JPS6138019B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は印刷手法によつて作成されたエンボス
シートを用いて、凹凸の付与と模様の転写とを同
時に行なうことを特徴とする化粧材の製造方法で
ある。

エンボス版又はエンボスシートを用いて凹凸化
粧材を製造する方法は従来より行なわれている
が、その凹凸形状は彫刻、腐蝕等で形成したもの
であるので、木目模様の様な繊細な凹凸を再現す
ることができなかつた。

そこで、盛り上げインキを用いて印刷手法によ
つてエンボス版やエンボスシートを作成する方法
が提案された。

この方法ならば繊細な凹凸を再現することが可
能であるが、逆に大きな凹凸を再現するが為には
インキを大量に盛り上げなければならず、その様
に盛り上げられたインキは乾燥又は硬化に時間が
かかり、その後で施す転写用の模様の印刷と連続
させることができないという欠点がある。すなわ
ち、盛り上げインキの塗布と乾燥という工程と、
転写用の模様の印刷工程とを別工程にしなければ
ならないのである。又、インキの量が多いと通常
の印刷機の乾燥装置では完全に乾燥させることが
できず、従つて盛り上げる量が制限されてしまう
という欠点を有している。

本発明は以上のような欠点を解消し、盛り上げ
インキを数回に分けて印刷塗布し、印刷の度に乾
燥させることによつて乾燥不良を無くし、かつ転
写用の模様の印刷と連続させることを可能にする
ものである。

以下本発明を図面に従つて詳細に説明する。

まず第１図に示すように、面積の大きさが少し
ずつ異なる相似形の模様形成部分を有する版１，
２，３，４を用意する。この版の数及び模様形成
部分の面積の大小の差は、希望する凸部模様の大
きさや形状によつて任意に選択することができ
る。

次に、前記４種類の版を用いてシート状基材５
の上に盛り上げインキによる凸部模様６を設け
る。次いで凸部模様を含めたシート状基材の全表
面に離型処理層７を設け、その上に任意の模様
８，９を施して第２図に示す様なエンボスシート
１０を得る。

次に第３図に示す様にエンボスシート１０の模
様面を化粧材構成物１１に向けて重ね、次いで加
圧し、必要に応じて加熱してからエンボスシート
を剥すと、第４図に示す様にエンボスシートの凸
部模様に対応する部分が凹部となり、かつエンボ
スシートの表面の任意の模様が転写された同調エ
ンボス化粧材１２が得られる。

面積の大きさが少しずつ異なる相似形の模様形
成部分を有する複数の版を用いて凸部模様を数回
に分けて盛り上げ形成することによつて、通常の
印刷機とその印刷機に附属した通常の乾燥装置に
よつて凸部模様を設けることを可能とし、延いて
は凸部模様の形成と、離型処理と、任意の模様の
形成とを一工程で連続的に行なうことを可能とす
るものである。

又、同一の版を用いずに、模様形成部分の面積
を少しずつ小さくした版を順に用いて凸部模様を
形成することによつて、第８図に示す様に左右が
対象形でない凸部模様を得ることができ、その様
なエンボスシートを用いれば、天然木に酷似した
エンボス化粧材が得られ、その表面に光の反射の
態様を種々変化させることもできる。

シート状基材５としては、ポリエステルフイル
ム、ポリプロピレンフイルム等の合成樹脂フイル
ムや紙、合成紙、及びそれらを２種類以上積層し
た複合シートが使用できるが、熱硬化性樹脂化粧
板を製造する場合等には耐熱性を有するシートを
用いる必要があり、又、紙等を基材に用いる場合
には離型時に層間剥離を生じない様に樹脂含浸紙
や樹脂混抄紙を用いるのが好ましい。

又、合成樹脂フイルム等で盛り上げインキとの
密着の良くないシートの場合には、接着用の樹脂
をコートしておく等の下地処理を施す必要があ
る。

盛り上げインキは体質顔料等の無機物を含有
し、ポリエステル系、エポキシ系、アミノ系、ポ
リウレタン系等の耐熱性を有する樹脂をバインダ
ーとするものが望ましいが、これに限定されるも
のではない。

離型処理は例えばシリコーン樹脂を配合した剥
離用樹脂を塗布する等の方法で行ない、シート状
基材の表面全面に施す。

任意の模様は通常のインキを用いて施しても良
いが、化粧材構成物に用いる樹脂と同系の樹脂を
バインダーとするインキを用いて施せば、転写さ
れたインキが化粧材の表面部分と一体化し、耐摩
耗性諸物性が良好となるので好ましい。

又、任意の模様はエンボスシートの凸部模様の
上のみに施しても良いし、凸部模様以外の部分あ
るいはエンボスシートの表面全面に設けることも
できる。

更には第５図に示す様に離型処理層７の上に透
明インキ層等の透明樹脂層１３を設けてから任意
の模様を施せば、第６図に示す様に転写された透
明樹脂は化粧材表面で表面保護層１４となり、化
粧材の表面性能はより優れたものとなる。

