JPS6128904Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車および産業用機械の変速機、特
にシフトフオークによりカツプリングスリーブを
メインシヤフトの軸方向に移動させて所要の変速
を行なうようにした変速機の潤滑機構に関するも
のである。

従来、この種変速機の潤滑装置として、例えば
実開昭49−37676号公報、実開昭50−70390号公
報、実開昭50−122765号公報および実開昭50−
144181号公報等に開示されているような種々の構
造のものが既知である。しかし、これらの既知の
潤滑装置は、貯留し得る潤滑油量が制限された
り、カツプリングスリーブ内部に対する潤滑油量
がシフトフオークのギアシフト位置によつて影響
されたり、カツプリングスリーブ内部に潤滑油を
導く経路が複雑で長大であつたりしてカツプリン
グスリーブ内部を十分に潤滑することができない
という問題があつた。

本考案は、上記従来の欠点に鑑みなされたもの
で、シフトフオークとカツプリングスリーブとの
係合部分のみならず、カツプリングスリーブの内
側のボークリングまでオイルを供給してこれらの
部分の潤滑不良をなくすことにより耐久性を向上
させた変速機を提供しようとするにある。

これがため、本考案は、シフトフオークを変速
機の同期機構のカツプリングスリーブ外周に形成
した係合溝に係合し、シフトフオークによりカツ
プリングスリーブをメインシヤフトの軸方向に選
択的に移動させて所要の変速を行なうようにした
変速機において、シフトフオークの上部に上方を
開口しオイルを溜める室を設けたオイル受けを形
成し、下部にオイル受けからカツプリングスリー
ブの係合溝に通じるオイル供給通路を設ける一
方、カツプリングスリーブに係合溝からカツプリ
ングスリーブ内側に通じるオイル供給孔を設けた
ことを特徴とする。

以下、本考案の実施態様を図示の例につき説明
する。

第１および２図は本考案をシフトフオークのワ
ーナー型シンクロメツシユ式変速機に適用した例
を示す。同図において、１はメインシヤフト、２
はメインシヤフトにスプライン３により固定され
たシンクロハブ、４および５はメインシヤフト１
上に軸受６および７によつて回転自在に支持され
たギヤ、８はシンクロハブ２に設けた切欠内に挿
入したインサート９を介して係合されてハブ２と
一体に回転するカツプリングスリーブ、１０はイ
ンサート９を半径方向に押圧してスリーブ８の幅
中央の溝に係合させるスプレツトスプリング、１
１および１２はボークリング、１３はカツプリン
グスリーブ８の外周に設けた係合溝１４に下端部
１５が係合するシフトフオークをそれぞれ示す。
上記変速機にあつてはシフトフオーク１３をメイ
ンシヤフト１の軸線方向にシフトすることによつ
てカツプリングスリーブ８を第２図において左ま
たは右に移動させ、ボークリング１１または１２
の内面コーン面がギヤ４または５と一体のクラツ
チギヤ１６または１７のコーンのどちらか一方に
選択的に接触して摩擦トルクが働き、一方のギヤ
とスリーブ８とが同期して噛合い得るよう構成さ
れる。

また、変速機ケース２０内の上方部に位置する
非回転のシフトフオーク１３上部にはオイル受け
２１を形成する一方、シフトフオーク１３下部に
はオイル受け２１とカツプリングスリーブ８の係
合溝１４とを連通するオイル供給通路２２を設け
る。カツプリングスリーブ８には係合溝１４から
スリーブ内側に通じるオイル供給孔２３を複数
個、例えば４個設ける。変速機ケース２０のカバ
ー２４にはオイル受け２１の上方位置で突起２５
を下方に向けて設け、ギヤ等によりケース２０内
上方空間またはカバー内壁にはね上げられたトラ
ンスミツシヨンオイルを捕集してオイル受け２１
内に落下させるようにするとオイル受け２１に多
量のオイルを溜めることができる。なお、２６は
ケース２０内のオイル液面レベルを示す。

上述の構成の変速機にあつては、ギヤによりか
き揚げられて変速機ケース２０内上方空間内に飛
散したミツシヨンオイルをオイル受け２１内に捕
集し、これをオイル供給通路２２を経てフオーク
の下端部が係合するカツプリングスリーブ８の係
合溝１４内に導出してこの係合面を潤滑し、さら
に、この係合溝１４からオイルをオイル供給孔２
３を経てカツプリングスリーブ８の内側に導出し
てボークリング１１および１２その他スリーブ８
の内側部分を潤滑する。カツプリング８のオイル
供給孔２３を経てスリーブ内側へのオイルの流入
はカツプリングスリーブの高回転時は遠心力によ
り生じにくいが、低回転時および停止時に行なわ
れ、潤滑不足を防止する。

上述したように、本考案によれば、シフトフオ
ークの上部に上方を開口しオイルを溜める室を設
けたオイル受けを形成したことによつて、オイル
受けのオイル溜め室に多量の潤滑油を溜めること
が容易に可能であり、ギヤシフト時においてもシ
フトフオークも一緒に移動することによつてカツ
プリングスリーブはオイル溜め室の直下に常に位
置し、これによつて、オイル溜め室に溜まつた潤
滑油を損失することなしに、カツプリングスリー
ブ内側に確実に導くことができ、カツプリングス
リーブ内側を十分な潤滑油量で容易かつ確実に潤
滑することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はシフトフオークの変速機の縦断面図、
第２図は第１図の−線上の断面図であ。 １……メインシヤフト、２……シンクロハブ、
３……スプライン、４……ギヤ、６，７……軸
受、８……カツプリングスリーブ、９……インサ
ート、１０……スプレツドスプリング、１１，１
２……ボークリング、１３……シフトフオーク、
１４……係合溝、１５……シフトフオークの下
部、１６，１７……クラツチギヤ、２０……変速
機ケース、２１……オイル受け、２２……オイル
供給通路、２３……オイル供給孔、２４……カバ
ー、２５……突起、２６……オイル液面レベル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シフトフオークを変速機の同期機構のカツプリ
   ングスリーブ外周に形成した係合溝に係合し、シ
   フトフオークによりカツプリングスリーブをメイ
   ンシヤフトの軸方向に選択的に移動させて所要の
   変速を行なうようにした変速機において、 前記シフトフオークの上部に上方を開口しオイ
   ルを溜める室を設けたオイル受けを形成し、下部
   に前記オイル受けから前記カツプリングスリーブ
   の係合溝に通じるオイル供給通路を設ける一方、 前記カツプリングスリーブに前記係合溝からカ
   ツプリングスリーブ内側に通じるオイル供給孔を
   設けたことを特徴とする変速機。