JPS6126652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば自動車のハツチバツクドアの
開閉用等に用いて好適なガススプリングに関する
ものである。

例えば、自動車のハツチバツクドアにあつて
は、その開扉時にはドアに軽い力を作用させるだ
けで全開位置に達するようにするために、ドアと
車体ボデイとの間にガススプリングが取付けられ
ている。かかる目的に使用されるガススプリング
はシリンダ内に封入された高圧ガスの作用により
速やかに全開位置にまで移行して全開位置で停止
し、しかも容易に閉扉し得る構成のものでなけれ
ばならない。しかし、ガススプリングは内部に高
圧ガスが封入されるものであるからハツチバツク
ドアの荷重や周囲温度の変化等によりその内部の
圧力が変化するため、高圧ガスのみの作用ではガ
ススプリングを伸長状態に保持することができな
い場合があつた。

本考案は上記の点に鑑みなされたものであつ
て、本考案に係るガススプリングは簡単な構成で
ピストンロツドを所定の位置に容易かつ確実にロ
ツクおよびそのロツク解除をすることができるよ
うにしたことをその特徴とするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説
明する。

まず、第１図において、１はシリンダ、２は該
シリンダ１内に摺動可能に設けたピストン、３は
該ピストン２に一端が連結され、他端が前記シリ
ンダ１の外部に導出されたピストンロツドであ
る。前記シリンダ１の一端部は蓋体４によつて施
蓋され、他端部はピストンロツド３を挿通する孔
を有するロツドガイド５とその内側にシール部材
６とを配設することによつて施蓋されている。而
して、シリンダ１内部は密閉され、かつピストン
２により２室Ａ，Ｂに画成されて、該各室Ａ，Ｂ
内には高圧ガスが封入されている。また、ピスト
ン２には軸方向に貫通する孔７が穿設されて、室
Ａと室Ｂとを常時連通している。この結果、ピス
トン２の両側面において、室Ｂに臨む側面は室Ａ
に臨む側面より、ピストンロツド３の断面積だけ
受圧面積が小さくなるので、室Ａ側の高圧ガスに
よりピストン２は図中右方に付勢され、ピストン
ロツド３に何らの外力も作用しない自由状態では
ピストンロツド３はシリンダ１から最大長に伸長
した状態となる。

前記ピストンロツド３のピストン２近傍には凹
部８が形成され、該凹部８内にはほぼＶ字形状の
ロツク部材９が配設されている。前記凹部８は第
４図ないし第１０図に明らかなように、互いに対
向する方向に凸状となつた傾斜壁８ａ，８ｂと傾
斜壁８ｂに連なる底壁８ｃおよび該底壁８ｃに連
なる段壁８ｄとを有するもので、前述の各壁８ａ
ないし８ｄに相当する部位を有しておれば、必ず
しも前記凹部８の形状を図示のものに限る必要は
ない。前記ロツク部材９は第２図および第３図か
ら明らかなように、ばね性を有する鋼材等からな
る弾性リングで形成したもので、その断面はほぼ
Ｖ字状に形成され、底面９ａと左右に突出する突
部９ｂ，９ｃとを形成されている。しかも、該ロ
ツク部材９はその形状がほぼＣ字状となつて、半
径方向に切欠部９ｄを形成することにより、拡径
方向に弾性力を有するもので、該切欠部９ｄの合
口隙間の量を変化させることにより内径を拡大収
縮させ得る構造となつている。また、前記ロツク
部材９はその底面９ａが傾斜壁８ａまたは８ｂに
選択的に当接する。而して、底面９ａが傾斜壁８
ｂに当接する位置では突部９ｂはシリンダ１内壁
方向に突出するロツク位置となり、底面９ａが傾
斜壁８ａに当接する位置では突部９ｂはピストン
ロツド３に近い側に変位するロツク解除位置とな
る。このロツク部材９のロツク位置とロツク解除
位置との間の変位時には、ロツク部材９が傾斜壁
８ａと８ｂとで形成される突上端を乗り越えて揺
動し、そのとき前記ロツク部材９の内径は弾力性
に抗して拡大する。このロツク部材９の揺動変位
を円滑ならしめるために底面９ａは傾斜壁８ａ，
８ｂより長尺に形成されている。該ロツク部材９
は第２図に示す如く、環状の板体をプレス成形
し、突部９ｃの部分をロール成形することにより
簡単に製造することができる。

