JPS6144874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はシヤープペンシル用ボールチヤツク
の転子脱出防止装置に関するものである。

転子の受座を形成したチヤツク体と、転子の傾
斜受承面を形成したチヤツク作動体との間にチヤ
ツク用バネを張設することによつて、チヤツク用
バネの力を上記した傾斜受承面の働きでチヤツク
部を緊締する向きの力に変換して所望の芯挾持力
を得、また逆に、該チヤツク用バネの力に抗して
チヤツク体を前進させることで芯挾持力を弱化消
失さすシヤープペンシル用ボールチヤツクの構成
は従来公知である。このチヤツク体の頭部つまり
チヤツク部には幾つかの割りを入れ且つ予め自己
拡開力を付与しているのが通常であり、芯挾持力
の弱化消失の際に直ちにその自己拡開力によつて
チヤツク部を拡開するようになつている。しか
し、その侭では拡開の程度に自ずと限界があるた
め、新しく芯をチヤツク部に挿通する場合引つか
かつて円滑に挿通してくれないといつた欠点があ
る。この欠点を解消するには、チヤツク体を充分
拡開させるに足るスペースを生じさせて強制的に
充分な拡開を行なわすこと、つまりチヤツク体と
チヤツク作動体との相互位置関係を通常の場合に
比して一層ずらすようにすることである。その為
にはチヤツク体受座上の転子がチヤツク作動体の
先端から脱出しないようにさせる工夫が必要とな
つてくる。ところが仮りにチヤツク作動体の先端
に転子の脱出を阻止する部材を設ける構成を採用
するときには、部品点数の増加と共に組立ての面
倒さが加わつて能率的といえないきらいがあつ
た。

この考案の目的は、上記した欠点を解消するこ
とにあるが、図面に示す実施例により詳述する
と、つぎのとおりである。

この考案のボールチヤツクもまた、転子１の受
座２を形成したチヤツク体３のバネ受座４と、転
子１の傾斜受承面５を形成したチヤツク作動体６
のバネ受座７との間に、チヤツク用バネ８を張設
して成り、この点では従来と変りはないが、しか
し、チヤツク体３とチヤツク作動体６には、張設
したチヤツク用バネ８の外方且つ後方個所に、チ
ヤツク体３とチヤツク作動体６の相互位置規制用
の係合段部９，１０を対向して形成し、チヤツク
体３の係合段部９とチヤツク作動体６の係合段部
１０の係合時に、チヤツク体３とチヤツク作動体
６の前端開口間隙の距離が転子１の径より小とし
た点で相異している。

ボールチヤツクとして一体に組立てるには、チ
ヤツク作動体６の内側にチヤツク用バネ８とチヤ
ツク体３とを嵌挿してから、両係合段部９，１０
を当接するように押圧し、このような状態で割り
により分割されたチヤツク部を中心方向に強制的
に押しつけつつ該部に転子１を介装し、終つてつ
ぎの他の転子１を同様な操作で介装することによ
り、比較的簡単に組上げることができる。上記し
た中心方向に強制的に加えた押圧力相当の力は、
一旦組立てたあと使用態様下では、も早受けるこ
とがなく、従つてたとえ両係合段部９，１０がぶ
つかるときでも転子１は脱出しないことになる
（第３図参照）。

シヤープペンシルとして組立てるには、チヤツ
ク作動体６の突部１１前方部分に第１のバネ１２
を嵌着したものを軸筒１３の前方から挿入したの
ち、軸筒１３前端に前軸体１５を螺着することに
よつて、第１のバネ１２でチヤツク作動体６を後
方に付勢し、その突部１１後端面を軸筒段部１４
に押しつけ、定常静止位置を占めるようにする。

