JPH0527877Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シートクツシヨンに対しリクライニ
ング機構により傾動可能に支持されるシートバツ
クにおける上側部分を、下側部分に対して中折れ
可能に構成することにより、該シートバツク面の
形状を着座者の座り心地感を向上させるような状
態に変形させ得る中折れタイプのシートバツクを
備えてなるシート装置の改良に関する。

〔従来の技術〕

例えば車両用シート等にあつては、シートクツ
シヨン等をシート前後方向にスライド調整自在に
構成したり、シートバツクをリクライニング機構
で傾動調整可能に構成してなるシート構成が従来
から多数提案されている。

ところで、上述したような車両用シートにおい
て最も一般的なものでは、シートバツクは一体に
構成されており、シートクツシヨンに対してリク
ライニング機構により倒れ角度を調整可能に構成
されているに過ぎない。しかし、このような従来
のシート構造では、通常時はシートバツクがほぼ
立設した状態となつていることから、それ程問題
とはならないが、例えばシートバツクを背面側に
傾動動作させた際に、着座者の視線が天井方向を
向き、前方を見る場合には、シートバツク上部の
シート面と着座者の背中上部との間が離れ、その
部分でのホールド性が損なわれるために、着座者
にとつての座り心地感が悪くなり、安定した着座
姿勢を維持することができず、疲労し易くなると
いう問題を生じていた。

このような問題を解決するものとして、例えば
特公昭60−57328号公報、実開昭56−101055号公
報等により、シートバツク上部をシートバツク下
部から分割して構成し、且つこれを揺動可能に軸
支して連結すると共に、リンク機構等によりリク
ライニング動作と連動してシートバツク上部を、
シートバツク下部に対して相対的に回動変位さ
せ、これにより着座者のホールド性を確保しよう
とした中折れタイプのシートバツクを備えたシー
ト構造が、従来既に提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述したような中折れタイプのシー
トバツクを有するシートにおいて、シートバツク
上部をシートバツク下部に対して相対的に傾動さ
せ、例えばシート前方へ傾動させたりしたとき
に、シートバツクの上部と下部との間に、段差等
が生じ、シートバツクとしての着座面のつながり
が悪くなり、シートとしての外観が損なわれるば
かりでなく、着座者による着座感覚の面からも問
題を生じるといつた不具合を避けられないもので
あつた。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、中折れタイプのシートバツクにおいて、
シートバツク上部をシート前方に傾動させたとき
に、該シートバツク上部と下部との間のシート面
形状を、自然な状態とし、外観が損なわれたり違
和感を生じることを防ぎ、着座者のリラツクス姿
勢での着座に対し安定した保持状態を、着座者の
着座姿勢等に応じて簡単且つ適切に確保し、座り
心地感を向上させることが可能となるシート装置
を得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るシ
ート装置は、リクライニング機構により傾動可能
に支持されるシートバツクのシートバツクフレー
ムを上、下に二分割することにより構成され且つ
中折れ軸支部にて相対的に回動可能に軸支される
上部フレーム及び下部フレームと、下部フレーム
の上端側で該下部フレームに一端が軸支された平
行リンク機構によりシートバツク前面側の進退自
在に支持されている押し出し部材と、この押し出
し部材を上部フレームのシート前方への中折れ傾
動時に該傾動動作に連動してシート前方へ押し出
し移動させるように該上部フレームと平行リンク
機構の一部に掛け渡して設けられたリンクレバー
とを備えてなる構成としたものである。

〔作用〕

本考案に依れば、中折れ可能な上部フレームに
よるシートバツク上部を、下部フレームによるシ
ートバツク下部に対して傾動動作させた際に、シ
ートバツクの上部フレームの動きに連動してリン
クレバーにより下部フレームの上端側に設けた平
行リンク機構を作動させ、この平行リンク機構の
動きで押し出し部材をシートバツク前面側に進退
動作させ得るもので、例えば上部フレームをシー
ト前方に中折れ傾動させたときに、下部フレーム
によるシートバツク下部上端側をシート前方に膨
出させ、上部フレームによるシートバツク上部と
の着座面を自然なつながりをもつて構成し得るも
ので、これにより着座者の体格、好みや着座姿勢
等に応じたシートバツク下部からシートバツク上
部にかけてのシートバツク着座面状態が得られ、
その結果として着座者のリラツクス状態での着座
姿勢を適切に得て安定した着座状態を確保し座り
心地感を向上させ得るものである。

