JPS6140172B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ノーテーパ成形品、アンダカツトを
有する成形品などを成形する射出成形用金型の開
きコアに係り、特に動作が確実で、コストの低減
を志向した射出成形用金型の開きコアに関するも
のである。

射出成形によつて成形される成形品（以下製品
という）は、その投影面積の大きいものは、サイ
ドコアによつて部分的に抜き勾配ゼロで製造する
ことが可能である。同様に、部分的に穴、リブ等
のアンダカツト部を持つ上記製品もサイドコアに
よつて製造可能である。しかし、製品投影面積の
小さいものでは、たとえ部分的とはいえ抜き勾配
ゼロや、アンダカツトを有した場合には、製造が
きわめて困難であり、通常の製品は抜き勾配を有
している。

この理由は、サイドコアの移動距離を確保する
ことはもとより、そのサイドコアを摺動する入力
部品のスペースが確保できないためである。

また、投影面積を十分確保できる場合において
も、抜き勾配ゼロやアンダカツト部が製品の全面
に構成されるようなものは、当然制約が厳しくな
り、場合によつては製造不可能な状況となりう
る。

特に円筒状製品において、円筒の内側にアンダ
カツトを持つ場合には周囲が完壁に拘束される空
間となるため、従来法による方法では製造が難し
い。このため特に円筒状製品の内側にアンダカツ
トや抜き勾配ゼロを持つ製品の製造装置として、
種々の金型に関する出願がされている。これらの
金型は、円筒製品の内筒を構成するコアすなわ
ち、開きコアに関する内容が主である。

例えば、内壁に変化のある成形品を造る装置
（特願昭46−39605、特開昭48−5847）に係るもの
は、４分割された摺動駒の中心に更に中心コアが
配設されており、その中心コアを中心に、一方の
相対向する摺動駒が、ばねの力により中心に向つ
て移動しアンダカツト部を離型し、他方の相対向
する摺動駒は、前記中心コアに設けられた斜面を
摺動しながら中心に向つて移動しアンダカツト部
を離型するように構成されている。

このような構成の開きコアは、全摺動駒がアン
ダカツト部を抜く中心方向に移動するため、原理
的にアンダカツトを有する筒状製品を製造するこ
とが可能である。しかし前記摺動駒のうち、ばね
力により作動する駒は、円筒状製品の内筒を構成
するため、製品との密着力を上まわるばね力で中
心方向に移動させなければならず、また、そのば
ねの作動位置が本来最も必要とすべき製品のアン
ダカツト部にないので、前記作動の確実性にやや
問題がある。また、他方の相対向する摺動駒は、
中心コアの傾斜面に構成されるあり溝を滑動する
ため、摺動上アンダカツトに対して問題とならな
いとしても、前記ばね作用による摺動駒とアンダ
カツト離型時にぶつかり合うこともある。

また、射出成形品の製造に用いられる開きコア
（特願昭52−114798、特開昭54−55057）に係るも
のは、中心コアに円錐形の外面を設け、その中心
コアの周囲に、２群の摺動駒（実施例では１群は
３個）を１個ずつ交互に配設し、前記１群の配設
された個所の円錐傾斜角を他の群の配設された個
所の傾斜角よりも大きくするように構成されてい
る。

このように構成されているので、アンダカツト
部を離型するときは前記６個の摺動駒全部が、中
心コアの傾斜面に構成されたあり溝に沿つて滑動
し、前記傾斜面の作用により中心軸に絞るような
形で集まるため、アンダカツトが抜ける。そし
て、１群の摺動駒については、他の群より中心コ
アの円錐傾射角が大きくなつているため、全摺動
駒が互いにぶつかり合うことなく中心に向つて摺
動する。且つ全摺動駒はあり溝に案内されるため
作動も確実である。

しかし、各摺動駒と噛合つている中心コアのあ
り溝部、互いに隣接する摺動駒の側部は、金型を
加工する際すべて合わせ作業となり、摺動駒の数
が多いため、その加工工数が大きい。前記合わせ
作業は、各摺動駒が内筒構成面となるため、ばり
発生の防止と寸法精度上欠くべからざる工程であ
るが、摺動部品のためすべて焼入れとなつてお
り、このため合わせ作業に膨大な時間を要し、金
型のコストを高くするという欠点があつた。

本発明は、上記した従来技術の欠点をなくし、
動作が確実でコストの安い、射出成形用金型の開
きコアの提供を、その目的とするのである。

本発明の特徴は、射出成形用金型の開きコアに
おいて、金型開閉方向に移動しうる中心コアを設
け、この中心コアの側面に、相対向する２対の摺
動駒を配設し、これらのうち１対の摺動駒は、他
の１対の摺動駒を移動させ、もしくは他の１対の
摺動駒と前記中心コアを一体にして移動させると
き、金型開閉方向には移動しないように構成した
射出成形用金型の開きコアにある。

