JPS6141929B2 - - Google Patents

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JPS6141929B2
JPS6141929B2 JP56163966A JP16396681A JPS6141929B2 JP S6141929 B2 JPS6141929 B2 JP S6141929B2 JP 56163966 A JP56163966 A JP 56163966A JP 16396681 A JP16396681 A JP 16396681A JP S6141929 B2 JPS6141929 B2 JP S6141929B2
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JP
Japan
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polyurethane
diol
dye
range
dyes
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JP56163966A
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JPS5863749A (ja
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Koji Hirai
Kenji Shirono
Kazuo Hara
Takayuki Okamura
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPS5863749A publication Critical patent/JPS5863749A/ja
Publication of JPS6141929B2 publication Critical patent/JPS6141929B2/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は光により劣化を受けにくく、かつ染料
移行性の小さいポリウレタン組成物に関する。さ
らに詳しくは、本発明は、ポリオキシエチレン鎖
を含む高分子ジオール、脂環族有機ジオール、脂
環族有機ジイソシアネート、脂環族有機ジアミン
およびヒドラジンを特定の割合で反応させること
により得られるポリウレタンおよび特定の染料か
らなるポリウレタン組成物に関するものである。
このポリウレタン組成物は耐光性の点でおよび染
料移行性が小さい点で著しく優れており、特に人
工皮革の一成分として、あるいは布帛のコーテイ
ング剤として優れている。 ポリウレタンは耐薬品性、耐摩耗性、強靭性、
耐寒性および耐久性等の優れた諸特性により、ま
た多岐にわたる加工技術の開発進歩により、さら
にはゴムとプラスチツクスの中間領域を埋める特
異な弾性性質により、クツシヨン材から構造材に
至るフオームをはじめ、各種成型物、弾性繊維、
塗料、接着剤、さらに人工皮革など極めて広範な
分野に利用されている。ポリウレタンは、このよ
うに多くの長所を有している反面、耐光性におい
て劣つており、具体的には光を受けて分野し強伸
度低下を来たす欠点を有している。特にポリウレ
タンを布帛の表面コーテイング剤として、また人
工皮革の一成分として使用する場合には、耐光性
が極めて重要な条件となる。 このようなポリウレタンの有している最も大き
な問題点である耐光性を改善するための方法が従
来より種々提案されている。ポリウレタンはポリ
エステル系またはポリエーテル系あるいはポリカ
ーボネート系の高分子ジオールを有機ジイソシア
ネートおよび鎖伸長剤である活性水素化合物と反
応させることにより得られるものであるが、たと
えば有機ジイソシアネートとして芳香族有機ジイ
ソシアネートを用いる場合や、活性水素化合物と
して芳香族有機ジアミンを用いた場合には得られ
るポリウレタンは光劣化しやすいものであること
が知られている。芳香族有機ジイソシアネートに
代えて、また芳香族有機ジアミンに代えて、脂肪
族系あるいは脂環族系の有機ジイソシアネートや
有機ジアミンを用いることにより耐光性は改善さ
