JPS6145801Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は温室内で保温用あるいは遮光用仕切り
カーテン又は開閉可能な外被として張設されるプ
ラスチツクシート等を巻取り巻戻して開閉するた
めの装置に関する。

例えば一般に、長尺な仕切りカーテンの一端を
傾斜仕切面の上部フレームに固着し、他端縁に巻
取軸を固定してこの巻取軸を適宜の駆動源により
回転転動せしめることにより、該カーテンを巻き
上げ開放し、逆転せしめることにより該カーテン
を下方へ巻戻し閉成することが行われている。こ
の開閉方法においては仕切面が十分な傾斜角度が
なければ適確なカーテン巻戻し閉成が行えないも
のである。すなわち、傾斜角度が小さいとき又は
水平であるときには巻取軸の自重による低位への
転動がないので、カーテン巻戻しのために巻取軸
を単に逆転駆動しても、ロール状巻取り部の内部
で巻取軸が空転するだけで転動力が与えられな
い。

そこで、この巻取軸の逆転と同時に転動移動の
ための手段が必要となるが、巻取軸の回転数は一
定であるのに対し、転動移動は巻取径の減少に応
じて変化するためカーテンのダブつきやヒキツリ
を生じることなく、巻取軸の回転と移動スピード
を対応せしめることは困難である。特に、温室カ
ーテンは用途に応じたフイルムの厚薄、温室サイ
ズに応じた長短等千差万別であるので、巻取径の
変化も一定でない。

又、この種開閉装置の巻取軸としては、断面円
形又は多角形の直棒材又は直管材が用いられ、該
巻取軸にカーテンフイルムの一端縁を固着し、こ
れをロール状に巻取り巻戻しを行つて仕切面を開
閉するものである。しかるに、巻取りに際して該
幅広長尺なフイルム等を完全に均一なロール状に
巻取ることは不可能である。すなわち、長尺な巻
取軸のたわみによる回転軸心のずれや、柔軟なフ
イルム自身の部分的な伸び、その他の原因によ
り、巻取りの引張力を受けたフイルム面には大小
の皺や捩れが生じる。この皺、捩れの部分が巻取
られると、ロール状面に凹凸が生じ、そのまゝ巻
取りを続けるときは巻取軸の各所で巻取径が異な
るものとなる。その結果、引張されるフイルムの
巻取り速度が各部で異なることとなり、フイルム
に無理な引張力が作用して部分的伸び弛みや破損
を生じたり、上記皺や捩れを更に増幅したりする
原因となつている。また、このカーテンフイルム
の部分的伸び弛みは、フイルム巻戻しにより仕切
面を閉成したときの、カーテンフイルム移動端縁
の不揃いを生じ、完全な仕切り閉成を行えなくな
るものとなつていた。

本考案は上記のような欠点を除去するために提
供されたものであり、その主な目的は、カーテン
仕切面が水平又は小さな傾斜であつても、適確に
巻取軸を開閉方向に転動し得る温室カーテン開閉
装置を提供することにある。

本考案のもう一つの主な目的は、フイルム面に
生じる皺や捩れに影響されることなく巻取径を均
一に保ちながら巻取り・巻戻しすることのできる
巻取軸を有する温室カーテン開閉装置を提供する
ことにある。

本考案の他の目的は、巻取軸の転動位置の変化
に拘らず、該巻取軸を常に一定のトルクで巻戻し
方向へ牽引附勢してなる温室カーテン開閉装置を
提供することにある。

本考案の更に他の出力は、カーテンに所定以上
のテンシヨンが作用せず、またダブつきを生じな
い温室カーテン開閉装置を提供することにある。

本考案の更に他の目的は、いかなるカーテンの
厚み、又は巻取長にも適用し得る巻戻し機構に係
る温室カーテン開閉装置を提供することにある。

上記の目的は、巻取軸の巻戻し方向への転動附
勢のための駆動源として無定数ぜんまいバネを用
いた巻戻し機構及び複数の膨隆部が形成されてな
る巻取軸によつて達成される。

