JPS6132837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ルーフサイド、センターピラー、ド
ア等に設けられたガイドレールに沿つて移動する
受動式ベルト用移動アンカーを自動的にロツクす
るためのロツク装置に関する。

ドアの開閉に応じて乗員を自動的に拘束、解除
する受動式ベルトのベルト案内機構は、固定アン
カー方式と移動アンカー方式とが知られている。
固定アンカー方式は、ドアまたは車体に固着され
たアンカーにベルト端部を取着し、かつ、ガイド
レールに滑動可能に保持されたスルーリングにベ
ルトを挿通し、該スルーリングをガイドレールに
沿つて移動させることにより、ベルトの案内を行
う。移動アンカー方式の場合は、ガイドレールに
滑動可能に保持された移動アンカーにベルト端部
を取着し、該移動アンカーをガイドレールに沿つ
て移動させることにより、ベルトの案内を行う。
この移動アンカー方式は、前述の固定アンカー方
式と比べて、スルーリングが不必要なためにベル
トを擦傷することがないこと、ベルト巻取機から
のベルトの引出し量が少なくて済むこと等の有利
な点をもつているが、その反面、移動アンカーを
乗員拘束位置にロツクする機構が必要となる。近
時、このロツク機構に関して開発が進められてい
るが、コスト並びに作動の面において未だ充分満
足するものを得るに至つていない。

そこで、本考案は、移動アンカーを自動的にか
つ確実にロツクし、必要なときにはこのロツクを
解除することができる、装置を提供しようとする
ものである。

以下、図を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図には、本考案に係る移動アンカー用ロツ
ク装置を装備する安全ベルト装置の一例が示され
ている。この図において、１は車体、２はドア、
３はシート、４はシート３の上方に斜めにかけ渡
されている肩ベルト、５は、計器板６の下方に取
付けられたニーバー、７は、車体中応側に設置さ
れ肩ベルト４の一端を弾性的に巻取つている緊急
ロツク式ベルト巻取機、８は、肩ベルト４の他端
を取着している移動アンカー、９は、ルーフサイ
ド内側面に設けられた略々コ字状の横断面を有す
るガイドレール、１０は、該ガイドレールに沿つ
て移動アンカーを駆動案内するギアードワイヤー
等の駆動用索具、１１は該駆動用索具を駆動する
電気式または機械式駆動装置である。

第２図からわかるように、移動アンカー８はそ
の一部がガイドレール９内に挿入されており、そ
して、挿入された部分の後端には前記の駆動用索
具１０が連結されている。移動アンカー８の下端
には、肩ベルト４を縫着保持している保持板１２
が枢着結合されている。この肩ベルト４は、保持
板１２の代りにバツクル装置を用いて移動アンカ
ーに取着することもできるし、また、保持板１２
やバツクル装置を介さずに移動アンカー８に直接
取着することもできる。更に、移動アンカー８を
ガイドレール９内で案内するために、２対のピン
１３が移動アンカー８に取付けられている。ま
た、移動アンカーはその下面に１つ以上の凹部１
４を備えており、該凹部には、後述するパウル１
７が係合可能である。

ガイドレール９の乗員拘束側端部、即ちガイド
レールの後方端部、の傍らには、補強部材１５が
車体１に取付けられている。この補強部材には扇
形孔１６が形成され、この扇形孔に前記のパウル
１７が挿入支持されている。更に、補強部材に
は、車輌の加速度、傾き等を感知する車輌センサ
ー１８が収納されており、該車輌センサーは、作
動棒１９を介して前記のパウル１７を操作する。

補強部材１５の側方部分２０の長孔２４内に
は、ロツク解除部材２１が摺動可能に挿入されて
いる。このロツク解除部材は、ばね２２で付勢さ
れていて、そして、その下面にパウル１７用解除
カム２３を備えている（第３，５図参照）。必要
なときに、ロツク解除部材２１を押して解除カム
２３でパウル１７を押し下げることにより、移動
アンカー８のロツク解除を行うことができる。

