JPS6120566Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はズーム式交換レンズにおいて絞り装
置を組み込んだズームレンズ枠を回転させること
なく光軸方向にのみ移動しうるようにした絞り移
動装置に関する。

一般に、ズーム式の交換レンズでは、絞り装置
を固定鏡胴内の一定位置に固定するか、またはズ
ーミング操作によるレンズ系の移動に追従させて
光軸方向に移動させるかしており、後者の場合、
固定鏡胴内の適所のズームレンズ枠に絞り装置を
一体に組み込んでレンズ枠と共に移動させる方式
を採るには、レンズ枠単に光軸方向にだけ移動す
るものであるならば比較的に簡単なカメラ本体側
装置との連繋機構で絞り操作を行わせることがで
きるが、接作環の直進操作によつてカム筒を介し
てズームレンズのレンズ枠を回転させながら光軸
方向に移動させる形式のものいわゆる直進式ズー
ム作動の交換レンズでは、ズームレンズのレンズ
枠が回転しながら光軸方向に移動するために、そ
こに組み込まれた絞り装置は独自に光軸方向にの
み移動する手段を講じなければならず、通常では
その手段は複雑となり、部品加工や組立にも手間
がかかり容易ではない。

そこで、この考案は絞り装置を組み込んだズー
ムレンズ枠に回転リングを併設して、レンズ枠自
体はカム筒に連繋させることなく、回転リングを
カム筒に連繋させるだけの簡単な構成により、絞
り装置を回転することなく光軸方向にのみ移動で
きるように改良したものである。

この考案の実施例を図面について説明すれば、
第１図においてL₁はフオーカスレンズで固定鏡
胴１の前端に刻設されたヘリコイド２に螺合する
前筒３に組み込まれ、その前筒３の後端外周には
ピン４が植設されていて、このピン４は操作環５
に穿設された光軸方向の直線みぞ６に嵌入し、操
作環５の回転操作により前筒３はヘリコイド２で
回転しながら光軸方向に前後してフオーカシング
が行われ、操作環５を軸方向に摺動させた際に
は、操作環５の直線みぞ６がピン４に対し滑動す
るだけで前筒３には何ら影響を与えない。

L₂，L₃，L₄はズームレンズ群であつて、前方
のズームレンズ群L₂はレンズ枠７に組み込まれ
て固定鏡胴１の前方内側に配設され、中央のズー
ムレンズ群L₃は絞り装置２１が前部に組み込ま
れたレンズ枠８に支持されて鏡胴１の内側中央部
に配設され、後方のズームレンズ群L₄は他のレ
ンズ枠９に支持されて鏡胴１の内側後部に配設さ
れ、操作環５の軸方向への軸方向への操作により
後述のカム筒１０を介して光軸方向に相対的に移
動しズームレンズ系の焦点距離を変える。

固定鏡胴１には、第２図にみられるように前方
の光軸に対し傾斜のゆるやかなみぞ１１が設けら
れ、中央部には軸方向の直線みぞ１２、みぞ１１
と傾斜方向を同じくするみぞ１３およびピン１５
が円周方向に間隔をおくと共に前後に位置をずら
せて設けられ、その後方には幅広な長方形状の透
孔１４が上下に対称的に設けられ（図では上部の
みを示した）ている。

また、第２図において１０は操作環５に連動す
るカム筒であつて、その周面中央部には光軸方向
に平行な一定長さの直線みぞ１６と傾斜カムみぞ
１８が設けられ、前方には傾斜カムみぞ１８とや
や傾きを異にする傾斜カムみぞ１７が穿設されて
おり、両カムみぞ１７，１８の間には環状つば１
９が一体に形成され、この環状つば１９は第１図
のように操作環５の内側に形成された環状レール
２０に回動するように嵌合している。

また、カム筒１０の後端面には、後部レンズ枠
９の一対の脚部９ａが固定鏡胴１の透孔１４をそ
れぞれ貫通してその外端が固定され、カム筒１０
の直線みぞ１６には固定鏡胴１上にピン１５が嵌
合し、カム筒１０は光軸方向に摺動するようにな
されている。

そして、前方の傾斜カムみぞ１７は固定鏡胴１
の前方の傾斜みぞ１１と交差重合し、中央部の傾
斜カムみぞ１８は固定鏡胴１の中央の傾斜みぞ１
３と交差重合している。

前方のレンズ枠７の脚部上のピン７ａは固定鏡
胴１の前方のみぞ１１を通つてカム筒１０の傾斜
カムみぞ１７に嵌合し、中央のレンズ枠８上のピ
ン８ａは固定鏡胴１の直線みぞ１２に嵌合してい
る。

