JPH075594Y2 - カセットケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、オーディオ用やビデオ用として使用される
カセットテープにおけるカセットケースの改良に関する
ものである。

［従来の技術］ 従来、上記のようなカセットケースは、例えば第３図お
よび第４図に示すように、２つのカセットハーフ１・１
を表裏一対にして取り付け、これらカセットハーフ１・
１によって構成される空間内にリング状をなす２つのテ
ープリール２・２が回転自在に配置されたものであっ
て、上記カセットハーフ１は、平板部1aの各縁部に平板
部1aの厚さ方向へ延在する側板部（図示せず）が設けら
れるとともに、平板部1aに、互いに離間した２つの円孔
３・３が表裏のものの軸線をほぼ一致させて形成され、
さらに、各円孔３の縁部に内側へ向けて突出する突条４
が形成されて構成されている。そして、上記テープリー
ル２は、その内周に形成された複数の突起2a…を上記突
条４・４の内側に構成される略円筒状の空間５内に突出
させた状態で上記突条４・４に回転自在に支持され、空
間５内に挿入されるカセットテープレコーダなどの軸と
係合して回転させられるようになっている。

ここで、上記突条４の内周面は、外側から内側へ向かう
に従って内径が漸次減少するように、先細りのテーパ状
に形成されている。このような内周面の形状は、平板部
1aの表面と円孔３の内周面とが射出成形金型の固定型板
の形掘り面によって成形されるため、成形したカセット
ハーフ１を固定型板から取り外すときのいわゆる抜きテ
ーパとして設けられたものである。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記カセットケースにおいては、カセットハ
ーフ１の取付位置のずれなどによって表裏の突条４・４
の位置が互いにずれることがあり、このような場合にカ
セットテープレコーダーの軸が入らなくなってしまう。
このため、カセットハーフ１の射出成形に際して、突条
４の内径の寸法公差を小さく設定してその寸法管理を厳
重にする必要があり、公差外として廃棄処分とされるカ
セットハーフ１の数量が多くなって製造コストが割高に
なってしまうという問題があった。

この考案は、このような問題点を解決するためになされ
たもので、突条の寸法公差を大きく設定することがで
き、したがって、廃棄処分となるカセットハーフの数量
を低減し、製造コストを割安にすることができるカセッ
トケースを提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この考案のカセットケースは、円孔の縁部に形成された
突条を、その内周面の内径が外側から内側へ向かうに従
って漸次増加するするように形成したものである。

［作用］ 上記構成のカセットケースにあっては、カセットテープ
レコーダの軸が挿入される空間のうち最も内径の小さい
部分が円孔の縁部となり、その最小径の部分どうしが大
きく離間している。このため、カセットハーフの取付位
置が多少ずれても軸が円孔内に入らなくなるというよう
なことがなく、カセットハーフの突条の寸法公差を大き
く設定することができる。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を第１図および第２図を参照
しながら説明する。第１図は実施例のカセットケースを
示す側断面図である。この図に示すカセットケースは突
条の形状のみが前記従来のものと異なっている。そこ
で、以下の説明においては突条の構成についてのみ説明
し、他の構成については同符号を付してその説明を省略
する。

第１図において符号10は突条である。この突条10は、前
記従来のものと同様に、円孔３の縁部にカセットケース
の内側へ突出して形成されている。しかし、突条10の内
周面10aは、その内径がカセットケースの外側から内側
へ向かうに従って漸次小さくなるように、断面形状が直
線となるテーパ状に形成されている。なお、円孔３の内
周面3aは、外側へ向けて拡開するようなテーパ状に形成
されている。

このようなカセットケースにおいては、カセットテープ
レコーダの軸11が挿入される空間のうち最も内径の小さ
い部分が円孔３の縁部3bであり、その最小径の部分どう
しが大きく離間している。このため、カセットハーフ１
の取付位置が多少ずれても軸11が円孔３内に入らなくな
るというようなことがなく、カセットハーフ１の突条10
の寸法交叉を大きく設定することができる。したがっ
て、寸法公差外として廃棄処分となるカセットハーフ１
の数量を低減することができ、カセットケースの製造コ
ストを割安にすることができる。

