JPS6131327B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転軸の被軸受面及び軸受体の軸受面
が円錐形に形成され、該回転軸の回転時の動圧効
果による回転軸の浮上現象を利用して軸受するよ
う構成された気体軸受装置に関するものである。

従来、用いられてきたスラスト、ラジアル双方
の負荷を１つの軸受面で支持する形式の動圧気体
軸受は負荷容量を増大させるために動圧効果の大
きい高精度のスパイラル溝等の加工を要するのが
常であり、加工コストの上で大きな短所となつて
いる。また一般の動圧気体軸受においては、起
動、停止時には動圧効果が不足して動圧気体軸受
を構成する両軸受面は互いに接触して滑り運動を
行なうため、軸受面の摩耗、損傷が発生する。従
来は、これを軽減しかつ摩擦抵抗を低減するため
に、軸受面に特殊な表面処理を施したり、軸受材
に高硬度な材料を使用するのが一般的な手法であ
つた。しかしながら、上記の手法においては軸受
寿命の根本的な改善は不可能であり、この種の動
圧気体軸受は、高価であることも加わつて、比較
的起動、停止回数が少なくかつ高速回転する装置
にのみ使用される特殊なものであつた。

本発明は、上記従来の軸受の欠点を解決すべ
く、起動、停止時、或いは動圧効果が負荷に対し
て不十分な場合にも両軸受面間に静圧気体を送り
込むことにより、両軸受面を常に非接触の状態に
保つて軸受面の摩耗、損傷を防止し得、しかも構
造が簡単で組立を容易に行い得る気体軸受装置を
提供しようとするものである。

以下に本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。まず第１図ないし第４図に示す本発明の第一
実施例について説明すると、本例の気体軸受装置
は、回転軸１の被軸受面２及び軸受体３の軸受面
４が円錐形に形成され、該回転軸１の回転時の動
圧効果による回転軸１の浮上現象を利用して軸受
するよう構成されたもので、前記軸受体３は、内
周面に前記円錐軸受面４を有し外周の三個所に切
欠５が形成されたスリーブ６と、該スリーブを弾
性変形して圧入固定するスリーブ支持体７とから
構成されている。そして前記被軸受面２と軸受面
４との間に静圧気体又は外気を導入するための気
体流路８が前記スリーブ支持体７に設けられ、該
支持体７の内周面に環状溝９が刻設されて前記流
路８に連通され、前記スリーブ支持体７の内周面
と、スリーブ６の切欠５の外周面と、これら両者
間の上下両端部を塞ぐ充填剤１０とにより気体室
１１が形成され、前記スリーブ６に、その軸受面
４から該気体室１１に貫通する複数個の微細絞り
孔１２が穿設されている。そして、前記気体流路
８へ静圧気体を供給するための静圧気体供給装置
１３が設けられ、該装置は、高圧気体を供給する
コンプレツサー１４（又は高圧気体ポンベ）と、
該コンプレツサー１４から供給される高圧気体を
前記回転軸１が適量浮上するのに必要な圧力に調
整するレギユレータ１５とから構成されている。
また前記静圧気体供給装置１３と前記気体流路８
とを連通させる流路には、該装置１３が外気のう
ちの一方を選択的に連通させる流路切換弁１６
と、除塵フイルタ１７とが設けられている。な
お、１８は回転軸駆動用モータ、１９は該モータ
の駆動軸と前記回転軸１との間に介在されたカツ
プリングである。

次に作用を説明すると、回転軸１の起動時に
は、コンプレツサー１４からの高圧気体を、レギ
ユレータ１５によつて回転軸１が適量浮上するた
めに必要な圧力に調整し、静圧気体供給装置１３
と気体流路８とを流路切換弁１６により連通させ
ると、静圧気体は、適切な除塵フイルタ１７を通
して気体室１１に入り、さらに絞り効果をもつ微
細絞り孔１２を通つて回転軸１の被軸受面２と軸
受体３の軸受面４との間に供給される。このとき
回転軸１は両軸受面２，４間に生じる静圧により
重力に抗して一定量浮上するため、回転軸１を駆
動用モータ１８により回転させると、被軸受面２
と軸受面４は互いに接触することなく回転軸１は
円滑に回転しはじめる。

さらに、回転軸１が定常回転数に達し、回転軸
１の負荷を支持するに十分な動圧効果が得られた
とき、流路切換弁１６を外気側に切換えると、外
気は前述と同じ経路を通つて両軸受面２，４間に
吸引され、以後は完全動圧状態を維持して回転軸
１は浮上回転する。また、停止時には、流路切換
弁１６により静圧気体供給装置１３側と再び連通
させると、起動時と同様の効果を得て、回転軸１
は浮上したまま停止する。

なお、本例の軸受装置は、被軸受面２の回転に
よる動圧効果が回転軸１の負荷を支持するに不十
分な領域の回転数で使用する場合、あるいは回転
軸１に多大の負荷が作用する場合にも、常時微量
の静圧気体を供給することにより所定の浮上量を
得て安全に使用することができる。

また、本例では、軸受体３の組立時に、スリー
ブ６をスリーブ支持体７に圧入するか又は冷間圧
入すると、スリーブ６の外周の切欠５の効果によ
りスリーブ６が所定の変形を受け、このスリーブ
６内に回転軸１を挿入すれば、両軸受面２，４は
相対して動圧効果の大きい気体軸受を構成する。