〔実施例〕

第１図乃至第３図は本考案に係るシート装置の
一実施例を示し、これらの図において、本実施例
では車両用シートである場合を説明する。

まず、全体を符号１で示す車両用シートは、第
３図から明らかなように、シートクツシヨン２と
その後端側に立設されているシートバツク３等と
で構成され、且つこのシートバツク３は中折れ軸
支部４により上部シート体（シートバツク上部）
３ａ、下部シート体（シートバツク下部）３ｂと
して分割構成されている。尚、本実施例では、シ
ートバツク３を構成する上、下部シート体３ａ，
３ｂのうち、上部シート体３ａの上端部には周知
のヘツドレスト５が付設されると共に、下部シー
ト体３ｂは周知の通りベース７及びこれに回動軸
支部８にて軸支されるアーム９からなり操作レバ
ーにて操作されるリクライニング機構６を介して
シートクツシヨン２側に連結支持した場合を示し
ている。この場合、リクライニング機構６として
は、手動操作によるリクライニングデバイス、電
動モータ等によるパワーリクライニングデバイ
ス、シート両側にデバイス部を有する両側デバイ
ス等のいずれでもよいことは言うまでもない。

さて、本考案に依れば、上述したようにシート
クツシヨン２の後端側にベース７及びこれに回動
可能に軸支されるアーム９からなるリクライニン
グ機構６により傾動可能に支持されると共に上端
部にヘツドレスト５を有するシートバツク３を備
えてなる車両用シート１において、第１図及び第
２図に示されるように、シートバツク３のシート
バツクフレームを上、下に二分割することにより
構成され且つ中折れ軸支部４により相対的に回動
可能に軸支されている上部フレーム１０及び下部
フレーム１１と、この下部フレーム１１の上端側
で該下部フレーム１１に一端が軸支された平行リ
ンク機構１２によりシートバツク３前面側に進退
自在に支持されている押し出し部材１３と、この
押し出し部材１３を上部フレーム１０のシート１
前方への中折れ傾動時に該傾動動作に連動してシ
ート１前方へ押し出し移動させるように該上部フ
レーム１０と平行リンク機構１２の一部に掛け渡
して設けられたリンクレバー１４とを備えてなる
構成としたところに特徴を有している。

ここで、図中２０，２１は平行リンク機構１２
を構成するリンクで、その他端は押し出し部材１
３をＳ字ばね２２と共に構成する左、右一対をな
す押し出し片２３，２３に軸支されている。ま
た、上述した平行リンク機構１２は、下部フレー
ム１１を構成するシートバツク３の左、右サイド
パネルの夫々に対をなして設けられている。

このような構成に依れば、中折れ可能なシート
バツク３の上部シート体３ａを、下部シート体３
ｂに対して傾動動作させた際に、前記上部フレー
ム１０の動きに連動してリンクレバー１４により
下部フレーム１１の上端側に設けた平行リンク機
構１２に伝達し、この平行リンク機構１２の動き
（第１図中ｌ）で押し出し部材１３をシートバツ
ク３前面側に進退動作させ得るもので、例えば上
部フレーム１０をシート１前方に中折れ傾動させ
たときに、シートバツク３の下部シート体３ｂ上
端側で上部シート体３ａとの分割位置に近接する
部分を自動的にシート１前方に膨出させ（第１図
中想像線で示す）、シートバツク３の上部シート
体３ａとの着座面を自然なつながりをもつて構成
し得るものである。勿論、このような押し出し部
材１３の動きは、リンクレバー１４により上部シ
ート体３ａと連動して動作するもので、特別な操
作や調整等は不要である。

尚、このようなシートバツク３を構成する上部
シート体３ａと下部シート体３ｂとの分割部分で
の段差等は、上、下部シート体３ａ，３ｂの中折
れ軸支部４の位置によつて多少変化するが、いず
れにしても上述した構成を採用することは必要で
ある。

そして、上述した構成に依れば、着座者の体
格、好みや着座姿勢等に応じたシートバツク３の
下部シート体３ｂから上部シート体３ａにかけて
のシートバツク３着座面状態を適切に得ることが
でき、その結果として着座者のリラツクス状態で
の着座姿勢を適切に得て安定した着座状態を確保
し座り心地感を向上させ得るものである。