さらに詳しくは次の通りである 従来の開きコアは、摺動駒がすべて同一方向に
摺動するように構成されていたが、この方法を止
め、４摺動部品のうち１対（相対向する同一形状
の摺動部品２個）は型開き方向に対向し移動せ
ず、相対的には中心コアに対して下方に移動する
ように構成したものである。

以下本発明を実施例によつて説明する。

第１図は、本発明の一実施例に係る射出成形用
金型の開きコアの型閉状態における平面図であつ
て、内側がノーテーパの円筒を形成するためのも
のである。第２図は、第１図におけるＡ−A₀断
面図、第３，４図は、第１図に係る開きコアの作
動状態を示すものであり、第１図におけるＡ−
A₀断面図に相当する断面図である。

第１図において、１は、開きコアの中核体とな
る、金型開閉方向に移動しうる中心コアであり、
この中心コア１には、互いに逆向きのテーパを有
する、相対向する２対の側面に係る滑面１ａ，１
ｂが形成され、この滑面１ａ，１ｂにはあり溝１
ｃ，１ｄがそれぞれ設けられている。一方のあり
溝１ｃは仕切面１ｅまで形成されているが、他方
のあり溝１ｄは、これを摺動する摺動駒３（詳細
後述）が摺動時に滑らかに摺動できる範囲で滑面
１ｂの途中１b₀まで形成されている。

１ｇは、中心コア１の基部１ｆに２個相対向し
て穿設された突き出しピンガイド穴であり、この
突き出しピンガイド穴１ｇの軸は、滑面１ａに平
行である。

２，３は、それぞれの摺動面に嵌合部２ａ，３
ａを形成し、この嵌合部２ａ，３ａの中心コア１
のあり溝１ｃ，１ｄに摺動自在に嵌め込まれてい
る。相対向する２対の摺動駒であつて、型閉状態
（第１，２図の状態）では、摺動駒２の下端が仕
切面１ｅに当接するとともに、２対４個の中心コ
ア２，３が一体となつて、その外周部８，７で製
品１０の内筒を構成するものである。

５は、中心コア１の突き出しピンガイド穴１ｇ
内を摺動することができ、その先端のねじ部６に
摺動駒２が締結されている突き出しピンである。

このように構成した本実施例の開きコアの動作
を、第３，４図によつて説明する。

まず、通常の手段により溶融樹脂（図示せず）
をキヤビテイ４に充填すれば、第２図の二点鎖線
で示す製品１０が成形される。型開きにより製品
１０の外筒（図示せず）を離型したのち、第３図
に示すように、中心コア１、摺動駒２と共に製品
１０と油圧シリンダ（図示せず）によつて前進さ
せる。このとき、摺動駒３は金型架体（図示せ
ず）に、金型開閉方向の移動が規制され、開きコ
ア中心方向には摺動可能に嵌着されており、中心
コア１の前進に伴つて一緒に移動しないようにな
つている。また、滑面１ｂに形成されたあり溝１
ｄに嵌合している嵌合部３ａとの関係から、摺動
駒３は滑面１ｂに沿つて相対的に摺動し、開きコ
ア中心に向つて移動する。このとき製品１０の内
筒と摺動駒３の外周部７が離型する。

次に、この状態において、突き出しピン５だけ
を他の油圧シリンダ（図示せず）によつて前進さ
せると、第４図に示すように、摺動駒２が滑面１
ａに沿つて摺動前進する。このとき２個１対の摺
動駒２は滑面１ａの傾斜効果により、開きコア中
心に向つて移動し、製品１０の内筒部と摺動駒２
の外周部８とが離型する。これにより開きコア全
体の外周部７，８と製品１０とが完全に離型し、
製品の取出しが可能となるわけである。

次に、製品にねじなどのアンダカツトがある場
合の例として、下部内側に台形ねじを有し上部に
袋状の空間を有する製品を形成する射出成形用金
型の開きコアについて説明する。

第５図は、下部内側に台形ねじを有し上部に袋
状の空間を有する製品の中央断面図、第６図は、
本発明の他の実施例に係る射出成形用金型の開き
コアの、第１図におけるＢ−Ａ断面に相当する断
面図であり、第５図に係る製品を突き出した状態
を示すものである。

この第６図において、第１図と同一番号を付し
たものは同一部分である。

この実施例の開きコアも、前記実施例と同様
に、金型開閉方向に移動しうる中心コア１を設
け、この中心コア１の側面に係る滑面に、相対向
する２対の摺動駒（第６図には１対の摺動駒２Ａ
のみが図示されている）を配設し、１対の摺動駒
（図示せず）は、他の１対の摺動駒２Ａ、もしく
はこの摺動駒２Ａと中心コア１を一体にしたもの
を移動させたとき、金型開閉方向には移動しない
ようになつている。なお、中心コア１の、１対の
摺動駒（図示せず）を配設する滑面は、他の１対
の摺動駒２Ａを配設する滑面１ａと逆向きのテー
パに形成されている。