れる。またヒドラジンを鎖伸長剤として使用した
ポリウレタンは、一般に耐光性が改善されたもの
となることを知られている。 これらの知見をもとにして、ドイツ特許第
2252280号(U.S.P.3900688号,British
Patent1418550号に対応)には、高分子ジオール
としてポリカーボネートグリコールを用い、有機
ジイソシアネートとして脂肪護族または脂環族の
有機ジイソシアネートを用い、鎖伸長剤として脂
環族または脂肪族の有機ジアミンとヒドラジンを
併用して合成したポリウレタンは耐光性に優れて
いることが記載されている。しかしながら、この
特許に記載されているポリウレタンも耐光性に関
して十分満足のできるものではない。 本発明の目的は、耐光性に優れ、かつポリウレ
タン組成物中に配合された染料がドライクリーニ
ングによりあるいは光や熱等の作用によりあるい
は汗の付着により、さらには単に時間の経過と共
にポリウレタン外へ移行したり分解されたりする
ことのないポリウレタン組成物を提供することに
ある。特に本発明は、耐ドライクリーニング性、
汗褪色性のより一層改善されたポリウレタン組成
物を提供することにある。さらに本発明の目的
は、これらの性質を満足した上で、さらに強伸
度、耐屈曲性、耐熱性、耐水性の性質をも十分に
満足しているポリウレタン組成分を提供すること
にある。 これらの目的は、ポリオキシエチレン鎖を含む
高分子ジオール、脂環族有機ジイソシアネート、
脂環族有機ジアミンおよびヒドラジンを特定の割
合で反応させることにより得られるポリウレタン
に特定の染料を配合したポリウレタン組成物によ
り達成される。 即ち本発明は、(a)平均分子量が300ないし5000
の範囲にある高分子ジオール、(b)脂環族有機ジイ
ソシアネート、(c)ヒドラジンおよび(d)脂環族有機
ジアミンから合成され、かつ下記の条件()、
()および()、 () 高分子ジオール分子内に(―CH2CH2O―)o
含んでいるジオールであるが、あるいは分子内
に(―CH2CH2O―)oを含んでいるジオールと含ん
でいないジオールとの混合ジオールのいずれか
であり、高分子ジオール中における(―
CH2CH2O―)oの割合が50〜80重量%の範囲内で
あり、さらに上記nの値が平均で12〜100の範
囲内であること、 () 高分子ジオールに対する有機ジイソシアネ
ートの割合がモル比で2.5〜5.5の範囲内である
こと、および () ヒドラジンと脂環族有機ジアミンの合計量
に対する脂環族有機ジアミンの割合がモル比で
0.05〜0.8の範囲内であること、 を満すポリウレタン、ならびに含金属錯塩染料、
建染め染料、硫化染料からなる群から選ばれた少
くとも一種の染料からなるポリウレタン組成物で
ある。 本発明のポリウレタン組成物を構成しているポ
リウレタンを合成するために用いられる原料の一
成分である高分子ジオールは、前述したように、
分子内に(―CH2CH2O―)oを含んでいるジオールで
あるか、あるいは分子内に(−CH2CH2O―)oを含ん
でいるジオールと含んでいないジオールとの混合
ジオールのいずれかであり、かつ該高分子ジオー
ル中における(―CH2CH2O―)oの割合が50〜80重量
%の範囲であり、さらに上記のnの値が平均で12
〜100の範囲内であるような高分子ジオールであ
る。 本発明では、高分子ジオールとして、ポリエチ
レンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジ
ペートグリコール、ポリテトラメチレンアジペー
トグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグ
リコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグ
リコール、ポリカプロラクトングリコールなどの
ポリエステルグリコール類、ポリプロピレンエー
テルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグ
リコールなどのポリエーテル類(ただしポリエチ
レンエーテルグリコールを除く)、1,6―ヘキ
サジオールポリカーボネートグリコールで代表さ
れるポリカーボネートグリコール類、ポリアセタ
