する。第１の電磁
コイル８_１は、弁棒２を図中上方に移動させるも
のであるから、弁棒２の中心より図中上方に、ま
た第２の電磁コイル８_２は、弁棒２を図中下方に
移動させるものであるから、弁機能部４側即ち弁
棒２の中心より図中下方に配置される。

前述の実施例では、筒状シリンダー１の中心軸
が垂直となるよう電磁弁を配置した場合につき説
明したが、シリンダー１中心軸が水平となるよう
配置したとしても、その動作に特別の問題は生じ
ない。ただ、この場合には弁閉鎖時における第２
の電磁コイル８_２の吸引力を、前述の実施例にお
ける場合より僅か大きく設定し、かつ弁閉鎖状態
を維持すべく、第２の電磁コイル８_２に通電し続
けなければならない。それ故、実際には弁閉鎖作
用に弁棒２の自重が利用できるよう、シリンダー
１に若干の傾斜をもたせることが好ましい。

前述の例では、磁化された緩衝材１１を弁棒２
上端に固定した場合につき説明したが、このほか
弁棒２上端とこれに当接するシリンダー１内面の
両方、或いはシリンダー１内面にのみ取りつけて
も、同様の効果を得ることができる。

また筒状シリンダー１、吸入管９及び排出管１
０として、プラスチツク等金属に比し軟質の材料
を使用すれば、衝突音はこれらの部分で吸収され
るから、騒音の発生は、より一層抑制されること
になる。

＜発明の効果＞ 本発明は、筒状シリンダーと弁棒の間に磁化さ
れた緩衝材を介在させたものであるから、弁棒の
シリンダーに対する衝突音を従来に比し格段に低
下させることが可能となる。

また本発明によれば、緩衝材が第１の電磁コイ
ルの磁化方向と同一方向に磁化されているから、
弁開放動作時弁棒は速やかに緩衝材に吸着し、従
つて弁棒吸引時弁棒の微小振動をとめ、これに起
因するうなり音の発生を阻止することができ、か
つ弁棒その磁力により吸引保持させることができ
る。これにより、第１の電磁コイルは、弁棒駆動
直後、その付勢を解除することが可能となり、消
費電力の節減が図られる。さらにまた緩衝材によ
り磁束を弁棒に収束させることができるから、弁
棒の電磁コイルに対する応答速度を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来例断面図、第３図
は、本発明実施例断面図である。 １……筒状シリンダー、２……弁棒、３……ス
トツパー、４……弁機能部、５……バネ体、６…
…球体、７……弁座、８_１……第１の電磁コイ
ル、８_２……第２の電磁コイル、９……吸入管、
１０……排出管、１１……緩衝材、１２，１３…
…Ｏリング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒状シリンダー、該筒状シリンダー内に移動
   可能に収納された磁性体よりなる弁棒、上記筒状
   シリンダー外周に配され上記弁棒を弁開放方向に
   駆動する第１の電磁コイル、弁開放時上記筒状シ
   リンダーと上記弁棒の当接部において少なくとも
   上記弁棒若しくは上記筒状シリンダーに取りつけ
   られ上記第１の電磁コイルの磁化方向と同一方向
   に磁化された緩衝材、上記弁棒の移動により開閉
   動作する弁機能部、上記筒状シリンダー外周であ
   つて上記弁機能部側に上記第１の電磁コイルと並
   置して配され上記弁棒を弁閉鎖方向へ駆動する第
   ２の電磁コイルを少なくとも備えてなり、上記緩
   衝材の磁化による吸引力の大きさは、上記弁棒の
   自重による離脱力より大きく、かつ上記第２の電
   磁コイルの吸引力よりも小さく設定されてなり、
   弁開放時において上記弁棒は上記緩衝材の吸引力
   のみにより弁開放状態を維持せしめられることを
   特徴とする電磁弁。