JPS6138373B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は屎尿を焼却する際に発生する高温廃ガ
スから効率よく廃熱を回収して燃料の使用を節減
させると同時に高温廃ガス系統に設置した熱交換
器へのスケール附着防止を図り、安定した屎尿焼
却を可能にした屎尿焼却処理設備に関するもので
ある。 更に詳しくは、流動床下部に導入された流動空
気で媒体を流動させるとともに、該流動床の側壁
より熱風を吹き込んで屎尿を焼却し、燃焼ガスを
流動床の上部より排出する流動焼却炉と、該流動
焼却炉から排出された燃焼ガスを除塵する乾式集
じん機と、屎尿濃縮装置と、熱交換および脱臭炉
とからなり、上記乾式集じん機で除塵された燃焼
ガスを屎尿濃縮装置に連通して屎尿中の水分を蒸
発せしめて濃縮し、該濃縮された屎尿をポンプで
流動焼却炉へ供給して焼却するとともに、該脱臭
装置から排出される燃焼廃ガスを熱交換器を介し
て外部へ解放する一方、濃縮装置から導出され
た、熱交換した加熱燃焼ガスを脱臭装置に連通し
て再燃焼させることを特徴とする屎尿焼却処理設
備に関する。 従来、屎尿の処理方式の主流をなしていたもの
は生物処理すなわち湿式により大量の水を使用し
て有機汚染成分を稀釈分解するものであつたが設
備設置面積として相当の敷地を必要とし、かつ設
備費用も高く、更に大量の稀釈水を必要とするた
め、水資源に乏しく、充分な広さの敷地を確保す
ることが難しく、住民の数も少ない山間僻地等に
建設しうる屎尿処理設備が要請されている。この
様な場合にはむしろ燃料は要するが屎尿を一挙に
焼却処理する方式が簡単であり、小規模なものと
してそれなりに要望される事も多い。この様な焼
却炉は種々の型式、たとえばロータリーキルン、
多段焼却炉、流動床炉等が用いられているが何れ
も高温の燃焼廃ガスが発生し、これをそのまま放
出することは熱損失が大きく、燃料の消費量が大
となる。特に燃焼廃ガスは少なくとも700℃以上
で高温処理して脱臭しなければその悪臭が飛散
し、環境を悪化させる故脱臭処理後の高温廃ガス
から廃熱を効率よく回収することが熱経済を向上
せしめるために必要となる。 従来、燃焼廃ガスが持つている廃熱を回収する
設備としては一般的には焼却炉で使用する空気を
燃焼廃ガスで予熱するための熱交換器を設置する
などの方式のものがせいぜいであつた。しかしな
がら該熱交換器のみでは回収出来る熱量に限界が
あり、本発明者等は更に廃熱を有効に回収できる
設備について鋭意研究を行なつた結果、屎尿中の
固形分を分離減少せしめた後の該屎尿中の焼却炉
からの燃焼廃ガスを吹込むことによつて屎尿中の
水分を蒸発させて屎尿を濃縮すると共に前記廃ガ
ス中のばいじんをも除去できるようになした屎尿
濃縮装置を包含する屎尿焼却処理設備が有効な熱
回収及び長期の安定した連続運転の上で優れてい
ることなどの知見を得、これらを基礎に本発明に
到達したものである。本発明の屎尿焼却処理設備
は基本的には冒頭において説明した如き構成から
成立つているものではあるが、ことに屎尿濃縮装
置の設置は特微的な部分である。かかる屎尿濃縮
装置としては少なくとも前述した如き機能を有す
るものであればいかなる型式のものでも採用可能
であるが特に有効な熱回収の上からは、屎尿濃縮
装置の内部が焼却炉からの燃焼廃ガスを吹込める
部分と、脱臭装置からの高温廃ガスとの熱交換で
加熱された空気を吹込める部分とに隔離され、し
かも前記燃焼廃ガスと屎尿との間、及び前記加熱
空気と屎尿との間のそれぞれにおいて熱の移動は
あつても前記燃焼廃ガスと加熱空気との間には混
合が起きないように独立した複数のガス吹込部か
ら構成されている型式のものが望ましい。以下本
発明の屎尿焼却処理設備に関し１つの具体例とし
て、焼却装置に流動床式焼却炉を用いた場合の処
理系統図を以て説明する。 第１図において、屎尿は、屎尿受入管２０から
固液分離機１へ供給されて篩渣と液とに分離さ
れ、篩渣は、篩渣供給管２１より流動床２へ供給