ールグリコール、ポリブタジエングリコールなど
の一般の高分子ジオールからなる群から選ばれた
少くとも一種のジオールと平均重合度が12〜100
の範囲内にあるポリエチレンエーテルグリコール
とを併用することが原料の入手し易さの点で好ま
しいが、これ以外に、ポリオキシエチレン鎖を分
子内に有しているブロツク共重合体ジオールであ
つてもよい。このような共重合体ジオールとして
は、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチ
レン)グリコール、ポリ(オキシエチレン)ポリ
カプロラクトンブロツク共重合体などが挙げられ
る。そして、これら共重合体ジオールは単独で用
いてもよいし、また前述したような各種の高分子
ジオールと混合して用いてもよい。特に高分子ジ
オールとしてポリエステルグリコール類とポリエ
チレンエーテルグリコールとを併用、あるいはポ
リカーポネートグリコールとポリエチレンエーテ
ルグリコールとを併用した場合には、原料の入手
し易さの外に耐光性および染料の耐光堅牢性の点
で優れたポリウレタン組成物となるため、本発明
では好ましい。 本発明において、高分子ジオールとしては前述
したようなものが用いられるが、高分子ジオール
の平均分子量は300〜5000の範囲内になければな
らない。好ましくは500〜4000の範囲内である。
高分子ジオールの平均分子量が300より低い場合
には、得られるポリウレタン組成物は硬くなりす
ぎてポリウレタンとして要求されるような弾性を
有さず、破断伸度が極端に低下したものとなる。
また5000より高い場合には、反対に軟らかくなり
すぎて弾性が失われ、強度が極端に低下したもの
となる。 また本発明において、高分子ジオール中に含ま
れているポリオキシエチレン鎖のくり返し単位の
数、すなわちポリオキシエチレン鎖を(―
CH2CH2O―)oと表わした場合のnの数は極めて重
要である。nの数が平均値で12未満である場合に
は、得られるポリウレタンは染料分子とほとんど
親和性を有さず、従つてこのようなポリウレタン
に染料を配合しても、時間の経過と共に、あるい
はドライクリーニングや洗濯等の処理により染料
分子がポリウレタン外に移行してしまうこととな
り、長期間の耐光性を有するポリウレタン組成物
を得ることはできない。またnの数が平均値で
100を越える場合には、得られるポリウレタン組
成物は柔軟になりすぎて強度および伸度が低下す
る外に、耐光性、耐水性の点においても悪くな
る。本発明において、nの平均値を特に15〜80の
範囲内にした場合に、より一層本発明の目的が達
成される。 また本発明において、ポリオキシエチレン鎖が
高分子ジオール中に占める割合は50〜80重量%の
範囲内である。50重量%以下の場合には、得られ
るポリウレタンは染料分子との親和性が必ずしも
十分でなく、このようなポリウレタンに染僚料を
配合しても時間の経過と共にあるいはドライクリ
ーニングの処理や汗の付着により染料分子がポリ
ウレタン外に移行してしまうこととなる。特に、
染色時間を短かくするなどして得た淡色染めポリ
ウレタンは、耐ドライクリーニング性、耐汗堅牢
性が不良の傾向にあり、このような場合、ポリオ
キシエチレン鎖の増大は有効である。逆にポリオ
キシエチレン鎖の割合が80重量%を越える場合に
は、得られるポリウレタン組成物中のポリウレタ
ン分子が光による分解や熱による酸化を非常に受
け易くなり、強度および伸度の低下を来たす外
に、得られるポリウレタンが水に著しく膨潤し易
くなり、湿潤時の強度が大きく低下すると共に耐
洗濯堅牢性もはなはだしく不良となる。 本発明は、先に記したように、特に耐ドライク
リーニング性、耐汗褪色性のより一層の改良を目
的としたものであり、これはポリオキシエチレン
鎖の含量割合を増やすことにより達成されること
を見出したものである。 なおポリカーボネートグリコールとは、
【式】であらわされる基を内部に有 し、両末端に水酸基を有している高分子ジオール
の総称であり、本発明ではRが―
CH2CH2CH2CH2CH2CH2―であるようなポリカ
ーボネートグリコール、すなわち1,6―ヘキサ
ンジオールポリカ―ボネートがもつとも好ましい
(ただしRは2価の有機基であり、pは重合度を