次に第５図に示す本発明の第二実施例について
説明すると、これは、回転軸１の被軸受面２又は
軸受体３の軸受面４の両端部に、前記被軸受面２
と軸受面４との間に回転中に外気を吸引する機能
を有するスパイラル溝２１（又は前記円錐形の軸
受面２，４の母線に対して適当な角度をもつ直線
溝）が複数列刻設されたものである。なお、その
溝方向は、回転軸１の回転方向を第５図矢印の如
く右回転とした場合は、被軸受面２の上端部では
正面視で左上りとされ、下端部では正面視で右上
りとされる。なお、他の構成は上記第一実施例と
同様である。

上記の構成において、回転軸１の起動、停止時
には、上記第一実施例と同様の操作によつて、回
転軸１を浮上させることができる。そして、回転
時には、スパイラル溝２１で外気を吸引するた
め、被軸受面２の両端外周部で気体圧力が上昇し
て気体を両軸受面２，４間に封入する状態にな
る。従つて、静圧気体供給装置１３から両軸受面
２，４間に導入される静圧気体が、両軸受面２，
４間の両端部から抜出る割合が小となるため、気
体流路８へ送り出す静圧気体の圧力を小さくで
き、また回転軸１のラジアル、スラスト双方の負
荷容量を増大することも可能である。そして、回
転軸１が定常回転数に達し、回転軸１の負荷を支
持するに充分な動圧効果が得られたとき、切換弁
１６を外気側に切換えれば、外気はスパイラル溝
２１によつて吸引され、完全動圧状態を維持して
回転軸１は浮上回転する。

次に第６図に示す本発明の第三実施例について
説明すると、これは、回転軸１の円錐形の被軸受
面２の両端部２２，２３が円柱形に形成され、該
両端部２２，２３と狭い間隙を有するようスリー
ブ支持体７の両端にフランジ２４が設けられ、前
記被軸受面２の両端部２２，２３の外周面に、回
転時に外気を吸引して両軸受面２，４間の端部に
おける気体圧力を上昇させて気体を封入させる機
能を有する複数列のスパイラル溝２１（又は螺子
溝）が設けられたもので、該溝は、上記第二実施
例と同様に形成され、また他の構成は上記第一実
施例と同様とされている。

そして、上記構成における作用は第二実施例と
同様である。

以上の説明から明らかな通り、本発明は、回転
軸の被軸受面及び軸受体の軸受面が円錐形に形成
され、該回転軸の回転時の動圧効果による回転軸
の浮上現象を利用して軸受するよう構成された気
体軸受装置において、前記軸受体は、内周面に前
記円錐軸受面を有し外周の複数個所に切欠が形成
されたスリーブと、該スリーブが弾性変形されて
圧入固定されたスリーブ支持体とから構成され、
前記スリーブ支持体の内周面と、スリーブの切欠
の外周面とにより気体室が形成され、前記スリー
ブに、その軸受面から前記気体室に貫通する複数
個の微細絞り孔が穿設され、前記気体室へ静圧気
体を導入するためにスリーブ支持体に気体流路が
形成され、該気体流路に静圧気体を供給するため
の静圧気体供給装置が設けられたことを特徴とす
る気体軸受装置に関するものである。したがつ
て、本発明によると、起動、停止時、或いは動圧
効果が負荷に対して不十分な場合にも両軸受面間
に静圧気体を送り込むことにより、両軸受面を常
に非接触の状態に保つて軸受面の摩耗、損傷を防
止することができる。さらに、本発明によると、
スリーブはその切欠による肉薄部の弾性変形を利
用してスリーブ支持体に圧入固定できるので、構
造が簡単でありながら組立は容易に行なえ、また
気体室を設けることで気体流路から流入された空
気に脈流が生じても、それが回転軸に伝わること
を防止でき、さらに気体流路から流入された空気
の圧力が急激に変化した時の緩衝効果を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第一実施例を示す正面断面
図、第２図は同スリーブの平面図、第３図は同第
２図のＸ−X′断面図、第４図は同その底面図、
第５図は本発明の第二実施例を示す略正面断面
図、第６図は本発明の第三実施例を示す略正面断
面図である。 １：回転軸、２：被軸受面、３：軸受体、４：
軸受面、５：切欠、６：スリーブ、７：スリーブ
支持体、８：気体流路、９：環状溝、１１：気体
室、１２：絞り孔、１３：静圧気体供給装置、１
４：コンプレツサー、１５：レギユレーター、１
６：流路切換弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸の被軸受面及び軸受体の軸受面が円錐
   形に形成され、該回転軸の回転時の動圧効果によ
   る回転軸の浮上現象を利用して軸受するよう構成
   された気体軸受装置において、前記軸受体は、内
   周面に前記円錐軸受面を有し外周の複数個所に切
   欠が形成されたスリーブと、該スリーブが弾性変
   形されて圧入固定されたスリーブ支持体とから構
   成され、前記スリーブ支持体の内周面と、スリー
   ブの切欠の外周面とにより気体室が形成され、前
   記スリーブに、その軸受面から前記気体室に貫通
   する複数個の微細絞り孔が穿設され、前記気体室
   へ静圧気体を導入するためにスリーブ支持体に気
   体流路が形成され、該気体流路に静圧気体を供給
   するための静圧気体供給装置が設けられたことを
   特徴とする気体軸受装置。