される。一方、液は、液供給管２２より屎尿
濃縮装置５へ供給され、後述の屎尿濃縮操作が行
なわれた後濃縮液供給管２３より屎尿供給ポンプ
１４を介して流動床式焼却炉３７へ供給される。
流動床２には流動媒体（一般に、珪砂等が使用さ
れる）が充填されており、該流動床下部より、流
動用空気管２６より供給される流動用空気により
流動状態とされている。又、該流動床には側面よ
り、熱風発生炉用燃料供給口３８より供給される
燃料と燃焼空気管２７より供給される空気とが、
熱風発生炉３内で燃焼した燃焼ガスを該流動床温
度が所定温度になる様に供給されている。 前述の篩渣及び濃縮屎尿は、流動状態の流動媒
体により、分散及び破砕及び加熱が行なわれ瞬時
に燃焼される。燃焼灰及び燃焼廃ガスは、流動床
よりダクト２８を介して、乾式集じん装置４へ供
給されて、該燃焼廃ガス中に含有される粗粒の燃
焼灰及び破砕した流動媒体が分離除去される。次
いで、乾式集じん装置より排出される燃焼廃ガス
は、屎尿濃縮装置５へダクト２９より屎尿中に吹
込まれ、該廃ガスと屎尿を直接々触させる事によ
り該廃ガスの保有する顕熱量を、屎尿加熱と屎尿
中の水分を蒸発する熱源とに利用すると同時に、
前記乾式集じん装置４で分離除去できなかつた微
細粒子も分離除去されてばいじんの非常に少ない
80〜90℃の燃焼廃ガスとしてダクト３０より排出
される。又屎尿濃縮装置５には、熱交換器１０で
予熱された燃焼用空気が燃焼空気管２５より屎尿
中に吹込まれ前記廃ガスと同様燃焼用空気と屎尿
との直接々触により該空気の保有する顕熱量が屎
尿加熱と屎尿中の水分を蒸発させる熱源として利
用されて80〜90℃の熱焼空気として燃焼用空気管
２７より排出される。又屎尿濃縮装置５は、ダク
ト２９より吹込まれる燃焼用廃ガスと燃焼用空気
管２５より吹込まれる燃焼用空気とが該装置内で
混合しない様な構造とされている。 本発明の目的とする所は、焼却装置（上記の例
では流動床式焼却炉３７）より排出される燃焼廃
ガスに含有されるばいじんを高効率で除去分離さ
せると共に該廃ガスが保有する顕熱量で屎尿を加
熱し、更に濃縮させる事である。又、本発明を実
施した場合の波及効果として、燃焼廃ガスに含有
されるばいじんは塩化物主体であるため、該廃ガ
スを脱臭室７で高温に加熱された場合、ばいじん
は溶融状態となつて附着性の強いばいじんとな
り、脱臭室７及びダクト３３，３４，３５の壁面
への附着、あるいは／及び熱交換器８，９の伝熱
面への附着等を生じ、ダクトあるいは／及び熱交
換器の閉塞あるいは伝熱阻害等の障害が発生す
る。従つて、本発明を実施した場合、これらの障
害が防止出来る事、更に屎尿濃縮装置で液供給
管２２より供給される屎尿量の1/2〜1/3に濃縮さ
れて濃縮液供給管２３より流動床式焼却炉３７へ
供給されるため、流動床断面積を小さくすること
ができ、かつこれに伴なつて燃料及び流動用空気
量が減少できる事にある。 従つて、屎尿濃縮装置としては、前述の目的を
達成するものであればスプレー塔、サイクロンス
クラバー、ベンチユリースクラバー、ジエツトス
クラバー、多孔板型式等も使用できるが圧力損失
が小さく、濃縮装置５内でスケールによるトラブ
ルのない事が必要であり、これらの点から燃焼廃
ガスをガス吹込部より屎尿中に吹込んで、該廃ガ
スと屎尿とを直接々触させて熱交換を行なわせる
型式が望ましい。更に屎尿への加熱量の面から、
ダクト２９より燃焼廃ガスを屎尿中へ吹込むだけ
でなく、熱交換器１０により加熱された燃焼用空
気も供給管２５を経由して屎尿中で吹込めば、屎
尿加熱量は増大し、その結果屎尿蒸発量が増し、
濃縮液供給管２３より流動床式焼却炉３７へ供給
される液量が減少して燃料の使用量が減少するの
で、屎尿濃縮装置５に複数のガス吹込部を有する
事は特に好ましいが、しかしこの場合、燃焼廃ガ
スと燃焼用空気とが屎尿濃縮装置５内で混合しな
い様な構造とする必要がある。屎尿濃縮装置５よ
り排出される燃焼廃ガスは、送風機６で昇圧され
て熱交換器８へ供給され、予熱された後ダクト３
