JPH0542772Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、たとえばリヤシート等においてシー
トクツシヨンの前後動にかかわらず常に安定した
着座状態を保持し得るようにした車両用シートの
改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に車両用シートには、自動車の走行中にお
いて着座者を安定して保持し適切な座り心地感を
与え、長時間にわたる着座状態にあつてもその疲
労をできるだけ軽減し得ることが望まれる。ま
た、この種の車両用シートにあつては、着座者の
体型や好み、さらには着座姿勢等に応じてクツシ
ヨン性やホールド性などを適宜変更し得るような
構成をもつことも望まれる。そして、このような
要求を満足するために従来からシートクツシヨン
等をシート前後方向にスライド調整自在に構成し
たり、シートバツクをリクライニング機構により
傾動調整可能に構成してなるシート構造が多数提
案されている。

ところで、この種の車両用シートにおいて、た
とえばリヤシートをリラツクスシートとするため
に、シートクツシヨンを前後スライド機構により
前後方向にスライド調整自在に構成するととも
に、これに連動してリクライニング機構等を介し
て連結されかつ車体ボデイ側にスライド可能に支
持するようにした上、下二分割タイプ等によるシ
ートバツクを傾動させ得るようにした構成による
シートが、たとえば実公昭57−11580号公報や実
公昭60−31547号公報等で提案されている。

また、この種のシートにおいて、シートクツシ
ヨンをスライド可能に支持するスライドレール
（図示せず）を、上向きに湾曲させたりすること
で、シートクツシヨン前端部を持上がらせかつ後
端側を沈み込ませれ安定した着座状態を確保する
ようにした構成によるものも知られていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来構造によるシー
トでは、シートクツシヨンやシートバツクによる
シート着座面の調整制御等の自由度は増すもの
の、着座者の体格によつてはシートクツシヨン前
端部が張出しすぎて着座者の足が車体床面側につ
かなくなつたり、着座者の尻部等がシートクツシ
ヨン上を前方にすべつてずれ易くなり、着座状態
が不安定となつて座り心地感が悪くなる等の問題
を招いてしまうものであつた。特に、シートクツ
シヨンをシート前方に移動させこれに連動してシ
ートバツクを背面側に傾動させると、着座者（尻
部）の着座位置がシート前方にずれ易くなり、足
でふんばることが必要とされ、リラツクスするこ
とができないのもであり、しかもこの状態では尻
部の前ずれはより一層大きくなり、結局足が床面
から離れて安定感が失われてしまうものあつた。
このため、従来からシートクツシヨン前端部を上
方に膨出させて形成し、上述した着座位置の前ず
れ等を防止することが一般に行なわれているが、
このような構成を採用すると、着座者の膝部が必
要以上に上下方向に動かされ、車体床面から足が
離れて安定性に欠けるという問題を招く結果とな
るもので、このような問題点を一掃し得るような
何らかの対策を講じることが望まれている。ま
た、このような問題はシートクツシヨンを支持す
る前後スライド機構を上方に湾曲する構造のもの
を用いた場合に顕著で、このような点をも考慮し
なければならない。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、シートクツシヨンおよびシートバツクを
リラツクス時に可動調整する際にその姿勢状態を
適切に調整できるようにし、着座者の体リラツク
ス姿勢での着座に対し安定した保持状態を簡単か
つ適切に確保し、座り心地感を向上させることが
可能となる、特にリヤシートとして用いて公的な
車両用シートを得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係る車
両用シートは、シートクツシヨンおよびその後端
部に立設されるシートバツク下部構成体を一体的
に構成してなる略々Ｌ字状を呈するシート体と、
そのシートバツク下部構成体上端側に回動可能に
連結されたシートバツク上部構成体とを備えてな
り、シートバツク上部構成体を車体ボデイ側で上
下方向に移動可能に支持する上下スライド機構を
設けるとともに、シートバツク下部構成体の上部
背面側を上下方向に可動調整可能な状態で車体ボ
デイ側に結合する駆動機構を設け、該駆動機構は
車体ボデイ側に一端が支持されたねじ軸と、該ね
じ軸を回転駆動させる駆動源と、前記ねじ軸に螺
合され、前記シートバツク下部構成体側のブラケ
ツトに連結されたナツト部材とを備え、前記シー
トクツシヨンの下部後端側でシート体を前側斜め
下方に可動調整自在に支持するスライド機構を設
け、前記Ｌ字状を呈するシート体を無段階的に回
動調整し得るようになされていることを特徴とす
る。

