JPS6130016Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、燃油を着火時の生燃焼状態からその
燃焼焔により蒸発気化し、以後気化燃焼に移行さ
せるものであつても、バーナの生燃焼始動時に未
燃油が例え燃焼筒内底面上に発生しても、該未燃
油を速かに完全燃焼させることができる気化バー
ナに関する。

先に本出願人は、燃焼筒内に燃油を霧化噴散し
かつ燃油の蒸発気化と強制風の混合により混気ガ
スを起成せしめる気化体を設け、着火時に燃焼筒
内に霧化噴散せしめた燃油を生燃焼させた後、そ
の燃焼焔による気化体の加熱で燃油を蒸発気化せ
しめて気化燃焼させる気化バーナを開発し、その
実施化により燃焼効率の向上と完全燃焼化を図る
ことができる等、相当の効果を発揮せしめてい
る。

ところで、上記気化バーナにおいては、バーナ
の始動時に、燃焼筒内に霧化噴散せしめた燃油に
点火栓で着火を行うが、着火後の生燃焼状態より
気化燃焼状態に移行するまでの間は、燃焼筒の内
面全体が未だ十分高温に加熱されるに至つていな
いことが多いので、燃焼筒内に霧化噴散された燃
油の一部が燃焼筒内面に触れて冷却液化し、未燃
油として燃焼筒内底面に滴下する現象がみられ、
この未燃油の発生が生燃焼および気化燃焼移行直
後における不完全燃焼発生の原因となつていた。

本考案は上記に鑑み、供給した燃油を蒸発気化
し、発生した気化ガスを強制風と撹拌混合して速
かに混気ガスとしながらガス室より勢いよく噴気
燃焼せしめる気化バーナであつても、噴気室と燃
焼筒内底面との間には、燃焼筒内底面に沿つて強
制風を噴気せしめる環状の噴気間隙を形成せしめ
ると共に、上記噴気間隙より外側に位置した燃焼
筒内底面上には該噴気間隙よりも低位とした環状
の未燃油溜り部を形成したことにより生燃焼の始
動時に燃焼筒内に生じた未燃油をその底面の未燃
油溜り部に集中流入させたうえ、この未燃油を噴
気室の噴気間隙より直接噴出する噴気流にのせて
燃焼筒内周全面に亘り微粒状に拡散せしめ、もつ
て生燃焼焔と共に完全燃焼させることができる気
化バーナを提供しようとしたものであつて、以下
に本考案の構成を添付図面に示された好適な実施
例について説明する。

第１図において、１は上端を開放状としかつ底
端を閉じた燃焼筒であつて、該燃焼筒１は燃焼盤
２とその外周を覆う外筒３によつて構成されてお
り、燃焼盤２と外筒３は上端開放側で封止されて
それらの間にガス室４が形成されている。燃焼盤
２の周面には多数の噴焔孔５が穿孔されている。
６は上端を閉じかつ下端を開放状とした筒体より
なる気化体であつて、該気化体６は、燃焼筒１内
にその底面側から突出させた回転軸７の上端に該
回転軸７を覆うように固着されており、気化体６
の下端部は混気ガス通路８を介してガス室４に連
通されている。また前記燃焼筒１の底端面には断
熱材９を介して送風室１０が連設されており、送
風室１０から気化体６内には送風筒１１が深く挿
入されている。この送風筒１１は燃焼筒１の外筒
３と一体に突出成形されているが、これは外筒３
と別に成形して接合した構成としてもよい。上記
気化体６の開放下端側には外方へ向けて展開させ
た燃油飛散端１２が形成されており、かつ該部に
燃油飛散環状体１３が装着されていて、燃油飛散
端１２と燃油飛散環状体１３との間に燃油噴出間
隙１４が形成されている。燃焼筒１内底端部に
は、前記気化体６との間に回転間隙１５をおいて
噴気室１６が形成されており、該噴気室１６は通
気路１７を介して前記送風室１０に連通されてい
る。噴気室１６と燃焼筒１内底面との間には燃焼
筒１内底面に沿つて強制風を周囲に噴気せしめる
環状の噴気間隙１８が形成されており、しかも、
噴気間隙１８よりも外側に位置した燃焼筒１内底
面には、前記噴気間隙１８よりも低位とした環状
を呈する凹溝合未燃油溜り部１９が形成されてい
る。

２０は燃油拡散体であつて、該燃油拡散体２０
は前記気化体６内の上端部に取付部材２１を介し
て固着されており、その周面には給油管２２の先
端を近接対向せしめてある。２３は点火栓であ
る。

