JPS6145023B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、地中圧入摩擦杭の構築工法に係り、
鉄筋コンリート造等の比較的重量の大なる建造物
において建築後の年数の経過に伴つて生ずる構造
物の沈下に対処して該構造物を補強するため及び
又は沈下そのものを停止させ又は沈下の発生を未
然に防止するための地中圧入摩擦杭の構造工法に
関する。

鉄筋コンクリート造等の比較的重量の大なる建
造物においては、建築後或る年数を経過するとい
わゆる沈下現象を生ずるのはしばしば見られると
ころであるが、かかる沈下現象は建造物の一階床
面を道路等の地表面よりも低下させる等の不都合
を生じさせる外、不等沈下を生じた場合等には建
造物自体に歪を生じさせ、建具の立付を悪くする
等の結果をもたらす。従つて、かかる建造物の完
全且つ安全の使用の維持を図るためには、既に沈
下が生じている場合には沈下そのものの進行を停
止させて当該建造物を補強することが必要であ
り、沈下が未だに生じていない場合でも将来沈下
の発生が懸念される場合には予め沈下発生の防止
手段を講じておくことが好ましい。

従来、かかる建造物の補強並びに沈下を防止す
る方法として、建造物の下の地中に地盤を凝固さ
せる薬液を注入したり、地盤を圧縮して締め固め
たりすることにより、地盤そのものを改良する方
法や建造物の基礎を巻く様にコンクリートで新基
礎を作つて支持面を広げ耐力を増す方法や基礎の
真下に杭を打つて該杭で基礎を直接受けるいわゆ
る直接受杭法等が行なわれている。このうち、い
わゆる直接受杭法は、基礎下部に孔を掘り、ジヤ
ツキによつて鋼管杭を打つ方法で、工事にあまり
場所をとらず、建造物を平常どおりに使用しなが
ら工事しうるという大きな利点を有している。す
なわち、この方法は、当該杭工事をしようとする
基礎の部分の真下に作業空間としての杭孔を掘
り、該杭孔により露出された基礎の下面に油圧ジ
ヤツキを逆に取り付け、建造物の重さを利用して
油圧ジヤツキで約１ｍの長さの鋼管を地中に圧入
し、電気熔接で鋼管を熔接して順次繋げて所望の
長さ、耐力を有する受杭とするものである。しか
し、この方法による場合には、杭の長さと油圧ジ
ヤツキの長さとで約２ｍ程度の高さの作業空間が
必要であり、大きな杭孔の掘削及び該掘削に伴う
土砂の搬出に労力を要する外、掘削空間が大なる
ため工事中、建造物を支持する仮受台が必要であ
り、該仮受台の設置に手間と経費とを要し、又、
狭い杭孔内で鋼管の熔接作業をなさねばならず、
更には、鋼管の断面積が左程大きくないため、打
ち込まれた各受杭一本一本の耐力が左程大ではな
く、従つて、建造物を十分に支持しうる耐力を得
ようとすれば、受杭と受杭との間隔を狭めて多数
本の受杭を打設せねばならず、鋼管代が嵩む外、
工事費も膨大となるという難点を有していた。特
に、支持地盤が30〜50ｍの深い所にある場合には
経費は特に膨大であつた。又、支持地盤が深いた
め摩擦杭を用いて建てた建造物は、後に不等沈下
が起つても圧入可能な摩擦杭が従来無かつたこと
もあり、補強のため打つべき有効な杭はなかつ
た。

本発明は、従来のいわゆる直接受杭法の有する
叙上の難点を除去し、比較的小さな杭孔の掘削に
より工事をなし得、掘削量があまり大でないため
仮受台を設ける必要がなく、ブロツクを組積し且
つ砂利を圧入するだけで鋼管の熔接作業のような
手間がかかる作業を狭い杭孔内で行なう必要がな
く、従来のいわゆる直接受杭法より遥かに大なる
支持耐力を有し、従つて、受杭の打設本数も少な
くて済むうえ、極めて安価に太い杭の構築をなし
得、支持地盤に達せしめる支持杭としての使用の
外、摩擦杭としても使用し得、従来、無かつた圧
入可能な摩擦杭を提供し、支持地盤が深いため摩
擦杭を用いて建てた建造物に不等沈下等が生じた
場合でも該建造物を極めて有効に補強しうるとい
う地中圧入摩擦杭の構築工法を提供するものであ
つて、その要旨とするところは、予じめ建造物に
おける基礎下の所要箇所に所定の深さと大きさの
杭孔を掘削形成し、所要高さのブロツクを組積し
つつ、該組積するブロツクの一部を所定間隔をも
つて他のブロツクよりも底面積の大なるものとし
て該底面積の大なるブロツクの周縁部を他の組積
されたブロツクの側面より外方に向けて鍔状に突
出させ、組積したブロツクの頂面より建造物の重
力を反力としてジヤツキを用いて順次沈降せしめ
つつ前記鍔状に突出させた周縁部間に裏込め砂利
を圧入することを特徴とする地中圧入摩擦杭の構
築工法にあり、比較的小なる杭孔の掘削で杭構築
をなしうるとともに、杭構築期間中の仮受台の設
置及び狭い杭孔内における熔接作業を不要ならし
め、且つ少ない打設本数で十分な建造物支持力を
有する杭を極めて安価に構築しうるという作用・
効果を奏するものである。

