JPS6141177B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はFM受信機に関し、特にたとえばい
わゆるマルチパスによる聴感歪みを補正するよう
にしたFM受信機に関する。

従来より、FM受信機において、FM送信アン
テナから発射される電波を受信する場合に、場所
によつて直接波と山、建物などによつて反射され
て直接波の位相がずれた反射波とが存在するいわ
ゆるマルチパスが発生する。このようなマルチパ
スの発生する場所で、従来のFM受信機によつて
FM電波を受信すると、位相および振幅の変化を
受けた高調波がFMラジオ受信機のアンテナに誘
起される。それによつて、再生音が歪み、非常に
聞き苦しいものとなる。マルチパス歪みにより再
生音が歪んだとき、その耳ざわりな歪みを軽減す
るために、マルチパスを検出したときステレオ状
態からモノラル状態にしたり、再生音声の高域を
減衰させたりする方法が考えられている。

第１図はこの発明の背景となるマルチパス歪み
軽減回路（聴感歪み補正回路）を含むFMステレ
オ受信機の一例を示すブロツク図である。この第
１図において、アンテナ１で誘起された信号は、
高周波回路２によつて増幅されかつ中間周波信号
に変換された後、中間周波増幅回路３に与えられ
る。そして、この中間周波増幅回路３で増幅され
た後、検波回路４で復調され、ステレオ復調回路
５に与えられる。ステレオ復調回路５では、復調
された信号を左側信号および右側信号に分離す
る。この左側信号および右側信号は、音質変化回
路６ａおよび６ｂならびに低周波増幅回路７ａお
よび７ｂを通つて、左右のスピーカ８ａおよび８
ｂで音として再生される。検波回路４の出力は、
さらにマルチパス検出回路９に与えられる。この
マルチパス検出回路９は、そのカツトオフ周波数
が80KHz付近に設定されたハイパスフイルターを
含む。そして、このマルチパス検出回路９の出力
は、ステレオ復調回路５および音質変化回路６ａ
ならびに６ｂにスイツチング信号として与えられ
る。

ステレオ復調回路５には、このマルチパス検出
回路９からの出力信号に応じて、左側信号および
右側信号を混合し、高域周波数でのセパレーシヨ
ンを低減させるためのコンデンサ５１およびスイ
ツチング素子５２が含まれる。このコンデンサ５
１およびスイツチング素子５２の直列接続は、左
側出力と右側出力との間に接続される。また、音
質変化回路６ａおよび６ｂは、それぞれ同様に構
成されている。ここでは、特に音質変化回路６ａ
について説明し、一方の音質変化回路６ｂについ
ては、単に括弧書でその説明を省略する。音質変
化回路６ａ，６ｂには、２つの抵抗６１ａ，６２
ａ，６１ｂ，６２ｂと２つのコンデンサ６３ａ，
６４ａ，６３ｂ，６４ｂで構成されるローパスフ
イルターを含む。このローパスフイルターは、ス
イツチングトランジスタ６５ａ，６５ｂによつて
動作状態または非動作状態に切換えられる。この
スイツチングトランジスタ６５ａ，６５ｂのベー
スには、マルチパス検出回路９からの出力信号
が、ダイオード６６ａ，６８ｂを介して与えられ
ている。

今、アンテナ１に誘起された電波に歪みのない
ときは、検波回路４の出力端子に得られる復調信
号にも歪みは無いかあるいは非常に小さい。した
がつて、このときに検波回路４の出力端子の信号
は、ステレオ信号の場合で50Hzないし53KHzSCA
信号が有る場合でも50HzないしＫHzである。その
ため、このように、アンテナ１に誘起された電波
に歪みの無いときは、マルチパス検出回路９の出
力端には信号が現われない。そのため、ステレオ
復調回路５に含まれるスイツチング素子５２およ
び音質変化回路６ａおよび６ｂに含まれるスイツ
チングトランジスタ６５ａおよび６５ｂのいずれ
も、導通状態となることはない。したがつて、ス
ピーカ８ａおよび８ｂからは、それぞれ、高域の
カツトされない左側信号および右側信号がセパレ
ーシヨンよく再生されている。

次に、アンテナ１に誘起された電波が、マルチ
パス等により歪むと、検波回路４の出力信号も歪
んだものとなる。したがつて、その中には多くの
高調波を含むことになり、マルチパス検出回路９
からはたとえばハイレベルの出力信号が得られ
る。したがつて、この信号により、ステレオ復調
回路５に含まれるスイツチング素子５２および音
質変化回路６ａ，６ｂに含まれるスイツチングト
ランジスタ６５ａ，６５ｂが、それぞれ導通状態
にオンされる。したがつて、ステレオ復調回路５
に含まれるコンデンサ５１が有効化され、左側信
号および右側信号がそのコンデンサ５１によつて
混合され、ほぼモノラル信号として導出される。
それと同時に、音質変化回路６ａおよび６ｂのそ
れぞれに含まれるローパスフイルタが能動状態と
なるので、スピーカ８ａおよび８ｂからは、高域
の減衰したモノラル信号が再生されることにな
り、マルチパス歪み等による耳ざわりな音を和ら
げることができる。

