JPH0546692Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シートクツシヨンに対しシートバツ
クをリクライニング動作させる際にその動きに連
動してシートバツク上端側の傾斜角度を変化さ
せ、該シートバツク面の形状をリクライニングの
傾動角度に適した状態に変形させて着座者の座り
心地感を向上させ得るようにしてなる中折れタイ
プのシートバツクを備えてなるシート装置の改良
に関する。

〔従来の技術〕

例えば車両用シート等にあつては、シートクツ
シヨン等をシート前後方向にスライド調整自在に
構成したり、シートバツクをリクライニング機構
で傾動調整可能に構成してなるシート構成が従来
から多数提案されている。

ところで、上述したような車両用シートにおい
て最も一般的なものでは、シートバツクは一体に
構成されており、シートクツシヨンに対してリク
ライニング機構により倒れ角度を調整可能に構成
されているに過ぎない。しかし、このような従来
のシート構造では、通常時はシートバツクがほぼ
立設した状態となつていることから、それ程問題
とはならないが、例えばシートバツクを背面側に
傾動動作させた際に、着座者の視線が天井方向を
向き、前方を見る場合には、シートバツク上部の
シート面と着座者の背中上部との間が離れ、その
部分でのホールド性が損なわれるために、着座者
にとつての座り心地感が悪くなり、安定した着座
姿勢を維持することができず、疲労し易くなると
いう問題を生じていた。

このような問題を解決するものとして、例えば
特公昭60−57328号公報、実開昭56−101055号公
報等により、シートバツク上部をシートバツク下
部から分割して構成し、且つこれを揺動可能に軸
支して連結すると共に、リンク機構等によりリク
ライニング動作と連動してシートバツク上部を、
シートバツク下部に対して相対的に回動変位さ
せ、これにより着座者のホールド性を確保しよう
とした中折れタイプのシートバツクを備えたシー
ト構造が、従来既に提案されていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し乍ら、このような従来構造による車両用シ
ートでは、シートクツシヨン側とシートバツク上
部の上部フレームとを、リンク機構を構成するリ
ンクレバーにより連結しているだけの構成であ
り、シートバツクをリクライニング機構にて傾動
動作させた際に、上部フレームは一定の関係をも
つて傾動動作するだけであり、この上部フレーム
の動きを、リクライニング機構の動作状態に応じ
て所要の状態に傾動動作させ得るとは言えないも
のであつた。特に、このシートバツクの上部フレ
ームの動きとしては、リクライニング機構による
下部フレームに対してシート前方に傾動したり、
その中折れ角度が変化したり、あるいはシート後
方に傾動動作したりすることが望まれるもので、
このような上部フレームのリクライニングに連動
した動きを、簡単な構成によつて得られるような
配慮が必要とされている。これは、シートバツク
がほぼ立設状態にある時には、上部フレームが中
折れして着座者を所要の状態で保持し得るように
構成することが望まれる一方、所謂フルフラツト
状態となるようにシート後方に倒伏された時に
は、該上部フレーム部分も後方に傾動して下部フ
レーム部分と一連なシート面となるような構成と
することが必要とされるためであつた。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、中折れタイプのシートバツクを、より簡
単な構成によるリクライニング動作の連動機構に
よつて、リクライニング機構と適切且つ確実に連
動させて所要の回動変位動作を可能とし、着座者
のリラツクス姿勢での着座に対し安定した保持状
態を、着座者の着座姿勢等に応じて簡単且つ適切
に確保でき、座り心地感を向上させることが可能
となるシート装置を得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るシ
ート装置は、シートクツシヨン後端側にベース及
びアームからなるリクライニング機構により傾動
可能に支持されるシートバツクのシートバツクフ
レームを上、下に二分割することで構成され且つ
中折れ軸支部により相対的に回動可能に軸支され
る上部フレーム及び下部フレームと、前記リクラ
イニング機構による傾動動作に伴つて作動され
上、下部フレームを相対的に回動動作させる連動
機構を備え、前記連動機構は、前記下部フレーム
の上端側に回転可能に軸支された回転円板と、該
回転円板の偏心した位置に設けられた軸部とを有
し、該軸部に上部フレームの下端側が連結され、
前記回転円板に対し前記リクライニング機構によ
る下部フレームの傾動動作に伴う回動量を伝達す
る回動量伝達手段が前記ベースと回転円板との間
に設けられ、前記回動量伝達手段により伝達され
る回動量に応じて回動される回転円板の動きで、
その偏心位置に連結されている上部フレームの下
部フレームに対する相対的な傾動動作状態を調整
可能に構成すると共に、下部フレームの背面側へ
の傾動角度が一定以上になつた場合に上部フレー
ムがシート背面側に傾動動作されるようになされ
ていることを特徴とする。