図により本発明の一実施例を説明すると、第１
図は本発明に係る方法を実施している状態を示す
側面図であつて、基礎１の真下の土２中に杭孔３
を掘削し、該杭孔３により露出された基礎１の下
面にジヤツキＡを上下逆にして取り付け、受プレ
ート４によつてブロツク５１を押圧している状態
を示す。杭孔３の深さはジヤツキＡを設置し且つ
ブロツク５１を受プレート４の下面に挿入しうる
深さだけあればよく、本実施例では約１ｍに掘削
してある。又、杭孔３の前後及び左右の幅はジヤ
ツキＡを駆動し、ブロツク５１，５２を受プレー
ト４の下面に出入しうる幅だけあればよい。而し
て、杭孔３は本発明に係る方法による杭構築をし
ようとする場所の直ぐ近くの地表面から掘削すれ
ばよいが、若し建物の地下が店舗になつていたり
して杭構築をしようとする場所の近くに杭孔３へ
の出入口を掘削できないような場合は、出入口掘
削可能な場所から横孔をトンネル状に掘削して目
標地点に到達し、該地点に杭孔３を掘削する。勿
論、既に掘削した杭孔３から横孔を掘削し、目標
地点に到達してもよい。ジヤツキＡは上下を逆に
し、アンカーボルト６によりベースプレート７を
基礎１に固着させるとともにターンバクル８によ
り基礎１に緊張牽引させて基礎１に固定してあ
る。ブロツク５１，５２は鉄筋を内蔵したコンク
リートをもつて高さ15〜20cmの長方形状に形成し
てあり、ブロツク５１は長さ30〜60cm、ブロツク
５２は長さ60〜90cmに形成してある。本実施例に
おいては、第１図に示すように、ブロツク５１は
縦横を入れ替えて三箇宛、ブロツク５２は縦横を
入れ替えて六箇宛、それぞれ井桁状に並列させて
積み重ねており、それぞれの積み重ねにおいて、
ブロツク５１又はブロツク５２の端部がそれぞれ
側面から突出したり陥没したりせず、それぞれの
側面が垂直壁面状を形成するよう、それぞれのブ
ロツクの横幅と長さとを決定している。すなわ
ち、ブロツク５１では横幅と長さとの比が１：
３、ブロツク５２では横幅と長さとの比が１：６
となるよう、それぞれのブロツクの横幅と長さと
を決定している。本実施例においては、井桁の組
み方を、ブロツク５１は三箇並列、ブロツク５２
は六箇並列としているが、並列箇数の選定は任意
に行なつてよく、該選定に伴つて横幅と長さとの
比を選定数倍とし、それに合わせて横幅と長さと
を決定すればよい。

