JPS6131433B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は携帯時計の裏ぶたの製造方法に関する
ものである。現在の時計の薄型化，小型化傾向は
目覚しいものがあるが、それにも増し、安くしか
も品質の安定したものを生産する低コスト化とい
う思想が多大に要求される。なかでも水晶時計、
特にデジタル式の時計については、消費者層が若
年層が主体となりつつあるので、コスト的に安
く、品質の安定した外装構造が要求される。

本発明は上記要請に対して発明されたもので、
時計の薄型化、小型化に制約を与えず、しかも低
コストで製造でき組込性、品質も安定するすぐれ
た携帯時計の裏ぶたを提供するものである。

従来の円形裏ぶた喰付形式においては斜面喰付
を主体とする全周喰付形式が主であるが、喰付部
の押込性、固定性、こじあけ性、再現性などの品
質が安定しないという大きな問題があつた。全周
喰付形式においては喰付だぼの寸度がばらついた
場合、喰付径差が小さいため喰付固定力が安定せ
ず、修正もむずかしくなる。その上全周だぼにつ
いては、旋盤を用いて挽き加工を行なつた後にか
えりが出てしまい、かえり取りの工数がかなり多
くなり、コスト的にも高くなる。さらに機械体の
部品及び側の部品が裏ぶた中子とぶつかる位置に
配置されている場合には、その部品を逃げるさめ
中子に逃げさらいを設けなくてはならない。従つ
て前記と同じ理由によりかえり取りによるコスト
増大の要因となつてきた。また後者についても、
前者と同じように喰い付きを安定させるさらい、
機械体及び側部品の逃げさらいを設けなくてはな
らず、これによるさらい及びかえり取りの工数が
大きくなりコスト増大となる。

本発明は以上の欠点を除去したものであり品質
的に安定し、しかもコスト的に安く、加工容易な
裏ぶたを得るものである。

以下実施例に基づき本発明を詳しく説明する。
第１図，第２図，第３図は本発明の実施例を示す
もので、第１図は裏ぶたを胴に取付けた状態の組
立図、第２図は裏ぶた単体図、第３図は裏ぶた絞
り加工前の展開図である。

まず組立断面図である第１図、裏ぶた完成品斜
視図の第２図について説明する。１は裏ぶたで、
その外周立上がり部１ｂの上方数ケ所にだぼ１ａ
が形成され、その下部外周にパツキン３が装着さ
れている。２は胴であり、上方にカバーガラス５
がプラスチツクパツキン７を介して固定されその
下部に見切板６が配置されており、内方にはムー
ブメントが収納され、その上部には表示パネルを
支持する合成樹脂からなるパネル枠４が構成され
ている。裏ぶた１の前記たぼ１ａは胴２内壁に設
けられた喰付溝２ａに喰い付いて固定されてい
る。又胴２の下部内周部には、径方向もしくは軸
方向に締代を有する防水パツキン３を収納する胴
の段部２ｂが設けられている。この段部２ｂは裏
ぶた１の外周立上がり部１ｂがだぼ１ａの喰い付
く前に案内されるので、裏ぶたの組込性が改善さ
れる。又、前記パネル枠４の下方部分の一部に複
数箇所設けられた弾性突起４ａが裏ぶた１の外周
立上がり部１ｂ上面で締代をもつて押し上げられ
ている。一方裏ぶた１の外周立上がり部１ｂに
は、前述のだぼ１ａが形成されている突出部１ｄ
と、その間に位置し胴などのケース部材のボタン
部またはりゆうず部、ムーブメントの下方向に突
出している突起部を逃げる切欠部１ｅとが複数形
成されている。１ｃは裏ぶたのこじあけ部であ
る。

