JPS6118092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属薄板を成形した表面材と、その裏
面に断熱材を有し、高熱下で炭化層となる合成樹
脂発泡体、不燃性で、かつ、剛性のある石膏ボー
ドの順に積層一体化した防火パネルに関するもの
である。

従来から使用されているこの種パネルには表面
材と裏面材間に防火剤を混入した難燃化されたプ
ラスチツクフオームを芯材とするパネルがある。
しかしながら、この種パネルで壁体を構成した場
合は、防火構造試験（JIS−Ａ−1301）に合格し
ても合格基準すれすれであり、かつ、防火性能に
バラツキが大きく、安定性に欠け、しかもプラス
チツクフオームの発泡組織が荒らされて原料の使
用量が増加し、コストアツプとなつたり、生産性
が低下する欠点があつた。

本考案はこのような欠点を除去するため、表面
材と石膏ボード間に高熱下で炭化層となり、か
つ、接着剤、断熱材として機能すると共に軽量な
合成樹脂発泡体を一体に介在し、さらに上記石膏
ボードの裏面を含む長手方向の全露出面をシート
状物で被覆して一体に形成し、軽量で、防火構造
試験に安定した状態で確実に合格し、かつ、機械
強度があつて施工しやすい防火パネルを提案する
ものである。

以下に、図面を用いて本考案に係る防火パネル
の一実施例について詳細に説明する。第１図は上
記パネルの一例を示す縦断面図であり、１は表面
材で長方形の化粧面２とその長手方向の両側縁を
内方に屈曲した側壁３，４とから形成した主体５
と側壁３の下端を外側方へ突出した差込縁６を有
する雄型連結部７と側壁４の下端を内方へ屈曲
し、次に外側方へ屈曲して差込溝８を形成し、そ
の下縁９を外側方へ突出した延長部１０とを有す
る雄型連結部１１とから構成したものである。表
面材１の材料としては金属板、例えばカラー鋼
板、ステンレス板、アルミニウム板等の１種から
なるものである。１２は合成樹脂発泡体（以下、
単にフオームという）で高熱下で炭化層となるフ
エノールフオーム、ポリイソシアヌレートフオー
ムの１種からなるもので、主体５の凹部に充填
し、断熱材、防火剤、フオーム形成時の自己接着
性を利用して接着剤として機能するものである。
１３は石膏ボードで厚さを９mm以上とした石膏ボ
ード用原紙付の板体である。特に、厚さを９mm以
上としたのは７mmでは防火構造試験に不合格とな
ると共に、強度的にも弱いからである。また、石
膏ボード１３は側壁３から幅ｌの寸法だけズラし
た部分のフオーム１２の裏面と延長部１０の裏面
を被覆するように固着したものである。これはパ
ネルを連結した際の最弱点部が目地部であり、こ
の部分の防火性を確実に改善すると共に、防火パ
ネルの打設を容易にするものである。さらに、石
膏ボード１３の表面は紙であり、フオームを原料
で吐出し、反応発泡させてその際に自己接着性を
利用して石膏ボード１３を接着するようにして一
体化したものである。特に、石膏ボード１３は紙
が表面に存在し、紙にフオーム１２の原料が含浸
すると共に、接着しやすいためフオーム１２との
一体化がより強化されるものである。１４は窪部
で差込縁６の裏面から石膏ボード１３を内方へ延
長部１０を収納するようにズラした部分であり、
１５はシート状物で上記窪部１４の長手方向の露
出面、所謂上面１５ａと側面１５ｂおよび石膏ボ
ード１３裏面とを被覆するものであり、主にフオ
ーム１２形成時の窪部１４の上面１４ａ部からの
漏洩を防止すると共に、パネルの複合化の強化、
および耐火性と防水性との助長を図るものであ
る。その一例としてはアスベスト紙、石膏ボード
用原紙、石膏紙、クラフト紙、合成樹脂フイル
ム、難燃処理のクラフト紙、金属箔（アルミニウ
ム、銅）、グラスフアイバーシート（不織布を含
む）、金網等の１種、もしくは２種以上をラミネ
ートした積層シート状物からなるものである。