しかしながら、この第１図の例においては、さ
らに、次のような解決すべき問題点に遭遇する。
すなわち、第１図の例では、ステレオ復調回路の
ステレオセパレーシヨンコントロール回路と、音
質変化回路とが同時に動作し、ステレオ状態から
モノラル状態への切換わりと、高域減衰の動作と
が同時に行われることになり、それがかえつて聴
感上の違和感を増大させる結果となる。

それゆえに、この発明の主たる目的は、聴感歪
み補正回路の少なくとも２つの補正要素を時間的
にずれて補正するようにし、それによつて聴感上
の違和感をなくするようにしたFM受信機を提供
することである。

この発明は、要約すれば、マルチパス検出回路
の出力で、たとえばステレオセパレーションコン
トロール回路と音質補正回路のような少なくとも
２つの補正要素を補正するようにしていて、まず
ステレオセパレーシヨンコントロール回路が動作
し、続いて音質変化回路が動作するように、動作
時間をずらすようにしたFM受信機である。

この発明の上述の目的およびその他の目的と特
徴は、図面を参照して行う以下の詳細な説明から
一層明らかとなろう。

第２図はこの発明の一実施例を示すブロツク図
である。この実施例は、以下の点を除いて、第１
図のものと同様である。すなわち、マルチパス検
出回路９の出力信号は、ステレオ復調回路５に直
接与えられるとともに、遅延回路１０を介して音
質変化回路６ａおよび６ｂに与えられる。遅延回
路１０では、マルチパス検出回路９の出力信号
を、一定時間遅延させた後、音質変化回路６ａ，
６ｂに与える。

動作において、検波回路４からの復調信号にマ
ルチパルス歪み等の高調波があれば、このマルチ
パス検出回路９から出力信号が導出される。応じ
て、まずステレオ復調回路５５に含まれるスイツ
チング素子（第１図）がオンとされる。そのた
め、ステレオ復調回路５からは、左側信号と右側
信号の混合されたものがそれぞれ左側および右側
から導出される。続いて、遅延回路１０で設定さ
れた一定時間経過すれば、この遅延回路１０から
出力信号が得られ、音質変化回路６ａ，６ｂのロ
ーパスフイルター（第１図）が動作状態に切換え
られる。したがつて、マルチパス検出回路９によ
つてマルチパス歪みを検出すると、まずステレオ
状態からモノラル状態への切換えが行われ、次い
で一定時間経過後音質変化回路によつて高域の減
衰が行われる。したがつて、これら２つの回路５
および６ａ，６ｂは同時に動作せず、スピーカ８
ａおよび８ｂからの再生音に対して、聴感上の違
和感が緩和される。

第３図はこの発明の他の実施例をを示すブロツ
ク図である。構成において、この実施例は、以下
の点を除いて、第１図の実施例と同様である。す
なわち、マルチパス検出回路９は、ハイパスフイ
ルタ９１１の出力信号をそれぞれ異なる弁別レベ
ルでレベル弁別するレベル弁別回路９２１，９２
２および９２３を含む。これらレベル弁別回路９
２１，９２２および９２３は、ハイパスフイルタ
９１１を通して得られる高調波成分の大きさない
しレベルに応じて、それぞれ異なる出力信号を発
生する。また、ステレオ復調回路５には、コンデ
ンサとスイツチング素子との組合わせをそれぞれ
３組持つている。そして、３つのスイツチング素
子５２１，５２２，５２３は、それぞれ、レベル
弁別回路９２１，９２２および９２３の対応の出
力信号によつて、オンまたはオフが制御される。
また、音質変化回路６ａおよび６ｂも、それぞ
れ、３つの回路部分６ａ１，６ａ２，６ａ３およ
び６ｂ１，６ｂ２，６ｂ３を含む。これら回路部
分６ａ１，６ａ２，６ａ３は、それぞれ、異なる
カツトオフ周波数を有するものとして構成され、
レベル弁別回路９２１，９２２，９２３の出力の
対応のものによつて動作状態または非動作状態に
される。回路部分６ｂ１，６ｂ２，６ｂ３も、同
様に対応のレベル弁別回路９２１，９２２，９２
３の出力信号で、動作状態または非動作状態に切
換えられる。レベル弁別回路９２１，９２２，９
２３は、たとえば、ハイパスフイルタ９２１の出
力信号のレベルが、対応の弁別レベルを超えてい
る間、ハイレレベルの出力信号を導出するように
構成されている。

そして、遅延回路１０は、マルチパス検出回路
９からの各レベル弁別回路９２１，９２２，９２
３の出力に共通的（あるいは個別的）に接続され
る。

動作において、検波回路４からの復調信号に含
まれる高調波成分が少ないときには、マルチパス
検出回路９に含まれるレベル弁別回路９２１から
のみ出力信号が得られる。したがつて、ステレオ
復調回路５では、スイツチング素子５２１のみが
オンとされ、コンデンサ５１１のみが有効化され
る。したがつて、左側信号および右側信号は、こ
のコンデンサ５１１のみによつて混合されて導出
される。ついで、遅延回路１０による遅延時間の
後、音質変化回路６ａおよび６ｂでは、その回路
部分６ａ１および６ｂ１のみが動作状態に切換え
られる。