又、第７図に示す様に、通常のメラミン化粧板
の様に任意の模様を有するシート１５を含む化粧
材構成物を用い、その模様に同調した凸部模様と
転写用の任意の模様を施したエンボスシートを用
いれば、下地模様に同調した凹凸と転写模様とを
有する化粧材が得られる。

化粧材構成物は、熱硬化性樹脂を含浸したオー
バーレイ紙と模様紙とコア紙とを組み合わせた熱
硬化性樹脂化粧板用の素材でも良いし、紙、布、
合成樹脂フイルム、木質板、金属板、無機質板等
に硬化型樹脂を塗布したものでも良い。

実施例 片面処理済みの厚さ40μのポリエステルフイル
ムの該処理面に、グラビア印刷機の第１〜第３ユ
ニツトを用いて体質顔料を含みアミノアルキツド
系樹脂をバインダーとするインキで木目導管溝模
様を３回に分けて刷り重ねて凸部模様を形成し
た。この印刷に用いた版はその模様形成部分の面
積が各々相似形でかつ大きさが異なるように作製
された３つの版で、面積の大きな順に第１、第
２、第３ユニツトにセツトした。なお各版の版深
は、100μに設定した。

次に、第４ユニツトで前記印刷面全面に２液反
応型のシリコーン樹脂を塗布した。この時の版は
版深100μのベタ版を使用した。

次に、第５ユニツトで前記凸部模様の上に導管
溝模様と相似形で第３ユニツトよりも小さな模様
形成部分を有する版深38μの版を用いて、メラミ
ン樹脂系の黒色インキで導管溝模様を印刷してエ
ンボスシートを得た。

次に、鏡面板、フエノール樹脂含浸コア紙、導
管溝模様のみを除いた木目模様を有するメラミン
樹脂含浸化粧紙、メラミン樹脂含浸オーバーレイ
紙の順に重ねた上に前記エンボスシートとその印
刷面を下にして重ね、140℃、80Kg/cm²で30分間加
熱加圧した後、冷却した後にエンボスシートを剥
離したところ、凹部底面が着色された同調エンボ
スメラミン化粧板を得た。

以上のような本発明の方法によれば、以下のよ
うな効果を得ることができる。

凹凸模様の付与と、それに同調した模様の転
写とを同時に行なうことができる。

凹凸形成用の凸部模様は印刷手法によつて設
けるので、微細な凹凸を形成することが可能で
あり、しかもその凸部模様は数回に分割して印
刷形成しているので、転写用の模様等を施すの
と同時に設けることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明方法の工程の一例を説明する略解
図であつて、第１図のａ，ｂ，ｃ，ｄは凸部模様
形成用の版の断面図、第２図と第５図は本発明に
用いるエンボスシートの断面図、第３図は化粧材
構成物の上にエンボスシートを重ねた状態、第４
図及び第７図はエンボスが終了してエンボスシー
トを剥した状態の各々断面説明図、第６図は得ら
れた化粧材の断面図、第８図はシート状基材に左
右が対象形でない凸部模様を形成した場合を説明
する断面図を各々示す。 １，２，３，４……凸部模様形成用の版、５…
…シート状基材、６……凸部模様、７……離型処
理層、８，９……任意の模様、１０……エンボス
シート、１１……化粧材構成物、１２……同調エ
ンボス化粧材、１３……透明樹脂層、１４……表
面保護層、１５……任意の模様を有するシート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １色目よりも２色目、２色目よりも３色目と
   いう様に、その面積が順次小さくなる様に構成さ
   れた相似形の模様形成部分を有する複数の版を用
   いて、シート状基材の上に盛り上げインキによる
   凸部模様を設け、次いで基材表面に離型処理を施
   した後に任意の模様を施して成るエンボスシート
   を、その模様面を化粧材構成物に向けて重ね、次
   いで加圧することによつて化粧材構成物の表面に
   凹凸を付与すると同時に任意の模様を転写するこ
   とを特徴とする同調エンボス化粧材の製造方法。 ２ 任意の模様を凸部模様の上にのみに施すこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の同調エ
   ンボス化粧材の製造方法。 ３ 凸部模様の形成、離型処理、任意の模様の形
   成を一工程で連続的に行なうことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項〜第２項いずれかに記載の同
   調エンボス化粧材の製造方法。 ４ 任意の模様を、化粧材構成物に用いる樹脂と
   同系の樹脂をパインダーとするインキを用いて施
   すことを特徴とする特許請求の範囲第１項〜第３
   項いずれかに記載の同調エンボス化粧材の製造方
   法。