中央のレンズ枠８の前部には前記のように周知
の虹彩絞り込み装置２１が組み込まれ、その後端
部外周にはピン２２ａを有する回転リング２２が
回転するように設けられ、そのピン２２ａは固定
鏡胴１の傾斜みぞ１３を通つてカム筒１０中央の
傾斜カムみぞ１８に嵌合している。

第３図はズームレンズ群L₂，L₃，L₄を短焦点
距離位置にセツトしたときのカム筒１０の各カム
みぞと固定鏡胴１の各みぞとの関係を展開して示
すものであり、この際には、前方のレンズ枠７上
のピン７ａは固定鏡胴１のみぞ１１の後端に位置
すると共にカム筒１０の傾斜カムみぞ１７の前端
に位置し、中央のレンズ枠８上のピン８ａは固定
鏡胴１の直線みぞ１２の後端に位置し、また、回
転リング２２のピン２２ａは固定鏡胴１のみぞ１
３の後端に位置すると共にカム筒１０の後方の傾
斜カムみぞ１８の前端に位置しており、更に固定
鏡胴１上のピン１５はカム筒１０の直線みぞ１６
の前端に位置している。

この状態で、操作リング５を前方に進めると、
この操作リング５内側の環状レール２０に嵌合す
る環状レール１９を介してカム筒１０はその直線
みぞ１６と鏡胴上のピン１５との嵌合関係によつ
て操作環５と一体になつて軸方向前方に移動す
る。

このため、カム筒１０の傾斜カムみぞ１７に嵌
合するレンズ枠７のピン７ａは固定鏡胴１のみぞ
１１に沿つて回転しながら軸方向に移動し、後方
のレンズ枠９はカム筒１０と一体になつて軸方向
に移動する。

これに対し、中央のレンズ枠８はそれ自体のピ
ン８ａは固定鏡胴１の直線みぞ１２に嵌合するだ
けで、カム筒１０とは関係を持たず、その後端部
上の回転リング２２のピン２２ａがカム筒１０の
後方の傾斜カムみぞ１８に嵌合しているため、回
転リング２２は回転しながら光軸方向に移動する
ことになるが、レンズ枠８自体は回転することな
く回転リング２２に押されて光軸方向にだけ移動
し、第４図の長焦点の状態になる。

また、操作環５を第４図の状態から逆に後方に
移動させれば、カム筒１０および各レンズ枠７，
８，９は上記とは逆に動作して第３図の状態に復
帰する。

以上のようにこの考案では、絞り装置を組み込
んだズームレンズ枠にピンを有する回転リングを
併設し、この回転リングをカム筒に連動させて光
軸方向に回転、移動させ、レンズ枠自体はカム筒
に連動させないようにしたので、絞り装置を組み
込んだズームレンズのレンズ枠を回転させずに、
すなわち絞り装置の絞り口径を変化させることな
くズーミングに対応させて光軸方向にだけ容易に
移動させることができ、したがつて、固定鏡胴内
の絞り装置とカメラ本体側の絞り駆動装置または
Ｆ値設定装置との連繋が簡単で、複雑な部品構成
を要せず、加工、組立も容易で実用上有益なもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の半断面側面図。第
２図は主要部品の一部を切除した分解斜視図。第
３図は短焦点位置にセツトしたときのカム筒のカ
ムみぞの固定鏡胴のみぞとの関係を示す展開図。
第４図は長焦点位置にセツトしたときの同様の展
開図。 図中、１……固定鏡胴、２……ヘリコイド、３
……前筒、４……ピン、５……操作環、６……直
線みぞ、７，８，９……レンズ枠、７ａ，８ａ…
…ピン、９ａ……脚部、１０……カム筒、１１，
１３……傾斜みぞ、１２……直線みぞ、１４……
透孔、１５……ピン、１６……直線みぞ、１７，
１８……傾斜カムみぞ、１９……環状つば、２０
……環状レール、２１……絞り装置、２２……回
転リング、２２ａ……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定鏡胴１の外周に操作環５に連動するカム筒
   １０を摺動するように嵌挿し、固定鏡胴１の内側
   には複数のズームレンズL₂，L₃，L₄のレンズ枠
   ７，８，９を配設し、操作環５の直進操作により
   カム筒１０を介して上記レンズ枠７，８，９を移
   動させてズームレンズ系の焦点距離を変更させる
   ものにおいて、中央のレンズ枠８には絞り装置２
   １を組み込むと共に後端部外周にはピン２２ａを
   有する回転リング２２を回転するように取付け、
   該回転リング２２上のピン２２ａを固定鏡胴１に
   設けた傾斜みぞ１３を通してカム筒１０の傾斜カ
   ムみぞ１８に嵌合させ、レンズ枠８上のピン８ａ
   は固定鏡胴１に別に設けた直線みぞ１２に嵌合さ
   せてなるズーム式交換レンズにおける絞り移動装
   置。