〔作用〕

本考案に依れば、シートクツシヨンに対し傾動
可能なシートバツクを構成する上部及び下部フレ
ームを、リクライニング機構からのリクライニン
グ動作に伴う回動力を伝達する手段によつて回動
量を伝達することにより、回転円板の回転運動に
よつてその偏心した位置に連結される上部フレー
ムが、下部フレームに対して相対的に傾動動作す
るように作動させることができ、また下部フレー
ムの背面側への傾動角度が一定以上になつた場合
に、逆方向であるシート背面側に傾動させること
ができ、シートバツクのフルフラツト状態を得る
ことができる。

〔実施例〕

第１図乃至第３図は本考案の係るシート装置の
一実施例を示し、これらの図において、本実施例
では車両用シートである場合を説明する。

まず、全体を符号１で示す車両用シートは、第
３図から明らかなように、シートクツシヨン２と
その後端側に立設されているシートバツク３等と
で構成され、且つこのシートバツク３は中折れ軸
支部４により上、下部シート体３ａ，３ｂとして
分割構成されている。尚、本実施例では、シート
バツク３を構成する上、下部シート体３ａ，３ｂ
のうち、上部シート体３ａの上端部には周知のヘ
ツドレスト５が付設されると共に、下部シート体
３ｂは周知の通りベース７及びこれに回動軸支部
８にて軸支されるアーム９からなるリクライニン
グ機構６を介してシートクツシヨン２側に連結支
持した場合を示している。この場合、該リクライ
ニング機構６としては、手動操作によるリクライ
ニングデバイス、電動モータ等によるパワーリク
ライニングデバイス、シート両側にデバイス部を
有する両側デバイス等のいずれでもよいことは言
うまでもない。

さて、本考案に依れば、上述したようにシート
クツシヨン２後端側のベース７及びこれに回動可
能に軸支されるアーム９からなるリクライニング
機構６により傾動可能に支持されるシートバツク
３を備えた車両用シート１において、第１図に示
されるように、シートバツク３のシートバツクフ
レームを上、下に二分割することで構成され且つ
中折れ軸支部４により相対的に回動可能に軸支さ
れている上部フレーム１０及び下部フレーム１１
と、前記リクライニング機構６による傾動動作に
伴つて作動され両フレーム１０，１１を相対的に
回動動作させる連動機構１２を備えてなり、この
連動機構１２を、下部フレーム１１上端側に軸支
部１３ａにより回転可能に軸支されると共にその
偏心した位置１３ｂに上部フレーム１０下端側が
連結される周囲にギヤ部を有する回転円板１３
と、この回転円板１３に対しリクライニング機構
６による下部フレーム１１のベース７側への傾動
動作を伴う回動量を伝達するチエーンやベルト等
の無端体１４（回動量伝達手段）とで構成したと
ころに特徴を有している。ここで、本実施例で
は、前記リクライニング機構６の回動軸支部８に
対しその操作ノブ６ａにより回動操作される第１
のギヤ１５を設けると共に、この第１のギヤ１５
との間に無端体１４が掛け渡される第２のギヤ１
６を、その同軸ギヤ１７が前記回転円板１３のギ
ヤ部と噛み合つて回転伝達が行えるような構成と
なつている。尚、１８は上部フレーム１０の回転
円板１３の偏心した軸部１３ｂに係合し且つその
回転運動を逃げるための長溝である。

このような構成に依れば、シートクツシヨン２
に対し傾動可能なシートバツク３を構成する上部
及び下部フレーム１０，１１を、リクライニング
機構６のリクライニング動作に伴つて所要の状態
に回動変位される回転円板１３によつて、相対的
に傾動動作させることができ、シートバツク３の
着座面を必要に応じて調節し得るものである。そ
して、このような構成では、着座者の着座姿勢に
応じたシートバツク３の上部シート体３ａの下部
シート体３ｂに対する相対的な回動変位を得るこ
とができ、これにより着座者のリラツクス状態で
の着座姿勢を適切に得て安定した着座状態を確保
し座り心地感を向上させ得るものである。

ここで、シートバツク３が通常の起立した状態
にあるときには、着座者の背面側とシートバツク
面との間の間隙は略一定に保たれるが、例えばリ
クライニング機構６により下部シート体３ｂを背
面側に傾動させると、第２図中矢印Ａで示すよう
に、回転円板１３が回動し、これにより上部フレ
ーム１０を、シート前方つまり下部フレーム１１
とは逆方向に傾動動作させることが可能で、着座
者の背面側から上部シート体３ａが離れるといつ
た問題を解決し得るものである。また、この下部
フレーム１１の背面側への傾動角度が一定以上に
なると、第２図中矢印Ｂで示すように、シート上
方への動きにより上部フレーム１０を、下部フレ
ーム１１と同方向つまりシート背面側に傾動動作
させるように機能し、所謂フルフラツト状態を得
ることが可能となる。

また、これとは逆に、フルフラツト状態からシ
ートバツク３が起立すると、第２図中矢印Ｃ，Ｄ
で示すように動作し、このときには上部フレーム
１０は、始めシート前側に傾動すると共に、一定
以上傾動すると、これとは逆にシート後側に傾動
するようになる。