また、本考案に依れば、押し出し部材１３によ
る押し出し位置を適宜選択することで、シートバ
ツク３におけるランバーサポートとしての機能を
も発揮させ得るものである。

尚、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、シート装置としての車両用シート１各部の形
状、構造等を、必要に応じて適宜変形、変更する
ことは自由で、種々の変形例が考えられよう。

例えば上述した実施例では、シートバツク３を
構成する上部及び下部シート体３ａ，３ｂ間、つ
まり中折れ軸支部で相対的に回動可能な上、下部
フレーム１０，１１間での中折れ動作を行うリン
ク機構やその作動機構、あるいはリクライニング
機構６に連動させるリンクレバーによる連動リン
ク機構等については、その具体的な図示を省略し
たが、従来から周知である各種の中折れ手段を採
用することは自由である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るシート装置に
依れば、シートバツクのシートバツクフレームを
上、下に二分割することにより構成され且つ中折
れ軸支部にて相対的に回動可能に軸支される上部
フレーム及び下部フレームと、下部フレームの上
端側で該下部フレームに一端が軸支された平行リ
ンク機構によりシートバツク前面側に進退自在に
支持されている押し出し部材と、この押し出し部
材を上部フレームのシート前方への中折れ傾動時
に該傾動動作に連動してシート前方へ押し出し移
動させるように該上部フレームと平行リンク機構
の一部に掛け渡して設けられたリンクレバーとを
備えてなる構成としたので、簡単且つ安価な構成
にもかかわらず、中折れ可能なシートバツクの上
部シート体を、下部シート体に対して傾動動作さ
せた際に、上部シート体内の上部フレームの動き
に連動してリンクレバーにより下部シート体内の
下部フレームの上端側に設けた平行リンク機構に
伝達し、この平行リンク機構の動きで押し出し部
材をシートバツク前面側に進退動作させ得るもの
で、例えば上部フレームをシート前方に中折れ傾
動させたときに、シートバツクにおける下部シー
ト体上端側を自動的にシート前方に膨出させ、シ
ートバツクの上部シート体との着座面を自然なつ
ながりをもつて構成し得るもので、これにより着
座者の体格、好みや着座姿勢等に応じたシートバ
ツク下部からシートバツク上部にかけてのシート
バツク着座面状態が得られ、その結果として着座
者のリラツクス状態での着座姿勢を適切に得て安
定した着座状態を確保し座り心地感を向上させ得
る等の実用上種々優れた効果がある。

また、本考案に依れば、押し出し部材による押
し出し位置を適宜選択することで、シートバツク
におけるランバーサポートとしての機能をも発揮
させ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案に係るシート装置の
一実施例の概略を夫々示すもので、第１図は要部
構成のみを示す側面図、第２図は同要部の斜視
図、第３図はシートバツクの中折れ傾動状態を説
明するためのシートの側面図である。 図中、１……車両用シート（シート装置）、２
……シートクツシヨン、３……シートバツク、３
ａ，３ｂ……上、下部シート体、４……中折れ軸
支部、５……ヘツドレスト、６……リクライニン
グ機構、７……ベース、８……回動軸支部、９…
…アーム、１０……上部フレーム、１１……下部
フレーム、１２……平行リンク機構、１３……押
し出し部材、１４……リンクレバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨン後端側にリクライニング機構
   により傾動可能に支持されるシートバツクを備え
   てなるシート装置において、前記シートバツクの
   シートバツクフレームを上、下に二分割すること
   により構成され且つ中折れ軸支部により相対的に
   回動可能に軸支される上部フレーム及び下部フレ
   ームと、前記下部フレームの上端側で該下部フレ
   ームに一端が軸支された平行リンク機構によりシ
   ートバツク前面側に進退自在に支持されている押
   し出し部材と、この押し出し部材を前記上部フレ
   ームのシート前方への中折れ傾動時に該傾動動作
   に連動してシート前方へ押し出し移動させるよう
   に該上部フレームと前記平行リンク機構の一部に
   掛け渡して設けられたリンクレバーとを備えてな
   ることを特徴とするシート装置。