JPS6136633B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、原子力プラント等において設置され
るライニング貯槽側壁の施工方法に関する。

原子力プラント等においては、大型コンクリー
ト貯槽に金属ライニングたとえば炭素鋼板ライニ
ングあるいはステンレス鋼板ライニングを施こし
たライニング貯槽が使用されている。このライニ
ング貯槽およびその施工方法としては種々存在す
る。たとえば、まず一次コンクリートスラブ床上
に格子状の埋込材を据付けて固定し、この埋込材
表面が埋没しないように二次コンクリートを打設
して底部を構成し、次にライニング板用裏当金お
よび型棒取付用当て板を具備した鉄骨枠組を埋込
材として槽内に搬入し外側型枠と側部とを相互連
結してコンクリートを打設し、コンクリート硬化
後型枠を取り除き、コンクリート表面に露出した
ライニング板用裏当金にライニング板を溶接する
ものがある。これでは、ライニング板用裏当金お
よび型棒取付用当て板あるいは漏洩検知溝の構成
と全体の枠組み等相互の関係が非常に複雑にな
り、使用鋼材が増加する傾向にある。また、埋込
材の鉄骨枠組にライニング板用裏当金を全てに亘
つて取付けておくことは構造上不可能のため、コ
ンクリート硬化後部分的に溶接する必要があり工
事期間が延長するという問題がある。

他の貯槽およびその施工方法としては次のよう
なものがある。すなわち、ライニング板用裏当金
やその他座を取付けるための一次埋込材を木製の
型枠に取付け、これと外側型枠とを連結しながら
組立て、この空間に一次コンクリートを流入して
硬化させる。その後、型枠を取外し漏洩検知溝を
備えたライニング用裏当金その他各種の座を二次
埋込座として一次埋込材に溶接し、表面を更にモ
ルタル仕上げしたものである。

このものにおいては、コンクリート打設作業が
２回になり、また裏当金の溶接に寸法精度を良く
確保するためには多くの時間を費し全体として工
事の期間が延長するという問題がある。

また、上述した２つのものにおいては、溶接線
からの漏洩液検知装置として埋込材に裏当金や型
枠取付用当て板を利用して溝を構成したり、裏当
金に小孔を開け、この裏当金に山形鋼等で通路を
設けており、これらの溝、通路を各区分毎に集め
て床スラブの埋込配管を通して漏洩検知報知器へ
連結している。しかしながらこれでは、裏当金同
志が交又する場所が小さいトンネル構造となつて
おり施工時の塵埃やほこりあるいは錆の発生で通
路が十分確保できないという問題もある。

本発明はかかる点に鑑み、施工期間の短縮およ
び寸法精度の向上を図り、万一の漏洩に対しても
即時にしかも確実に検知し、経済的に有利なライ
ニング貯槽側壁の施行方法を提供することを目的
とする。

以下、図面を参照して本発明の実施例について
説明する。

第１図および第２図において、ライニング貯槽
１の内側壁にはライニング板２がコンクリート中
に埋込まれた格子状のライニング板用裏当金３上
に相互に溶接接合され、部分的には栓溶接されて
いる。上記裏当金３の裏側にはジベル４が取付け
られこれにより裏当金３はコンクリート中に埋込
まれ、コンクリート側壁表面には縦方向にライニ
ング板２からの漏洩を検知するための漏洩検知溝
５が形成され、これらの漏洩検知溝５はライニン
グ貯槽の底面中に埋込まれた配管６に連なつてい
る。

このようなライニング貯槽１の施工は次のよう
にして行なわれる。

第３図は、組立てて使用する単位ブロツクＵを
示しこの単位ブロツクＵは浅い箱状をなし短形の
平板部１０とこの平板部１０の四周に形成された
側板部１１とを有し、この側板部１１にはボルト
孔１２が形成されている。平板部１０の裏側には
十文字にライニング板用裏当金３が着脱自在に取
付けられ、この裏当金３にはコンクリートに押込
まれるジベル４が適宜の間隔で取付けられてい
る。

また、平板部１０の中央部には適宜の間隔を配
して漏洩検知溝５を形成するための型棒１３が図
上上下方向に取付けられ、型棒１３の一端は裏当
金３の水平に伸びる部分に適宜の間隔を配して設
けられたかんぬき式のはめ込み部３ａに上下から
嵌め込まれ、その他端はボルト等適宜の手段で平
板部１０に着脱自在に固定されている。