表わす)。 本発明では、ジイソシアネート化合物として脂
環族有機ジイソシアネートが用いられる。代表的
な脂環族有機ジイソシアネートとしては、3―イ
ソシアネートメチル―3,5,5―トリメチルシ
クロヘキシルイソシアネート(通称:イソホロン
ジイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン―
4,4′―ジイソシアネート、イソプロピリデンシ
クロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。 脂環族有機ジイソシアネートに代えて、脂肪族
系あるいは芳香族系の有機ジイソシアネートを用
いた場合には、得られるポリウレタンは耐光性の
点で劣つたものとなる外に、機械的性質、耐熱性
や耐水性の点に関して劣つたものとなり、特に芳
香族系の有機ジイソシアネートを用いた場合には
耐光性が著しく劣つたものとなる。したがつて本
発明においては、脂環族有機ジイソシアネート以
外の有機ジイソシアネート、特に芳香族系有機ジ
イソシアネートを一切用いないのが好ましい。 本発明において、高分子ジオールに対する有機
ジイソシアネートの割合をモル比で2.5〜5.5の範
囲内にしなければならない。一般にポリウレタン
を合成する際には、高分子ジオールに対する有機
ジイソシアネートの割合は2.5よりかなり低い値
の条件が採用されており、この従来一般に採用さ
れている条件と比べて高いことが本発明の特徴の
一つである。本発明において、脂環族有機ジイソ
シアネートの高分子ジオールに対する割合2.5よ
り小さい場合には、得られるポリウレタン組成物
の耐光性は低下したものとなり、また耐熱性が不
十分となる。本発明ではポリオキシエチレン鎖を
多量に含むことに起因するであろう耐水性の低下
をおさえるため、2.5以上が好まし。逆に5.5より
大きい場合には、得られるポリウレタン組成物が
硬くなり、伸度が低下することとなる。好ましく
は2.7〜5.0の範囲内である。なおここでいう有機
ジイソシアネートの割合とは、用いられる全有機
ジイソシアネートの割合を意味しており、従つて
脂環族有機ジイソシアネートの少量を脂肪族また
は芳香族の有機ジイソシアネートに換えた場合に
は、これらの有機ジイソシアネートをも含めた割
合である。 また本発明において、鎖伸長剤としては脂環族
有機ジアミンとヒドラジンを並用しなければなら
ない。本発明で用いられる脂環族有機ジアミンの
代表として、1―アミノ―3―アミノメチル―
3,5,5―トリメチルシクロヘキサン(通称:
イソホロンジアミン)、4,4′―ジアミノジシク
ロヘキシルメタン、4,4′―ジアミノ―3,3′―
ジメルシクロヘキシルメタン、シクロヘキシレン
ジアミン等が挙げられる。 脂環族有機ジアミンに代えて、脂肪族系のもの
あるいは芳香族系のものを用いた場合には、得ら
れるポリウレタンは機械的性質や耐熱性や耐水性
の点で、あるいは耐光性の点で劣つたものとな
り、特に芳香族系のものを用いた場合には、耐光
性が著しく劣つたものとなる。したがつて本発明
においては、脂環族有機ジアミン以外の有機活性
水素化合物、特に芳香族系有機ジアミンを一切用
いないのが好ましい。 なお、有機活性水素化合物とは、水酸基または
アミノ基を2個有する低分子有機化合物のことで
あり、ポリウレタンの鎖伸長剤として通常用いら
れている化合物のことである。また本発明でいう
脂環族有機ジイソシアネート、脂環族有機ジアミ
ンとは、脂肪族環、たとえばシクロヘキサン環に
直接にイソシアネート基、アミノ基が結合してい
る化合物のみならず、アルキレン基を介して脂肪
族環にイソシアネート基、アミノ基が結合してい
る化合物をも含めた化合物類を意味している。 以上述べたように、本発明では有機ジイソシア
ネートとし脂環族有機ジイソシアネート、有機ジ
アミンとして脂環族有機ジアミンを用いることが
必須であるが、特に脂環族有機ジイソシアネート
としてイソホロンジイソシアネートを用いるか、
あるいは脂環族有機ジアミンとしてイソホロンジ
アミンを用いるか、あるいは脂環族有機ジイソシ
アネートとしてイソホロンジイソシアネートを用
い脂環族有機ジアミンとしてイソホロンジアミン
を用いる、すなわち脂環族有機ジイソシアネート
