JPS6121611Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、可動テーブルの両サイドに対向した
状態で設けるベアリング本体にはサーキユラーア
ーク溝の軌道溝が形成され、該軌道溝を走行する
活ボール（以下負荷ボールという。）を受ける負
荷ボール用軌道溝が軌道台にも形成され、該軌道
台が前記ベアリング本体に相対してベツドに設け
られている無限摺動ベアリングにおいて、ベアリ
ング本体の両側端に取付る側蓋と無負荷ボール用
溝が形成されている無限摺動用ベアリングに関す
る。

従来、有限直線ベアリングユニツトとしては第
１図に示す如く、ベツド５の左右に軌道台２と３
を可動テーブル６の内側軌道台１と４を取付けボ
ルト７，８にてそれぞれ締付け、ついで両軌道台
１，２および３，４間にボールガイド９がセツト
されている。

また、無限直線ベアリングユニツトとして第２
図に示す如く、ベツド１０の左右に軌道台１１と
１２をテーブル１３の両側にはボールガイドベア
リング１４，１４が固定ボルトナツト１５によつ
て定位置に取付けられているので、無限直線運動
のできる薄形コンパクトベアリングとして知られ
ている。

ところが、上記有限、無限直線運動ベアリング
は第１８図および第１９図に示す如く、軌道溝が
４つの円弧で形成されているため、ブリロードを
かけたときおよび隙間のないベアリングに荷重を
かけたときボールは４点接触となり、d₁，d₂の差
が大きいため、弾性変形して差動すべりが生じ、
また第１９図に示す如く隙間のあるベアリングに
上方より荷重が加わつたときボールは弾性変形し
てスピン（旋回すべり）現象をおこし、そこには
すべり低抗に近い大きな摩擦が発生し、異常摩耗
により寿命が著しく短かくなる欠点を有する。

また、上記軌道溝はボぜルが４点で接触し、ボ
ールの弾性変形が阻害されるので、取付面の狂
い、あるいは軌道台の精度誤差が吸収されず、ス
ムースな運動が得られない。

従つて、高精度加工が必須条件となるので高剛
性のベツドなどに取付面を高精度に加工し、さら
に高精度の軌道台を取付けて使用せねばならない
不便を伴うものである。

本考案の技術的課題は、可動テーブル並びに両
サイドに対向した状態に取付けるベアリング本体
間の機械加工誤差および取付誤差が吸収され、さ
らにベアリング本体にブリロードをかけることに
より負荷ボール用軌道溝間の隙間をなくすことゝ
併せて上下負荷ボール用軌道溝は水平線に対し、
45度の位置に形成されると共にこれら溝はサーキ
ユーラーアーク溝に形成することにより負荷ボー
ルの差動すべりを防止する点、さらに前記ベアリ
ング本体に取付ける側蓋のプラスチツク化と併せ
て加工工程の減少に伴なう低価額の製品を提供す
る点にある。

上記技術的課題を解決するための本考案の構成
すなわち、技術的手段は次のとおりである。

ベアリング本体と複数のボールを案内する保持
器および側蓋からなるベアリングにおいて、該ベ
アリング本体の一方側に負荷ボール軌道溝他方す
なわち背面に無負荷ボール用案内溝が任意間隔を
おいてそれぞれ形成され、該ベアリング本体に被
冠せる保持器より負荷ボール用案内がそれぞれ平
行して形成され、該保持器の外方傾斜辺がベアリ
ング本体お左右傾斜面に当接されており、前記ベ
アリング本体の端面に取付けられる前記側蓋は内
側中央に凹部が形成されており、該凹部にガイド
部材を組み込むことにより負荷ボール用軌道溝か
ら無負荷ボール用案内溝にボールを案内する方向
変換用溝が形成されてなる無限摺動ベアリングに
ある。

上記技術的手段は次のように作用する。

可動テーブルの両サイドに対向した状態で取付
けられたベアリング本体および軌道台の軌道溝は
サーキユラーアーク溝が形成されることにより両
軌道溝間を走行する負荷ボールは接触角方向に２
点接触となるため、該負荷ボールは弾性変形し、
広い接触幅が得られ、取り付け面に多少の狂いが
あつてもベアリング内部で吸収され、無理のない
スムースな運動が得られる。