ボールチヤツクによる芯出しや、新しい芯をチ
ヤツク部に挿通させるチヤツク部の拡開は、チヤ
ツク体３とチヤツク作動体６との相互位置関係を
一定に保つたまま或る距離前進後、つぎにチヤツ
ク体３だけの前進が行なわれるようにすることで
あるが、このため、本実施例では、チヤツク体３
の後方に第２のバネ１６で後方に付勢すると共に
軸筒１３外に顕出する操作ノブ１７で前後動可能
とした押圧部材１８を配設し、その押圧部材１８
にチヤツク作動体６を押圧前進させたあと重畳す
る可撓性を付与した押圧用腕片１９を設けてい
る。この結果、第１図から第２図までの操作ノブ
１７前進の前半の段階では押圧用腕片１９はチヤ
ツク作動体６の押具として機能してボールチヤツ
ク全体を前進させ、こうしてチヤツク作動体６の
前端面を前軸体１５の内方段部２０に押しつけ
る。その後も続く第２図から第３図までの操作ノ
ブ１７前進の後半の段階で押圧用腕片１９はチヤ
ツク作動体６に重畳するから、該腕片１９が押具
としての機能を喪失する代りに押圧部材１８によ
るチヤツク体３の押圧前進が可能となる。他方、
チヤツク作動体６の後退を許容する空間を形成す
ることになるから、第１のバネ１２で押されるチ
ヤツク作動体６は後退可能となる。しかし、その
最大後退長はチヤツク作動体６の係合段部１０が
チヤツク体３の係合段部９に当る迄であるから、
転子１脱出のおそれは全くない。またチヤツク体
３とチヤツク作動体６の逆方向の移動で転子１は
傾斜受承面５との間に充分な隙間をもつ（第３図
参照）。そこでいま、チヤツク部を強制的に拡開
させるための手段として、チヤツク体６の前端面
に突状係合部２１を形成し、これを協働する他方
の突状係合部２２を前軸体１５に、或いは前軸体
１５に対して一定長前後動可能とした滑動リング
２３に形成した（第４図参照）としても、充分拡
開させるに足るスペースがあるため、円滑な作動
を保証してくれることになる。

以上の説明から明らかなように、この考案は、
転子１の脱出を阻止できるチヤツク体３とチヤツ
ク作動体６の相互位置規制用の係合段部９，１０
を、チヤツク体３とチヤツク作動体６の張設した
チヤツク用バネ８の外方に対向して形成し、チヤ
ツク体３の係合段部９とチヤツク作動体６の係合
段部１０の係合時に、チヤツク体３とチヤツク作
動体６の前端開口間隙の距離が転子１の径より小
としたから、特別な転子脱出防止用の部材は全く
使用せずに済むし、また両係合段部９，１０はそ
れぞれ後方に設けたから、チヤツク体３は前進し
チヤツク作動体６は後退するという逆方向の移動
を互いに干渉せずに行うことができ、充分に拡開
させるに甚だ好都合であるばかりでなく、その
際、転子１脱落のおそれは全くない。

尚、本考案のボールチヤツクの転子脱出防止装
置は、図示したシヤープペンシル構造以外の構造
と結合され、使用されること、いう迄もなく、決
して図示のものに限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る要部の断面図、第２図
と第３図は作動状態を示す半截断面図、第４図は
チヤツクを充分開かせるため滑動リングを設けた
場合の半截断面図である。 １……転子、２……受座、３……チヤツク体、
５……傾斜受承面、６……チヤツク作動体、８…
…チヤツク用バネ、９，１０……係合段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 転子１の受座２を形成したチヤツク体３と、転
   子１の傾斜受承面５を形成したチヤツク作動体６
   との間にチヤツク用バネ８を張設したシヤープペ
   ンシル用ボールチヤツクにおいて、チヤツク体３
   とチヤツク作動体６のそれぞれに、相互位置規制
   用の係合段部９，１０を、該チヤツク体３とチヤ
   ツク作動体６の間に張設したチヤツク用バネ８の
   外方且つ後方に対向して形成し、チヤツク体３の
   係合段部９とチヤツク作動体６の係合段部１０の
   係合時に、チヤツク体３とチヤツク作動体６の前
   端開口間隙の距離が転子１の径より小としてなる
   シヤープペンシル用ボールチヤツクの転子脱出防
   止装置。