JPS6117263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は低圧配電方式の点火装置、特に点火
信号発生源、複数の点火コイル及び複数の半導体
開閉回路とこれを制御する制御回路からなる電子
回路を一つのハウジングを通じて一体化するもの
に関する。

従来の点火装置は、機関の点火信号を発生する
信号発生器とこの点火装置を増幅し、機関の点火
時期を決定する回路と、この回路の出力信号に基
づいて一つの点火コイルの１次側電流を断続する
一つの半導体開閉回路と、この点火コイルに発生
する点火電圧を機関の各気筒の点火栓に順次配電
する配電装置により構成され、この配電装置と信
号発生器は配電器に内蔵され、他の半導体開閉回
路と回路は一つの電子回路として配電器とは別体
である。更に点火コイルもこれら配電器、電子回
路とは別体であることは周知のことである。

従つて、信号発生器、電子回路、点火コイルは
別体であり、これらは互いにある距離を置いて設
置されるため、これら装置を電気接続する配線は
長く複雑となる。この長い配線に配電装置に於け
る火花の混入を来し、それにより電子回路が破壊
したり、誤動作する原因を呈する。

また、配電装置による高圧配電方式を用いてい
るため配電損失が大きく、よつて点火エネルギが
減少し、点火栓に充分な点火火花が得られないこ
とがあり、点火コイルの２次側の点火電圧値を増
大させれば配電系統の絶縁に問題が生じることに
なる。

この考案は上記各欠点を解消する優れた低圧配
電式点火装置を提供するものである。

その前に低圧配電方式の点火回路を第１図に示
し説明する。図に於て、１は図示しない４気筒機
関の回転に同期した点火信号電圧を誘起する信号
コイル、２は後述する半導体開閉回路と、制御回
路、及び時期決定回路からなる電子回路で、３は
信号コイル１の信号電圧を受けて各気筒の点火時
期を決定する時期決定回路、４はこの回路３の出
力を受けて４つの半導体開閉回路５，６，７，８
を順次作動させる制御回路である。９，１０，１
１，１２は各半導体開閉回路５，６，７，８に対
応して設けられた点火コイル、１３，１４，１
５，１６はこの各点火コイル９，１０，１１，１
２の２次側に高圧コード１７，１８，１９，２０
を介して接続された点火栓で、各気筒にそれぞれ
装着されている。２１は直流電源である。

このような構成のもとで、時期決定回路３は機
関の各気筒の点火時期に対応して発生する信号コ
イル１の信号電圧を受けて各気筒の点火時期を決
定し、出力を発出する。制御回路４はこの時期決
定回路３の出力に基づき半導体開閉回路５→６→
７→８の順序に従つて作動させ、各点火コイル
９，１０，１１，１２の各２次側に点火電圧を発
生させる。これら点火電圧は各点火栓１３，１
４，１５，１６に導かれ、各点火栓１３，１４，
１５，１６は火花放電を呈する。

さて、本実施例は第２図、第３図に示す通りで
ある。各図に於て、２２は機関によりギヤ２３を
介して駆動される回転軸、２４はこの回転軸２２
を支承するハウジングで、壁２５を介して第１の
室２４ａと第２の室２４ｂとが筒状に形成されて
いる。このハウジング２４はアルミニウム等の金
属をダイキヤスト加工により製造される。２６は
第１の室２４ａの内壁に固定された台板、２２は
この台板２６上に回動自在に取付けられた回動台
板、２８はこの台板２７上に固定された鉄心２９
とこの鉄心２９に巻回された信号コイル１からな
る信号発生器、３０は回転軸２２に嵌着された誘
導子、３１は第１の室２４ａの開口部を閉塞する
蓋で、鉄板等の金属からなりハウジング２４にね
じ３２によつて固定される。３３は複数（４個）
の点火コイル９，１０，１１，１２全てを収納す
るケースで、蓋３１上にねじ３４により固定され
ている。３５は機関の吸気負圧に応動して回動台
板２７を回動させるバキユーム装置、３６は半導
体開閉回路５，６，７，８を構成する最終段のパ
ワートランジスタで、４個ある。３７はこのトラ
ンジスタ３６の放熱板、３８は時期決定回路３、
制御回路４、及び半導体開閉回路５，６，７，８
を構成する半導体素子、抵抗、コンデンサ等の電
気部品、３９は印刷導電体により所定の電気回路
鋼が形成され、上記パワートランジスタ３６及び
電気回路３８が取付けられ電子回路２が構成され
てなる印刷配線板で、第２の室２４ｂに収納され
ている。４０は第２の室２４ｂ内の印刷配線板３
９を振動、熱導から保護するために充填された合
成樹脂、４１は第２の室２４ｂの開口部を閉塞す
るべくねじ止めされた蓋兼機関用取付板である。
尚、点火コイル９，１０，１１，１２の１次側と
半導体用開閉回路、及び信号コイル１と時期決定
回路３の各接続は図示していないがリード線によ
り接続されている。

