JPS6125477B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、円筒形タンク等の側板を建造する際
に、被溶接板たる側板の目違い、開先ギヤツプ、
開先に対し平行な方向の板の撓みを迅速に修正し
得るようにした被溶接板の開先合わせ治具に関す
る。

円筒形タンク等を建造する際の従来の側板の目
違い及び開先ギヤツプの修正の仕方を第１図〜第
３図により説明すると、側板ａに所要の間隔で仮
止め溶接してあるキーナツトｂの部分にストロン
グバツクキープレートｃを配設して該ストロング
バツクキープレートｃの切欠きｄにキーナツトｂ
を挿入した状態にし、該キーナツトｂにテーパー
状のキーピンｅを打込んで側板ａの板厚方向の目
違いを修正すると共にキーナツトｂとストロング
バツクキープレートｃの切欠きｄとの間にキーピ
ンｆ，ｇを打込んで側板ａの円周方向位置を調整
することにより、開先ギヤツプの修正を行ない、
目違いの修正及び開先ギヤツプの修正の修了後、
ストロングバツクキープレートｃの上下に所要の
間隔でストロングバツクプレートｈを配設し、該
ストロングバツクプレートｈを側板ａに仮止め溶
接ｉして目違いや開先ギヤツプの修正が終了した
側板ａの位置固定を行なつていた。

しかし、上述の被溶接板の開先合わせ治具には
次のような問題点がある。

(i) 組立後縦方向に延びる開先の溶接を行つてい
ない仮組み状態のまま、側板はある時間放置せ
ざるを得ないが、この場合に地震や突風がある
と、打込んだテーパーピンが緩み、ストロング
バツクキープレートが弛緩して再び目違いが生
じたり、開先ギヤツプが狂う虞れがある。そし
て、これを防止するには、ストロングバツクキ
ープレートとキーナツト或いはストロングバツ
クキープレートとキーピンとを仮止め溶接する
必要があるが、これは作業が大変である。

(ii) 地震や突風によりストロングバツクキープレ
ートが弛緩すると、側板が倒壊する虞れが生じ
て危険である。

(iii) 板の開先をガス切断加工したときの熱歪、板
の自重や作業ユニツトが搭載されたときの重み
による撓みぐせ等により、第４図に示すごとく
側板の開先に沿つて太鼓状の脹みｊが本溶接す
る前の組立した時点から初期歪みとして生じ、
従つてタンク形状が溶接歪みもそれに重畳して
不良になる。

(iv) (iii)項の脹みｊを防止するには、ストロングバ
ツクキープレート若しくはこれに類する治具が
現在の数量の何倍も必要となり、従つてコスト
アツプになる。

(v) 側板溶接時にアークプールの発生中心となる
電極の狙い位置を一定の位置にする必要がある
が、側板が脹んでいると、その曲率に合わせて
ワイヤの狙い位置を常に修正する必要があり、
それだけ作業が複雑になる。

本発明は従来手段が有する前述の問題点を除去
し、円筒形タンク等の側板を建造する際に被溶接
板たる側板の目違い、開先ギヤツプ、開先に対し
平行な方向の板の撓みを迅速に修正し得るように
した、特に比較的薄板に対して効果のある被溶接
板の開先合わせ治具に関する。

以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明
する。

先ず本発明に使用するストロングバツクキープ
レート１を第６図及び第７図により説明すると、
所要のキープレート２に側板３の開先ギヤツプＧ
を跨ぐよう切欠き４を設けると共に切欠き４を基
準としてキープレート２左右の所定位置に切欠き
５を設け、該切欠き５の部分に、背面が側板３側
に向いたチヤンネル材６をキープレート２両側面
に突出するよう固着し、チヤンネル材６の背面に
切欠き７を設け、切欠き５，７の部分に、側板３
に予め固着してあるキーナツト８を挿入し得るよ
うにし、キープレート２両端側部にアングル材９
を固着し、該アングル材９に固着したナツト１０
にボルト１１を螺合せしめ、キープレート２の反
側板側に補強剤１２を固着し、キープレート２の
切欠き４近辺にサブキーピン打込み用の小さな切
欠き１３を設ける。

次に、上記ストロングバツクキープレートを使
用して被溶接板たる側板の修正を行う場合につい
て第５図等により説明すると、クレーン等の適宜
の手段により複数の側板３を所要位置に立設せし
め、倒れないよう該側板３をワイヤーロープ等の
所定の手段により支持せしめる。側板３には、予
め所要位置に開先に沿つて所要数のキーナツト８
が固着してある。