この単位ブロツクＵは、金属製で槽全体に組立
てた場合に自立しうる強度を有しており製作上最
も適当なる大きさに作られる。

ライニング貯槽の施工の際には、槽外近傍の仮
設組立場において単位ブロツクＵの側板部１１を
互いに接合させボルト締めするようにして数個連
結し、据付場所に応じるようにＬ字状、コ字状ま
たは直線状に組合せる。この際に単位ブロツクＵ
の裏側に裏当金３や型棒１３を取付けることがで
き、しかも単位ブロツクＵは自立できるのでこの
段階での槽の各寸法調整、精度の向上が容易とな
る。

横方向に互いに連結された単位ブロツクＵの集
合は第４図に示すようにクレーンで吊られ、第５
図に示すように次々と槽内に積上げられ、各単位
ブロツクの側板部１１同士がボルト締めされる。
単位ブロツクの集合は槽の下側から一段目、二段
目、三段目というように順に上方に組立てられ、
槽の内側壁を区画するための内枠を形成するがそ
の中間段階で槽の外側壁を区画するための外枠１
４と相互に締付金具１５によつて連結していく。

また、単位ブロツクからなる側壁間にはコンク
リート打設圧によつて側壁が内側に変形しないよ
うに連結棒１６，１６………１６が横架されてい
る。

このように単位ブロツクＵおよび型枠１４を組
立てた後に、単位ブロツクＵで形成された側壁と
型枠１４間にコンクリートを打設して硬化させた
後、単位ブロツクＵ側板部１１同士を連接してい
るボルトを取外して単位ブロツクＵを取除く。こ
の際に裏当金３をコンクリート表面に埋込んだま
ま残すとともに、型棒１３を裏当金３のはめ込み
部３ａから引抜く。その後ライニング板２を裏当
金３に沿つて溶接するが、この際その一部は栓溶
接される。

なお本実施例においては、裏当金３は平板状に
形成されその裏側にジベル４が取付けられている
が、それをＬ形鋼で形成し、一方の片をコンクリ
ート中に埋込み他方の片にライニング板２を溶接
するようにしてジベル４を省略することも可能で
ある。このような施工法およびライニング貯槽に
よれば、コンクリート側壁に埋込まれる部材は非
常に少なくなる。すなわち、埋込まれる部材は裏
当金３、ジベル４および締付金具１５のみとな
る。また、漏洩検知溝５は真直な型棒１３により
形成されるので単純化され、溝５の寸法を変化さ
せることは型棒１３の寸法を変化させることによ
り容易に行なうことができる。万一、ライニング
板２の溶接線から漏洩があつても、その漏洩液は
溝５中をスムースに流れるので確実にその漏洩を
検知することが可能である。

更に、ライニン貯槽は同一建家に数基から数十
基設置れるので単位ブロツクＵを次々と再使用す
れば経済的である。

なお、本発明の実施例においては槽が方形の場
合のみについて説明したが、これに限定されるこ
となく槽の形状が６角形あるいは円形等特殊な形
状のものにも応用できる。

本発明は以上のように構成したので、施工期間
を短縮できるとともに槽の寸法精度を向上でき、
万一の漏洩も確実に検知でき、しかも単位ブロツ
クの再使用が可能となり極めて経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るライニング貯槽の縦断面
図、第２図は第１図の−断面図、第３図は単
位ブロツク斜視図、第４図は単位ブロツクの集合
がクレーンで吊られているときの斜視図および第
５図はライニング貯槽施工時の状態を示す斜視図
である。 １……ライニング貯槽、２……ライニング板、
３……裏当金、５……漏洩検知溝、１３……型
棒、１４……外枠、１５……締付金具、Ｕ……単
位ブロツク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 単独で自立可能なように浅い箱状をなし矩形
   の平板部とこの平板部の四周に形成された側板部
   からなり、この側板部同士を結合せしめて互いに
   平面的に組合わせられる単位ブロツクの裏側に、
   貯槽内壁のコンクリート表面に埋込まれライニン
   グ板を貼付けるための十字形のライニング板用裏
   当部材を取付け、この裏当部材の水平方向に伸び
   る部分にかんぬき式のはめ込み部を形成し、この
   はめ込み部にライニング板からの漏洩液の流路を
   なす漏洩検知溝を前記コントロール側壁表面に形
   成するための型棒を上下からはめ込み、前記単位
   ブロツクを槽内に組立て連結棒を取り付けてコン
   クリートの貯槽内側壁を区画する内枠を形成し、
   この内枠と貯槽外側壁を区画する外枠間にコンク
   リートを流し込み、コンクリートが硬化した後に
   単位ブロツクおよび前記型棒を取外し、その後コ
   ンクリート表面に埋込まれた裏当部材に沿つてラ
   イニング板を溶接接合することを特徴とするライ
   ニング貯槽側壁の施工方法。