および脂環族有機ジアミンの少なくとも一方をイ
ソホロン系のものを用いるが、ポリウレタンの合
成しやすさおよび合成されたポリウレタン溶液の
保存しやすさ、さらに得られたポリウタン溶液の
使いやすさの点で好ましい。すなわち本発明で
は、鎖伸長剤の一部分としてヒドラジンを用いる
ことが必須であるが、一般にヒドラジンを用いた
場合には、ポリウレタンの合成の途中で、あるい
は合成後のポリウレタンを溶液で保存している間
に、液がゲル化したり増粘したりするが、イソホ
ロン系のジアミンまたはジイソシアネートを用る
と、このようなゲル化や増粘をかなり抑制するこ
とができる。 また本発明で鎖伸長剤の一成分として用いられ
るヒドラジンの使用量は、脂環族ジアミンとヒド
ラジンの合計量に対して5〜80モル%の範囲内に
なければならない、ヒドラジンの使用量が5モル
%より少ない場合には、得られるポリウレタンに
染料を配合した組成物は耐光性が低く、、逆に80
モル%より多い場合には、得られるポリウレタン
に染料を配合したポリウレタン組成物は、染料の
耐洗濯堅牢性が不十分となり、耐水性の点でも悪
化するため、布帛の表面コート層や人工皮革の一
成分として適さなくなり、さらにポリウレタンを
合成する途中でゲル化を生じたり、また合成後の
ポリウレタン溶液が増粘したりする欠点を有して
いる。なお、本発明で用いられるヒドラジンは水
和物の形であつてもよい。 本発明のポリウレタン組成物を構成するポリウ
レタンは、上述したような高分子ジオール、脂環
族有機ジイソシアネート、脂環族有機ジアミンお
よびヒドラジンより合成されるものであり、この
ようなポリウレタンを合成する方法としては種々
の従来より一般にポリウレタンの合成に用いられ
ている方法が採用できる。次にその代表的な方法
を挙げる。 まず高分子ジオールの末端水酸基に対してイソ
ジアネート基が過剰量となるような割合で、高分
子ジオールと脂環族有機ジイソシアネートとを窒
素雰囲気下に50〜130℃に加熱して反応させて末
端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレ
ポリマーを得る。得られたこのプレポリマーを溶
媒に溶解し、室温付近の温度条件下でプレポリマ
ーをヒドラジンおよび脂環族有機ジアミンにより
鎖伸長してポリウレタン溶液を得る。必要に応じ
て、得られたポリウレタン溶液にカルボン酸等を
添加してポリウレタン溶液中に存在している未反
応アミノ基をブロツクして、ポリウレタン溶液を
安定化させてもよい。ポリウレタンを合成する際
に用いられる反応溶媒としては、たとえばジメチ
ルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、アセ
トン、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロ
パノール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラ
ン、酢酸エチル、メチルセロソルブ、酢酸セロソ
ルブなどが挙げられる。これらの溶媒の内には単
独では溶媒にならないものもあるが、それらは他
の溶媒と混合することにより溶媒として使用し得
る。 本発明に係るポリウレタンを溶液状態で得る場
合、あるいは得られたポリウレタンを溶液状態で
保存する場合、ゲル化を生じたり増粘したりする
傾向にある。このようなゲル化や増粘を抑制する
ためには、前述したようにイソホロン系のジイソ
シアネートやジアミンを原料として用いる方法も
あるが、この方法以外に、反応溶媒の一部とし
て、あるいは反応後のポリウレタン溶液にメタノ
ール、エタノール等の低級アルコールや水を添加
する方法もある。 また得られたポリウレタンに染料とのより一層
の親和性を持たせるために、3級窒素を含む化合
物、たとえばN―メチルアミノビスプロピルアミ
ン、N―メチルジエタノールアミン、N―イソブ
チルジエタノール、1,4―ビスアミノプロピル
ピペラジン等を鎖伸長剤の一部として使用しても
よい。しかしながらこれら3級窒素を含む化合物
の量が多くなるに従つて、耐加水分解性、耐光性
をはじめとする諸物性が悪化することになるの
で、3級窒素を含む化合物の量は鎖伸長剤全量の