側板３を立設したら、第６図及び第７図で詳細
に説明したストロングバツクキープレート１を所
要数（本実施例では３組）側板３の開先１４の部
分に配設して切欠き５，７にキーナツト８を挿入
せしめ、ストロングバツクキープレート１が脱落
しないよう、キーナツト８の穴１５にテーパー状
のメインキーピン１６を打込み（第８図及び第９
図参照）、側板３の高さと略等しい長さのアング
ル材１７をストロングバツクキープレート１の両
側部に配設して該アングル材１７をボルト１１に
より側板３に対して押圧する。この操作によつ
て、ガス切断加工したときの熱歪、板の撓みぐせ
等による太鼓状の脹みがアングル材１７によつて
大幅に修正され、脹みが修正されて側板３の初期
変形状態が改善され、側板の撓みは極めて小さい
ものになる。

側板３の縦方向の撓みが修正されたら、前記メ
インキーピン１６以外にサブキーピン１８を切欠
き１３に打込んで左右の側板３，３の目違いを修
正し、又インナーキーピン１９及びアウターキー
ピン２０をチヤンネル材６とキーナツト８側面と
の間に打込んで開先ギヤツプＧを所定の寸法に調
整すると共に側板３の位置決定を行う。インナー
キーピン１９は開先ギヤツプＧを拡大する場合に
使用し、アウターキーピン２０は開先ギヤツプＧ
を縮少する場合に使用する。なお、サブキーピン
１８は目違いの修正の外、予歪を取る場合にも使
用するが、この場合には他のキーピンを弛緩状態
にしてサブキーピン１８の打込みを行う必要があ
る。

目違いや開先ギヤツプの修正が終了したら、開
先ギヤツプＧを跨ぐよう切欠きの設けてある所定
のストロングバツクプレート２１を第５図に示す
ごとく、所定の間隔で左右の側板３，３に仮止め
溶接する。ストロングバツクプレート２１を取付
けることにより、側板３の開先を溶接した場合
に、溶着金属の凝固時の収縮変形が防止される。

ストロングバツクプレート２１の取付けが終了
したら、板端専用水冷銅当金、開先挿入スペーサ
を溶接スタート部分の開先部に取付け、溶接機を
搭載したゴンドラを側板に配設し、裏当銅板をセ
ツトし、その他にも本溶接のための一連の作業を
行ない、エレクトロガスアーク溶接を行なう。な
お、本治具はエレクトロガスアーク溶接以外の場
合にも適用できる。

第１０図は本発明の方法に使用するストロング
バツクキープレートの他の実施例であり、前記実
施例においてはキープレート２と一端を側板３に
固着されたキーナツト８とは溶接されないが、本
実施例ではキーナツト８は切欠き７に挿通され、
平面的に見て切欠き５の部分に位置し、キーナツ
ト８の側板３とは反対側の端部はその上面がキー
プレート２の下面に対して当接し得るようになつ
ており、キーナツト８のキープレート２に対する
当接部先端をキープレートに対して溶接し得るよ
うになつている。従つて、側板３の撓み、目違
い、開先ギヤツプの修正後キーナツト８をキープ
レート２に溶接２２により固定すれば、ストロン
グバツクキープレート１が緩むことは皆無とな
る。このため、ストロングバツクプレートを省略
することが可能となる。解体時には、アークエア
ーガウジングによつてこの溶着金属の除去を行な
う。又２３は銅当金等の押付け用のナツトであ
り、図中第８図及び第９図に示す符号と同一の物
は同一物を示す。

なお、本発明の実施例においては、円筒後のタ
ンクについて作業を行う場合について説明した
が、円筒形タンク以外に適用することが可能であ
ること、水平方向に延びる開先にも適用できるこ
と、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で
種々変更を加え得ること、等は勿論である。

本発明の被溶接板の開先合わせ治具によれば下
記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。

() ストロングバツクキープレートが強固にな
り且つボルトにより突つ張るようにしているた
め、地震や突風があつてもストロングバツクキ
ープレートが変形しにくく、従つてテーパ状の
キーピンが緩むことがないから仮組み状態のま
ま放置しても再び目違いが生じたり、開先ギヤ
ツプが狂う虞れが少なくなる。このため、信頼
性の高い作業を迅速に行うことができ、タンク
の品質も向上する。