次に上記のように構成されたロツク装置の作動
を説明する。乗員が着座してドア２を閉めると、
駆動装置１１が作動し、駆動用索具１０を介して
移動アンカー８を後方へ移動させ、移動アンカー
８は乗員拘束側端部に達する。今、例えば車輌の
急な減速が生じると、車輌センサー１８がこれを
感知して作動し、作動棒１９を介してパウル１７
を持上げる。よつて、パウル１７が移動アンカー
８の凹部１４に係合し、移動アンカー８がロツク
される（第６図参照）。この移動アンカーのロツ
クにより、肩ベルト４が乗員を拘束保持する。車
輌が通常の状態に戻ると、車輌センサー１８が第
２図に示された位置に自動的に復帰する。それに
よつて、パウル１７がその自重により落下し、凹
部１４との係合が解除される。車輌が通常の状態
に戻らない場合、例えば車輌が横転した場合は、
車輌センサー１８が第２図に示された位置に復帰
しないので、ロツク解除部材２１により強制的に
パウル１７を凹部１４から外す。即ち、ロツク解
除部材２１を押して解除カム２３によりパウル１
７を押し下げ、パウル１７と凹部１４との係合を
解除する。

パウル１７が凹部１４から外れている状態で、
ドア２を開けると、駆動装置１１が作動し、移動
アンカー８が前方へ移動する。よつて、肩ベルト
４が乗員を解放する。

上記のように、本考案の実施例に係るロツク装
置は、移動アンカーを乗員拘束位置において自動
的にかつ確実にロツクする純機械的な機構であつ
て、しかも、構造が簡単で安価である。更に、移
動アンカーのロツクを解除するために手動操作式
のロツク解除部材をパウルに付設し、このロツク
解除部材によつてパウルを回転させてパウルと移
動アンカー凹部の係合を手動解除するようにした
ので、例えばば車輌が横転または傾斜しそれによ
つて車輌センサーが元の位置に戻らないでパウル
が移動アンカーの凹部に係合しつづける場合に
も、このロツク解除部材によつて移動アンカーの
ロツクを手動解除することができるので、乗員は
ベルトを前方へ移動させて車から脱出することが
できる。更に、パウルを動かしてロツクを解除す
るようにしたので、ベルトに大きな張力がかかつ
ているときでも、小さな操作力で手動解除するこ
とができる。なお、本考案は、上記の実施例に限
定されるものではない。例えば、ルーフサイド内
側面からセンターピラー内側面まで延びているガ
イドレールに沿つて移動する移動アンカーにも適
用できるし、肩ベルト用移動アンカーだけでな
く、ドア内側面に設けられたガイドレールに沿つ
て移動する腰ベルト用移動アンカーにも適用可能
である。更に、移動アンカーの移動をスムースに
するために、移動アンカーにローラを取付けるこ
ともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るロツク装置を装
備する安全ベルト装置の一例を示す図、第２図は
実施例に係るロツク装置を示す図、第３図は第２
図に示されたロツク装置を−線に沿つて切断
した図、第４図は第２図に示されたロツク装置を
−線に沿つて切断した図、第５図は第３図に
示されたロツク装置を−線に沿つて切断した
図、第６図はロツク装置の作動状態を示す断面図
である。 図中符号、４……肩ベルト、８……移動アンカ
ー、９……ガイドレール、１０……駆動用索具、
１４……凹部、１７……パウル、１８……車輌セ
ンサー、２１……ロツク解除部材、２２……ば
ね、２３……解除カム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ルーフサイド、センターピラー、ドア等に設け
   られたガイドレールに沿つて移動する受動式ベル
   ト用移動アンカーを自動的にロツクするためのロ
   ツク装置において、 移動アンカー８に凹部１４を形成し、ガイドレ
   ール９の乗員拘束側の端部領域に、回転可能に支
   承され前記凹部に係合可能であるパウル１７と、
   車両の加減速度、傾き等を感知して前記パウルを
   直接的に操作する車両センサー１８を設け、 緊急時に車両センサー１８によつてパウル１７
   を凹部１４に係合させることにより、移動アンカ
   ー８をロツクするようにし、 更に、移動アンカー８のロツクを解除するため
   に、手動操作式のロツク解除部材２１をパウル１
   ７に付設し、このロツク解除部材２１により前記
   ロツク時と反対方向にパウル１７を回転させてパ
   ウルと凹部の係合を解除するようにしたことを特
   徴とするロツク装置。