JPH0159486B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は流動焼却装置、より詳しくは屎尿等の
廃液の焼却に適した流動焼却装置に関するもので
ある。 （従来の技術とその問題点） 流動焼却炉は、蒸発・乾燥及び焼却効果の指標
となる伝熱容量係数が大きく、また構造が簡単で
炉内に可動部分がないこと、設置面積が小さいこ
と、起動・停止が短時間ででき、温度制御が容易
であることなどから下水や産業廃水などの廃液、
例えば屎尿の焼却処理に広く用いられている。し
かしながら廃液を焼却する際に流動床温度を高
温、例えば屎尿では従来言われている700℃ない
し900℃とすると、流動媒体に粘着性を生じ流動
床の一部に吹き抜けを起し、引き続き運転を続行
すると流動媒体が流動性を失うことがある。さら
に焼却炉から排出されるガスの導管、除塵装置及
び熱交換器の内壁面にスケールが附着し、しかも
当該機器の内壁面に著じるしい腐蝕を起すことに
よつて流動焼却炉を長時間連続して運転すること
が困難であるという問題があつた。 （問題点を解決するための手段） したがつて本発明の目的は流動床の流動媒体で
ある固体粒子に粘着性が生じて流動状態が悪化す
ることを防止し、焼却炉から排出されるガスの除
塵・熱回収系統におけるスケール附着及び腐蝕を
防止し、上記排ガスが持つている廃熱を効果的に
回収できる流動焼却装置を提供することにある。 すなわち本発明は脱臭炉を上段に、流動焼却炉
を下段に設け、該脱臭炉と流動焼却炉を仕切板で
区画した流動焼却装置であつて、該流動焼却炉の
下部に流動用空気導入口と、流動床の側面に熱風
吹込口を設け、しかも該流動焼却炉の上部と脱臭
炉とを除塵装置を介して燃焼ガス導管で連結した
ことを特徴とする流動焼却装置である。 本発明装置では流動床の温度を低温、例えば
350〜550℃に維持せしめた系で廃液を燃焼するこ
とによつて流動媒体及び燃焼ガス中の粉塵の粘着
性を回避できる。また流動床より発生する燃焼ガ
スを直ちに脱臭炉に導入するのではなく燃焼ガス
を除塵装置に導き、燃焼ガスに含まれる場合や低
融点物質が除去されたガスを脱臭炉に導入するこ
とによつてその後の脱臭操作、廃熱回収、納交換
等を円滑に行わせることができる。 本発明装置で生屎尿を焼却する場合には流動床
温度を350〜550℃に維持する必要がある。流動床
温度の下限を350℃に設定している理由はセルロ
ースの熱分解温度が240〜400℃であつて340℃に
発熱のピークがあるためであり、一方前記温度の
上限を550℃に設定しなければならない理由は550
℃以上で長時間運転を行なうと流動媒体に屎尿中
のアルカリ金属成分に起因して起ると考えられる
粘着性を生じて流動床の圧力損失が大きく変動す
るためである。流動床温度を350〜550℃の低温に
保つために燃料油を直接流動床内で燃焼すること
ができないため、燃料油を効率よく燃焼させるた
めの熱風発生炉を設置する必要がある。また流動
床より発生する燃焼ガスを除塵する装置は焼却炉
の内外の任意の位置に設けることができるが、燃
焼炉内に除塵装置を組み込むことは焼却炉内の構
造を複雑なものとする。そのため焼却炉とは別に
独立して除塵装置を設け、これに前記燃焼ガスを
通過させて燃焼ガス中の微粒子を除去する。除塵
装置を経由した燃焼ガスは脱臭炉に導入されバー
ナーにより650℃以上に加熱脱臭される。 以下本発明装置の一実施例を図面にて説明す
る。 第１図において流動焼却炉１の流動床５にあら
かじめ投入されている流動媒体は、流動床の下部
に設けられた流動用空気導管４から送り込まれる
空気によつて流動状態に維持される。一方熱風発
生炉２で燃料油を燃焼してつくられた熱風は流動
床５の側面に開口する熱風吹込口から流動床へ導
入されて流動媒体を加熱する。 廃液供給導管６から焼却炉内へ送り込まれた廃
液は、熱風及び流動媒体と接触して蒸発、乾燥、
焼却される。流動焼却炉１の上部から送り出され
る燃焼ガスは、仕切板１６によつてさえぎられて
焼却炉から送り出され除塵装置８を通つた後、熱
交換器１２を経て脱臭炉１０へ送り込まれ脱臭炉
バーナー９によつて更に高温まで昇温され脱臭さ
れる。脱臭炉から送り出される排ガスは熱交換器
１２で廃熱を回収されて煙突１４から放出され
る。 第１図では除塵装置８は焼却炉の外に設置され
ているが、該除塵装置を焼却炉の内部に取り付け
ることもできる。また脱臭炉１０は流動床上部に
取付けられた仕切板１６によつて隔絶されて流動
焼却炉の上部に一体に設けられているため流動焼
却装置がコンパクトになる。熱交換器１２は脱臭
炉１０から送り出される排ガスから廃熱を回収す
るための設備であり、当該熱交換器を通過するガ
スはすでに除塵装置８を経由しているため熱交換
器にスケール附着及び著しい腐蝕を生じることな
く、長時間運転が可能である。当該熱交換器の設
置により排ガスが持つている廃熱を回収してより
経済的に廃液を焼却処理することができる。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。 （実施例） 第１図に示される装置を用い、生屎尿の焼却を
行なつた。 運転条件及び運転結果はそれぞれ表１、表２に
示した通りである。

【表】

【表】

【表】 表２に示すように流動床温度を400℃ないし550
℃で運転した場合は、流動媒体に粘着性を生じる
ことなく安定した運転を続行することができた。
また流動床から送り出される燃焼ガスを、脱臭の
ための昇温をする前に除塵して、該燃焼ガスに含
まれているアルカリ金属化合物及び低融点の反応
生成物を除去することによつてスケール附着及び
腐蝕を防止することができる。除塵した後の燃焼
ガスは、脱臭炉で650℃ないし900℃に加熱するこ
とによつて脱臭されていることがわかる。 （発明の効果） 以上のように、本発明装置では流動媒体が粘着
性を帯びて流動性を失うことがなく、該焼却炉か
ら排出されるガスの除塵、熱回収系統にスケール
附着及び著しい腐蝕を発生させることなく排ガス
の脱臭が可能でより経済的な運転を行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置概略図である。 １…流動焼却炉、２…熱風発生炉、３…燃料供
給導管、４…流動用空気導管、５…流動床、６…
廃液供給導管、７…燃焼ガス導管、８…除塵装
置、９…脱臭炉バーナー、１０…脱臭炉、１１…
排ガス導管、１２…熱交換器、１３…誘引フア
ン、１４…煙突、１５…流動用ブロワー、１６…
仕切板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 脱臭炉を上段に、流動焼却炉を下段に設け、
   該脱臭炉と流動焼却炉を仕切板で区画した流動焼
   却装置であつて、該流動焼却炉の下部に流動用空
   気導入口と、流動床の側面に熱風吹込口を設け、
   しかも該流動焼却炉の上部と脱臭炉とを除塵装置
   を介して燃焼ガス導管で連結したことを特徴とす
   る流動焼却装置。