次に、本考案を図面に示された実施例に従つて
更に詳しく説明することとする。

１は温室、１ａ，１ｂは該温室の骨組となる左
右フレーム、２，２……は温室の左右側壁間に張
設固定された仕切面ワイヤであり、適宜の間隔で
平行に張設されている。尚、図に示された実施例
では仕切面ワイヤ２を水平に張設しているが、傾
斜して張設してもよい。３は開閉用のカーテンで
あり、一端縁は巻取軸４に固着されるとともに、
他端縁は温室側壁に固定されて、前記仕切面ワイ
ヤ２，２……上に載置せしめられている。而し
て、該巻取軸４が仕切面ワイヤ２，２……上を転
動しながらカーテン３を巻取り巻戻しすることに
より、カーテン３が開閉せしめられる。５は回転
駆動機構であり、上記巻取軸４に正逆回転力を与
える。すなわち、原動機Ｍの回転力はフレキシブ
ルな回転ワイヤ５１を介して可動減速機５２に伝
達される。該減速機５２は巻取軸４の一端に連結
されるとともに、案内レール６により自転をしな
いように支持されながら温室の左右側壁間を往復
移動可能に案内せしめられている。

７は巻戻し機構であり、駆動源部７１と巻戻し
線形体７２とからなる。而して、駆動源部７１は
温室の左側壁フレーム１ａすなわち巻取軸４を巻
戻す側のフレームに固定することともに、その出
力軸７１１と巻取軸４の間には巻戻し線形体７２
が捲回張設せしめられている。該線形体７２とし
て第３ａ図及び第３ｂ図にはワイヤあるいは紐の
例が示されているが、補助ドラム７１７の巻胴部
と略同一幅のテープ状物を用いてその一端を該巻
胴部に固定して密着捲回することとしてもよい。

第３ａ図には駆動源部７１の構成の一実施例が
示されている。７１２は温室フレーム１ａに取付
け固定されるケーシング、７１３は該ケーシング
７１２内で回転自在に支持された出力軸、７１４
はバネ用主軸でありケーシング７１２内に回転自
在に支持されている。７１５は無定数ぜんまいバ
ネであり、その一端部は上記出力軸７１３に密着
捲回可能に固定されるとともに、その他端部は上
記バネ用主軸７１４に固定せずに密着捲回されて
いる。７１３′，７１４′は出力軸７１３および主
軸７１４にそれぞれ固設されたフランジ部であ
り、上記ぜんまいバネ７１５の整列巻付けを行わ
しめるため必要に応じて設けるものとする。

７１６は補助軸、７１７は補助ドラムであり、
該補助ドラム７１７に巻戻し線形体７２を固定捲
回するものとしている。ただし、該補助軸７１
６、補助ドラム７１７を設けずに、巻戻し線形体
７２を直接出力軸７１１に捲回するものとしても
よいこと勿論である。

また、３ｂ図に示すように該補助ドラム７１７
を出力軸７１３と一体として内蔵するようにケー
シング７１２を形成して適宜箇所に巻戻しワイヤ
用の繰出口を設けることも本考案に含まれる。更
に第３ａ図及び第３ｂ図のように無定数ぜんまい
バネ７１５を１個設置するもののほか、必要に応
じて第４図のように２個のぜんまいバネ７１５
ａ，７１５ｂを設置すること、或いは３個以上と
することは本考案に含まれる設計変更である。複
数個のぜんまいバネを設置するには第４図々示の
ように、各一端部を出力軸７１３に重合しながら
捲付くように設けるものとする。

更に、補助軸７１６を第５図に示すように温室
側壁に沿つて延長架設し、これに複数の補助ドラ
ム７１７ａ，７１７ｂ，７１７ｃ…を適宜間隔で
固定するものとしてもよい。この場合、巻戻し線
形体７２ａ，７２ｂ，７２ｃ……の各一端は巻取
軸４に固定するとともに、カーテン３のロール状
巻取部に巻込まれるように巻取軸に捲回可能に設
けるものとする。このように設けるとカーテン巻
戻しの際にロール状巻取部のくつ付きを引き剥す
効果もある。また、温室の大きさ、カーテン厚に
応じて駆動源部を複数設けること、例えば補助軸
７１６の両端に１個づつ７１，７１ａを設置し、
又は補助軸の中間部におけるドラム７１７ｂ，７
１７ｃに代えて設置することとしてもよい。

