JPS6134311B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は音声信号成分、映像信号成分を含むテ
レビジヨン信号から音声信号を再生するテレビジ
ヨン信号の音声再生回路に関するものである。

〔発明の背景〕

従来、カラーテレビジヨン受信機に必要な選択
度特性はコイル、およびコンデンサにより実現さ
れてきた。このコイル、コンデンサにより形成さ
れ、カラーテレビジヨン受信機に必要な選択度特
性を得るために使用されるフイルタおよびトラツ
プは調整による特性の補正が必要であると同時
に、最近注目されている集積回路化が難かしく、
特にコイルの集積回路化は著るしく困難である。
最近、圧電基板上にくし歯形変換器を形成した弾
性表面波フイルタでカラーテレビジヨン受信機の
中間周波フイルタを実現できることが報告されて
いる。しかし、現在一般的に用いられているカラ
ーテレビジヨン受信機の中間波フイルタの特性そ
のままを、上記弾性表面波フイルタで実現するの
は得策でない。

以下、第１図を用いてこの理由を説明する。同
図はインターキヤリア方式のカラーテレビジヨン
受像機の一般的な信号処理回路の主要部を示すブ
ロツク図である。同図で３は中間周波フイルタ
（以下IFフイルタと略記する）であつてアンテナ
１で受信され、チユーナ２で映像中間周波数（以
下IFと略記する）に変換されたカラーテレビジ
ヨン信号をアンテナ１で上記カラーテレビジヨン
信号と同時に受信される不要な信号、雑音などと
分離、選択する。IFフイルタ３で選択されたカ
ラーテレビジヨン信号は中間周波増幅器（以下
IF増幅器と略記する）４で増幅されたのち、音
声トラツプ５と検波器８に入力される。検波器８
に入力されたカラーテレビジヨン信号のうち、音
声信号はインターキヤリア方式により検波器８で
包絡線検波され、音声IF増幅器９で増幅された
後にデイスクリミネータ１０でFM検波され、出
力端子１１から出力される。

一方、音声トラツプ５に入力されたカラーテレ
ビジヨン信号と、輝度信号と色差信号は検波器６
で検波され、遅延線１２と帯域フイルタ１３に入
力される。検波器６には通常包絡線検波器が使用
される。検波器６の出力は輝度信号と色差信号の
両方を含む信号であるが、帯域フイルタ１３はこ
の輝度信号と色差信号を分離し、色差信号だけを
通過させる特性を有する。帯域フイルタ１３の出
力である色差信号は色信号復調回路１４で復調さ
れ、この復調された色差信号と遅延線１２の出力
である輝度信号はともにマトリクス回路１５に入
力され、３原色信号として端子１６〜１６″から
出力される。ここで遅延線１２が挿入されている
のは色差信号が帯域フイルタ１３を通過する際に
帯域フイルタ１３により約0.5μ秒の遅延を生
じ、この結果輝度信号よりも色差信号が遅れ、画
面上で色ずれが生じるのを防止するためである。

検波器６に入力される信号の音声信号搬送波の
減衰が不十分であると、音声搬送波と色副搬送波
のビート信号（920KHz）が検波器６で発生し画
面に著るしい妨害を与えるため現在のカラーテレ
ビジヨン受信機では音声信号搬送波を映像信号搬
送波に対し50〜60dBの減衰をとつている。一方
音声信号に対してはインターキヤリア方式の受信
機では音声搬送波の減衰を大きくとりすぎると、
検波器８で検波され、音声中間周波信号となる
4.5MHzのビート信号が小さくなり音声回路７が
充分動作しなくなる。したがつて現在のカラーテ
レビジヨン受信機ではIFフイルタ３で音声信号
搬送波の減衰を26dB程度とし、IF増幅器４で増
幅した後にこの出力を音声回路７に供給し音声信
号を再生すると同時に映像信号に対しては、音声
信号搬送波を抑圧する音声トラツプ６にIF増幅
器４の出力を加えることによりIFフイルタ３で
約26dB減衰した音声信号搬送波を更に約20〜
30dB減衰させている。