杭の構築に当つては、先ず、受プレート４の真
下の杭孔３の床面上に杭先端保護用の鉄板９を載
置し、該鉄板９上にブロツク５１を三箇宛並列さ
せて組積し、ジヤツキＡを駆動させる。而して、
ジヤツキＡを駆動させると、ベースプレート７側
には建造物の重量が負荷しているため、受プレー
ト４にジヤツキＡの駆動力が作用し、ブロツク５
１を地中に向けて押圧し、ブロツク５１は地中に
沈下する。続いて、沈下したブロツク５１の最上
段のブロツク５１上にブロツク５１を組積し、ジ
ヤツキＡを駆動するという工程を繰り返す。而し
て、ブロツク５１を所定段数例えば本実施例にお
いては第１図に示すように八段沈降させ終つた時
点で、最上段のブロツク５１及びその周囲近傍の
杭孔３の床面上にブロツク５２を六箇宛所定段数
例えば本実施例においては三段組積し、ジヤツキ
Ａにて押圧沈降させる。而して、ブロツク５２は
長さがブロツク５１よりも大なるため並列された
六箇のブロツク５２の底面積は並列された三箇の
ブロツク５１の底面積よりも大であり、該大なる
部分は並列されたブロツク５１の四周に均等に突
出するようにブロツク５２をブロツク５１上に並
列させる。すなわち、並列されたブロツク５２の
周縁部を並列されたブロツク５１の周辺より鍔状
に突出させる。尚、ブロツク５２を押圧沈降させ
る場合には、受プレート４を大なるものに換えて
並列されたブロツク５２の略全頂面を押圧するよ
うにする。次いで、ブロツク５１を並列されたブ
ロツク５２の中央部に並列組積し、ジヤツキＡに
て押圧沈降させるのであるが、その際、並列され
たブロツク５２の前記鍔状に突出した部分の上部
には、該鍔状に突出した部分の通過に伴い土２の
少ない部分が生ずるので、裏込め砂利１０を大量
に押し込む。次いで、前記と同様にブロツク５２
を組積して押圧沈降させるのであるが、該押圧沈
降に伴い、裏込め砂利１０の部分は、第１図に示
すように、ブロツク５２の鍔状に突出した部分に
より強力に押圧されて圧密状態となり、組積して
沈降されたブロツク５１，５２の部分と一体化し
て本発明に係る圧入摩擦杭の一部としての作用効
果を奏する部分となる。以後、前記工程を繰り返
し、最下端の鉄板９が所望の深度に達し、所望の
支持耐力を得たと判断された時点でジヤツキＡの
駆動を止める。最後にジヤツキＡを基礎１より外
し、ジヤツキＡのあつた部分をブロツク５１又は
５２にて埋めて基礎１の下面に最上段のブロツク
５１又は５２を当接させて本発明に係る杭の構築
を終る。

本発明は上述の実施例に限定されるものではな
く、ブロツク５１，５２の形状を円形や角形の平
板状として重ねて挿入するようにしてもよい。

本発明は上述の構成を有するため、支持地盤に
達せしめる支持杭としての使用の外、摩擦杭とし
ても使用し得、従来、無かつた圧入可能な摩擦杭
を提供し、従つて、支持地盤が深いため摩擦杭を
用いて建てた建造物に不等沈下等が生じた場合で
も該建造物を極めて有効に補強し得、従来のいわ
ゆる直接受杭法が深さ約２ｍの杭孔を掘削する必
要があつたのに対し、深さ約１ｍの杭孔の掘削で
足りるため、杭孔の掘削及び該掘削に伴う土砂の
搬出に要する労力を軽減し得、杭孔の大きさが比
較的小なるため建造物に対する杭構築中の仮受台
を不要ならしめ、仮受台の設置に伴う労力と経費
とを節減し得、ブロツクを組積するだけで鋼管の
熔接作業のような手間のかかる作業を狭い孔内で
行なわねばならない困難性を除去し得、裏込め砂
利の部分が圧密状態となつてブロツクと同一の作
用効果を奏し、大きいブロツクで上から下まで杭
を構築したのと同一の支持耐力、摩擦力を得るこ
とができるためブロツク費を節減し得るとともに
支持耐力、摩擦力が大なるため杭と杭との間隔を
広くとつて杭の本数を減らして材料費、労力等を
節減し得、更には、地下に店舗等があつて所望の
位置に出入口を掘削できずトンネル状横穴を掘削
して作業しなければならない場合等には、前記杭
孔の小なることによる土砂の搬出量の減小、長大
な鋼管と異なり細分化されたブロツクや砂利の運
搬し易さ等の利点が倍加されるという顕著な諸効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を表し、本発明に係
る地中圧入摩擦杭の構築工法を実施している状態
を示す側面図である。 １……基礎、３……杭孔、５１，５２……ブロ
ツク、９……鉄板、１０……裏込め砂利、Ａ……
ジヤツキ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 予じめ建造物における基礎下の所要箇所に所
   定の深さと大きさの杭孔を掘削形成し、所要高さ
   のブロツクを組積しつつ、該組積するブロツクの
   一部を所定間隔をもつて他のブロツクよりも底面
   積の大なるものとして該底面積の大なるブロツク
   の周縁部を他の組積されたブロツクの側面より外
   方に向けて鍔状に突出させ、組積したブロツクの
   頂面より建造物の重力を反力としてジヤツキを用
   いて順次沈降せしめつつ前記鍔状に突出させた周
   縁部間に裏込め砂利を圧入することを特徴とする
   地中圧入摩擦杭の構築工法。