尚、減速機５２はウオーム及びウオームホイー
ル機構とする。

いま、原動機Ｍにより、巻取軸４を第１図矢印
ｒ方向へ回転付勢せしめると、該巻取軸はカーテ
ン３をロール状に巻取りながら温室右側壁方向へ
転動してカーテンを開放する。このとき、巻戻し
線形体７２は巻取軸４に捲付けられるとともに巻
取軸の転動進行方向に引張されるので、駆動源７
１の補助ドラム７１７、補助軸７１６および出力
軸７１１は第３ａ図矢印Ｓ方向へ回転せしめられ
る。この出力軸７１１の回転により、ぜんまいバ
ネ７１５は主軸７１４から抽き出されつつ出力軸
７１３に捲回されていく。この過程において、巻
取軸４には上記ぜんまいバネ７１５の巻戻りトル
クが作用するが、該ぜんまいバネ７１５はバネ定
数が零の無定数ぜんまいバネであるので、主軸７
１４からの抽出しが完了するまでの間の巻戻りト
ルクは常に一定である。従つて、カーテン３に無
理なテンシヨン増加が生じないので、破損事故を
生じることがない。

次いで、原動機Ｍを逆転せしめると巻取軸４は
矢印ｒと反対方向に回転してカーテン３を巻戻
す。そうすると、巻取軸４はぜんまいバネ７１５
の巻戻りトルクの作用を受けて駆動源部７１方向
へ引き寄せられる。このとき、巻取軸４は減速機
５２から一定の回転速度を与えられているが、巻
取径の減少により移動速度は減少する。しかる
に、この巻取軸４の移動速度の変化があつても、
ぜんまいバネ７１５の巻戻りトルクは一定に保た
れるから、巻戻し線形体７２はほヾ一定のテンシ
ヨンで巻取軸４を引き寄せることができる。従つ
て、巻戻されるカーテン３は仕切面に弛み、たる
み等を生じることなく適確に閉成せしめられるも
のである。

尚、温室側窓又は天窓の仕切面に張設される外
被シートの開閉装置とすることも本考案に含まれ
る実施態様である。

上記の実施例では、巻戻し機構に無定数ぜんま
いバネを使用した場合を示したが、通常のぜんま
いバネを使用するものであつてもよい。この場合
には第６図に示すようにケーシング７１２の内側
壁の要所にバネ７１５′の一端を固着し、他端を
補助軸７１６に捲回するとともにその端縁を固着
する。このバネは補助軸７１６の巻き付け量によ
り巻戻りトルクが変化するので、これを一定にす
るために線形体７２を巻取る部分に径が異なるよ
うにテーパを設けた巻取ドラム７１７′を設ける
ことが望ましい。

また、カーテン巻取軸４に線形体７２が巻付か
ない構造のものであつてもよい。例えば、第７図
に示すように巻取軸４に対して回転自在な線形体
固定具７２１を設け、該固定具７２１に線形体７
２の一端を固着する。

更に回転駆動機構５としては、第１図に示した
実施例に限らず、例えば原動機Ｍを巻取軸４に直
接取付ける構造のものであつてもよいこと勿論で
ある。

次に、膨隆部を設けた巻取軸について第８図以
下説明することとする。

４は金属製等の巻取軸本体、８は該巻取軸本体
４上に任意間隔で隆設固定した膨隆部であり、上
記巻取軸本体４よりも大径であるとともに、各膨
隆部の最大直径Ｂを等しいものとしてある。尚、
この膨隆部８，８……の形状としては、第８図乃
至第９ｃ図のように滑らかな断面円弧状とし、又
は第９ｄ図に示すように断面略台形状とすること
ができる。

而して、巻取軸４を駆動してカーテンフイルム
３を巻き付けると、第９ａ図に示すように、各膨
隆部８，８……の周面においてフイルム３は密着
緊張して巻き付き、一方これより径の小さい巻取
軸本体４の周面には密着緊張せず緩かに巻き付く
こととなる。従つて、巻かれようとするフイルム
３面上に皺や捩れが生じていても、小径凹部に進
入する皺等はそのまゝ巻取られるとともに、大径
膨隆部８，８……上に進入する皺等は緊張力を受
けて両側凹部へ押し延べられる。前記巻戻し機構
によつてフイルム３に適切なテンシヨンが付与さ
れ、この作用が円滑に行なわれる。而して、各大
径膨隆部８，８……の周面では皺等をそのまゝ巻
取ることなく、常にフイルム３の厚み分だけ巻取
径が増加していくこととなる。一方、小径凹部に
寄せ集められる皺等の部分の巻取径は大径膨隆部
における巻取径を越えることはない。従つて、フ
イルム３の巻取軸の全長に亘つて均等スピードで
巻取られるため破損等の事故を生じることがな
い。また、巻取径が巻取軸の全長に亘つて一定と
なるから、巻取軸本体の一端で回転力を付勢して
も、軸の中間部でのよじれやたわみ屈曲を生じる
ことなく直線的に回転し得るものである。