このようなインタキヤリア方式の音声信号再生
系では、音声信号成分が検波器８に入力される前
にIFフイルタ３、IF増幅器４を通過するため音
声信号成分は色信号によるクロス妨害を受けた
り、26dB減衰によるＳ／Ｎ比劣化が生じる。さ
らに、コイル、コンデンサからなるIFフイルタ
３の振幅特性は位相特性の犠性により実現されて
いるので、周波数変調される音声信号成分は位相
特性歪の影響を大きく受ける。したがつて、従来
の音声信号再生系では良好な音声再生ができない
という欠点がある。

〔発明の目的〕

本発明の目的は上記欠点をなくし、良好な音質
を得ることができるテレビジヨン信号の音声再生
回路を提供するにある。

〔発明の概要〕

本発明は、上記目的を達成するため、チユーナ
出力に後続される映像信号成分用中間周波フイル
タによる影響を受ける前の、音声信号成分映像信
号成分および映像搬送波成分を有するテレビジヨ
ン信号から少なくとも映像信号成分を抑圧した音
声信号成分を抽出し、この抽出された音声信号成
分と不所望な他の周波数成分を含んでない映像搬
送周波数成分とを混合して音声信号を再生するよ
うにしたものである。

〔発明の実施例〕

以下本発明を図面を参照して詳細に説明する。
第２図は本発明の一実施例を示すブロツク図であ
る。

同図で３０は複合弾性表面波フイルタであつ
て、アンテナ１で受信されたカラーテレビジヨン
信号がチユーナ２で映像中間周波数に変換され
て、複合弾性表面波フイルタ３０に入力される。
この複合弾性表面波フイルタ３０は映像搬送波成
分、輝度信号成分、色差信号成分、音声信号成分
を分離して出力する。複合弾性表面波フイルタ３
０で分離された映像信号搬送成分は搬送波再生回
路４０に入力され、色差信号成分、音声信号成分
とを加えるための参照搬送波９０として搬送波再
生回路４０から出力される。複合弾性表面波フイ
ルタ３０で分離された輝度信号成分は包絡線検波
器５０に入力され、検波される。複合弾性表面波
フイルタ３０で分離された色差信号成分は和回路
６０に入力され参照搬送波９０と加えられた後に
包絡線検波器８０で検波される。複合弾性表面波
フイルタ３０で分離された音声信号成分は和回路
７０に入力され参照搬送波９０と加えられた後に
包絡線検波器１００で検波され、音声IF増幅器
９で増幅されたのちデイスクリミネータ１０で
FM検波され音声出力端子１１より出力される。
ここで色差信号成分、音声信号成分を和回路６
０，７０で搬送波９０と加えた後に検波する理由
は輝度信号成分、色差信号成分、音声信号成分が
それぞれ分離して抽出されるので抽出された色差
信号成分、音声信号成分は搬送波成分を有さぬた
めそのまま包絡線検波ができないことによる。包
絡線検波器８０の出力である検差された色差信号
は、色信号再生回路１４で復調され、包絡線検波
器５０の出力である検波された輝度信号とともに
マトリクス回路１５に入力され、３原色信号とし
て端子１６〜１６″から出力される。

このようにカラーテレビジヨン受信機を第２図
を用いて説明したような構成にすると、従来イン
タキヤリア方式で行なつてきたように輝度信号成
分、色差信号成分、音声信号成分を含むカラーテ
レビジヨン信号を同一の検波器で検波してからそ
れぞれの信号をフイルタで分離するのでなく、第
２図に示すようにあらかじめ複合弾性表面波フイ
ルタ３０で分離した輝度信号成分、色差信号成
分、音声信号成分を別々に検波するため、第１図
に示したインターキヤリア方式で検波された輝度
信号成分と色差信号成分を分離するために必要と
された帯域フイルタ１３が不必要となる。更に、
カラーテレビジヨン受信機を第２図に示したよう
な構成にすると第１図の構成で必要とされた音声
トラツプ５も必要でなくなる。