また、検波回路４からの復調信号に含まれる高
調波成分がさらに増大すると、マルチパス検出回
路９に含まれるレベル弁別回路９２２も出力信号
を導出することになる。したがつて、ステレオ復
調回路５では、スイツチング素子５２２もオンと
されコンデンサ５１２も有効化される。そのた
め、このステレオ復調回路５では、コンデンサ５
１１および５１２の並列接続で左側信号および右
側信号が混合されることになる。一定遅延時間
後、音質変化回路６ａおよび６ｂでは、その回路
部分６ａ２および６ｂ２も動作状態に切換えられ
る。

検波回路４からの復調信号に含まれる高調波成
分がさらに増大したときには、マルチパス検出回
路９に含まれるレベル弁別回路９２３も出力信号
を導出することになる。したがつて、ステレオ復
調回路５では、スイツチング素子５２３もオンと
される。そのため、この回路５では、コンデンサ
５１１，５１２および５１３の並列回路によつて
左側信号および右側信号が混合される。一定遅延
時間後音質変化回路６ａおよび６ｂは、その回路
部分６ａ３および６ｂ３も動作状態に切換えられ
る。

このようにして、マルチパス検出回路９からの
異なるレベルに応じた異なる出力信号に応じて、
ステレオ復調回路５および音質変化回路６ａ，６
ｂが、それぞれ段階的にかつ順次動作するように
構成したので、マルチパス歪みの度合に応じて、
スピーカ８ａおよび８ｂからは、段階的にステレ
オ状態からモノラル状態に切換わりついで段階的
に高域の減衰した音が再生されることになる。こ
のようにすれば、アンテナ１に誘起する電波が急
激に大きく歪んだ場合にも、まずステレオ復調回
路５が動作し、続いて遅延回路１０による遅延時
間の後音質変化回路６ａおよび６ｂが動作するの
で、そのような急激なマルチパス歪みの入来によ
つても、スピーカ８ａおよび８ｂからの音の聴感
上の違和感が改善される。

なお、上述の実施例では、マルチパス検出回路
９のレベル弁別回路９２１，９２２，９２３から
の出力信号をそれぞれステレオ復調回路５および
音質変化回路６ａ，６ｂに与え、それら回路を３
段階で切換えるようにした。しかしながら、これ
は、たとえばあるレベルではステレオ復調回路の
ステレオセパレーシヨンコントロール回路だけが
動作し、さらにマルチパス歪みのレベルが大きく
なるとこのステレオセパレーシヨンコントロール
回路とともに一定時間の遅延時間を有して音質変
化回路が動作状態になるように構成してもよい。

以上のように、この発明によれば、聴感歪み補
正回路の２つの補正要素が同時に補正されること
がないので、聴感上の違和感が改善され、より自
然なマルチパス歪みの軽減動作が行われうる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の背景となるマルチパス軽減
回路を有するFMステレオ受信機の一例を示すブ
ロツク図である。第２図はこの発明の一実施例を
示すブロツク図である。第３図はこの発明の他の
実施例を示すブロツク図である。 図において、５はステレオ復調回路、９はマル
チパス検出回路、１０は遅延回路を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 受信したFM信号に含まれるマルチパスによ
   る聴感歪を補正するFM受信機であつて、 マルチパスの発生に応答して出力を導出するマ
   ルチパス検出回路と、 前記受信したFM信号を復調するステレオ復調
   回路と、 前記マルチパス検出回路からの前記出力信号に
   応答してステレオ復調信号の右側信号および左側
   信号を混合するステレオセパレーシヨンコントロ
   ール回路と、 前記マルチパス検出回路からの前記出力信号に
   応答してステレオ復調信号の高域を減衰させる音
   質変化回路と、 前記マルチパス検出回路の前記出力信号を遅延
   させて前記ステレオセパレーシヨンコントロール
   回路によるステレオ復調信号の混合と前記音質変
   化回路によるステレオ復調信号の高域減衰とを一
   定時間ずらせて実行させる遅延手段とを備えた、
   FM受信機。 ２ 前記マルチパス検出回路は、前記マルチパス
   の高調波成分のレベルを検出して各レベルに応じ
   て段階的に複数の異なる出力信号を導出し、 前記ステレオセパレーシヨンコントロール回路
   は、前記マルチパス検出回路からの前記各出力信
   号に応答して前記ステレオ復調信号の混合を段階
   的に実行し、 前記音質変化回路は、前記マルチパス検出回路
   からの前記各出力信号に応答して前記ステレオ復
   調信号の高域減衰を段階的に実行する、特許請求
   の範囲第１項記載のFM受信機。