第２図には以上説明したものの他例が示されて
おり、この実施例においては、未燃油溜り部１９
を外方へ傾斜状に形成してその傾斜下端にガス室
４と連通する未燃油流下孔２４が穿孔されてい
る。なお、この未燃油流下孔２４を混気ガス通路
８に突出するノズル状としてもよい。

次に本考案の作用について説明する。

今、バーナの始動にあつたては、気化体６を高
速回転させ、かつ送風室１０に強制風を送風する
と共に、給油管２２より燃油を供給すれば、その
燃油は高速回転している燃油拡散体２０の周面で
遠心作用を受けて気化体６内に拡散され、さらに
気化体６内で送風筒１１より送風される強制風と
混合して微粒状となつたうえ燃油噴散間隙１４よ
り燃焼筒１内に噴散されるので、点火栓２３によ
り点火すれば、燃焼筒１内に生燃焼が生ずる。そ
して、燃焼筒１内に生燃焼が生ずると、その燃焼
焔により気化体６が急速に高温に加熱されるの
で、気化体６内に噴散される燃油は蒸発して気化
ガスとなり、さらに送風筒１１より送風される強
制風と混合して混気ガスとなつて、その混気ガス
は混気ガス通路８を通つてガス室４内に蓄気され
る。ガス室４内に蓄気された混気ガスは、燃焼盤
２の多数の噴焔孔５より燃焼筒１内に一定圧力を
もつて噴出し、燃焼筒１内に気化燃焼が生ずる。
一旦気化燃焼状態に移行すると、その後は気化体
６が常時高温に加熱され続けるので、燃焼筒１内
では気化燃焼が持続する。なお、噴気室１６の噴
気間隙１８から燃焼筒１内底面に沿つて常時強制
風が噴出するので、燃焼筒１の底端面が冷却され
て該部の焼損が防止されると共に、その強制風は
燃焼筒１内における燃焼二次空気となつて完全燃
焼が図られる。

ところで、着火後の生燃焼状態より気化燃焼に
移行するまでの間は、燃焼筒１の内面が未だ十分
高温に加熱されるに至らない場合が多いので、気
化筒６から燃焼筒１の内面に接触して冷却液化
し、これが未燃油となつて燃焼筒１内底面部に滴
下する現象をみることがある。しかしながら、こ
の未燃油は、燃焼筒１内底面の未燃油溜り部１９
に集中流入したうえ、ここで噴気間隙１８より常
時噴出する噴気流により燃焼盤２内周全面に向け
吹き飛ばされて微粒状にされたうえ燃焼筒１内に
拡散されるので、生燃焼焔と共に完全燃焼する。

なお、未燃油溜り部１９に未燃油流下孔２４を
穿孔したものにあつては、未燃油が混気ガス通路
８へ流下して混気ガスと共にガス室４に送込ま
れ、気化燃焼移行後に気化燃焼として完全燃焼す
ることになる。特に、未燃油流下孔２４をノズル
状にしたものであつては、混気ガス通路８に流下
する未燃油を微粒状に噴出させて一層良好に気化
燃焼させることができる。

要するに本考案は、前記のような構成を具備せ
しめたから、例えバーナ１の運転始動時に燃焼筒
１内底面に未燃油が発生しても該未燃油を燃焼筒
１内底面に設けた未燃油溜り部１９へ確実に集中
流入させたうえ、この未燃油を噴気室１６の噴気
間隙１８より直接噴出する噴気流にのせて燃焼筒
１内周全面に微粒状に拡散せしめ、これを生燃焼
焔と共に速かに完全燃焼させることができ、その
結果、生燃焼および気化燃焼移行直後における不
完全燃焼の発生をなくし、常に良好な燃焼状態を
終始達成させることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る気化バーナの実施例を示す
ものであつて、第１図は一部を切欠した縦断正面
図、第２図は他例の一部を示す縦断正面図であ
る。 １……燃焼筒、６……気化体、１０……送風
室、１６……噴気室、１８……噴気間隙、１９…
…未燃油溜り部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端を開放状としかつ底端を閉じ然かもガス室
   を内設した燃焼筒内に、燃油を霧化噴散しかつ燃
   油の蒸発気化と強制風との混合により混気ガスを
   起成せしめる気化体をガス室と連通するように設
   け、燃焼筒の底端側には気化体に強制風を送風す
   る送風室を連設し、上記気化体下端と燃焼筒内底
   面間に送風室に連通する噴気室を形成したものに
   おいて、前記噴気室と燃焼筒内底面との間には燃
   焼筒内底面に沿つて強制風を噴気する環状の噴気
   間隙を形成すると共に、上記噴気間隙より外側に
   位置した燃焼筒内底面には該噴気間隙位置よりや
   や低位とした環状の未燃油溜り部を形成したこと
   を特徴とする気化バーナ。