以下、第３図を用いてこの理由を説明する。第
３図は第２図中に示した複合弾性表面波フイルタ
３０の周波数特性の一例で、同図中Ａは映像搬送
波抽出用フイルタの周波数特性の一例を、Ｂは輝
度信号抽出用フイルタの周波数特性の一例を、Ｃ
は色差信号抽出用フイルタの周波数特性の一例
を、Ｄは音声信号抽出用フイルタの周波数特性の
一例を示す。第３図に示す周波数特性中特に注目
すべきは輝度信号抽出用フイルタの周波数特性Ｂ
である。前記したように第１図に示した構成の現
在用いられているインターキヤリア方式のカラー
テレビジヨン受像機では、IFフイルタ３を輝度
信号の他に色差信号と音声信号も通過するため、
音声搬送波の減衰を26dB程度とし、IF増幅器４
の出力で音声信号を音声回路に供給した後に、音
声信号搬送波と色副搬送波のビート信号を生せし
めぬため音声トラツプ５を挿入して音声信号搬送
波を50〜60dB程度減衰させていた。しかるにカ
ラーテレビジヨン受信機を本発明による第２図に
示した構成とすれば輝度信号成分、色差信号成
分、音声信号成分はそれぞれ分離して抽出される
ため、第３図に示した輝度信号抽出用フイルタの
周波数特性Ｂは同図に示した如く、音声信号搬送
波成分を―50〜―60dB減衰する特性とすること
が可能である。このように輝度信号抽出用フイル
タであらかじめ音声信号搬送波を充分減衰させる
ため第２図中の包絡線検波器５０の前に第１図中
の音声トラツプ４に相当する音声信号搬送波を減
衰させる回路が必要とされないのは明白である。

第４図に複合弾性表面波フイルタ３０の一例を
示す。第４図で300は弾性表面波伝搬基板（以下
基板と略記する）であり、同時に変換動作をも行
なわせるように通常圧電性結晶などを用いる。こ
の基板３００上に導電性のくし歯形電極から成る
入力変換器３２１、出力変換器３２２，３２３，
３２４，３２５が形成される。入力端子３０１に
チユーナ２からカラーテレビジヨン信号が加えら
れると変換器３２１によつてカラーテレビジヨン
信号は弾性表面波に変換され、矢印３１２，３１
３，３１４，３１５で示された方向に伝搬する。
これらの弾性表面波は変換器３２２，３２３，３
２４，３２５によつて再び電気信号に変換され、
それぞれ出力端子３０２，３０３，３０４，３０
５によつて出力として取り出される。

ここに示した複合弾性表面波フイルタ３０は入
力端子３０１と４つの出力端子３０２，３０３，
３０４，３０５を有する。入力端子３０１と各出
力端子３０２〜３０５との間に形成される各フイ
ルタのふるまいは同一であるのでここでは入力端
子３０１と出力端子３０５との間に形成されるフ
イルタについて説明する。

入力端子３０１から出力端子３２５までの特性
は入力変換器３２１、出力変換器３２５および弾
性表面波の伝搬路の特性で決まる。一般に伝搬路
での弾性表面波の減衰およびビームの拡がりは極
めて小さく、またカラーテレビジヨン信号のよう
に使用する周波数帯域が比較的狭い場合はこれら
の損失は周波数に対して一定とみなし得る。した
がつてフイルタとしての特性は入力変換器３２１
と出力変換器３２５の形状で決定される。すなわ
ち、各変換器は櫛歯形変換器と呼ばれ、一対の櫛
歯形導電電極が互いに入り組んで形成さるもので
あり、この櫛歯の間隔、長さ、本数をあらかじめ
定めることにより種々のフイルタ特性を実現でき
る。また信号が入力端子３０１から出力端子３０
５に至るまでの遅延時間は基板の結晶のカツト、
弾性表面波の伝搬方向の選び方および入力変換器
３２１と出力変換器３２５の距離１により定ま
る。以上述べたことは、入力変換器３２１と出力
変換器３２２、入力変換器３２１と出力変換器３
２３、入力変換器３２１と出力変換器３２４によ
つて構成される他の３つのフイルタについても全
く同様に成り立つ。なお、各フイルタにおいて入
力変換器３２１は共通に使用されている。