このように構成したので、電子回路２と信号コ
イル１及び点火コイル９，１０，１１，１２の１
次側との配線が大幅に短縮でき且つ高圧配電部の
無い低圧配電方式であるので、この配電部に於け
る火花は皆無となるため上記配線に外部からの雑
音を含めた雑音の混入は全く無くなり、また、信
号コイル１と点火コイル９，１０，１１，１２間
を蓋３１からなる金属によつて隔設し、電子回路
２をハウジング２４からなる金属部内に収納して
電子回路２を金属部によつて囲むように構成した
ため、点火コイル９，１０，１１，１２による信
号コイル１部および電子回路２への磁気的影響を
何ら及ぼすことがなく、電子回路２は安定した動
作を行なう信頼性の優れたものとなる。さらに、
４つの点火コイル９，１０，１１，１２、信号発
生器２８、電子回路２を単一のハウジング２４を
共通として一体としたので点火装置の構成が簡単
化し、車両への装着は勿論のこと、持ち運びも容
易に行なえる。同時に、点火装置は電子回路にて
ほとんど構成しているので機械的作動部は少な
く、さらに、ハウジング２４は単なるケース的な
機能でよいため簡単な筒状形状でよくなり、アル
ミダイキヤスト等の加工によつて簡単安価に形成
することができる。

第４図はこの考案の他の実施例で、ハウジング
２４は第１の室２４ａのみを形成し、電子回路２
を構成している印刷配線板３９は新たに形成され
ている鉄板等の金属からなるケース４２内に収納
し、このケース４２をハウジング２４の開口部を
閉塞するべく嵌合固定するもので、装置の組立、
交換等を容易にするため点火コイル９，１０，１
１，１２、電子回路２及び信号発生器２８を３分
割したものである。ケース４２のハウジング２４
への取付けはねじ止めあるいは係止片等による係
合によつて行なう。

尚、以上の各実施例に於ける電子回路２は一般
的なガバナ進角装置に代り電気的な進角あるいは
遅角機能を有するものであり、また機関の吸気負
圧に応動して進角あるいは遅角機能を電子回路２
内に構成することも可能である。

以上の通りこの考案によれば、機関点火信号を
発生する信号発生器をハウジング内の室に取付
け、また複数の点火コイルをハウジングに信号発
生器が取付けられた室とは金属部を介して隔設し
て取付け、更に複数の点火コイルの１次側電流を
制御してその２次側に点火電圧を発生させる複数
の半導体開閉回路と、半導体素子、抵抗等の電子
部品により構成され、機関の各気筒の点火時期に
誘起される信号コイルの機関点火信号を受けて複
数の半導体開閉回路を順次作動させる制御回路と
からなる単一の電子回路を金属部により囲んで信
号発生器が取付けられた室及び複数の点火コイル
部から隔設してハウジングに取付けたので、信号
発生器の室内の油、塵埃等から単一の電子回路を
保護することができ、単一の電子回路の信頼性向
上が計れる。しかも、信号発生器、複数の点火コ
イル及び単一の電子回路を一つのハウジングを通
じて一体化することが可能となり、信号発生器、
複数の点火コイル、電子回路との電気配線が簡単
に行なえ、配線も大幅に短縮でき点火装置の簡単
化が計れ車両への装着が容易にできることは勿論
のこと、持ち運びも容易となる等実用上顕著なる
効果を発揮する。さらに、この考案では信号発生
器と、複数の点火コイルと、電子回路とは各々鉄
板、アルミニウムなどの金属部を介して隔設され
ているので、複数の点火コイルに生ずる磁気的影
響から信号発生器、電子回路が保護されるという
効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は低圧配電方式の点火回路を示す回路
図、第２図はこの考案の一実施例を示す平面図、
第３図は第２図に於ける−線による断面図、
第４図はこの考案の他の実施例を示す断面図であ
る。 図に於て、１は信号コイル、２は電子回路、３
は時期決定回路、４は制御回路、５，６，７，８
は半導体開閉回路、９，１０，１１，１２は点火
コイル、１３，１４，１５，１６は点火栓、２２
は回転軸、２４はハウジング、２５は壁、２８は
信号発生器、３０は誘導子、３１は蓋、３３，４
２はケース、３６はパワートランジスタ、３８は
電子部品、３９は印刷配線板である。尚、各図中
同一符号は同一部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関により駆動される回転軸、この回転軸を回
   転自在に支承する金属からなるハウジング、この
   ハウジング内の室に取付けられ上記回転軸に固定
   された誘導子により機関点火信号を誘起する信号
   コイルを含む信号発生器、上記ハウジングに上記
   室とは金属部を介して隔設して取付けられた上記
   機関の気筒数に対応する複数の点火コイル、及び
   上記複数の点火コイルにそれぞれ対応し上記複数
   の点火コイルの１次側電流を制御してその２次側
   に点火電圧を発生させる複数の半導体開閉回路
   と、半導体素子、抵抗等の電子部品により構成さ
   れ上記機関の各気筒の点火時期に誘起される上記
   信号コイルの機関点火信号を受けて上記複数の半
   導体開閉回路を順次作動させる制御回路とからな
   る単一の電子部品を備え、上記電子部品を金属部
   により囲んで上記信号発生器が取付けられた上記
   ハウジングの室及び上記複数の点火コイル部から
   隔設して上記ハウジングに取付けたことを特徴と
   する低圧配電式点火装置。