次に装着例について説明すると、第２図に示す
ように胴縁Ｃに防火パネルＡの雄型連結部１１を
釘Ｄで釘着し、その差込溝８に防火パネルＢの差
込縁６を嵌挿する。

そこでこのパネルの防火性を明らかにするため
防火構造試験（JIS−Ａ−1301号）を行なつた。
但し、表面材１は0.27mmのカラー鋼板、合成樹脂
発泡体１２はポリイソシアヌレートフオーム（密
度45Kg／m³で10mm厚）、石膏ボード１３としては
９mm厚の石膏ボードを用いた。また、シート状物
１５としてはアスベスト紙にアルミニウム箔をラ
ミネートしたものを用いた。なお、加熱は屋外２
級加熱によつて試験を行なつた。

試験の結果は下記のようであつた。

(a) 残炎……なし、 (b) 外観上の変形……パネルとしては亀裂等の変
化なし (c) 発煙係数CA……32 (d) 裏面温度……150℃ なお、防火構造の合格条件は、(a)……試験終了
後30秒以上の残炎なく、かつ、５分以上の火気が
残存しない。(b)……防火上有害な変形、裏面炭
化、破壊、脱落のないこと、(c)……防火上有害な
発煙ないこと、(d)……裏面温度が260℃を越えな
いこと、また準不燃材料であること、などを満足
することである。さらに準不燃材料（JIS−Ａ−
1321）の試験には、上記(a)＝30秒以下、(c)＝60、
温度時間面積（℃・min）が100以下の条件があ
るが本考案品は温度時間面積が０であつた。ま
た、試験後このパネルを取りはずし観察したとこ
ろ、フオーム１２は炭化層となつており、寸法変
形もなく、かつ、石膏ボード１３、シート状物１
５には何等の変化もみられなかつた。特に、表面
材１と石膏ボード１３の保形性によつて防火性、
断熱性が確実に保持されたため、裏面温度の上昇
がなかつたと推測される。なお、石膏ボードの厚
さが７mmであると防火構造試験において、石膏ボ
ードの裏面が炭化し、亀裂が入つて、かつ、胴縁
が焼けるため不合格となるものである。

上述したように、本考案に係る防火パネルは、
高温下において結晶水を放出すると共に寸法変
形のない９mm厚の石膏ボードを用いたため、防火
構造試験に十分に合格することができる特徴があ
る。また、高温下において表面材と石膏ボードと
が間隔、形状を維持する構造としたため、その防
火性、断熱性、火炎の侵入を阻止できる特徴があ
る。さらに、通常の使用状態においては断熱性に
すぐれた合成樹脂発泡体が表面材と石膏ボードと
シート状物によつてサンドイツチされた複合構造
としたため上記発泡体の劣化もなく、すぐれた機
械強度を示す特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る防火パネルの一実施例を
示す横断面図、第２図は防火パネルの装着状態を
示す説明図である。 １……表面材、１２……合成樹脂発泡体、１３
……石膏ボード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長方形状の化粧面とその長手方向の両側縁を内
   方に屈曲した側壁とから形成した断面凹状の主体
   と上記両側壁の下端に雄型連結部と雌型連結部と
   を形成した表面材と、前記主体の凹部に充填した
   フエノールフオーム、ポリイソシアヌレートフオ
   ームのいずれか１種からなる合成樹脂発泡体と、
   該発泡体の裏面と前記雌型連結部裏面を覆うと共
   に、雄型連結部の側壁から雌型連結部を収納する
   長さだけズラして窪部を形成するように固着した
   厚さ９mm以上の石膏ボードと、該石膏ボードの裏
   面と上記窪部の水平、垂直な露出面を被覆したシ
   ート状物とから一体に構成したことを特徴とする
   防火パネル。