以上述べた方法により、複合弾性表面波フイル
タ３０において入力端子３０１と出力端子３０２
で第３図に示した映像搬送波抽出用フイルタの周
波数特性Ａ、入力端子３０１と出力端子３０３で
第３図に示した音声信号抽出用フイルタの周波数
特性Ｄ、入力端子３０１と出力端子３０４で第３
図に示した輝度信号抽出用フイルタの周波数特性
Ｂ、入力端子３０１と出力端子３０５で第３図に
示した色差信号抽出用フイルタの周波数特性Ｃを
構成することができる。

ここで特に注目すべきは、基板３００がそれぞ
れのフイルタでは全く同一であるため変換器３２
１と変換器３２４の距離と、変換器３２１と変換
器３２５の距離を等しくしておけば入力端子３０
１と出力端子３０４間に構成される輝度信号抽出
用フイルタと、入力端子３０１と出力端子３０５
間に構成される色差信号抽出用フイルタとの遅延
時間を等しくすることができる。したがつてカラ
ーテレビジヨンン受像機を本発明による第２図に
示した構成にすれば遅延線１２は不要となる。

さらに変換器３２１，３２３により形成される
音声信号成分用フイルタに供給されるチユーナ出
力は、変換器３２１，３２４により形成されらる
映像信号成分用フイルタの入力前のものなので音
声信号成分用フイルタにより抽出される音声信号
成分に対して位相歪や減衰はもたらされない。し
たがつて、特性Ａにより抽出された映像搬送波成
分のように他の周波数成分を含まない映像搬送波
周波数成分と上記抽出された音声信号成分とを和
回路７０および検波器１００からなる混合手段に
より混合することにより歪のない音声中間周波
（45MHz）信号を得ることができ、後続の音声IF
増幅器９、デイスクリミネータ１０により良質の
音声再生を行なうことができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によるテレビジヨン
信号の音声再生回路は、高帯域のままでチユーナ
から出力される映像中間周波信号から第３図A.D
の如き双峰特性により音声信号成分および映像搬
送波成分を除く周波数成分を抑圧してすなわち映
像信号成分用の中間周波フイルタへの入力前のチ
ユーナ出力から映像信号成分を抑圧して音声信号
成分および映像搬送波成分を抽出し、両成分を混
合しているので、映像信号用フイルタによる位相
歪、振幅減衰や不所望な信号成分による影響を受
けない良質の音声再生を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のインターキヤリア方式のカラー
テレビジヨン受信機の信号処理回路の主要部を示
すブロツク図、第２図は本発明によるテレビジヨ
ン信号の音声再生回路の一実施例を示すブロツク
図、第３図は複合弾性表面波フイルタの特性の一
例を示す特性図、第４図は複合弾性表面波フイル
タの構成を示す正面図である。 ３０……複合弾性表面波フイルタ、５０，８
０，１００……包絡線検波器、６０，７０……和
回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 音声信号成分、映像信号成分および映像搬送
   波成分を有するテレビジヨン信号を映像中間周波
   信号に変換するチユーナと、映像信号成分用の中
   間周波フイルタへの入力前の映像中間周波信号中
   から映像信号成分を抑圧して、音声信号成分およ
   び映像搬送波成分を各別に抽出する抽出手段と、
   抽出された音声信号成分および映像搬送波成分か
   ら音声信号を再生する再生手段とからなることを
   特徴とするテレビジヨン信号の音声再生回路。 ２ 音声信号成分を含むテレビジヨン信号を映像
   中間周波信号に変換するチユーナと；圧電基板と
   圧電基板上に設けられ映像信号成分用の中間周波
   フイルタへの入力前の上記映像中間周波信号を弾
   性表面波信号に変換する入力変換器と上記弾性表
   面波信号を受信して再び電気信号に変換する出力
   変換器とを有し、上記映像中間周波信号中に含ま
   れる音声信号成分のみを通過させる周波数特性に
   定められた弾性表面波フイルタと；上記出力変換
   器に得られる電気信号を映像搬送波の周波数成分
   と混合して音声中間周波信号を発生する混合手段
   とからなることを特徴とするテレビジヨン信号の
   音声再生回路。