〔作用〕

本考案によれば、駆動機構によりシート体のシ
ートバツク下部構成体の高さ位置を調整すること
により、例えば高さを下げてリクライニング状態
とした場合には、シートバツク上部構成体は上下
スライド機構により下方に移動し、シートクツシ
ヨンはスライド機構により斜め下方にスライド移
動され、ヒツプポイントが下がるが着座者の膝部
の高さ位置が従来のように必要以上に動かされる
等といつた問題はなくなり、その略々等しい高さ
位置を維持するとともに略々Ｌ字状を呈するシー
ト本体により略々同等の着座姿勢を得て、常に安
定した着座状態を保持し座り心地感を向上させ得
るものである。

〔実施例〕 以下、本考案に係る車両用シートを図面を参照
して詳述する。

第１図ないし第４図は本考案に係る車両用シー
トの一実施例を示すもので、これらの図において
符号１で示す車両用シートは、概略第１図に示す
ように、シートクツシヨン２およびその後端部に
立設されるシートバツク下部構成体３を一体的に
構成してなる略々Ｌ字状を呈するシート体４と、
そのシートバツク下部構成体３上端側に回動可能
に連結されたシートバツク上部構成体５とを備え
ている。なお、６はこのような車両用シート１を
支持するための床面６ａおよび背面６ｂを構成す
る車体ボデイで、本実施例ではリヤシート等に適
用した場合を説明する。

さて、本考案によれば、車両用シート１として
上述した構成を採用するようにしており、さらに
シートバツク上部構成体３を車体ボデイ６側で上
下方向に移動可能に支持する上下スライド機構１
０を設けるとともに、シートバツク下部構成体３
の上部平面側を上下方向に可動調整可能な状態で
車体ボデイ６側に結合するねじ軸１１等を有する
駆動機構１２を設け、かつシートクツシヨン２下
部後端側でシート体４を前側斜め下方に可動調整
自在に支持するスライド機構１３を設けるように
したところに特徴を有している。

なお、上述した上下スライド機構１０やスライ
ド機構１３としては、たとえば長溝を有するブラ
ケツトとその長溝に係入される連結ピン等からな
る構成を採用するとよいが、一般的なスライドレ
ール機構を用いてもよいことは勿論である。

また、上述した駆動機構１２はロツク機構を兼
ねるものであり、第３図および第４図から明らか
なように、車体ボデイ６側にブラケツト１４を介
して支持されかつ側方に付設した駆動源としての
駆動モータ１５によりねじ軸１１を回転駆動させ
得る駆動機構部１６を備え、かつシートバツク下
部構成体３側のブラケツト１７に連結ピン１８で
回動可能に連結されるナツト部材１９にねじ軸１
１を螺合させてなる構成によるものを用いてい
る。

このような構成によれば、ねじ軸１１の回転で
下部構成体３を車体ボデイ６上で支えながら上下
方向に調整移動させ得るもので、その作用効果は
容易に理解されよう。

以上の構成によれば、駆動機構１２によりシー
ト体４のシートバツク下部構成体３の高さ位置を
調整することで、シートバツク上部構成体５は上
下スライド機構１０により、シートクツシヨンは
スライド機構１３により適宜スライド移動され、
着座者の膝部の高さ位置が従来のように必要以上
に動かされるといつた問題を生じることはなくな
り、略々等しい高さ位置を維持し得るとともに
略々同様の着座姿勢を保ちつつリラツクス姿勢で
の着座状態を得ることが可能となるもので、常に
安定した着座状態を保持することができ、座り心
地感を向上させ得るものである。