ここで、裏ぶた１の加工方法について詳述す
る。まず、第３図のように、略円形状の平板１ｆ
を用意する。この平板１ｆには外周部に前記突出
部１ｄに対応する突出部１ｄと、隣接する突出部
１ｄ、１ｄとの間に位置し前記切欠部１ｅに対応
する切欠部１ｅとが複数個形成されている。次に
この平板１の外周部に絞り加工を施して第２図の
様な立体形状に加工する。尚この時、前述のこじ
あけ部１ｃも同時に形成する。この後、前記立ち
上げられた突起部１ｄに前述の如きだぼ１ａを型
打ちにより形成するものである。

以上の如く本発明によれば、裏ぶたを平板から
絞り加工により形成するためその加工性が飛躍的
に向上し、又寸法精度も著しく高まるものであ
る。つまり、従来の如く円形全周喰付構造の裏ぶ
たと比較した場合、本発明は円周方向の挽き加工
を施さず、又ケース部材やムーブメントの突出部
を逃げる切欠部をサライ加工で行なうことがな
く、単なるプレス抜き＋絞り加工のみで加工する
ことから、従来の如き挽き加工、サライ加工の工
数の多い加工を不要とし量産性を高めることがで
きることは無論のこと、挽き加工、サライ加工に
よつて生じるかえり取りの工程をはぶくことがで
きるという大きな実用的メリツトを有する。しか
も本発明によれぱ、喰付き用のだぼ形成は、外周
立上がり部１ｂの成形後に型打ちで行なうため、
裏ぶた１の他の形状がすべて形成されているた
め、だぼ１ａの平面的及び断面的な位置も正確に
形成でき、とかく喰付き力の不安定な胴との喰い
付きを安定化することができるものである。更に
この絞り加工は、原料の平板及び外周立上がり部
がともに略円形となるため、絞り加工時に加工ス
トレスが一点に集中することがなく全周に分散す
ることから、極めて加工しやすくなるとともに、
各部分の寸法も安定するものである。加えてこの
だぼ１ａが形成されている部分は外周立上がり部
１ｂのうち突出部１ｄであり、つまり切欠部１ｅ
によつて独立した突出部１ｄであるから、だぼ１
ａの喰い付き力はこの独立した突出部１ｄにより
決定されるものであり、従来の如く外周立上がり
部に切欠部が形成されていない場合のようにバネ
力の確保が困難又、微調整も困難ということがな
く、各突出部１ｄ毎にバネ力が発生するからその
有効バネ長を長く確保できバネ力の安定化と例え
ば突出部１ｄを多少内方に変形する等微調整も各
突出部１ｄ毎に行なえるという実用的メリツトを
有する。このように、ケース部材やムーブメント
からの突起部を逃げる切欠部を巧みに用い、だぼ
１ａのバネ力の安定化と調整容易代とをもたらせ
たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す裏ぶた組込時
断面図。第２図は本発明の一実施例を示す裏ぶた
単体図、第３図は第２図の裏ぶたの展開図。 １……裏ぶた、２……胴、１ａ……裏ぶたのだ
ぼ、１ｂ……裏ぶたの外周立上がり部、１ｃ……
裏ぶたのこじあけ部、１ｄ……裏ぶたの突出部、
１ｅ……裏ぶたの切欠部、１ｆ……裏ぶたの平
板、３……防水パツキン、４……パネル枠、５…
…カバーガラス、６……見切板、７……プラスチ
ツクパツキン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 胴に喰い付き係合される喰付部を有する携帯
   時計の裏ぶた製造方法において、略円形状でその
   外周部に複数箇所の突出部とその間に位置する切
   欠部とが設けられた平板を用意し、前記平板を絞
   り加工して略円形状の外周立上がり部を形成し、
   その際前記外周立上がり部の上端には前記突出部
   に対応した位置に突出部が、又前記切欠部に対応
   した位置にケース部材又はムーブメント形成され
   る突起部を逃げる切欠部とが設けられており、し
   かる後前記突出部に前記胴に喰い付くためのだぼ
   が型打ちにより形成されることを特徴とする携帯
   時計の裏ぶた製造方法。