() ストロングバツクキープレートが緩む危険
性が少なくなつたため、側板倒壊の虞れが減少
し、又ストロングバツクキープレートの数量も
従来の半分程度ですむため、作業を迅速に行う
ことができる。更に数量の減少によりコストダ
ウンが計れる。

() 開先に沿つて側板の凹凸状の撓みを修正す
る部材を使用しているため、太鼓状の脹みを容
易に修正することができるため、その後の作業
が非常にやり易い。又、初期組立時の変形が少
ない形状で開先合わせされているので溶接作業
後も収縮歪による角度形等の発生が極めて少な
くすむ。

() 側板の曲りを矯正できるため、自動溶接時
の開先に対する電極の狙い位置の修正や調整が
不要である。

() 溶接線に平行な方向（Ｙ軸）とこれに直角
にクロスする方向（Ｘ軸）の二軸で組立ててい
るので、上述のごとく仮組み下の強度が強固に
なる他、溶接機を載せたゴンドラ等の重量物を
側板に懸垂させても撓みが生じない。

() キープレートとキーナツトを溶接により固
定する場合には、位置固定用のストロングバツ
クプレートが不要になるため、作業が一段と容
易になり、しかも、コスト的にも有利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の被溶接板の開先合わせを行う場
合の説明図、第２図は第１図の開先合わせに使用
するストロングバツクキープレートの説明図、第
３図は第２図の−方向矢視図、第４図は被溶
接板に自重等により生じる脹みの説明図、第５図
は本発明の被溶接板の開先合わせ治具の説明図、
第６図は第５図に示す開先合わせに使用するスト
ロングバツクキープレートの一例の説明図、第７
図は第６図の−方向矢視図、第８図は第６図
及び第７図のストロングバツクキープレートにキ
ーピンを打込んだ状態を示す説明図、第９図は第
８図の−方向矢視図、第１０図は本発明の被
溶接板の開先合わせ治具に使用するストロングバ
ツクキープレートの他の例の説明図、第１１図は
第１０図のXI−XI方向矢視図である。 図中１はストロングバツクキープレート、２は
キープレート、３は側板、６はチヤンネル材、８
はキーナツト、９はアングル材、１０はナツト、
１１はボルト、１２は補強材、１４は開先、１６
はメインキーピン、１７はアングル材、１８はサ
ブキーピン、１９はインナーキーピン、２０はア
ウターキーピン、２１はストロングバツクプレー
トを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被溶接板の開先ギヤツプを跨ぐよう切欠きを
   設けたキープレートに、溶接すべき左右の被溶接
   板に固着されたキーナツトを挿入する切欠きを設
   け、キープレートの該切欠き部に、該切欠き部に
   挿入されたキーナツトに打込まれたキーピン及び
   キーナツトと前記キープレートとの間の空隙部に
   打込まれたキーピンを支持し得且つ前記キーナツ
   トの挿入に支障なきよう切欠きを設けたチヤンネ
   ル状の部材を固着し、前記キープレートの両端部
   にアングル材を固着し、該アングル材に固着した
   ナツトに、被溶接板の開先に沿い被溶接板に当接
   せしめられた、前記アングル材とは別のアングル
   材の背を被溶接板に対して押圧し被溶接板の開先
   に沿い被溶接板に生じた凹凸状の撓みを修正する
   ためのボルトを螺合させたことを特徴とする、被
   溶接板の開先合わせ治具。 ２ 被溶接板の開先ギヤツプを跨ぐよう切欠きを
   設けたキープレートに、溶接すべき左右の被溶接
   板に固着されたキーナツトを挿入する切欠きを設
   け、該キーナツトの反被溶接板側先端部をキープ
   レートに溶接し得るようキーナツトをキープレー
   トに当接せしめ、キープレートの前記切欠き部
   に、該切欠き部に挿入されたキーナツトに打込ま
   れたキーピン及びキーナツトと前記キープレート
   との間の空隙部に打込まれたキーピンを支持し得
   且つ前記キーナツトの挿入に支障なきよう切欠き
   を設けたチヤンネル状の部材を固着し、前記キー
   プレートの両端部にアングル材を固着し、該アン
   グル材に固着したナツトに、被溶接板の開先に沿
   い被溶接板に当接せしめられた、前記アングル材
   とは別のアングル材の背を被溶接板に対して押圧
   し被溶接板の開先に沿い被溶接板に生じた凹凸状
   の撓みを修正するためのボルトを螺合させたこと
   を特徴とする、被溶接板の開先合わせ治具。