15モル%以内程度におさえるのが好ましい。 上述のような方法により得られたポリウレンに
染料を配合することにより本発明のポリウレタン
組成物が得られるが、染料には多くの種類があ
り、本発明に係るポリウレタンに著しい耐光性の
向上をもたらす染料は含金属錯塩染料、建染め染
料、硫化染料および酸性染料に限定される。なか
でも含金属錯塩染料が好ましい。これ以外に直接
染料、分散染料、塩基性染料等もある程度ポリウ
レタンの耐光性を向上させるが、その程度はわず
かであり、染料保持性、たとえば染料の耐洗濯堅
牢性や耐ドライクリーニング堅牢性、さらには染
料移行防止性が不良である。 含金属錯塩染料とは、金属と染料分子とが1:
1の比率または1:2の比率で錯塩を形成してい
る染料のことであり、通常は分子内にスルホンア
ミド基やアルキルスルホン基などを有しており、
全体として負の荷電を有している。錯塩を形成し
ている金属はクロムが最も一般的で、その他コバ
ルト、銅などが使用される。本発明では1:2型
の含金属錯塩染料が特に好ましい。建染め染料お
よび硫化染料とは、共にアルカリの存在下で還元
されて水可溶性となり、ついで酸化処理を行なう
ことにより水不溶性となる染料のことである。ま
た酸性染料とは、分子内のオキシ(―OH)、カ
ルボキシ(―COOH)、スルホン酸(―SO3H)
などの酸性基を有し、酸性浴、たとえば硫酸水溶
液溶を用いて染色する染料である。前述の1:1
型含金属錯塩染料はこの染料に含まれるが、1:
2型含金属錯塩染料は、中性浴が用いられること
が多いため、酸性染料に含まれないものである。 本発明の組成物において、染料の配合量はポリ
ウレタンンに対して3重量%以上が好ましい。3
重量%未満の場合には、染料を配合したことによ
る効果が低く、すなわち耐光性の向上が低い。ま
た染料の配合量は、通常ポリウレタンの70重量%
以内にするのが好ましい。添加量が70重量%を越
える場合には、ポリウレタン組成物の強度および
伸度等の機械的性質が低下するだけで、もはや耐
光性の向上はみられない。具体的に配合する染料
は、要求される色、配合量および用途に応じて含
金属錯塩染料、建染め染料、酸性染料および硫化
染料の内から、1種または2種以上を選べばよ
い。 本発明のポリウレタン組成物を得る方法として
は、前述のようにして得られたポリウレタン溶液
に、含金属錯塩染料、建染め染料酸性染料および
硫化染料からなる群から選ばれた少なくとも一種
の染料を添加したのち、このポリウレタン溶液か
ら溶媒を除去する方法と、ポリウレタン溶液から
溶媒を除去した固形物(通常はフイルムまたは皮
膜層のような形態となつている)を同上の染料で
染色することによりポリウレタン内部に染料分子
を入れる方法、の二通りがある。いずれの方法を
用いるかは、使用する染料の種類、配合量および
用途に応じて決めればよい。 本発明のポリウレタン組成物には、さらに各種
の添加剤、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、
顔料、染料、充填材などを含んでいてもよい。 なお本発明のポリウレタン組成物におけるポリ
ウレタンのみの溶剤溶液は、種々のコーテイング
材としての利用が可能である。 本発明のポリウレタンの組成物は、人工皮革を
構成する一成分として、あるいは布帛の表面コー
テイング層として極めて優れている。次に本発明
のポリウレタン組成物を有している人工皮革を製
造する方法の一例を示す。 不織布、織布あるいは編布、さらにはこれらを
積層した物等で代表される繊維シートにポリウレ
タン溶液を含浸したのち、湿式凝固あるいは乾式
凝固することにより有機溶媒を除去し、乾燥して
含浸シートを得る。この含浸シートを、含浸した
ポリウレタン溶液が染料を含有していなかつた場
合には染色したのち、表面をパフイングすること
によりスエード調の人工皮革が得られる。また高
分子弾性体を含浸させた繊維シートに、必要によ
り高分子弾性体を凝固させたのち、ポリウレタン
溶液を塗布し、これを湿式凝固して表面被膜層を
付与し、ポリウレタン溶液が染料を含有していな
い場合には、染色することにより銀面層付の人工
皮革が得られる。さらに、予めポリウレタン溶液
から乾式または湿式法によりフイルムを形成して
