JPS6137956Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、汚泥、ごみなどの廃棄物を焼却処理
するのに適した効率のよいかつ安価な流動層焼却
炉に関するものである。

従来から、炉本体の底部に空気分散板を設け、
この空気分散板の上側に流動層を形成し、この流
動層上に投入された処理物を流動層により混合、
撹拌、紛砕して燃焼用空気と接触させるととも
に、処理物を蓄熱された流動層により加熱して焼
却処理するようにした流動層焼却炉が提案されて
いるが、この流動層焼却炉は単に筒状の燃焼室の
上部に排ガス出口を設けた形状であるから、燃焼
室でのガス流速が大となつてダストが飛散し易
く、かつ燃焼ガスを完全に燃焼させることができ
ないなどの欠点を有している。

また本出願人は実公昭51−38719号公報に示す
ように流動層を有する流動焼却部と、この流動焼
却部の上側の燃焼部との間に、空気噴出口を有す
る絞り部を設けてなる流動層焼却炉を提案してい
るが、燃焼部の内径が流動焼却部の内径と同程度
かやや大きいので、炉全体が大きくなつて製作費
が高価になり、かつ可燃性材料の供給口が燃焼部
の上部の高い位置に設けられているので、可燃性
材料中の微細粒子や軽量な材料が排ガスに帯同、
同伴されて排出されるという問題点があつた。

本考案は上記の諸点に鑑みなされたもので、流
動層上側の燃焼室の上側に、横断面が半円形でか
つ内径が燃焼室の内径の1/2以下の後燃焼室を、
燃焼室の側壁の一部と後燃焼室の円弧状の側壁と
が共通になるように、かつ燃焼室上壁が中央部に
向かつて斜め方向に高くなるように連設し、さら
に燃焼室と後燃焼室との接続部に二次空気供給口
を設け、かつ燃焼室上壁の燃焼室のほぼ中央部に
相当する位置に処理物投入口を設けることによ
り、燃焼室でのガス流速を小さくしてダストの飛
散を防止し、かつ燃焼室と後燃焼室との接続部の
くびれた部分で乱流を起こしてガスの混合、撹乱
を促進し、さらにこの部分に二次空気を投入して
ガスの混合、撹乱の促進と燃焼ガスの完全燃焼を
はかるとともに、処理物を低位置から流動層の中
央部に投入するようにした製作の容易かつ安価な
流動層焼却炉を提供せんとするものである。

以下、本考案の構成を図面に示す実施態様に基
づいて説明する。第１図において、１は炉本体
で、この炉本体１内の底部に多数の空気噴出孔を
有する空気分散板２が設けられ、この空気分散板
２の上側に砂などからなる流動層３が形成され、
この流動層３の上側に燃焼室４、いわゆるフリー
ボード部が形成される。この燃焼室４の上側にこ
の燃焼室４より小径の後燃焼室５を、燃焼室の側
壁の一部と後燃焼室の円弧状の側壁とが共通で一
直線になるように、かつ燃焼室上壁が中央部に向
かつて斜め方向に高くなるように連設し、さらに
燃焼室４と後燃焼室５との接続部に二次空気供給
口６を設ける。７は炉底と空気分散板２との間に
設けられた風箱、８はこの風箱に接続された一次
空気供給管、１０は燃焼室上壁のほぼ中央部に設
けられた処理物投入口、１１は後燃焼室上部に設
けられた排ガス出口、１２は起動用バーナ、１３
は砂抜出口、１４は助燃油供給口である。

後燃焼室５および燃焼室４の形状は、第２図に
示すように、断面円形の燃焼室４の上側に横断面
が半円形でかつ内径が燃焼室の内径の1/2以下の
後燃焼室５を連設している。このため、燃焼ガス
流速が燃焼室内ガス流速の２倍以上となつて、く
びれた部分でのガスの混合、撹乱を図ることがで
きる。なお後燃焼室５の内径が燃焼室４の内径の
1/2を越える場合は、ガスの混合、撹乱が充分で
なく好ましくない。また前述のように、燃焼室４
の側壁の一部と後燃焼室５の片側の円弧状の側壁
とが共通になるので、容易かつ安価に製作でき、
また処理物を流動層３のほぼ中央部に容易に投入
することができるので分散が良好になり、さらに
燃焼室４と後燃焼室５との接続部のくびれた部分
でガスが乱流を起こしてガスの混合、撹乱を促進
するという利点がある。また燃焼室４の径を大き
くしているので、ガスの流速が小さくなつてダス
トの飛散を押さえ、径の小さい後燃焼室５でガス
の混合、完全燃焼をはかることができる。

