JPS6122501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用シート等におけるシートクツ
シヨン、とくにシートクツシヨン前縁部の高さと
硬さを着座者が任意に調整しうるようにしたシー
トクツシヨンの改良に関する。

従来のシートクツシヨンは、その前縁部が着座
者によつては高すぎたり低すぎたり、又硬すぎた
り軟らかすぎたり、さらにはサイサポート（大腿
部の支持力）が不足したりしてペダル操作がしに
くく長時間の運転時に大腿部が疲労しやすかつ
た。そのため、着座者の体格、好みなどに応じて
シートクツシヨン前縁部の高さと硬さを調整しう
るようにしたシートが、既に各種提案されてい
る。しかし、この種の従来のシートはシートクツ
シヨン全体の傾斜度合を変化させ、結果としてシ
ートクツシヨン前縁部の床面からの高さを変化さ
せるものであるため、着席姿勢全体が変化する欠
点があり、好みの着座姿勢において、大腿部近傍
のみの授圧感、即ち座り心地のみを調整すること
は不可能であつた。このため、本出願人はシート
クツシヨン前縁部の内部に断面円形の偏心ドラム
をシートクツシヨンフレームに支持し、これを回
転させることにより、大腿部のシートクツシヨン
からの受圧感を調整する機構を提案した（実開昭
54−140909号） しかし、この装置においては偏心ドラムが直
接、パツド材と接触しており、かつその接触面積
が大きいため、偏心ドラムを回転するのに大きな
力を要し、くに乗員が着座している場合には、偏
心ドラムが直接、前縁部のパツド材を押し上げて
いるため、シート形状が不連続になり、大腿部の
フイーリングを悪化させていた。

本考案は上記の欠点に鑑みて提案されたもの
で、その目的はシートクツシヨン前縁部の高さと
硬さが着座者が小さい力で、任意に調整できるよ
うにすると共に、着座者の大腿部のフイーリング
を改良しうるシートクツシヨン前縁部の高さと硬
さ調整装置を提供することにある。

本考案はシートクツシヨン前縁部の幅方向にわ
たつて設けられた空洞部の上面にプレートを配設
すると共に、このプレートの下面に連接棒の一端
を回転自在に枢支させて、該連接棒の他端をクラ
ンク機構に連結し、該クランク機構の回動により
前記連接棒を上下動せしめ、よつて、シートクツ
シヨン前縁部の高さと硬さを可変としたり、ある
いは前述したプレートを左右２分割して、前縁部
の高さと硬さを左右独立して調整可能としたもの
である。

次に本考案の実施例を図面を参照しつつ詳細に
説明する。第１図乃至第４図は本考案の第１実施
例を示している。１はシートクツシヨン、２はシ
ートバツクをそれぞれ示しており、シートクツシ
ヨン１はパツド材３と表皮４からなつている。又
第２図乃至第４図は詳しく説明されているよう
に、シートクツシヨン１の前縁部５には空洞部６
が前縁部５の幅方向にわたつて穿設されている。
そしてこの空洞部６の上面にはプレート７が前縁
部５の幅方向にわたつてパツド材３にあてがわれ
るように配設されている。このプレート７はシー
トの前後方向に若干の曲率をもたせてある。

さらにシートクツシヨンフレームの前側面に軸
９がノブ１０により回転自在に軸支され、軸９の
先端にはクランク機構１１が設けられている。こ
のクランク機構１１はクランクアーム１２、クラ
ンクピン１３とよりなり、クランクピン１３の先
端には連接棒１４の一端がクランクピン１３に対
して回動可能に枢支されている。さらに連接棒１
４の他端は球状になつており、プレート７の下面
に固設されたピボツト部１５に回動自在に枢支さ
れている。

なお、軸９はシートクツシヨンフレーム８に軸
支されているが、シートクツシヨン１に荷重がか
かつても自由に回転しないようにシートクツシヨ
ンフレームにラチエツトなどの軸固定装置１６が
設けられており、軸９が任意の位置で保持され、
固定されるようになつている。

本考案は以上のように構成されているので、第
２図及び第３図に示されているように、第２図の
状態からノブ１０を回して軸９を回転させると、
軸９の先端に設けられたクランク機構１１、すな
わちクランクウーム１２は円運動を行なう。この
円運動はクランクピン１３を介して連接棒１４
に、往復運動に変換されて伝えられ、連接棒１４
は上方に移動する。この結果、第３図に示すよう
に連接棒１４はピポツト部１５を介してプレート
７を押し上げて、シートクツシヨン前縁部５の高
さを変える。又高さを変えると同時に、パツド材
３はプレート７により圧縮されるため、前縁部５
の硬さをも変えることになる。

この結果、着座者の体格や姿勢、あるいは好み
に合つたシートクツシヨン１の前縁部５の高さと
硬さが得られるので、長時間のドライブにも耐え
られ、大腿部の疲労を緩和できる。又、軸９の回
転をクランク機構１１を介して、プレート７に設
けられたピボツト部１５で持ち上げているため、
従来のような回転ドラムとパツド材が直接、接触
するような構造とは異なり、小さな力で乗員が着
座したままシートクツシヨン１の前縁部５の高さ
と硬さを調整できるという効果を有している。

さらにプレート７は、単なる平板ではなく、若
干の曲率を持たせているため、従来の偏心ドラム
タイプのように、シート形状が前縁部で不連続に
なることがなく、連続性を保つこてができ、着座
者の異物感をなくし、大腿部のフイーリングを向
上することができる。又、プレート７の端部でパ
ツド材を損傷するということもはない。

第５図は本考案の第２実施例を示している。こ
こではプレート７が前縁部５の左側と右側で２分
割７ａ，７ｂされている。この場合にはシートク
ツシヨン前縁部５の高さと硬さが左右、それぞれ
独立して調整できるので、第１実施例と同様な効
果を有するのはもちろん、さらに着座者の種々の
好みに応じた前縁部の高さと硬さを得ることがで
きる。

なお、第１、２実施例で示したプレート７のピ
ボツト部１５の構造はとくにこれに限定されるも
のではなく、凹部をプレートに直接設けてもよい
のはもちろん、連接棒の運動をプレート７に伝え
るのを阻害しない構造であればなんでもよいのは
いうまでもない。

以上のように、本考案によれば、シートクツシ
ヨン前縁部の高さと硬さを自由に変えることがで
きるので、長時間の運転にみ耐えられ、疲労を軽
減できると共に、非常に小さい力で調整が可能に
なるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示すシートの一
部切欠き斜視図、第２，３図は第１図の−線
に沿う断面図、第４図は第２図Ａ部の拡大断面
図、第５図は本考案の第２実施例を示すシート断
面図とそれぞれ示している。 １……シートクツシヨン、５……前縁部、６…
…空洞部、７……プレート、１１……クランク機
構、１４……連続棒。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シートクツシヨン前縁部の幅方向にわたつて
   設けられた空洞部の上面に、プレートを配設す
   ると共に、該プレート下面に連接棒の一端を回
   動自在に枢支させて、該連接棒の他端をクラン
   ク機構に連結し、該クランク機構の回動により
   前記連接棒を上下動せしめ、よつて、前記シー
   トクツシヨン前縁部の高さと硬さを可変とする
   ようにしてシートクツシヨン前縁部の高さと硬
   さ調整装置。 (2) 前記プレートを、前記シートクツシヨン前縁
   部の幅方向にわたつて２分割し、前記前縁部の
   高さと硬さを左右独立して可変としたことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   シートクツシヨン前縁部の高さと硬さ調整装
   置。