JPS6131569Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンのトルク反力を受合うとと
もにこれを減衰させて吸収するトルクストツパの
改良に関するものである。

従来、エンジンのトルク反力を取る方法として
は、第１図に示すように、エンジン１の底部を、
車体底部３にエンジンマウント４と呼ばれるラバ
ーマウントを介して支持するとともに、トルクロ
ツド５の一端をエンジン１側に、他端を車体側部
６に夫々ラバー部材７，８を介して連結するもの
が一般的であつた。

しかしながら、フロントエンジン・フロントド
ライブ方式の自動車の場合には、エンジンと車体
のトーボード側あるいはラジエータ側との間の間
隔が大きくなるため、この間を上記の如きトルク
ロツドで連結するとすると、トルクロツドが長尺
となるためトルクロツドには、大きな荷重が作用
し、トルクロツドの支持強度が問題となるのみな
らず、他の補機類との関係でレイアウトが困難と
なり、メンテナンス上も不利であるといつた難点
がある。

かかる難点を解消するため、第２図に示すよう
に、車体側部６に固定したサイドメンバ９に、上
部および前後に被当接面を有する車体側ブラケツ
ト１０を固定するとともに、エンジン１側には、
ストツパラバー支持パイプ１１を車体側ブラケツ
ト１０に向けて突出させた状態に保持するエンジ
ン側ブラケツト１２をエンジン１本体側部に固定
し、トルクストツパ１１には外周面を当接面とす
るストツパラバー１３を挿入固定して支持し、ス
トツパラバー１３を車体側ブラケツト１０に当接
させることにより、トルク反力を受合つて吸収す
る方式が提案されている。

この方式では、前記の如きトルクロツド方式の
不具合は解消されるが、とくにエンジンの振動対
策上、サブフレーム１４を車体底部３にラバーマ
ウント１５を介して支持し、このサブフレーム１
４にさらにラバーマウント１６を介してエンジン
１の底部を支持する型式では、ラバーマウントが
高さ方向に直列された構造となるため、ラバーマ
ウントの誤差が重なり合つてトルクストツパ１１
の高さがまちまちとなり、トルクストツパ１１の
高さの調整がしばしば必要となる問題があつた。

更に、従来においては、エンジンのバンプスト
ツパをフツク型式でエンジンマウント部に設けて
おり、スペース上においても、またコスト的にも
不利である問題があつた。

本考案は、かかる問題を解消すべくなされたも
のであつて、トルクストツパの高さに誤差を生じ
たとしても、その誤差を簡単な調整によつて吸収
することができ、しかも機能上バンプストツパの
機能をも併せ持つエンジンのトルクストツパを提
供することを目的としている。

このため、本考案においては、基本的には、第
２図に示す如きトルクストツパ構造を採用し、ス
トツパラバー取付部材としてのトルクストツパの
高さ位置が誤差によつて変動した場合には、スト
ツパラバー側の取付状態をトルクストツパの高さ
位置に応じて変更することにより、その誤差分を
吸収するようにしたものである。

即ち、本考案においては、第３図に示すよう
に、外周の４面をストツパ面Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄとす
る直方体形状のストツパラバー２０を設け、かつ
その取付穴２１は取付穴２１の軸中心から各スト
ツパ面Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄまでの距離ｌ_a，ｌ_b，ｌ
_c，ｌ_dが全て異なるようにその位置を設定してい
る。

そして、第２図および第５図に示すように、ボ
ルト１７によつてエンジン本体側部に固定したエ
ンジン側ブラケツト１２に抱持ちしたうえで溶接
固定したストツパ支持パイプ１１の高さが、ラバ
ーマウント１５，１６の誤差の累積により変動
し、そのため車体側ブラケツト１０との相対高さ
が変動した場合には、ストツパラバー２０の上面
と車体側フランジ１０の上面との距離が一定とな
るように、変動分を見込んでストツパ面Ａ，Ｂ，
Ｃ，Ｄのいずれか一面を上面として選択し、選択
したストツパ面、例えばＡが上面となるように、
ストツパラバー２０の取付穴２１をストツパラバ
ー支持パイプ１１に嵌合して固定する。

一方、ストツパラバー２０と車体側フランジ１
０との前後方向の間隔の調整は、車体側フランジ
１０をサイドメンバ９に固定するボルト１８に対
して、具体的に図示しないが、前後方向の長穴を
車体側フランジ１０に設け、車体側フランジ１０
の前後方向の側面とストツパラバー２０の前後方
向のストツパ面（第３図の場合では、ストツパ面
Ｂ，Ｄ）との距離が等しくなるように車体側フラ
ンジ１０を前後方向に動かすことにより行なう。

また、各ストツパ面Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄまでの距離
ｌ_a，ｌ_b，ｌ_c，ｌ_dが異なることに基づく弾性の
相異は、第３図に示すように、最短距離ｌ_dとな
るストツパ面Ｂに対して、スリツト２２を入れて
ストツパ面Ｂの弾性を大きくする一方、最長距離
ｌ_dとなるストツパ面Ｄに対しては、取付穴２１
とストツパ面Ｄとの間に、断面円弧状の金属板よ
りなる補強板２３を埋込んで弾性を小さくするこ
とにより、全体としては、各ストツパ面Ａ，Ｂ，
Ｃ，Ｄに対する弾性をほぼ均等化することによつ
て解消するようにすればよい。

さらに、第４図に示すように、ストツパラバー
支持パイプ１１は、その先端に折返し部１１ａを
形成し、ストツパラバー２０の取付穴２１に挿込
んだ後には、ストツパラバー２０が簡単には抜け
ないように、折返し部１１ａをストツパラバー２
０に喰込ませ、ストツパラバー２０を係止するこ
とが好ましい。

以上の説明から明らかなように、本考案は各ス
トツパ面までの距離が異なるように取付穴を設け
たストツパラバーを設け、エンジンに支持するス
トツパラバー取付部材の車体側フランジに対する
高さに誤差が生じた場合には、ストツパ面を変更
することによつて誤差を吸収し、車体側フランジ
とストツパ面との高さ方向の間隔を一定に保つこ
とができるエンジンのトルクストツパを提供する
ものである。

したがつて、本考案によれば、何んら複雑な調
整なしにエンジンマウントに基因する高さ方向の
誤差を簡単に調整することができ、ストツパラバ
ーを用いることによつてバンプストツパとしての
機能をも得ることができるといつた利点を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエンジンのトルクストツパの構
造を示すエンジンの正面図、第２図はFF式自動
車のエンジンのトルクストツパ構造を示すエンジ
ンの側面図、第３図は本考案に係るストツパラバ
ーの斜視図、第４図はストツパラバーの取付構造
を示す断面図、第５図はストツパラバー支持パイ
プの支持構造を示すエンジン側ブラケツトの背面
図である。 １……エンジン、６……車体、１０……車体側
ブラケツト、１１……ストツパラバー取付部材、
１２……エンジン側ブラケツト、２０……ストツ
パラバー、（Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ……ストツパ面、）２
１……取付穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの側面にボルトによつて固定されると
   ともにストツパラバー取付部材が一体結合された
   エンジン側ブラケツトと、車体の一部に固定さ
   れ、ストツパラバーの被当接面を有する車体側ブ
   ラケツトと、外周に複数の当接面を有するととも
   に各当接面までの距離が異なるように設けた取付
   穴を有するストツパラバーとからなり、ストツパ
   ラバーの取付穴にストツパラバー取付部材を挿入
   してストツパラバーを固定するようにしたエンジ
   ンのトルクストツパ。