また、１つの保持器が断面略Ｗ形状に形成さ
れ、ボールの径より小さい左右のスリツトが内方
傾斜辺に平行してそれぞれ形成されているので、
負荷ボールを保持する機能と無理なくスムースに
案内する機能を併せて持たせることができ、ま
た、無負荷ボール用案内Ｕ溝がベアリング本体に
背面の上下部に形成されているので、ベアリング
本体に貫通穴を形成する必要はなくなり、ボール
は無負荷ボール用カバーによつて案内され、ベア
リング本体の全体構造が簡単となり、しかも各部
材の強度を低下させることなく簡略化されている
ので、製作コストの低減を達成することができる
効果を有する。

また蓋体に形成される方向変換用Ｕ溝の回転半
径が大きいため、ボールの走行に無理がない。

次に、図に基づいて本考案の技術的手段の一実
施例を説明する。

本考案無限摺動ベアリング本体と軌道台をユニ
ツトとして可動テーブルとベツドにそれぞれ組み
込んだ状態を示す第３図について説明する。

１０１はベツド４０１に対して前進若しくは後
退自在な可動テーブルで、該可動テーブル１０１
は仮想線にて図示の如き、該可動テーブルの両サ
イド内方にベアリング本体２０１，２０２取付け
の段部１０２，１０３が軸方向にわたつてそれぞ
れ形成されている。該段部１０２，１０３によつ
て前記可動テーブル１０１の表面に対応する裏面
１０４が形成される。

前記ベアリング本体２０１，２０２は鋼材を引
き抜き加工によつて所要形状に形成されたブロツ
クが所定長さに切断されてなり、そして該ベアリ
ング本体２０１，２０２はボール２０３を案内す
る負荷ボール用軌道溝２０４，２０５と、該負荷
ボール用軌道溝２０４，２０５と背向に無負荷ボ
ール用案内溝、すなわち背面の上下部に平行し
て、無負荷ボール用案内Ｕ溝２０６，１０７若し
くは貫通孔（図示せず）が形成される。

該負荷ボール用軌道溝２０４，２０５はベアリ
ング本体２０１，２０２の軸心を通る水平線に対
して45度をなす位置に平行して上下に形成され、
かつ該軌道溝２０４，２０５はサーキユラーアー
ク形状の２点接触にして、該軌道溝２０４，２０
５の曲率半径はボール径の約52〜53％で形成され
ているのが最も好しい。

２１５は鋼板より打抜きにて一体成型された断
面略Ｗ型状の保持器であつて、該保持器２１５は
ベアリング本体２０１の負荷ボール用軌道溝２０
４，２０５に対応する内方傾斜辺２１６，２１７
にボール２０３の径よりやゝ小さいスリツト２１
８，２１９が軸方向に平行して上下に形成されて
おり、そして、該スリツト２１８，２１９の両端
部にはボール２０３をすくい上げる舌片２３４，
２３５（第１０図参照）が形成される。

該保持器２１５の外方傾斜辺２２４，２２５は
ベアリング本体２０３の上下傾斜面２２８，２２
９にビス２２０を介して取付ける。

２３０，２３１はプラスチツクあるいはダイキ
ヤスト合金にて一体成形した側蓋で、該側蓋は内
側中央に半円形第１凹部２３９を形成すると共に
該第１凹部２３９を挾んで上下若しく左右に前記
第１凹部２３９より大きい同心円の半円形第２凹
部２４０を形成する。

該第２凹部２４０の位置は前記ベアリング本体
２０１，２０２を走行するボールを負荷ボール用
軌道溝２０４，２０５から無負荷ボール用案内Ｕ
溝２０６，２０７へあるいは無負荷ボール用案内
Ｕ溝２０６，２０７から負荷ボール用軌道溝２０
４，２０５と一致せしめ、前記第２凹部２４０，
２４０の両側壁に接する半円柱状ガイド部材２４
１が前記第１凹部２３９に組み込み固定されるこ
とによりボールの方向変換Ｕ溝２３２，２３３が
形成される。