１より脱臭室７へ供給される。脱臭室７には、熱
交換器９で予熱され燃焼用空気管３２を介して供
給される燃焼用空気と供給口３９より供給される
燃料との燃焼により発生せしめた脱臭用燃焼ガス
がダクト３１より供給された燃焼廃ガスを所定温
度迄混合加熱したのち、ダクト３３より排出され
る。以後該高温廃ガスは、熱交換器８，９，１０
において前述の空気又は廃ガスを予熱したのち排
気筒１２より大気へ放出される。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。 実施例 １ 第１図の処理系統図に示された如き本発明の屎
尿焼却処理設備を用い、屎尿受入管２０へ屎尿
1000／時を供給して焼却処理を行なつた。その
結果後述の表１に示す様に、燃料使用量及び廃ガ
ス中のばいじん量に大巾な減少が確認され、あわ
せて長期間安定した運転が続行できた。 比較例 １ 流動床ａ及び熱風発生炉ｂで使用する空気を予
熱する熱交換器ｄを具備した、第２図に示す様な
焼却処理設備を用い屎尿受入管ｉへ屎尿1000／
時を供給して焼却処理を行なつた。この結果運転
開始後４日目頃より、熱交換器ｄのガス側圧力損
失の上昇及び熱回収率の低下傾向が認められる様
になつた。引き続き運転を続行した結果、運転開
始後７日目で熱交換器ｄのガス側圧力損失が急増
し遂に運転続行不可能となつた。運転停止後の開
放検査結果では、熱交換器伝熱面へ白色の硬いス
ケールが附着していた。このスケールは塩化物で
ある事が判明した。

【表】 表１の結果から明らかな如く、本発明によれば
焼却炉へ供給される屎尿量及び燃料使用量及び流
動空気量及びばいじん量に大巾な減少が認められ
併せてスケールに起因する運転阻止が防止でき長
期間安定した運転が続行できた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の屎尿焼却処理設備におい
て、焼却装置として流動床式焼却炉を用いた場合
の設備系統図であり、第２図は比較例１の屎尿焼
却処理を行なつた場合の焼却設備系統図である。 １……固液分離機、２……流動床、３……熱風
発生炉、４……乾式集じん機、５……屎尿濃縮装
置、６……排気フアン、７……脱臭室、８……熱
交換器(1)、９……熱交換器(2)、１０……熱交換器
(3)、１１……流動空気フアン、１２……排気筒、
１３……燃焼空気フアン、１４……濃縮屎尿供給
ポンプ、２０……屎尿受入管、２１……篩渣供給
管、２２……液供給管、２３……濃縮液供給
管、２５……燃焼空気管、２６……流動用空気
管、２７……燃焼用空気管、２８……ダクト、２
９……ダクト、３０……ダクト、３１……ダク
ト、３２……燃焼用空気管、３３……ダクト、３
４……ダクト、３５……ダクト、３６……ダク
ト、３７……流動床式焼却炉、３８……熱風発生
炉用燃料供給口、３９……脱臭室用燃料供給口、
ａ……流動床、ｂ……熱風発生炉、ｃ……乾式集
じん機、ｄ……熱交換器、ｅ……排気筒、ｆ……
排気フアン、ｇ……流動空気フアン、ｈ……燃料
供給口、ｉ……屎尿受入管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 流動床下部に導入された流動空気で媒体を流
   動させるとともに、該流動床の側壁より熱風を吹
   き込んで屎尿を焼却し、燃焼ガスを流動床の上部
   より排出する流動焼却炉と、該流動焼却炉から排
   出された燃焼ガスを除塵する乾式集じん機と、屎
   尿濃縮装置と、熱交換器および脱臭炉とからな
   り、上記乾式集じん機で除塵された燃焼ガスを屎
   尿濃縮装置に連通して屎尿中の水分を蒸発せしめ
   て濃縮し、該濃縮された屎尿をポンプで流動焼却
   炉へ供給して焼却するとともに、該脱臭装置から
   排出される燃焼廃ガスを熱交換器を介して外部へ
   解放する一方、濃縮装置から導出された熱交換し
   た加熱燃焼ガスを脱臭装置に連通して再燃焼させ
   ることを特徴とする屎尿焼却処理設備。