第２図には、実線で示す通常の着座状態と、想
像線で示すリラツクス姿勢での着座状態とが示さ
れており、通常状態とリラツクス状態とで着座者
の膝部や腰部でのなす角度A1＝A2、B1＝B2が
略々一定で、また足の床面６ａに対する角度C1，
C2も略々一定となるものである。

すなわち、本考案によれば、上述した構成を採
用することで、車両用シート１において通常状態
からリラツクス状態への変位を、シートクツシヨ
ン２とシートバツク下部構成体３との結合部つま
り着座者のヒツプポイントを下方に落し込むこと
で得ているものである。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由である。たとえば本考
案を特徴づけるシート体４やシートバツク上部構
成体５をスライド自在に支持するスライド機構１
０，１３の構成や、駆動機構１２の構造等として
は種々の変形例を考えられるものである。

さらに、上述したシート構造は、車両用シート
において、特にリヤ側に用いられるリラツクスシ
ート等に適用して効果を発揮し得るが、これに限
定されないことも容易に理解されよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る車両用シート
によれば、シートバツク上部構成体を車体ボデイ
側で上下方向に移動可能に支持する上下スライド
機構を介して支持するとともに、前記シートバツ
ク下部構成体の上部背面側を上下方向に可動調整
可能な状態で車体ボデイ側に結合する駆動機構を
設け、該駆動機構は車体ボデイ側に一端が支持さ
れたねじ軸と、該ねじ軸を回転駆動させる駆動源
と、前記ねじ軸に螺合され、前記シートバツク下
部構成体側のブラケツトに連結されたナツト部材
とを備え、前記シートクツシヨンの下部後端側で
シート体を前側斜め下方に可動調整自在に支持す
るスライド機構を設けるようにしたので、簡単か
つ安価な構成にもかかわらず、駆動機構でシート
バツク下部構成体の高さ位置を調整するだけで、
シートバツク上部構成体およびシートクツシヨン
をそれぞれのスライド機構で適宜スライド移動さ
せ、しかも着座者の膝部の高さ位置を略々等しい
高さ位置を維持するとともに略々Ｌ字状を呈する
シート体により略々同等の着座姿勢を確保するこ
とができ、またＬ字状を呈するシート体を無段階
的に回動調整することができ、所望とするリラツ
クス着座状態を得ることができ、座り心地感を向
上させることができる等といつた実用上種々優れ
た効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両用シートの一実施例
を示す要部構成の概略構成図、第２図はその動作
状態を説明するための概略図、第３図は駆動機構
の側面図、第４図は駆動機構の概略分解斜視図で
ある。 図中、１……車両用シート、２……シートクツ
シヨン、３……シートバツク下部構成体、４……
シート体、５……シートバツク上部構成体、６…
…車体ボデイ、１０……上下スライド機構、１１
……ねじ軸、１２……駆動機構、１３……スライ
ド機構、１５……駆動モータ、１９……ナツト部
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンおよびその後端部から立設さ
   れるシートバツク下部構成体を一体的に構成して
   なる略々Ｌ字状を呈するシート体と、このシート
   体におけるシートバツク下部構成体の上端部にヒ
   ンジを介して回動可能に連結されたシートバツク
   上部構成体とを備えており、このシートバツク上
   部構成体を車体ボデイ側で上下方向に移動可能に
   支持する上下スライド機構を介して支持するとと
   もに、前記シートバツク下部構成体の上部背面側
   を上下方向に可動調整可能な状態で車体ボデイ側
   に結合する駆動機構を設け、該駆動機構は車体ボ
   デイ側に一端が支持されたねじ軸と、該ねじ軸を
   回転駆動させる駆動源と、前記ねじ軸に螺合さ
   れ、前記シートバツク下部構成体側のブラケツト
   に連結されたナツト部材とを備え、前記シートク
   ツシヨンの下部後端側でシート体を前側斜め下方
   に可動調整自在に支持するスライド機構を設け、
   前記Ｌ字状を呈するシート体を無段階的に回動調
   整し得るようになされていることを特徴とする車
   両用シート。