そして該側蓋２３０，２３１がベアリング本体
２０１の前後にボルト２３６を介して前記半円柱
状ガイド部材２４１と共に固定される。

２１０は断面略コ字状の無負荷ボール用カバー
で該無負荷ボール用カバー２１０はベアリング本
体２０１の背面の上下部に形成された無負荷ボー
ル用案内Ｕ溝２０６，２０７を覆うように取付け
る。

該カバー２１０の上下平担面部２１４，２１４
の端部はベアリング本体２０１の無負荷ボール用
案内Ｕ溝２０６，２０７の側壁に形成された細長
い溝２１１，２１１に差し込み、また該カバー２
１０の両端部の切込み部２１２，２１２は側蓋２
３０，２３１の突出片２３１が嵌合する。

２５２，２５２はビスで、前記カバー２１０を
ベアリング本体２０１の背面に固定する。

２５０は側蓋２３０，２３１に形成されたリテ
ーナ押えで、該リテーナ押え２５０は断面略三角
に形成されていて、該三角形と該側蓋２３０，２
３１のＷ溝２５５間に保持器２１５のＶ形凹部２
５１の端を嵌め込むことにより挾持固定される。

２４３は半円柱状ガイド部材２４１に形成され
た貫通孔である。

該半円柱状ガイド部材２４１は負荷ボール２０
３を案内するための曲面２５４，２５４が両側下
端に形成される。

２４４は側蓋２３０に形成された貫通孔で、ボ
ルト２３６を挿通する。

２４５はベアリング本体２０１，２０２に形成
された貫通孔で、該貫通孔２４５に挿通した取付
けボルト２４６，２４６……（一部図示省略）を
介して可動テーブル１０１の両サイド内方に形成
された雌ねじ１０８，１０８……に固定される。

２４８は可動テーブル１０１の側壁１０９に形
成された雌ねじ１１０に螺合したボルトで、該ボ
ルト２４８を締付けることによつてベアリング本
体２０１を軌道台３０１側へ押圧し、ボール列に
ブリロードがかけられる。（１部図示省略） ３０１，３０２は軌道台で、任意間隔をおいて
貫通孔３０５，３０５……が形成された該軌道台
３０１，３０２はベツド４０１の左右の所要個所
に取付けボルト３０８を介して固定されると共に
左右の軌道台３０１，３０２の負荷ボール用軌道
溝３０３，３０４が前記ベアリング本体２０１の
負荷ボール用軌道溝２０４，２０５に対応する個
所に平行に形成され、そしてベアリング本体２０
１，２０２の軌道溝同様サーキユラーアーク形状
の２点接触にする。

また、軌道台３０１，３０２の内方側壁３０
６，３０７はベツド４０１に形成された位置決め
用突堤４０２，４０３の垂直壁４０４，４０５に
当接する。

１１１はボールねじで、該ボールねじ１１１の
回転にともなつて前進若しくは後退するナツト
（図示せず）が可動テーブル１０１側の裏面に取
付けられている。

作用について、 ボールねじ１１１の回転により可動テーブル１
０１が前進若しくは後退すると、該可動テーブル
１０１の両サイドのベアリング本体２０１，２０
２と軌道台３０１，３０２間の負荷ボール２０
３，２０３……は側蓋２３０，２３１の方向変換
Ｕ溝２３２，２３３をへて無負荷ボール用案内Ｕ
溝２０６，２０７へ転走しながらスムーズに循環
する。

（第４図、第５図参照） しかも負荷ボール列はサーキユラーアーク形状
の軌道溝によりアンギユラー接触となり、可動テ
ーブル側のボルト２４８の締付けにより、負荷ボ
ール例にブリロードをかけた場合、あるいは各方
向の荷重が加わつた状態でも各負荷ボール２０
３，２０３は第１７図のように接触角方向に２点
接触するため差動すべりの原因であるd₁とd₂の差
が小さく、良好なころがり運動を行うことができ
る。