一方、シリンダ１内壁には筒状に形成した作動
部材１０が嵌入されており、該作動部材１０には
内方に係合部１１と係合解除部１２とが突設され
ている。該係合部１１は第４図に示したように係
合解除部１２に面する側において垂直な壁部１１
ａと、該壁部１１ａに連なる傾斜部１１ｂとで形
成される。而して、係合部１１は、前記ロツク部
材９がロツク位置にあるときは、該ロツク部材９
の突部９ｂの側面９ｅが壁部１１ａに当接可能と
なり、またロツク解除位置にあるときには、前記
側面９ｅが壁部１１ａに当接することのない形状
に形成されている。一方、前記係合解除部材１２
はロツク部材９がロツク位置にあるときに該ロツ
ク部材９の突部９ｃの側面９ｆと当接可能とな
し、しかもピストンロツド３の変位に応じて前記
側面９ｆを当接せしめるべくテーパ面１２ａが形
成され、該テーパ面１２ａは内方に大きく突出し
ている。そして、前記作動部１０はシリンダ１の
壁部にカシメ等の手段により、固定的に取付けら
れている。

次に、１３は前記係合解除部材１２のロツドガ
イド５側においてばね座１４，１５間に張設され
たばねである。このばね１４を配設することによ
り、ピストン２が第１図中左方に変位してピスト
ンロツド３が最伸長状態になる前にピストンロツ
ドに嵌着したストツパ１６がばね座１４と当接
し、該ばね１３を圧縮しながらピストンロツド３
の動きを減衰し、ロツク位置にあるロツク部材９
が係合解除部材１２と衝突してロツク解除位置に
変位するのを防止している。

本考案に係るガススプリングは前述の構成を有
するもので、第４図ないし第１０図に基づきその
作動について説明する。

まず、ピストンロツド３に外力が作用してピス
トン２が図中左方に変位した縮小状態にあるとす
る。このときロツク部材９は傾斜壁８ｂと当接す
るロツク位置にある。そこで、前記外力の作用が
解除し、軽い力を加えると、シリンダ１内の高圧
ガスの作用によりピストン２と共にピストンロツ
ド３が図中右方に変位し、第４図の状態になる。
このとき、ロツク部材９の底部９ａは図中左方に
立上る傾斜壁８ｂに当接しているため、突部９ｃ
は図中下方位置にあり、また、突部９ｂは上方位
置にある。このため、突部９ｃは係合部１１とは
接触することはない。一方、突部９ｂは係合部１
１と接触するが、傾斜部１１ｂに案内されるた
め、その弾性力によりためみ、合口隙間を拡大さ
せることによりその内径を拡大しながら、此部を
通過し、第５図の位置に到達する。而して、第５
図に示したようにピストンロツド３が伸長して最
伸長状態に達する前にハツチバツクドアの荷重と
ばね４の荷重とによりピストンロツド３の変位方
向には反対方向の力が作用するため、ロツク部材
９の側面９ｆが係合解除部材１２のテーパ面１２
ａと衝突するのを防止すると共に、ロツク部材９
がロツク解除位置に変位するのを防止する。この
状態で、ピストンロツド３にハツチバツクドアの
荷重等の外力が作用する等して図中左方に変位す
る方向に動こうとすると、ロツク部材９の側面９
ｅが係合部１１の壁部１１ａに当接するため、該
ロツク部材９は図中右方に変位しようとする。し
かし、ピストンロツド３には垂直壁８ｄが形成さ
れているため、ロツク部材９は壁部１１ａと垂直
壁８ｄとの間に弾性的に挾持され、第６図のロツ
ク状態に保持され、、ピストンロツド３の図中左
方への動きを規制する。

次に、前記ロツク状態を解除するためには、ピ
ストンロツド３を図中右方に変位させ、第７図に
示したようにロツク部材９の側面９ｆを係合解除
部材１２のテーパ面１２ａに当接させ、該テーパ
面１２ａによりロツク部材９を押動させてロツク
部材９を揺動させ、その底面９ａが傾斜壁８ａに
当接するロツク解除位置に変位させる。このと
き、ロツク部材９には切欠部９ｄが設けられてい
るため、その内径を拡大させて傾斜壁８ａ，８ｂ
で形成される突上端を越えることができ、しかも
前記底面９ａの長さは傾斜壁８ａ，８ｂより長い
ので、前記ロツク部材９の移行は円滑に行われ
る。

このように、第８図に示した如く、ロツク部材
９がロツク位置になると、突部９ｂは図中下方に
位置し、係合部１１とは接触しない状態となる。
そこで、再びピストンロツドを図中左方に変位さ
せると、ロツク部材９の突部９ｂが係合部１１を
通過した後、突部９ｃが係合部１１と当接する第
９図の状態となり、さらにピストンロツド３の変
位と共にロツク部材９が揺動して再びロツク位置
になつたときに突部９ｃと係合部１１との係合が
解除される（第１０図参照）。したがつて、ピス
トンロツド３の図中左方への動きが可能となり、
ロツクが解除される。

次に第１１図および第１２図は本考案の第２の
実施例を示すもので、第１図と同一構成要素には
同一符号を付すものとするに、本実施例において
は、作動部材２０はばね性を有する鋼材等を円筒
状に形成した円筒部２０Ａを有し、該円筒部２０
Ａの先端部は内向きに曲折されることにより係合
部２１が形成され、他端側には円筒部２０Ａとは
別体に形成した環状の係合解除部材２２が嵌入さ
れている。