ここで、このような上部フレーム１０と下部フ
レーム１１との傾動状態や傾動角度等は、ギヤ同
士の噛み合い比等によつて適宜選定し得るもの
で、また本実施例では、ギヤ１３，１７，１６，
１５やチエーン等の無端体１４を用いているた
め、各部の動きが円滑且つ適切な状態となるとい
う利点がある。

第４図は本考案の別の実施例を示し、この実施
例では、チエーン等の無端体１４を、上部フレー
ム１０が連結される回転円板１３のギヤ部に直接
連結した場合を示しており、各部の傾動動作関係
や組み合わせなどが容易に行えるという利点を奏
する。

第５図及び第６図ａ，ｂ，ｃは本考案の更に別
の実施例を示し、この実施例では、前述したチエ
ーン等の無端体１４に代えて、回動量伝達手段と
して下端がシートクツシヨン２側に軸支されると
共に上端部が回転円板１３に噛み合う伝達ギヤ２
１の偏心した位置に軸支して連結されるリンクレ
バー２０を用い、且つ回転円板１３と上部フレー
ム１０との間をリンク２２で連結している場合を
示している。そして、このような構成では、各部
が機械的に連結され、動作上での信頼性等の面で
優れ、しかも各部のギヤ比や連結レバー比を任意
に設定することで、所要の動作状態が得られる等
の利点を奏するが、その詳細は明らかであろう。

尚、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、シート装置としての車両用シート１各部の形
状、構造等を、必要に応じて適宜変形、変更する
ことは自由で、種々の変形例が考えられよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るシート装置に
依れば、リクライニング動作に伴つてシートバツ
クを構成する上部フレームを下部フレームに対し
回動動作させる連動機構を備えており、この連動
機構を、下部フレーム上端側に回転可能に軸支さ
れると共にその偏心した位置に上部フレーム下端
側が連結される回転円板と、この回転円板に対し
リクライニング機構による下部フレームの傾動動
作に伴う回動量を伝達するチエーンやベルト、更
にリンク機構等の回動量伝達手段とで構成するよ
うにしたので、簡単且つ安価な構成にもかかわら
ず、シートクツシヨンに対し傾動可能なシートバ
ツクを構成する上部及び下部フレームを、リクラ
イニング機構からのリクライニング動作に伴う回
動量を伝達する手段によつて回転される回転円板
の動きでその偏心位置に連結される上部フレーム
に回転変位として伝え、相対的に傾動動作させ得
ると共に、下部フレームの背面側への傾動角度が
一定以上になつた場合に、逆方向であるシート背
面側に傾動させることができ、シートバツクのフ
ルフラツト状態を得ることができ、着座者の着座
姿勢に応じたシートバツク上部のシートバツク下
部に対する相対的な回動変位を得ることができ、
その結果着座者のリラツクス状態での着座姿勢を
適切に得て安定した着座状態を確保し座り心地感
を向上させ得る等の実用上種々優れた効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシート装置の一実施例を
示す要部を拡大して示す概略斜視図、第２図はそ
の要部の動作状態を説明するための概略図、第３
図はシートバツクの中折れ状態を説明するための
シートの概略側面図、第４図は本考案の別の実施
例を示す概略側面図、第５図は本考案の更に別の
実施例を示す概略斜視図、第６図ａ，ｂ，ｃはそ
の動作状態を示す概略側面図である。 図中、１……車両用シート（シート装置）、２
……シートクツシヨン、３……シートバツク、３
ａ，３ｂ……上、下部シート体、４……中折れ軸
支部、６……リクライニング機構、７……ベー
ス、８……回動軸支部、９……アーム、１０……
上部フレーム、１１……下部フレーム、１２……
連動機構、１３……回転円板、１４……無端体、
１５，１６，１７，２１……ギヤ部、２０……リ
ンクレバー、２２……リンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨン後端側のベース及びこれに回
   動可能に軸支されるアームからなるリクライニン
   グ機構により傾動可能に支持されるシートバツク
   を備えてなるシート装置において、前記シートバ
   ツクのシートバツクフレームを上、下に二分割し
   て構成され且つ中折れ軸支部により相対的に回動
   可能に軸支されている上部フレーム及び下部フレ
   ームと、前記リクライニング機構による傾動動作
   に伴つて作動され前記上部フレームを下部フレー
   ムに対し相対的に回動動作させる連動機構を備
   え、前記連動機構は、前記下部フレームの上端側
   に回転可能に軸支された回転円板と、該回転円板
   の偏心した位置に設けられた軸部とを有し、該軸
   部に上部フレームの下端側が連結され、前記回転
   円板に対し前記リクライニング機構による下部フ
   レームの傾動動作に伴う回動量を伝達する回動量
   伝達手段が前記ベースと回転円板との間に設けら
   れ、前記回動量伝達手段により伝達される回動量
   に応じて回動される回転円板の動きで、その偏心
   位置に連結されている上部フレームの下部フレー
   ムに対する相対的な傾動動作状態を調整可能に構
   成すると共に、下部フレームの背面側への傾動角
   度が一定以上になつた場合に上部フレームがシー
   ト背面側に傾動動作されるようになされているこ
   とを特徴とするシート装置。