JPS6128644Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、治具盤に固定されたワークの外周
面や内周面に環状の溝を加工するのに用いられる
リセツシング装置に関する。

リセツシング装置は、バイトを保持する主軸を
回転させながらバイトを半径方向に送ることによ
つて、固定されているワークの外周面や内周面に
溝等を加工するものである。一般にリセツシング
装置において、バイトを自動的に半径方向へ送る
方式としては、バイトホルダを主軸に対して偏心
させて装着し、このバイトホルダを主軸回転中に
主軸に対し相対的に回転させることによつて主軸
の軸心からバイト先端までの距離を変化させて、
実質的にバイトを半径方向に移動させるもの、あ
るいはバイトホルダを主軸の先端に主軸の径方向
に移動可能に装着して、主軸の中心に挿通したロ
ツドを軸方向に摺動させることによつて、ロツド
先端のカム機構等を介してバイトホルダを半径方
向へ移動させるものである。

そして、上記方式においては、いずれも主軸の
送りの他、バイトホルダを移動させる作動機構を
駆動する駆動手段を設ける必要があり、一般的に
は、例えば主軸の送り手段とは別個に上記動作機
構を駆動するエアシリンダを設けたり、または主
軸送り用のカム軸に上記作動機構を作動させるた
めの別個のカムを設ける等、主軸の送り手段とは
別個に上記作動機構の駆動手段を主軸の外側に設
けて行なうようになつている。そのため、装置全
体の構成が複雑になるとともに、加工精度が低下
する等の欠点を有している。

そこでこの考案は、主軸を所定の加工位置まで
送つた後バイトを半径方向に移動させて行なうリ
セツシング加工において、所定のリセツシング加
工位置にてスピンドルの送りを停止させるための
度当りストツパを設けるとともに、スピンドルを
この度当りストツパによる停止位置まで送り、か
つその後はスピンドルから離れる主作動レバーを
設け、このレバーのスピンドル送り終了後の残り
の回転角度によつて、スピンドル内に挿通され、
かつバイトホルダを径方向へ移動させるための作
動ロツドを動作させる副作動レバーを操作させる
ように構成することによつて、主作動レバーのみ
の動作によつてスピンドル送り及びリセス送りを
行なえるようにした簡単かつ高精度なリセツシン
グ装置を提供することを目的とする。

以下図面に基づいて本考案の一実施例を説明す
る。先ず第１図を用いて本考案に係るリセツシン
グ装置に使用するリセツシングスピンドルの一例
を説明すると、図はクイル式スピンドルを示すも
ので、１はクイル本体、２はこのクイル本体１内
にベアリング３，４を介して回転自在に支承され
たスピンドル、５は前記クイル本体１の上部に固
着されたモータ支持台、６はこの支持台５上に装
着されたモータで、このモータ６の出力軸は上記
支持台５内に突出し、プーリ７が装着され、かつ
このプーリ７と上記スピンドル２の上端部に固着
されたプーリ８との間に捲回したタイミングベル
ト９を介して上記モータ６の回転をスピンドル２
に伝達する。１０は上記スピンドル２の下端にボ
ルト１１によつて固着された保持ブロツク、１２
はこの保持ブロツク１０の下面に設けられたアリ
溝１０ａに係合して保持ブロツク１０に保持され
たスライダで、このスライダ１２のアリ１２ａの
上端には垂直片１３，１３′が植設され、この垂
直片１３，１３′には互に頭部を向き合わせた当
接ピン１４，１４′がそれぞれ固着されている。
１６は上記スライダ１２の下端に装着されたチヤ
ツク、１７はこのチヤツク１６に保持されたリセ
ツシング用のバイトである。１５は前記保持ブロ
ツク１０に図示しないネジによつて固定した保護
キヤツプであつて、前記スライダ１２の上端を保
護している。