作動部材２０を前述のように構成することによ
りロツク部材９の突部９ｂが係合部２１に当接し
たときに係合部２１は内向きにたわむので、ロツ
ク部材９と係合部２１との係合がより確実に行わ
れ、ピストンロツド３をロツク状態に保持するこ
とができる。

さらに、第１３図は本考案の第３の実施例を示
すもので、前述の第１および第２の実施例におい
てはピストンロツド３を伸長状態でロツクするも
のとして示したが、本実施例ではピストンロツド
３を縮小状態でロツクする構成としている。その
ために、蓋体と一体的に形成した作動部材１１′
を配設し、かつピストンロツド３に該作動部材１
１′側に延出する延長部３′が設けられている。而
して該作動部材１１′に凹部８およびロツク部材
９が設けられている。その他の構成および作動に
ついては前述の第１の実施例と変るところがない
ので、その説明を省略する。

また、第１４図に示した如く、シリンダ１の両
端に作動部材１１，１１′を設け、かつピストン
ロツド３およびその延長部３′にピストン２を挾
んだ両側にロツク部材９を設ければ、伸長位置お
よび縮小位置の両方においてロツク可能なガスス
プリングとなる。

さらに、第１５図および第１６図は本考案の第
５の実施例を示し、本実施例ではロツク部材９を
ゴム材により形成し、突部９ｂ，９ｃに芯金３
１，３２を焼付けてなる構成としたものである。
このように構成することにより第２図に示したロ
ツク部材９の切欠部９ｄを省略することができ
る。

本考案に係るガススプリングは以上詳細に述べ
た如くであつて、ピストンロツドにロツク位置と
ロツク解除位置との間に変位する揺動可能な弾性
体からなるロツク部材を設け、シリンダ内周壁に
は係合部と係合解除部とを嵌入することにより、
ロツク部材がロツク位置にあるときには前記係合
部によつてピストンロツドの一方向への動きを確
実にロツクし、ピストンロツドを反対方向に動か
すだけの簡単な操作によりロツク部材を係合解除
部材によつてロツク解除位置に変位させ、ピスト
ンロツドの前記一方向への動きを可能ならしめる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るガススプリングの縦断面
図、第２図は本考案のガススプリンクに使用され
るロツク部材の側面図、第３図は第２図の−
矢示方向断面図、第４図ないし第１０図はそれぞ
れ異なる作動位置を示す第１図の要部拡大断面
図、第１１図は本考案の第２の実施例を示す縦断
面図、第１２図は第１１図のガススプリングに使
用される作動部材の縦断面図、第１３図ないし第
１４図はそれぞれ本考案の第３，第４の実施例を
示す縦断面図、第１５図はロツク部材の他の実施
例を示す側面図、第１６図は第１５図の−
矢示方向断面図である。 １……シリンダ、２……ピストン、３……ピス
トンロツド、８ａ，８ｂ……傾斜壁、８ｄ……段
壁、９……ロツク部材、１０……作動部材、１１
……係合部、１２……係合解除部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シリンダと、該シリンダ内に摺動可能に設け
   たピストンと、一端が該ピストンに連結され、
   他端がシリンダ外部に導出されたピストンロツ
   ドとを有し、該ピストンロツドの周面には相対
   向する凸状傾斜壁と、立上り状の段壁とを形成
   し、該傾斜壁には断面がほぼＶ字状をなし、拡
   径方向への弾性力を有する弾性リングからなる
   ロツク部材を嵌着し、前記シリンダには半径方
   向の内側に突出し、前記ロツク部材の一側面と
   当接可能な係合部と前記ロツク部材を揺動させ
   る係合解除部とからなる作動部材を設け、前記
   ロツク部材の一側面が前記係合部に当接し、該
   ロツク部材を前記係合部と段壁との間に挾持さ
   せることにより、前記ピストンロツドの一方向
   への動きを規制するロツク位置と前記ピストン
   ロツドを他方向に動かすことにより、前記係合
   解除部材により前記ロツク部材を揺動させて、
   前記ロツク部材一側面が前記係合部と当接しな
   いロツク解除位置との間に変位可能となしたこ
   とを特徴とするガススプリング。 (2) 前記ロツク部材は半径方向に切欠き部を有す
   る金属からなる弾性リングである実用新案登録
   請求の範囲(1)項記載のガススプリング。 (3) 前記ロツク部材はゴム材を環状に形成するこ
   とにより構成してなる実用新案登録請求の範囲
   (1)項記載のガススプリング。 (4) 前記係合部は円筒状の弾性体の先端部を内方
   に曲折することにより形成したことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第(1)項記載のガスス
   プリング。