JPS6123934Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、弛み止めナツトに関するものであ
る。

従来、ナツトの弛み止めに関しては、種々なる
考案がなされている。たとえば、ナツトを２個使
用してロツクするようにしたもの、第１図に示す
ように、溝付丸ナツト１の座部側に廻り止め座金
２を配設し、この廻り止め座金２の突片２ａを折
り曲げて溝付丸ナツト１の溝１ａに係合させると
共に、廻り止め座金２の内端に突設した突部２ｂ
を溝付丸ナツト１が螺合するネジ９の溝９ａに係
合させて、溝付丸ナツト３をロツクするようにし
たもの、第２図に示すように、丸ナツト３の内部
に円周方向の割り溝４を設けることにより、可撓
片部３ａを形成し、この可撓片部３ａをセツトネ
ジ５で中心方向に押圧して、可撓片部３ａのネジ
部を丸ナツト３に螺合されるネジに押圧すること
によりロツクするようにしたもの、第３図に示す
ように、丸ナツト３の半径方向に割り溝４′を設
けて可撓片部３a′を形成し、この可撓片部３a′を
貫通するロツクボルト６を設けて、このロツクボ
ルト６を締め付けることにより、可撓片部３a′内
のネジ部を丸ナツト３に螺合されるネジのネジ山
に押圧させてロツクするようにしたもの、その
他、逆転防止用のプレートを組み込んでロツクす
るようにしたもの等がある。しかし、これらのも
のは、いずれも一長一短があり、完全なナツトの
ロツクが望めず、振動・衝撃等で弛みやすい、も
しくは破損しやすい、というような不具合が生じ
て信頼性に欠せていた。

本考案は、従来技術におけるこのような問題点
を解消するためになされたもので、その目的とす
るところは、完全なナツトのロツクを可能にして
高い信頼性を有する弛み止めナツトを提供するこ
とにある。

本考案の特徴とするところは、ナツト本体の雌
ネジ接線上にロツクピンを植え込んでその両端を
固定し、ロツクピンの中間部分に、ナツト本体の
雌ネジと連続して一致する雌ネジを形成し、しか
もナツト本体の外周部には、該ロツクピンの中央
部を前記ナツト本体の中心方向に押圧するセツト
ネジを、前記ロツクピンと直角方向に設けてなる
構成としたことにある。

ロツクピンはその両端のみをナツト本体に固定
し、中間部分は固定しない。これは、ロツクピン
の中央部に外側から荷重を加えることによつて、
十分な撓み変形が生ずるようにするためである。
ロツクピンの中間部分の内側（ナツト本体の内周
側）は、ナツト本体のネジ孔に臨むこととなる
が、この中間部分の表面は前記ネジ孔の一部を構
成して雌ネジが形成される。このロツクピンの雌
ネジは、ナツト本体の雌ネジの方向、ネジ山形
状、ネジピツチと一致する寸法を有するものであ
り、これを機械加工するには、ロツクピンの固定
後、ナツト本体の雌ネジと同時加工すればよい。
ロツクピンの中央部は、その外側からセツトネジ
によつて、ナツト本体の中心に向けてピン方向と
直角方向に押し付けられる。ロツクピンの中間部
分の内側形状は、ナツト本体の孔形状の一部を形
成すべく円弧状に構成されるため、該ロツクピン
の中央部分の厚さ寸法（ナツト本体の径方向の寸
法）は最小となり、セツトネジによるロツクピン
の撓み作用が最も発生しやすい部分となる。