次に、１８は上記スピンドル１２内に軸方向に
挿通された作動ロツド、１９はこの作動ロツド１
８の上端部に第３図に拡大して示したようにニー
ドルベアリング２０を介して装着された押圧リン
グ、２１はこの押圧リング１９と上記スピンドル
２の上端との間に介装された圧縮バネ、２２は上
記作動ロツド１８の下端に固着された両面直動カ
ム２２は上記当接ピン１４，１４′の頭部の間隔
に等しい幅で平行をなすリード面２２ａ，２２
a′を有し、またこのリード面２２ａは上記作動ロ
ツド１８の軸心を通り、かつ上記アリ１２ａと直
交する面に対して適宜角度傾斜しており、このリ
ード面２２ａ，２２a′に上記当接ピン１４，１
４′が当接している。従つて、上記作動ロツド１
８が上端のピン２３によつてスピンドル２の回転
力を伝達されて、スピンドルとともに回転してい
るとき、上記押圧リング１９を操作して圧縮バネ
２１の反発力に抗して作動ロツド１８をスピンド
ル２内で上下動させてやると、作動ロツド下端の
両面直動カム２２のリード面に沿つて当接ピン１
４，１４′がスライドし、スライダ１２がアリ溝
１０ａに沿つて第１図の左右方向即ちスピンドル
の半径方向へ移動されることになる。

次に第２図を用いて、上記スピンドル２に軸方
向の送りを与え、かつ上記作動ロツド１８を駆動
させる本考案に係るリセツシング装置を説明す
る。

２４は上記モータ支持台５の後端部に固着され
た支持ブロツク、２５はこの支持ブロツク２４の
先端にピン２６を介して回動自在に枢着された副
作動レバーで、この副作動レバー２５の前端部は
２叉に分かれ、この２叉部は上記作動ロツド上端
の押圧リング１９の両側方に位置してこれを挾む
ような形になつており、かつその先端には内側へ
向かつて押圧ピン２７，２７′が突設され、この
押圧ピン２７，２７′が上記押圧リングの溝１９
ａに係合している。また、上記副作動レバー２５
の後端にはローラ２８が装着されている。２９は
上記支持ブロツク２４に上下方向摺動可能に支持
された連動杆で、この連動杆２９の上端面は上記
ローラ２８に当接可能となつている。

次に、３０は基台３１の端部に固定され、上記
クイルスピンドルを上下方向摺動可能に保持する
スピンドルホルダ、３２はこのスピンドルホルダ
３０の側壁に支軸３３を介して回動可能に取り付
けられた主作動レバーで、この主作動レバーの先
端にはローラ３４が回転可能に装着され、このロ
ーラ３４には上記スピンドルのクイル本体１の側
壁に固着された当接ドツク３５の下端が当接し、
このローラ３４によつて上記スピンドルを先端側
から支持している。３６は上記主作動レバー３２
の後腕部中央に回転自在に取り付けられたローラ
で、このローラ３６には上記連動杆２９の下端面
が当接し、主作動レバー３２の回動に伴つて連動
杆２９が上下動する。３７は同じく主作動レバー
３２の後端部に回転可能に装着された係合コマ、
３８はカムあるいはシリンダ等の駆動手段（図示
省略）によつて上下駆動される操作軸で、この操
作軸３８の先端の係合部３９に上記当接コマ３７
が係合し、操作軸３８の上下動によつて上記主作
動レバー３２を回動させるようになつている。

また、４０は上記スピンドルホルダ３０の前壁
上端に固着された度当りピン、４１はこの度当り
ピン４０に対向するようにこれの上方のクイル本
体１の側部に固着されたドツグ、４２はこのドツ
グ４１に螺着された度当りネジで、この度当りネ
ジ４２の下端が上記度当りピン４０に当接するこ
とにより上記スピンドルを停止させる度当りスト
ツパが構成されている。そして、上記度当りネジ
４２を調整することによつてスピンドルの停止位
置を調整し、下端のバイト２７が正確に加工位置
に来るように位置決めすることができるようにな
つている。また、上記度当りネジ４２と度当りピ
ン４０とが当接する位置まで上記主作動レバー３
２が回動した状態においても、上記連動杆２９の
上端面と上記ローラ２８とが適宜間隔を保つて離
れているように連動杆２９の高さが調整されてい
る。

なお、４３は上記モータ支持台５とスピンドル
ホルダ３０との間に張設された引張バネで、スピ
ンドルに働く力（モータ６の荷重）のバランスを
保ちながら、クイルの下降方向に力を加えてい
る。