なお、上記大径膨隆部８は、第９ａ図に示すよ
うに軸本体４と同じ素材で一体成形してもよい
が、プラスチツク成形等の別部材とし、その中央
貫孔に軸本体４を挿通するようにして嵌め付け、
止めネジ８１により又は接着剤等適宜の手段によ
り、固着するものとしてもよい。ネジ止めの場
合、２個の止めネジ８１，８１により軸本体４へ
固着するものとしてもよい。このようにすると、
２本の軸本体４，４の各端部が膨隆部材８の中央
貫孔に挿通固着される場合、該軸本体４，４のジ
ヨイントとしての機能も兼ねることとなる（第９
ｅ図参照）。また、９ｃ図に示すように大径膨隆
部８，８……を連続的に配置すること、又は第９
ａ，ｂ，ｄ図のように適宜の間隔をあけて断続的
に配置することは自由である。

以上のように本考案の開閉装置は、巻戻し機構
と巻取軸の膨隆部の作用により、適確な巻取り巻
戻しを行なえるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る温室カーテン開閉装置の
要部を示す斜視図、第２図は−線断面より示
した概略構成図、第３ａ図は巻戻し機構を示す
−線断面図、第３ｂ図は別の巻戻し機構を示す
断面図、第４図は駆動源部の他の実施例を示す縦
断面図、第５図は開閉装置の他の実施例を示す斜
視図、第６図は巻戻し機構の他の実施例を示す縦
断面図、第７図は巻取軸と巻戻し線形体の他の方
法で取付けた状態を示す要部断面図、第８図は巻
取軸の一実施例を示す針視図、第９ａ図は第８図
における中央縦断面図、第９ｂ乃至第９ｅ図は他
の実施例における巻取軸の中央断面図である。 ３……カーテン、４……巻取軸、５……回転駆
動機構、７……巻戻し機構、７１，７１ａ……駆
動源部、７２，７２ａ，７２ｂ，７２ｃ……巻戻
し線形体、７１５，７１５ａ，７１５ｂ……無定
数ぜんまいバネ、Ｍ……原動機、８……膨隆部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 仕切面に張設されるプラスチツクシートの一
   端縁を巻取軸に固着して該巻取軸を転動しなが
   ら巻取り巻戻しをすることによつて該プラスチ
   ツクシートを開閉する装置において、巻取軸を
   常態において巻戻し方向へ附勢する巻戻し機構
   を有し、該巻取軸の所要箇所に複数の膨隆部を
   形成したことを特徴とする温室用プラスチツク
   シート開閉装置。 ２ 巻戻し機構が、無定数ぜんまいバネと、その
   トルクを回転力として出力する出力軸部と、該
   出力軸部に一端を固定して捲回するとともに他
   端を巻取軸に固定した巻戻し線形体とからなる
   前記登録請求の範囲第１項記載の温室用プラス
   チツクシート開閉装置。 ３ 巻戻し線形体の他端が、ロール状に巻取られ
   るシートに巻込まれるように巻取軸に固定捲回
   せしめられてなる前記登録請求の範囲第２項記
   載の温室用プラスチツクシート開閉装置。 ４ 巻戻し機構が、１個の無定数ぜんまいバネを
   有してなる前記登録請求の範囲第２項記載の温
   室用プラスチツクシート開閉装置。 ５ 巻戻し機構が、複数個の無定数ぜんまいバネ
   を有してなる前記登録請求の範囲第２項記載の
   温室用プラスチツクシート開閉装置。 ６ 膨隆部が、その大径部と小径部とが巻取軸に
   沿つて周期的に変化するように、連続的に形成
   されてなる前記登録請求の範囲第１項記載の温
   室用プラスチツクシート開閉装置。 ７ 膨隆部が断続的に形成されてなる前記登録請
   求の範囲第１項記載の温室用プラスチツクシー
   ト開閉装置。 ８ 膨隆部が、巻取軸に一体的に形成されてなる
   前記登録請求の範囲第１項記載の温室用プラス
   チツクシート開閉装置。 ９ 膨隆部が、巻取軸に着脱可能に嵌付け固定さ
   れてなる前記登録請求の範囲第１項記載の温室
   用プラスチツクシート開閉装置。 10 巻戻し機構の出力軸部が出力軸と、該出力軸
   と一体的に回転するように設けた巻戻し線形体
   を固定捲回するための補助ドラムからなる前記
   登録請求の範囲第２項記載の温室用プラスチツ
   クシート開閉装置。