上記の構成により、ナツト本体の雌ネジに螺合
したボルト（相手部材）の弛み止めを行うには、
セツトネジを締め付けることによりロツクピンの
中央部を押圧するだけでよい。そうすると、ロツ
クピンはその両端が固定されて中間部分がボルト
側に撓み、該ボルトの雄ネジ山にロツクピンの雌
ネジ山が確実に食い込む。この場合、ロツクピン
の中央部を作用点として中間部分全域にボルトの
雄ネジ部に対して直角方向への荷重が効果的にか
かるため、ロツクピンの中間部分に作用する押付
力によりボルトの動きを強固に拘束し、振動等に
よるナツト本体とボルトの弛みを確実に防止しう
るものとなる。かかる締付状態において、ロツク
ピンの中央部分をセツトネジで直角方向から押し
付け、これによつて生ずる反発力、すなわちバネ
作用によりセツトネジには前記押付方向と反対方
向に弾性的な外力が加わるため、セツトネジがナ
ツト本体に対して弛むことを確実に防止する。

次に、本考案の一実施例を第４図及び第５図に
基づいて説明する。

本考案は、図示のように、丸ナツト本体３と、
これをロツクするためのロツクピン７と、さらに
該ロツクピン７を撓ませるためのセツトネジ５
と、から構成されている。すなわち、第４図に示
すように、丸ナツト本体３には、その内径円の接
線を中心とした貫通孔８が２箇互いに平行に設け
られ、この貫通孔８にはロツクピン７が嵌め込ま
れ、ロツクピン７の両端は溶接または蝋付け等の
手段によつて固定される。ロツクピン７を固定し
た後、丸ナツト本体３の雌ネジ３ａとロツクピン
７の雌ネジ７ａとは、両者同時に螺刻される。

上記構成の弛み止めナツトを使用するに際して
は、先ず、丸ナツト本体３を相手方のボルト（図
示せず。）に螺着固定した後、セツトネジ５を締
め付けてロツクピン７の中央部を押圧する。そう
すると、該ロツクピン７は丸ナツト本体３の径方
向内方に撓みを生じ、ロツクピン７の雌ネジ７ａ
でもつて相手方のボルトの雄ネジ山に強く圧接す
ることとなる。したがつて丸ナツト本体３と相手
方のボルトとの螺合状態は確実に保持され、振
動・衝撃等による丸ナツト本体３の弛みが生じる
ことはない。

この場合、セツトネジ５はロツクピン７から丸
ナツト本体３の径方向外側へスプリング力を受け
るため、丸ナツト本体３に対するセツトネジ５の
螺合状態が強固になりセツトネジ５の弛み防止が
保証される。

なお、本実施例においてはロツクピン７は対向
的に２箇使用したが、使用条件等に応じて非対向
的に嵌め込んでもよく、また、適宜数箇使用して
もよい。

本考案の弛み止めナツトは以上の如く構成され
て作用するものであるから、ナツト本体とボルト
との螺合部分における圧接力が従来に比し増大
し、しかもロツクピンのバネ作用によつて、該ロ
ツクピンを直角方向から押し付けるセツトネジの
弛み防止が確実に得られる。したがつて、従来の
弛み止めナツトに期待できなかつた確実な締結効
果を奏して、振動・衝撃等の避け難い工作機械な
どにおいて機械部品を締付ける締付用ナツトとし
て有効であり、とりわけ、高速回転・高荷重の軸
受の締付用ナツトとして用いた場合に大きな効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の締付用ナツトを示す断面図、第
２図は従来の別の締付用ナツトを示す平面図、第
３図は従来の更に別の締付用ナツトを示す断面
図、第４図は本考案の一実施例を示す平面図、第
５図は第４図のＡ−Ａ線に沿つた断面図である。 ３…丸ナツト本体、５…セツトネジ、７…ロツ
クピン、７ａ…雌ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ナツト本体の雌ネジの接線方向にロツクピンを
   植え込んでその両端を固定し、該ロツクピンの中
   間部分に、前記雌ネジと連続して一致する雌ネジ
   を刻設し、前記ナツト本体の外周部に、前記ロツ
   クピンの中央部をナツト本体の中心方向に押圧す
   るセツトネジを、前記ロツクピンと直角方向に設
   けてなることを特徴とする弛み止めナツト。