おき、このフイルムを繊維シートまたは高分子弾
性体を含有させた繊維シートの表面に貼り合わせ
ることによつて、あるいは繊維シートの上に単に
ポリウレタン溶液を塗布してて乾式凝固あるいは
湿式凝固させたのち、ポリウレタン溶液が染料を
含有していなかつた場合には染色する方法を用い
ることによつても銀面層付の人工皮革が得られ
る。 本発明のポリウレタン組成物を表面あるいは内
部に有している繊維製品は、耐光性に著しく優れ
ており、衣料として、靴として、鞄として、ソフ
ア等の上張りとして、あるいはその他多くの分野
に適している。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお実施例中、特にことわりがない限り、熱水処
理とは90℃の熱水中に10日目浸漬した場合の値で
あり、フエードメーター処理とは63℃雰囲気下で
500時間露光(カーボンアーク燈)した場合の値
である。また被染色物の染料退色(耐光堅牢度)
はJIS L 0842―1971の方法により、耐ドライク
リーニング堅牢度はJIS L 0860の方法により、
また洗濯堅牢度はJIS L 0844―1973(A法)の
方法により行ない、こらの堅牢度は変退色用グレ
ースケールおよび汚染用グレースケールを用いて
判定した。また汗褪色堅牢性はJIS L―0848に示
された人工汗液を用い、ポリエステル系ポリウレ
タン溶液(酸化チタン含有)を含浸し凝固させた
不織布層の上へ本発明あるいは比較例のポリウレ
タン乾式フイルムを貼り付けた人造皮革サンブル
の上に、上記人工汗液を滴下し、100℃、20時間
処理し、処理後のサンプルの褪色をグレースケー
ルで評価した。これらの堅牢性試験において、堅
牢度が5級のものは堅牢度が著しく高く、4級、
3級、2級とさがるに従つて堅牢度が低下し、1
級は堅牢度が著しく劣る場合である。また染料移
行性は、5cm×5cmの大きさの試験片と同じ大き
さの透明なポリエステル系ポリウレタンシートを
用意し、試験片上にこのポリウレタンシートを重
ね合わせ、ガラス板(大きさ10cm×10cm、厚さ3
mm)ではさみ、7Kgの荷重をかけて70℃のオープ
ン中で24時間圧着し、その結果、ポリウレタンシ
ートへの試験片からの染料の移行の程度を判定し
たものである。判定には汚染用グレースケールを
用い、1〜5級のどの級にあたるかを判定した。
また合成したポリウレタン溶液の粘度安定性につ
いては、増粘がほとんどなかつたものについては
〇、増粘が生じたものには×を付した。さらに実
施例中で使用したポリウレタンの原料は全て略号
を用いて示したが、略号と化合物の関係は以下の
通りである。
【表】 実施例1,2、比較例1,2 第1表に示した高分子ジオール、有機ジイソシ
アネートおよび鎖伸長剤から各種ポリウレタンエ
ラストマーを製造した。すなわち高分子ジオール
と有機ジイソシアネートを窒素下、60〜120℃で
5〜10時間撹拌して反応させ、得られたポリウレ
タンプレポリマーをジメチルホルムアミド(以下
DMFと略す)に15重量%の濃度となるように溶
解させた。次に所定量の鎖伸長剤をDMFに溶解
したのち、この溶液に前述のプレポリマー溶液を
添加し、30℃窒素下に2〜5時間撹拌して反応を
行ない、ポリウレタンエラストマーのDMF溶液
を得た。この溶液のポリウレタン濃度を12重量%
に調整したのち、この液をガラス板状に流延し、
乾燥して厚さほぼ60μの乾式皮膜を得た。この皮
膜を以下の染色条件、ソーピング条件および水洗
条件下で染色した。染色された皮膜を種々物性試
験に供した。結果を第2表に示す。 染色条件 染 料 Irgalan Red 2BL 10%owf(1:2
型含金属錯塩染料) 浴 比 1:500 染色温度 60℃ 染色時間 1時間 ソーピング条件 界面活性剤 モノゲンユニ(アニオン系) ソーピング温度 60℃ ソーピング時間 10分 水洗条件 流水下に10分間
【表】
【表】 実施例3,4.比較例3,4 第3表に記載の高分子ジオール、有機ジイソシ
アネートおよび鎖伸長剤から実施例1と同様にし
て各種ポリウレタンエラストマーを製造し、さら
に実施例1と同様にして製膜、染色を行ない、染
色された皮膜を作製した。そしてこの皮膜を種々
