JPS6128495Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、歯車を有する回転軸に設けられたデ
イスクブレーキ装置のブレーキデイスクと回転軸
との固定構造に関する。

周知のように、トラクタ等の車輛の後車軸装置
においては、デフギヤー装置の左右両側からトラ
クタの両側外方に突出するデフヨーク軸と、該軸
に終減速装置を介して連結される後車軸と、デフ
ヨーク軸を制動するデイスクブレーキ装置とを有
し、終減速装置は、デフヨーク軸の外端部に設け
られたピニオンと、該ピニオンに噛合して後車軸
に動力を伝達する減速歯車とを有し、デイスクブ
レーキ装置は、ピニオンより車体側のデフヨーク
軸上に刻成されたスプラインにスプライン結合す
るブレーキデイスクと、該デイスクを軸心方向に
挾圧して制動する挾圧手段を有している。

従つて上記デフヨーク軸の加工に際して、ピニ
オンとスプラインを近接した位置で２工程にわた
つて加工しなければならず、加工時間の増加及び
コスト高を招いていた。

そこで、本考案は、デフヨーク軸等の回転軸の
加工時間の短縮と製作コストの低減が図れるブレ
ーキデイスクの固定構造を提供することを目的と
する。従つて、その特徴とする処は、デフヨーク
軸７の端部外方に後車軸９が同心直列に配置さ
れ、両軸端部は遊星歯車減速装置１０を介して連
動連結されていると共に、該デフヨーク軸７端部
にデイスクブレーキ装置１１のブレーキデイスク
１７と、前記遊星歯車減速装置１０の太陽歯車１
２とが並設されたものにおいて、 前記デフヨーク軸７端部の太陽歯車１２が延長
されて該歯車１２にブレーキデイスク１７が套嵌
され、且つ、後車軸１９側とは反対側の歯車１２
端部に、ブレーキデイスク１７の軸方向相対移動
を阻止する径大部２４が一体的に設けられた。

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳述す
る。

第１図において、１はトラクタの車体を構成す
るミツシヨンケースの側壁で、該側壁１には、ミ
ツシヨンケース両側方に張り出すように、デフベ
アリングケース２、ブレーキケース３、及び後車
軸ケース４がボルト５により共締めされて固定側
を形成している。６はデフギヤ装置で、ミツシヨ
ンケースに内蔵され、デフベアリングケース２に
両側部が軸支されている。７はデフヨーク軸で、
その内端側はデフギヤ装置６に内蔵されたベベル
ギヤ８に軸心方向移動自在にスプライン結合して
支持され、外端側はブレーキケース３と後車軸ケ
ース４の接合部近傍に突出している。このデフヨ
ーク軸７の外端部は、後車軸ケース４に軸架され
た後車軸９端部に終減速装置１０を介して連動連
結されていると共に、終減速装置１０よりも内側
にデイスクブレーキ装置１１が並設され、デフヨ
ーク軸７を制動するよう構成されている。

上記終減速装置１０は、デフヨーク軸７の外端
部外周に刻成された太陽歯車１２と、後車軸９端
部にスプライン結合して套嵌されたキヤリヤ１３
と、該キヤリヤ１３にピン１４を介して軸支さ
れ、太陽歯車１２と噛合して太陽歯車１２の周り
を公転し、かつピン１４回りに自転する複数の遊
星歯車１５と、該遊星歯車１５に外接噛合し、後
車軸ケース４に内嵌固定された内歯歯車１６とか
ら構成される遊星歯車減速装置が例示されてい
る。

上記デイスクブレーキ装置１１は、デフヨーク
軸７と一体回転するブレーキデイスク１７と、該
デイスク１７を軸心方向に挾圧すべく対向して設
けられたブレーキケース３の端面１８と環状カム
プレート１９と、該カムプレート１９を回動させ
るカムレバー装置２０と、カムプレート１９の背
面に設けられた円錐状凹部２１とデフベアリング
ケース２の凹部２２間に介在されるボール２３等
から構成され、カムレバー装置２０によりカムプ
レート１９を回動させると、カムプレート１９の
円錐凹部２１の深部より浅部がボール２３に摺擦
し、これにてカムプレート１９が軸心方向に押出
され、カムプレート１９とブレーキケース３の端
面１８間においてブレーキデイスク１７を挾圧
し、デフヨーク軸７の回転を制動するものであ
る。