従つて、第２図の状態から、操作軸３８が上昇
駆動されて主作動レバー３２が矢印イ方向へ回動
されると、初めに、度当りネジ４２が度当りピン
４０に当接するまでクイルスピンドルが下降して
停止し（このときバイト２７は加工位置に達して
いる）、更に主作動レバー３２が回動すると、ロ
ーラ３４が当接ドツク３５から離れるとともに、
ローラ３６に押されて連動杆２９が上昇し、上端
面が副作動レバー２５後端のローラ２８に当接し
て副作動レバー２５を矢印ロ方向へ回動させる。
すると、副作動レバー２５側端の押圧ピン２７，
２７′が押圧リング１９を介して作動ロツド１８
を降下させ、バイトホルダ１２及びバイト１７を
半径方向へ移動させて所定の位置にリセツシング
加工を施すのである。

以上のごとく本考案に係るリセツシング装置
は、クイル本体とスピンドルホルダとの間に設け
られた度当りストツパと、上記スピンドルホルダ
の側壁に回動可能に装着され、スピンドルをこれ
の先端側から当接支持して移動させる主作動レバ
ーと、上記クイル本体の上端に回動可能に支承さ
れ、スピンドル内に挿通された作動ロツドの上端
に係合する副作動レバーと、この副作動レバーと
上記主作動レバーとの間に設けられ、上記主作動
レバーのスピンドル送り停止後の回動のみを副作
動レバーに伝達する連動杆とより構成したので、
主作動レバーを回動させることによつて、スピン
ドルを所定のリセツシング加工位置へ送つた後、
主作動レバーの残りの回転角度によつて連動杆を
介して作動ロツドを動作させてバイトを半径方向
へ移動させる構成としたから極めて簡単な構造
で、バツクラツシユのないリセツシング加工を行
うことができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るリセツシング装置に使用
されるリセツシングスピンドルの一例を示す断面
説明図、第２図は本考案に係るリセツシング装置
の一実施例を示す概略説明図、第３図は、作動ロ
ツド上端に取付けられた押圧リング部の拡大断面
図である。 １……クイル本体、２……スピンドル、１２…
…バイトホルダ、１７……バイト、１８……作動
ロツド、２５……副作動レバー、２９……連動
杆、３２……主作動レバー、（４０……度当りピ
ン、４２……度当りネジ）度当りストツパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スピンドルの先端にこれの径方向に移動可能に
   装置されたバイトホルダーを、スピンドルの中心
   に挿通された作動ロツドを軸方向に摺動させるこ
   とによりスピンドルの径方向に移動させるように
   したクイル式スピンドルを備えたものにおいて； 作動ロツドの下端に固着した両面直動カムと、 バイトホルダーと一体に形成されると共に、ス
   ピンドルに対してその径方向に移動可能なよう
   に、スピンドルに固着された保持ブロツクに支持
   されたスライダーと、 スライダーに固設され前記両面直動カムの両面
   に当接するように配置される一対の当接ピンと、 前記スピンドルを回転自在に保持するとともに
   モータ支持台に固定したクイル本体と、 前記クイル本体を昇降自在に保持するため基台
   上に固定したスピンドルホルダーと、 前記クイル本体とスピンドルホルダーに設けら
   れると共に互いに相対しクイル本体の下降を制限
   する度当りストツパと、 前記スピンドルホルダーの側壁に中間部を回動
   可能に装着されかつ一端側が前記クイル本体を下
   方から支持すると共に、その他端を前記基台上に
   備えた昇降駆動操作軸に連結してクイル本体を昇
   降動作させるための主作動レバーと、 前記モータ支持台に固定した支持ブロツクに中
   間部を回動可能に装着され、かつ一端が前記作動
   ロツドの上端部に連結された副作動レバーと、 前記主作動レバーの他端とその中間部回転中心
   軸との間に設けたローラと前記副作動レバーの遊
   離端部との間に位置し、クイル本体が度当りスト
   ツパで停止した後の前記主作動レバーの上方への
   回動作動を副作動レバーへ伝達して作動ロツドを
   下降させるため前記支持ブロツクに支承されてな
   る運動杆と； より構成されてなるリセツシング装置。