物性試験に供した。結果を第4表に示す。
【表】
【表】 実施例5および比較例5〜7 第5表に記載の高分子ジオール、有機ジイソシ
アネートおよび鎖伸長剤から実施例1と同様の方
法により各種ポリウレタンを製造し、さらに実施
例1と同様の方法により製膜、染色を行ない、染
色された皮膜を作製した。そしてこの皮膜を種々
の物性試験に供した。結果を第6表に示した。
【表】
【表】
【表】 実施例6〜11、比較例8〜9 下記第7表に記載の染料を用いて、実施例1で
得たポリウレタン皮膜を染色し、染色物を種々の
物性試験に供した。得られた物性値を第6表に示
す。染色された皮膜はいずれも染料分子がポリウ
レタンの内部まで十分に侵入していた。
【表】 なお、上記実施例6〜8の染色条件は実施例1
の染色条件と同一であり、また実施例9の染色に
は還元剤としてハイドロサルフアイト、酸化剤と
して過酸化水素を用い、実施例10の染色には還元
剤として水硫化ソーダ(NaSH)を用い、酸化剤
として過酸化水素を用い。また実施例11の染色に
は、染色浴として硫酸酸性浴を用いた。比較例8
の染色はNa2SO4 20%owf、染料3%owfを含む
80℃の染色浴で1時間処理して染色し、また比較
例9の染色は3%owfの染料を含む80℃の染色浴
で1時間処理して染色した。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (a)平均分子量が300ないし5000の範囲内にあ
    る高分子ジオール、(b)脂環族有機ジイソシアネー
    ト、(c)ヒドラジンおよび(d)脂環族有機ジアミンか
    ら合成され、かつ下記の条件()、()および
    ()、 () 高分子ジオールが分子内に(―CH2CH2O―)o
    を含んでいるジオールであるか、あるいは分子
    内に(―CH2CH2O―)oを含んでいるジオールと含
    んでいないジオールとの混合ジオールのいずれ
    かであり、高分子ジオール中における(―
    CH2CH2O―)oの割合が50ないし80重量%の範囲
    内であり、さら上記nは平均値で12ないし100
    の範囲内にあること、 () 高分子ジオールに対する有機ジイソシアネ
    ートの割合がモル比で2.5ないし5.5の範囲内に
    あること、 () ヒドラジンと脂環族有機ジアミンの合計量
    に対する脂環族有機ジアミンの割合がモル比で
    0.05〜0.8の範囲内であること、 を満すポリウレタン、ならびに含金属鎖塩染料、
    建染め染料、酸性染料および硫化染料からなる群
    から選ばれた少くとも一種の染料からなるポリウ
    レタン組成物。 2 高分子ジオールがポリエステルグリコールと
    ポリエチレンエーテルグリコールとからなる混合
    ジオールであるか、あるいはポリカーボネートグ
    リコールとポリエチレンエーテルグリコールとか
    らなる混合ジオールのいずれかであり、かつポリ
    エチレンエーテルグリコールの平均重合度が12な
    いし100の範囲内にあると共に、高分子ジオール
    中におけるポリオキシエチレン鎖の割合が50ない
    し80重量%の範囲内にある特許請求の範囲第1項
    記載のポリウレタン組成物。 3 nが15ないし80の範囲内である特許請求の範
    囲第1項記載のポリウレタン組成物。 4 脂環族有機ジイソシアネートがイソホロンジ
    イソシアネートであること、および/または脂環
    族有機ジアミンがイソホロンジアミンであること
    を満たす特許請求の範囲第1〜3項記載のポリウ
    レタン組成物。 5 高分子ジオールに対する有機ジイソシアネー
    トの割合がモル比で2.7ないし5.0の範囲内である
    特許請求の範囲第1〜4項記載のポリウレタン組
    成物。 6 染料が含金属鎖塩染料である特許請求の範囲
    第1〜5項記載のポリウレタン組成物。 7 ポリウレタンに対する染料の割合が3ないし
    70重量%の範囲内である特許請求の範囲第1〜6
    項記載のポリウレタン組成物。
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