また、重荷重が負荷ボール用軌道溝に作用して
も該軌道溝は２点接触のため、ボールは弾性変形
し、広い接触幅ａが得られ、剛性が増加する。

また、軌道溝の曲率半径はボール径の52％〜53
％なので大きな負荷容量が得られる。

さらにベアリング本体は角材より引抜き加工に
より左右対称に形成されているので、多量生産に
適すると同時にコスト抵減に非常に役立ち併せて
互換性を有することになり、さらに、左右独立し
て可動テーブルに取付けることができるので可動
テーブルの大小に左右されない。断面略Ｗ形状の
保持器の両端は側蓋のＶ形凹部と、該側蓋のリテ
ーナー押えにより正確に位置決めができると同時
に側蓋とベアリング本体に確実に保持される本考
案特有の作用効果を奏する。

また、保持器はＷ型の左右対称であるため製作
容易にして、かつ剛性を一段と高めることができ
る効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は公知のベアリング本体と
軌道台を可動テーブルとベツドに組み込んだ状態
を示す横断面図、第３図は本考案無限摺動ベアリ
ング本体と軌道台を可動テーブルとベツドに組み
込んだ状態を示す一部省略断面図、第４図はベア
リング本体は無負荷ボール用カバーを取付けた状
態を示す平面図。第５図は第４図Ａ−Ａ断面図、
第６図は保持器と該保持器のスリツト内を走行す
る多数のボールの状態を示す平面図。第７図はベ
アリング本体と側蓋との取付け状態を示す一部省
略断面図、第８図はベアリング本体の斜視図、第
９図はベアリング本体に取付ける側蓋の斜視図、
第１０図はベアリング本体に取付ける保持器の斜
視図、第１１図は無負荷ボール用カバーの斜視
図、第１２図は側蓋の正面図、第１３図は第１２
図Ｃ−Ｃ断面図、第１４図は第１２図Ｄ−Ｄ断面
図、第１５図は半円柱状ガイド部材の正面図、第
１６図は第１５図Ｂ−Ｂ線断面図、第１７図は本
考案ベアリングにブリロードあるいは荷重を負荷
したときの接触面の状態を示す説明図、第１８図
および第１９図は公知の２列ゴシツクアーチ溝形
ベアリングにブリロード負荷したときの接触面の
状態を示す説明図である。 １０１：可動テーブル、２０１，２０２：ベア
リング本体、２０３：ボール、２０４，２０５：
負荷ボール用軌道溝、２０６，２０７：無負荷ボ
ール用案内Ｕ溝、２１０：無負荷ボール用カバ
ー、２３０，２３１：側蓋、３０１，３０２：軌
道台。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (A) ベアリング本体２０１，２０２と複数のボー
   ルを案内する保持器２１５とカバー２１０およ
   び側蓋２３０，２３１からなるベアリングにお
   いて。 (B) 該ベアリング本体２０１，２０２の一方側に
   負荷ボール用軌道溝２０４，２０５、他方すな
   わち背面の上下に無負荷ボール用案内Ｕ溝２０
   ６，２０７が任意間隔をおいて形成されている
   こと。 (C) 該ベアリング本体２０１，２０２のサイドに
   被冠せる断面略Ｗ形状の保持器２１５の負荷ボ
   ール用案内のスリツト２１８，２１９が内方傾
   斜辺２１６，２１７にそれぞれ平行して形成さ
   れていること。 (D) 該保持器２１５の外方傾斜辺２２４，２２５
   がベアリング本体２０１，２０２の左右傾斜面
   ２２８，２２９に取付けられていること。 (E) 前記ベアリング本体２０１の背面の上下部に
   形成された無負荷ボール用案内Ｕ溝２０６，２
   ０７が断面略コ字状の無負荷ボール用カバー２
   １０にて覆うわれていること (F) 前記ベアリング本体の端面に取付けられる前
   記側蓋２３０，２３１は内側中央に第１凹部２
   ３９を挾んで、その左右に同心円の第２凹部２
   ４０，２４０が形成されていること。 (G) 該第１凹部２３９に半円柱状ガイド部材２４
   １を組込むことにより負荷ボール用軌道溝から
   無負荷ボール用案内溝にボールを案内する方向
   変換用溝２３２，２３３が形成されているこ
   と。 (H) 該側蓋２３０，２３１のＷ溝２５５間に前記
   保持器２１５のＶ形凹部２５１が挾持固定され
   ていること。 以上(A)，(B)，(C)，(D)，(E)，(F)，(G)および(H)を
   構
   成要素とすることを特徴とする無限摺動ベアリン
   グ。