また、上記カセットケースにおいては、射出成形の際の
いわゆるゲート切れが良好であり、さらに、離型の際に
生じるノックアウト痕をカセットハーフ１の裏面に生じ
させることができ、優れたカセットケースの外観を得る
ことができるという効果も奏する。

すなわち、上記カセットケースでは、突条10の内周面10
aが内側へ向かって拡開するテーパ状をなしているか
ら、カセットハーフ１を成形するための金型は第２図に
示すように構成することができる。第２図に示す金型
は、固定型板20と可動型板21との合せ面に形成されたキ
ャビティ22に溶融樹脂を射出充填してカセットハーフ１
を成形するもので、可動型板21には、カセットハーフ１
の裏面および突条10を形成するための形掘り面21aが形
成され、また、その内部には突出しピン23が移動可能に
挿入されている。また、固定型板20には、溶融樹脂通路
24とゲート25が形成されている。

このような金型でカセットハーフ１の射出成形を行う
と、カセットハーフ１が突条10の熱収縮によって可動型
板21に付着するから、射出充填後に型板20,21を開くと
カセットハーフ１が固定型板20から剥離され、この際ゲ
ート25において樹脂切れが良好に行われる。また、カセ
ットハーフ１は突出しピン25を可動型板21から突出させ
ることによって可動型板21から取り外され、この際に生
じるノックアウト痕はカセットハーフ１の裏面に生じる
のである。

さらに、上記カセットケースでは、突条10の内周面10a
を内側へ向かって拡開するテーパ状に形成しているか
ら、その端面10bの面積が小さく、したがって、テープ
リール２との摩擦抵抗を小さくすることができるという
効果も奏することができる。

なお、上記実施例では、突条10の内周面10aを断面形状
が直線となるテーパ状に形成しているが、断面形状が凹
曲線または凸曲線となるように形成しても同様の効果を
得ることができるのは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案のカセットケースにおいて
は、円孔の縁部に形成された突条を、その内周面の内径
が外側から内側へ向かうに従って漸次増加するようにテ
ーパ状に形成しているから、カセットテープレコーダ等
の軸が挿入される空間のうち最も内径の小さい部分が円
孔の縁部となり、その最小径の部分どうしが大きく離間
している。このため、カセットハーフの取付位置が多少
ずれても軸が円孔内に入らなくなるというようなことが
なく、カセットハーフの突条の寸法公差を大きく設定す
ることができる。したがって、寸法公差外として廃棄処
分となるカセットハーフの数量を低減することができ、
カセットケースの製造コストを割安にすることができる
という効果が得られる。

また、射出成形の際のゲート切れが良好であるととも
に、ノックアウト痕をカセットハーフの裏面に生じさせ
ることができ、したがって、優れたカセットケーシング
の外観を得ることができ、さらに、テープリールと突条
との摩擦抵抗を少なくすることができるという効果も得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す図であっ
て、第１図はカセットケースを示す側断面図、第２図は
カセットハーフを射出成形するための金型を示す側断面
図、第３図は従来のカセットケースを示す平面図、第４
図は第３図のIV-IV線視断面図である。 １……カセットハーフ、1a……平板部、２……テープリ
ール、３……円孔、４……突条、５……空間、10……突
条、10a……内周面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平板部の各縁部に平板部の厚さ方向へ延在
   する側板部が設けられてなるカセットハーフを表裏一対
   にして設けるとともに、上記各平板部に互いに離間した
   ２つの円孔を表裏のものの軸線がほぼ一致するようにし
   て設け、各円孔の縁部に内側へ向けて突出する突条を設
   け、表裏一対の突条にリング状のテープリールを回転自
   在に支持し、このテープリールの内周に形成された複数
   の突起を上記表裏の突条により構成される円筒状の空間
   内に突出させたカセットケースにおいて、上記突条を、
   その内周面の内径が外側から内側へ向かうに従って漸次
   増加するするように形成したことを特徴とするカセット
   ケース。