このように構成した本実施例の開きコアにおい
て、まず通常の手段により溶融樹脂（図示せず）
をキヤビテイ（図示せず）に充填すれば、第６図
の二点鎖線で示す製品１０Ｂ（後述する型開き上
の理由により、第５図に係る製品１０Ａと、ごく
部分的に形状が異なる）が成形される。型開きに
より製品１０Ｂの外筒（図示せず）を離型したの
ち、中心コア１、１対の摺動駒（図示せず。第１
図の摺動駒３に相当する）と共に製品１０Ｂを油
圧シリンダ（図示せず）によつて前進させる。こ
のとき、前記１対の摺動駒は中心コア１の前進方
向には移動しないが、開きコア中心に向つて水平
移動する。この際、製品１０Ｂと接している前記
摺動駒の外周部と製品１０Ｂが離型する。ただ
し、この製品１０Ｂは前記摺動駒の外周部とすれ
ながら中心コア１と共に移動するため、前記摺動
駒の外周部には、ねじ（すなわち、アンダカツ
ト）を設けることはできないので、摺動駒２Ａの
外周部８Ａのみアンダカツトが設けられている。

次に、この状態において、突き出しピン５を他
の油圧シリンダ（図示せず）によつて前進させる
と、第６図に示すように、摺動駒２Ａが滑面１ａ
に沿つて摺動前進する。このとき２個１対の摺動
駒２Ａは滑面１ａの傾斜効果により、開きコア中
心に向つて移動し、製品１０Ｂのアンダカツト部
９と摺動駒２Ａの外周部８Ａとが離型する。これ
により開きコア全体の外周部と製品１０Ｂとが完
全に離型し、製品の取出しが可能となる。

なお、前記した１対の摺動駒（図示せず）の外
周部にはアンダカツトが設けられていないため、
その摺動駒で成形される製品１０Ｂの部分にはア
ンダカツト部がなく、第５図に係る製品１０Ａ
と、ごく部分的に異なる形状となるが、製品の機
能としては、部分的にアンダカツト（本実施例に
おいては台形ねじ）が形成されてなくても、所期
の機能は十分果しうるものである。

以上の各実施例で説明したように、従来、射出
成形品として当然視されていた抜き勾配の配慮を
しなくても良く、またリブ、ねじ穴等のアンダカ
ツトを有する製品も容易に成形することが可能で
ある。このことから、製品設計の自由度が大きく
なり、一体化、軽量化、小型化のメリツトが出て
くる。

また、従来上記製品を製造するための開きコア
に関する多くの出願がなされているが、上記各実
施例の開きコアは前記出願に係るものに比べて、
開きコアの構成部品数が少なく、動作も確実であ
る。また、金型として最も製作時間を要する合わ
せ作業が、部品数の減少により少なくなり、金型
精度の向上、コストの低減、製作時間の短縮に大
幅に寄与するものである。

以上詳細に説明したように本発明によれば、射
出成形用金型の開きコアにおいて、金型開閉方向
に移動しうる中心コアを設け、この中心コアの側
面に、相対向する２対の摺動駒を配設し、これら
のうち１対の摺動駒は、他の１対の摺動駒を移動
させ、もしくは他の１対の摺動駒と前記中心コア
を一体にして移動させるとき、金型開閉方向には
移動しないように構成したので、動作が確実でコ
ストの安い、射出成形用金型の開きコアを提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例に係る射出成形用
金型の開きコアの型閉状態における平面図であつ
て、内側がノーテーパの円筒を成形するためのも
のである。第２図は、第１図におけるＡ−A₀断
面図、第３，４図は、第４図に係る開きコアの作
動状態を示すものであり、第１図におけるＡ−
A₀断面に相当する断面図である。第５図は、下
部内側に台形ねじを有し上部に袋状の空間を有す
る製品の中央断面図、第６図は、本発明の他の実
施例に係る射出成形用金型の開きコアの、第１図
におけるＢ−Ａ断面に相当する断面図であり、第
５図に係る製品を突き出した状態を示すものであ
る。 １……中心コア、１ａ，１ｂ……滑面、２，２
Ａ，３……摺動駒。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 射出成形用金型の開きコアにおいて、金型開
   閉方向に移動しうる中心コアを設け、この中心コ
   アの側面に、相対向する２対の摺動駒を配設し、
   これらのうち１対の摺動駒は、他の１対の摺動駒
   を移動させ、もしくは他の１対の摺動駒と前記中
   心コアを一体にして移動させるとき、金型開閉方
   向には移動しないように構成したことを特徴とす
   る射出成形用金型の開きコア。 ２ 中心のコアの、１対の摺動駒を配設する側面
   を、他の１対の摺動駒を配設する側面と逆向きの
   テーパに形成したものである特許請求の範囲第１
   項記載の射出成形用金型の開きコア。