上記ブレーキデイスク１７とデフヨーク軸７
が、一体回転可能でかつ軸心方向摺動自在となす
固定構造として、前記太陽歯車１２をブレーキデ
イスク１７の装着位置まで延設させ、ブレーキデ
イスク１７に、該太陽歯車１２に外嵌しかつ噛合
する内歯を設け、太陽歯車１２にブレーキデイス
ク１７を套嵌させている。２４は太陽歯車１２の
内端部に設けられた径大な段部で、該段部２４に
よりデフヨーク軸７が外方に抜け出ないよう構成
されている。

なお、上記実施例において、後車軸９とキヤリ
ヤ１３の抜け止めを行なうべく、後車軸９端部に
ワツシヤ２５を介して軸心方向に螺着されたボル
ト２６の廻り止め手段として、ロツキングプレー
ト２７が使用されている。このロツキングプレー
ト２７は、第１図−線矢視図として示す第２
図の如く、外形が三角形状を呈し、その中心部に
六角ボルト頭の位置を30度ごとに変えて挿通する
ことができる多角形をした挿通孔２８を有する板
状体である。このロツキングプレート２７の三角
形状の頂部２９が、キヤリヤ１３の内周に設けら
れた係合溝３０に係合している。勿論キヤリヤ１
３の内周に多数の係合溝を設けることによりロツ
キングプレート２７の外形は任意の多角形にする
ことが可能である。

上記本考案の実施例によれば、デフヨーク軸７
にスプライン等を太陽歯車１２とは別に設ける必
要がなく、デフヨーク軸７の加工に際して歯切加
工のみでよく、従来の工程が短縮される。従つて
製作コストの低減が図られる。また、太陽歯車１
２の内端部に段部２４を設けているので、従来の
ような止め輪を不要とし、組立容易である。また
キヤリヤ１３の抜け止めボルト２６にロツキング
プレート２７を使用しているので、従来の回り止
め部材の如く、折り曲げたりしなくてもよいの
で、組立分解が簡単で、ロツキングプレート２７
は何度でも使用することができ、かつボルト２６
頭も30゜毎に固定することができるので任意の締
付けトルクが得られ、確実に回り止めがなされ
る。

本考案は上記実施例に限定されるものでない。

本考案によれば、デフヨーク軸の歯車にブレー
キデイスクを套嵌しているので、従来のようにブ
レーキデイスク固定用のスプラインを歯車とは別
途加工する必要がなく、加工時間の短縮が図られ
る。

また歯車端部に段部を設けてブレーキデイスク
を固定しているので、従来のように止め輪を設け
る必要がなく、加工及び組立が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図
は第１図−線矢視図である。 ７……デフヨーク軸（第１回転軸）、９……後
車軸（第２回転軸）、１０……終減速装置（歯車
変速装置）、１１……デイスクブレーキ装置、１
２……太陽歯車、（歯車）、１７……ブレーキデイ
スク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 デフヨーク軸７の端部外方に後車軸９が同心直
   列に配置され、両軸端部は遊星歯車減速装置１０
   を介して連動連結されていると共に、該デフヨー
   ク軸７端部にデイスクブレーキ装置１１のブレー
   キデイスク１７と、前記遊星歯車減速装置１０の
   太陽歯車１２とが並設されたものにおいて、 前記デフヨーク軸７端部の太陽歯車１２が延長
   されて該歯車１２にブレーキデイスク１７が套嵌
   され、且つ、後車軸１９側とは反対側の歯車１２
   端部に、ブレーキデイスク１７の軸方向相対移動
   を阻止する径大部２４が一体的に設けられたこと
   を特徴とするブレーキデイスクの固定構造。