上記のように構成された流動層焼却炉におい
て、処理物投入口１０から流動層３のほぼ中央部
に投入された汚泥などの処理物は流動媒砂によつ
て激しく混合、撹拌、紛砕されて燃焼用一次空気
と良好に接触し、処理物は蓄熱された媒砂により
加熱されて焼却される。流動層３から上昇する燃
焼ガスは、燃焼室４の径が大きいので流速が小か
くなり、このためダストの飛散が防止される。燃
焼ガスの一部は燃焼室４から後燃焼室５へ上昇
し、燃焼ガスの残部は燃焼室上壁に沿つて斜め方
向に流れるので、これらの燃焼ガスが燃焼室４と
後燃焼室５との接続部のくびれた部分で衝突して
乱流を起こし燃焼ガス同志が充分混合、撹拌され
る。この接続部に二次空気供給口６から二次空気
が供給されるので、燃焼ガスはさらに混合、撹乱
されて燃焼し、後燃焼室５が小径であるので流速
が大きくなつてガスの混合、拡散が促進されて燃
焼ガスは完全燃焼した後、排ガス出口１１から放
出される。

以上説明したように、本考案の流動層焼却炉
は、後燃焼室の内径を燃焼室の内径の1/2以下に
しているので、燃焼ガス流速が燃焼室内ガス流速
の２倍以上となつてくびれた部分でのガスの混
合、撹乱を図ることができ、さらにこのくびれた
部分に二次空気を供給して、ガスの混合、撹乱の
促進と、未燃ガスの完全燃焼を図ることができる
とともに、燃焼室の径が後燃焼室の径より大きい
ので、燃焼室でのガス流速を低くとることができ
ダストの飛散を防止することができる。また燃焼
室の高さを低くすることができ、かつ後燃焼室の
径を小さくして側壁を燃焼室の延長としているの
で、ケーシングの製作、耐火材工事の費用が安価
になる。また燃焼室上壁を中央部に向かつて斜め
方向に高くしているので、燃焼ガスの流れを円滑
にし、燃焼室の全容積を有効に利用することがで
きる（燃焼室上壁が水平であれば、燃焼室内の隅
部にデツドスペースが生じて好ましくない）。さ
らに本考案の炉構造では、燃焼室のほぼ中央部に
処理物投入口を設けることができるので、流動層
上側の比較的近い位置から、すなわち低位置から
処理物を容易に投入することができ、処理物の微
細粒子や軽量な材料の排ガスの帯同、同伴を防止
することができ、また燃焼を二段に分けて行なう
NOx抑制燃焼に対しても有効であるなどの種々
の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の流動層焼却炉の一実施態様を
示す断面図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断
面図である。 １……炉本体、２……空気分散板、３……流動
層、４……燃焼室、５……後燃焼室、６……二次
空気供給口、７……風箱、８……一次空気供給
管、１０……処理物投入口、１１……排ガス出
口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底部に空気分散板を設け、この空気分散板の上
   側に流動層を形成し、この流動層上に投入された
   処理物を流動層により混合、撹拌、紛砕して燃焼
   用空気と接触させるとともに、処理物を蓄熱され
   た流動層により加熱して焼却処理するようにした
   流動層焼却炉において、前記流動層上側の熱焼室
   の上側に、横断面が半円形でかつ内径が燃焼室の
   内径の1/2以下の後燃焼室を、燃焼室の側壁の一
   部と後燃焼室の円弧状の側壁とが共通になるよう
   に、かつ燃焼室上壁が中央部に向かつて斜め方向
   に高くなるように連設し、さらに燃焼室と後燃焼
   室との接続部に二次空気供給口を設け、かつ燃焼
   室上壁の燃焼室のほぼ中央部に相当する位置に処
   理物投入口を設けてなることを特徴とする流動層
   焼却炉。